三途の川と血の池ツーリング

2008年8月

一週間前、千葉にある職場から仕事を終わらせて、そのまま旅の荷物をパッキングしたR1200GSに乗って東北自動車道を北上した。岩手山SAで仮眠し青森港からフェリーで函館へ。この時はとにかくたっぷり走りたかった。まだ新しい愛車であったR1200GSからも「たっぷり走ろうぜ」と誘われている気もした。

今回の旅は函館からニセコエリアに入り、ニセコパノラマラインを走って日本海側へ、小樽から海沿いに天塩方面へ走りオロロンラインを経て稚内。最北エリアを楽しんだら美深へ向かい道北スーパー林道のロングダートを楽しんで富良野、美瑛エリアと花人街道を南下。日勝峠を越えて屈斜路湖まで行ったら再び海を目指して知床半島。そこから北太平洋シーサイドラインを走り根室エリアの最果てを味わう。最後は黄金道路を襟裳岬まで走って海沿いから伊達市を通過して函館に戻るという、北海道ツーリングのフルコースだ。

加えて大洗~苫小牧のフェリーは使わず、東北自動車道を自走する計画なので全ての行程を合わせると5000㎞にもせまるロングツーリング。それだけ走っても疲労感は少なく「まだまだ走れるけどね」とR1200GSは言う。長旅の7日目にして実に頼もしいバイクだと感じさせてくれた。

しかし、さすがにお盆休みに有給休暇をつなげた8連休。さらに休むわけにはいかない。北海道の全工程を満喫し道内の最終日はアルトリ岬キャンプ場を出発して登別温泉を楽しんでから函館港へ直行し帰路を目指した。函館港フェリーターミナルは一年ほど前に新しい建物にリニューアルされ、まるで空港を連想するような近代的で立派な施設へと変貌していた。

新しいのは良いことだけど一人旅の雰囲気が似合わず観光色が強まった感じで少し寂しい。予約していた便よりもだいぶ早く到着したので、カウンターでもう少し早い船に変更できないか?と尋ねると、ちょうど新造船の高速船にキャンセルが出たので今すぐ乗れると…。ちょっと料金が高かったが、受付のお姉さんが「お客様はラッキーです」みたいな言い方だったので、まあ良いかと思って新造船【ナッチャンWorld】とやらに乗ることにした。

しかしこのナッチャンWorldという高速船、驚いたことに海面から浮いて航行するジェットフォイル型であるにも関わらずカーフェリーというすごい船。船内も空港のラウンジサービスのような高級感がある。いざ出港すると乗っていて速いのが分かるほど高速で揺れも少ない。料金が高いのも納得で良く見ると他のバイクも輸入車ばかり…自分のバイクも輸入車だけど、少し場違いな感じがした。




通常の船と違いあっという間に青森港へ着いてしまった。予定よりもだいぶ早いので下北半島をツーリングして今夜はむつ市にある国設薬研温泉キャンプ場に泊まろうと決めた。国設薬研温泉キャンプ場は北海道ツーリングするライダー達が渡道、または戻りで一泊する定番のキャンプ場だ。この日はお盆休みのUターンラッシュと重なるため混雑が予想される。

「混んでいたら嫌だな」そんなことを考えながらR1200GSを走らせていると、何やら辺りが重苦しく荘厳な森の風景を走っていた。恐山だ…。日本三大霊場といわれるこの地は極楽浄土の景色が見れると聞いたが本当だろうか?心がなんとなくザワザワする感じを覚え、私はいま最もあの世に近いと言われる場所をR1200GSで走っているのだ。

ほどなく走ると日没が近づいてしまった。ちょっとのんびりし過ぎてしまったようだ。ここからキャンプ場はそう遠くはなさそうだけど、この時間に行ったらテントを張るスペースも限られているかもしれない。そんな風に思ったとき、目の前に息をのむような美しい湖が現れた。「うわっなんだここは、綺麗だな」まるで南国の海のようなアクアブルーに白い砂浜。その入り江は箱庭のような小さな空間で湖というより海だった。

間もなく日没だし明日は高速の渋滞を回避したいので午前3時には出発したい。キャンプ場でそれをやると迷惑だから、この場所で野宿してしまおうか…。辺りの様子を細かくチェックし、火を使わずテントを張るだけなら良いだろう…と思い、この美しい砂浜で野宿することにした。

MSRのテントを張り終える頃には周囲は魔時の雰囲気になり、山の稜線に沈みゆく夕陽が息をのむほど美しい。辺りは気味が悪いほどにシーンと静かだった。

美しい夕陽のショータイムを満喫してコンビニで買ってきたオニギリを食べ、明日は早いのでビールも飲まずに寝ることにした。7日間で走り切った疲労感が適度に気持ちよく3時まで良く眠れそうだ、とこの時は思った。

しかし、どうにもうまく寝付けない。寝袋の中でモゾモゾと動き回っては目が冴えて。静かな周辺がなぜか騒々しいような気配を感じてしまい、安心して眠るような気分ではなくなってしまった。

暫くすると一台のバイクの音が近づいてきた。250くらいの単気筒だろうか。そのバイクは私の近くまで来て少しの間止ってアイドリングしていたが、やがてエンジンを停止させた。「誰かくるな」と思いテントから出てみるとそこには懐かしいホンダAX-1に乗った若い女の子がいた。

AX-1の後部には北海道を旅してきたのか?たくさんの荷物が整然とパッキングされていた。ウェアーはこれまた懐かしい上野バイク街にあったCORINで売っていたファクトリーベアだ。派手な蛍光カラーと熊のマークが80年代していて、いま見ると新鮮だ。20年以上経った今でもよく手に入ったと感心してしまった。

彼女はヘルメットを脱ぎ笑顔で「こんばんは」と言った。小さな顔は80年代風に言うと小麦色に日焼けしていて、髪は三つ編みでツインテール。バイクもウェアーもライダーも全て80年代という感じで驚いた。




「あっ、どうもこんばんは。君も北海道を走ってきたの?」

「いいえ、私はずっとこの辺を走っているの。今日、ここでキャンプするの?」

「キャンプ場は混雑だろうし、明日は3時に出発するので少しだけね」

「それでしたら、私もご一緒していい?」

えっ、君もここで野宿するのか?女の子が?近くにトイレはあるけど、誰も居ないこんな場所で見ず知らずの男と2人でキャンプ? …戸惑ったが私の返答を待つことなく、彼女はAX-1の後部に積載された荷物を解き、テントの設営をはじめてしまった。

しかしこのAX-1、旧車をレストアしたとは思えない新車のような輝きを放つ。通常、カウルなどの樹脂パーツは退色するもので、綺麗に手入れしていても古い物は見れば分かる。しかしどうだろう?まるで新品パーツのような色をしている。ホワイトのキャストホイールも塗装し直したのか、掃除のしにくいハブの周辺まで真っ白だ。まるでタイムスリップしてきたようなAX-1だ。

テントはこれまた懐かしい80年代の蛍光パープルと鮮やかなイエローのダンロップ ダルセットシリーズだ。太いポールが現代のテントとの違いを感じる。かなり手慣れた様子で私のテントの3mほど隣にダルセットテントを設営した。

「私、妙子。いつもこの辺を走っているの。こちら側の浜は極楽だけど、あの川の向こうは血の池があって地獄なのよ。今はお盆だから賑やかね」

「はあ?」

最初は何の話をしているか分からなかったが、妙子の話を詳しく聞くうちに、ここは宇曽利山湖という湖で極楽浄土の浜、三途の川、血の池地獄がある霊場であり、いまは多くの死者がここへ集まる時期なのだと。そんな恐れ多い場所で私は何も知らずテントなど張っていたのだ。それは寝付けなかったのも納得だ。

時計を見ると20時をまわったところだった。

「知らなかった…それなら、バチ当たりだから俺はもう撤収して失礼するよ。」

と妙子に伝えたが「私がいれば大丈夫」とほほ笑むだけ。なぜ?彼女がいれば大丈夫なのだ?ここの番人であるかのように自信をもってそう言う。まあ、彼女もいまテントを張ったところで、そこで私が帰ってしまえばある意味失礼でもある。そう思い予定通り3時までここで寝ることにした。

「明日、俺は3時には出発しちゃうけど大丈夫かい」

妙子は微笑むだけで言葉を発しなくなった。やがて強烈な眠気が襲ってきて堪らず「もう俺は寝ちゃうね」と残してMSRテントの中へ滑り込んだ。その後、おそらく秒殺で熟睡したと思われる。

サーマレスト製のマットを砂浜の上に敷いた寝心地はちょっとした高級ベッドのような寝心地だ。夢の中でもその心地よいフワフワ感に包まれ、見えた訳ではないが辺り一面に花が咲き乱れ心地よいそよ風が吹いている中を寝ているようだった。

深い眠りの中でいい香りを感じた。夢なのか現実なのか曖昧なままその香りが何であるか記憶の糸をたどっていた。白檀の香りだろうか?それとも何か別の花かな。とても品があり高貴な香りという感じた。すると人の話し声が聞こえてきた。何人かの人が湖に立っている。それは宇曽利山湖ではなく別の風景で、そこにいる数人の人は見たことも会ったこともない男であった。

「誰だろう?何を話しているのだろう?」

あのう?どうされましたか?

尋ねても私の問いかけは虚しくも無視されているようだ。

「妙子がいない。妙子が帰ってこない」

「だから北海道に行くなんて、俺はとめたんだ!」

男たちはこんな会話で何やら妙子のことを話していた。

私は自分がなぜここに居るのか?ここがどこかも理解しないまま男たちに向かって

「あの~、AX-1に乗った妙子さんのことでしたら、宇曽利山湖でキャンプしていますよ」と告げると男達は私の方を見て不思議そうな顔をし、近くにある木を指し示してこう言った。

「あの木は衣領樹といって奪衣婆が死者から奪った服をかける木だ。枝のたれ具合でこの世の罪の重さを測るものだ」

その衣領樹とやらに目を向けると妙子が着ていたファクトリーベアのウェアーがかかっていた。枝は大きく垂れ下がり地面すれすれの位置だった。男の話がもし本当であれば妙子は既に死んでいて、現世での重い罪を奪衣婆に知られてしまったところだと言う。




そ…そんなバカな。再び男たちがいる場所へ目を向けると、もう彼らの姿はそこにはなく、代わりに幾つかの風車が水面に刺さって風を受けて回転していた。

「もういいのよ」

どこからともなく、妙子と思われる声が聞こえてきてハッと目が覚めテントの中で飛び起きた。2時45分… 変な夢だった。アラームをセットし忘れていたが、夢から覚めた瞬間が偶然にもちょうど良い時間だった。不思議なことにテントの中には白檀のような良い香りがまだ仄かに残っていた。

よく眠れたせいか体の中から清々しさが湧きたってくるような感覚だ。まるで夢の中でみたあの世界が極楽浄土であり、心身ともに清浄されたようだ。外はまだ真っ暗だが心は明るく、生まれ変わったような気分である。

テントの外に出ると妙子はもういなかった。テントもAX-1もない。それどころか砂地であるにも関わらず、AX-1が通ったはずの場所にタイヤ痕がないし足跡すら見当たらない…」

…早くここを出よう。

急に怖くなりテント撤収時間が僅か10分という最速タイムをマークしてR1200GSに火を入れて砂浜を出た。いちど停止しナポレオンミラーに目をやると、地面にあるはずの無かった一輪の赤い風車がそよ風にゆられてこちらを見ていた。

「…ありがとう。妙子さん、もう行くね」

東の空が明るんだ山の峰々にR1200GSのボクサーツインサウンドがひびいた。

※奪衣婆(だつえば)…三途の川のほとりにいる鬼形の姥。衣領樹(えりょうじゅ)…奪衣婆が奪った死者の衣服をかける樹木

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写真はプリントしてなんぼです!

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今日から3月ですが春のツーリングを楽しまれていますでしょうか?コロナ渦が収束するまでソロツーリング、ソロキャンプしか楽しむことができませんが、事故にはくれぐれもご注意くださいませ。やはり一人ですと何かあった時に不安ですからね。

最近、改めて感じたのですが道路を走っている車の運転が本当に危ないです。何度も書いてきましたが優先道路であるこちら側を無視して割り込むように入ってくる車、運転に集中せず散漫な人、そもそもハンドルを握ることに対する責任の意識がない人、高齢者ドライバー・・・いろんな【ヤバい車】が道路上にうじゃうじゃ存在していて街中の道はカオスですね。

少しでも事故に遭遇する確率を下げるために交通量の少ない田舎道を走る、首都高などを止む得ず通過して遠出する場合は時間帯を選んで走りましょう。それから強風の日は飛来物にも注意です。看板や発泡スチロールの箱、産廃を積載したトラックの荷台から飛んでくる物も危険です。想像力を働かせて慎重に走りましょうね。




さて今回は、せっかく撮ったツーリング写真、そのまま画像データとしてスマホやPCに保存するのではなく、ぜひプリントをしてみましょう!というお話です。

これは去年に撮った写真ですが、いちおう私の中では左の2枚はツーリング写真として去年のベストといえる作品です。右は佐渡行きのフェリーから撮ったウミネコの写真ですが、これは部屋に飾ろうかと思ってプリントしました。

プリントサイズは4つ切りワイドサイズで額は以前もご紹介しましたがDAISOのA3サイズ対応の200円のものです。

写真って不思議なものでプリントにして手に取って見るだけで全然違うのですよね。仕上がった写真を額に入れて手に取ると特別な感情がこみ上げてきます。額装しても家の中に何枚も飾るスペースはないので、結局は額に入ったまま仕舞うのですけど、それでもプリントして額装すること自体には意味があると思います。

言ってみれば写真の最終形態であり撮る時点でこうなることをイメージして撮りたい…という感じのものです。私の場合は基本的にいつも4Wサイズプリントが完成イメージになっています。




プリント自体はファインプリントを望む訳でなければネットでも大きなサイズの注文はできます。有名なし〇まうまプリントでもOKです。一つだけ注意点があるとすると夜景や夕景など意図的に暗く撮った写真などについては、自動補正が入らないよう【自動補正】のチェックを外して注文することです。




DAISOの200円の額は人気商品のようで売り切れの場合も多いようです。私の場合はお店で見つけた時は2枚ほど買っておいて、常に家に何枚か在庫をもっておくようにしています。このホワイトの他にブラックもありますよ。

現代の写真文化ってSNSやブログなどネット上で発表まで完結してしまう場合が多いですが、あえてそんな時代だからこそプリントして手に取って見るのも良いものです。画像では見えなかったものも見えてきますし、自分は作品を生み出したのだ!という実感も感じられて次への活力にもなります。

ぜひ、皆さまも良い作品が撮れたなと思ったら、その写真をプリントしてみてくださいね。

今回はこの辺で!!

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R1200GS ユーザー車検後記 千葉陸運支局バイクユーザー車検情報

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、当ブログは皆さまのお陰で順調に成長をしております。このブログはWordPressで作成した独自ドメインなのですが、Googleの解析ツールで人気の投稿やクエリ、SEO順位なども分かるようになっています。究極のツーリング写真で人気の投稿はR1200GSのメンテナンス情報や中古車の選び方から、空冷モデルの魅力、それからバイクへカメラや三脚を積載する方法などが人気投稿です。あっ最近ですと浩庵キャンプ場の混雑攻略方法なんかも人気ですね。

ツーリング写真に関わる投稿は…寂しいことにあまり人気がないのですが、ブログやインターネット上の情報は主にお役立ち情報が重宝されるものです。私が書いている写真に関わることは比較的、私の書きたい内容に偏っていて誰かの役に立つような情報ではないのかもしれませんね。最初から分かってはいたのでコレで良いのですが。

さて今回はそんなブログらしい「お役立ち情報」を少し更新してみたいと思います。つい先日、R1200GS-ADVENTUREの方が3回目の車検を迎えたので再びユーザー車検で通してきました。以前にバイクのユーザー車検の通し方は投稿したことがあるのですが、新たな情報をいくつか書き加えてみたいと思います。

千葉陸運支局

バイクのユーザー車検の通し方は書類申請から当日のラインの通し方まで、以前に記事にしたので詳細は コチラ をご参照ください。

今回は…整備記録簿を作ってみたよ、という事とスリップオンサイレンサーが車検対応ではなかったので不合格になりました!というお話でございます。




「アトケン作戦」だとこのように点検整備記録簿記載なしと書かれてしまう

以前のユーザー車検の通し方の解説では本来は用意するはずの「点検整備記録簿」は別に無くても大丈夫ですよ…別名「アトケン作戦」でOKですと書きました。点検整備記録簿は整備の内容を記録簿に記載し「車検の前にきちんと整備を行いましたよ」という証明となる書類ですね。

これはバイク屋さんに法令点検や車検をお願いした場合に作成してくれる記録簿なので個人でユーザー車検を通す場合は用意することができません・・・と思っていたのですが、ネット上でバイク用の点検整備記録簿のフォーマットはダウンロードできることを知りました。

これです。【点検整備記録簿 二輪自動車 定期点検基準の別表第七】 という書類です。ここには貼りませんが「二輪自動車 定期点検基準別表第七 ダウンロード」で検索すれば、PDFをダウンロード、プリントできるサイトが存在します。

この点検整備記録簿さえ入手してしまえば個人でも点検整備記録簿をユーザー車検の際に提出できるのですね。記録簿の各項目にそってチェックマークや交換マークなどを書いていけばOKです。ただ1つ、注意点はブレーキの分解清掃などは国家資格である整備士でしか触れることのできない項目なので、ここは斜線をひいておきましょう。

それと各項目はご自身のバイクに当てはまらないものはチェックせずに斜線にしておきます。R1200GSのようなシャフトドライブなのにチェーン及びスプロケットの項にチェックしたり、空冷エンジンなのに冷却水の項にチェックしたり、スクーターなのにクラッチの項にチェックしたりしないように・・・

個人でも良いので点検整備記録簿をちゃんと提出すれば、ご覧のように車検証の備考欄に「点検整備記録簿記載あり」と入ります。こちらの方がずっと気持ちいいですよね。




さて、今回のもう1つのトピックは午前の1ラウンドで意気揚々と検査ラインに入ったところ、ライン直前の検査官のチェックでマフラーが不適合とされてしまった件です。

ラインに入る前に列に並んでいる時点で検査官が書類の確認、車体番号確認、灯火類の確認、ホーンやミラーなどの保安部品の確認、不正改造やオイル漏れなどの不良がないか?といった確認を行います。私のR1200GS-ADVENTUREは前回も前々回もLASERのHOTCAM2スリップオンサイレンサーを装着して、問題なく合格したのですが、なぜか今回の検査官のかたはしっかりマフラーにご執着されておられ「正しくは不適合となりますので今回は駄目ですね」ということでした。

一回目、不適合だったのですが総合判定所の人が間違えて適合に押印したみたい・・・

マフラーは純正マフラーでも社外マフラーであっても車検対応であることを証明する加速騒音規制適用車に必要なeマークの打刻等があるはずなのですが、それが確認できなければ不適合となる訳です。後日、LASERのHOTCAM2スリップオンが車検対応品であるのか否かを確認してみましたが、なんと公式ではeマークを取得した車検対応品ということでした。しかし肝心のモノにどこにもeマークがないのが事実でこれでは不適合でも仕方ないですね。

一応、不適合を受けた時点でも検査ラインに通すことは可能らしいので、受けるだけ受けてみましたが光軸も含めて全て合格でした。

で、仕方ないので陸運局からいちど家に帰って物置の奥からノーマルサイレンサーを引っ張り出して元に戻しました。作業自体は簡単で10分で終了です。




このノーマルのサイレンサー、新車時の慣らしで1000キロほど使用しただけなので綺麗です。R1200GSは後期型の純正マフラーは中期型よりも音量が大きく、それが気に入らなくて「どうせうるさいなら…」と思い社外マフラーに交換したのですが、消音ウールが劣化してしまったLASERよりは、当然ですがこちらのほうがはるかに静かでした。

作業を終える頃には11時をまわってしまい、陸運局へ直行するとお昼休み時間になってしまうので、昼食を済ませてから3ラウンドの隙間にお邪魔してきました。朝のラウンドでマフラーだけ不適合で他はOKでしたと伝えると、ラインにも入らずマフラーの確認だけして終了。

ということで無事に車検も合格し、当分はこのノーマルサイレンサーでいきたいと思います。少し重くなってしまいましたが次回の車検もこれで安心ですしね。不合格と聞いた瞬間に軽くショックでしたが、簡単な作業でしたし良い勉強になりました。それにしてもユーザー車検ってほんとうに検査官によって違うのですね。このマフラーを不適合にした検査官、ハンドルも疑っていて「本当に純正のハンドルがこんなに幅広なのか?」と何度も幅を測っていました。もちろん、こちらは純正のままなので問題はありませんでしたが。

今回はこの辺で!!

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R1200GSとR1200GSアドベンチャー、買うならどっちだ?

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、2月もあと一週間で終わりですが春のツーリングの準備は万端でしょうか?コロナ渦のツーリングとして通常とは違う楽しみ方になるかと思いますが、感染対策を万全にして春のツーリングを楽しみましょう。

私、今年は愛車であるルノーカングー、2台のバイク2008’R1200GSと2013’R1200GS-ADVENTUREの3台がみな車検を迎えます。ぜんぶ店にお任せしたら大変な出費になるので整備と継続検査は自分で行うユーザー車検で通します。幸い陸運支局が自宅から15分程度のところなので助かります。もうカングーの方は済ませたのですが自賠責保険や重量税など必要経費だけで4.5万円くらいで済みました。

よくバイクの中古車を検討するときに「車検が高いので250㏄にするよ」と言う方がおられますが、ユーザー車検に慣れてしまえば車検自体はそれほど高いものではありません。R1200GSで2万円あればおつりがきます。しかもその内訳は半分以上が自賠責保険です。250㏄でも自賠責保険は入らないといけませんしね。車検の継続更新という部分だけに注目すれば大型バイクであれば5500円程度ということになります。

さて今回は久しぶりにBMW R1200GS/R1200GS-ADVENTUREに関わることを書いてみたいと思います。私の愛車である空冷モデル(空油冷)のR1200GSは前期型の登場が2004年、水冷ヘッドの現行モデルが出たのが2013年だったので結構古いモデルとなりました。そのせいか最近はツーリングしていても見かけるのは現行R1200GS(R1250GS)か他社のアドベンチャーバイクが多いように感じます。

アドベンチャーカテゴリの中でもR1200GSは現在でも人気のモデルではありますが、空冷R1200GSは登場した当初は他社のライバルも少なくてたくさん売れたBMWのベストセラーモデルです。

よって市場にタマ数が豊富であり中古車の市場価格も非常に魅力的な相場となりました。加えて国産車にくらべて非常にタフな車体ですので少々の過走行車でも問題はないのですから、更にお買い得な車両が多いように見受けます。今回はそんな空冷モデルのR1200GSをこれから中古で買おうかな?と検討されている方向けに、スタンダードなR1200GSと派生モデルであるR1200GS-ADVENTUREの違いについて書いてみたいと思います。

なかなか私のようにR1200GSとR1200GS-ADVENTUREの両方を所有しているユーザーは少ないので、そういった意味で希少なインプレッションだと思いますよ(たぶん)。

2008’ 中期型SOHCヘッドのR1200GS ハイライン

そもそもR1200GSとは従来まであったビッグオフローダーと違い、純粋にオフロード走行のパフォーマンスを追求したバイクではなくスポーツツアラーの仲間です。海外に行くとサバンナとか荒野とか日本にはない広大なオフロードステージがありますが、そういった場所であればオフローダーとしてのパフォーマンスも発揮できると思います。しかし日本のオフロードは主に林道で狭いものです。

日本で使う場合において「道を選ばぬスポーツツアラー」としての魅力がぎっしり詰まったのがR1200GSのスタンダードモデルです。重心が低く水平対向運動による安定とシャフト回転のジャイロ効果で地面に張り付くような安定、テレレバー&パラレバーサスペンションによる、よく動く足周りと安定。これらはBMWのRシリーズに共通した項目ですが、R1200GSの場合はオフロード向けのポジションにオンロード走行にも優れた車体が組み合わさることで、走る楽しさ、操る楽しさが体感できます。

見た目からは想像できないほど軽く、ライダーを疲労させない快適性、そして熟練の技術を必要とせずよく曲がるコーナリング。少しペースを上げて走るだけで人車一体の軽快な走りをツーリング先で楽しめるのです。

長距離ツーリングをスポーツ感覚で楽しめる道を選ばぬスポーツツアラー、それがR1200GSですね。

ただしデメリットも無い訳ではなく、大柄な車体は日本人男性の平均的な体格であれば何とか問題はありませんが、それより小柄な方ですと制限が出てきます。熟練の技術を必要とせずよく曲がるコーナリング…と先ほど書きましたが、ライテクに精通したサーキット派には退屈なバイクに感じるかもしれません。乗りやすいのは間違いありませんが大型バイク初心者の方がイキナリ選ぶバイクではないと思います。




2013’(2014年登録)DOHCヘッドの後期型 R1200GS-ADVENTURE プレミアムライン

一方、R1200GS-ADVENTUREの方はどうでしょうか?R1200GS-ADVENTUREは先代のR1150GS-ADVENTUREが「ADVENTURE」と名の付くファーストモデルだったのですが、基本は派生モデルであることは1150も現行の1250も同様です。

エンジンやフレームをはじめ多くの部分で同じバイクではあるのですが、3世代にわたって存在し続けている【巨漢バイクADVENTURE】とは日本でツーリングで使う場合にどのような利点があるのでしょうか。

まず簡単にR1200GSとR1200GS-ADVENTUREの違いを挙げていくと、1.R1200GSが20Lの燃料タンクに対してADVENTUREは33L 2.サスペンショントラベル(ストロークとプリロード)が長くオフロード走行向き 3.2の理由により車高が高い 4.大型スクリーンと左右に張り出したタンクの影響で防風効果が高い 5.パイプ製のバンパー類やシリンダーヘッドカバー等にガードが装着されている 6.標準ホイールがスポークホイールでブラック塗装などです。パニアケース、トップケースといったシステムケースはR1200GSが容量可変式の樹脂製でADVENTUREの方はアルミ製の大型のものですが、実はこの両者はアタッチメントさえ用意すればどちらにも装着可能です。実際、中古車を見ているとGSにGS-Aのケースを装着している車両やその逆も見かけます。

R1200GS-ADVENTUREはなんといっても33Lのビッグタンクが最大の特徴です。このタンクがもたらす約600㎞無給油で走るロングディスタンスはツーリングの強い味方です。ガス欠の心配や給油タイミングの予定などが旅の工程から少なくなることがやたら有難く感じるものです。

オフロード向けの足回りは林道走行時にESA(オプションの電子サスペンション)と合わせて使用することで素晴らしい走りを見せてくれます。ただしある程度のスピードが出ないと良さが出ないので、狭い日本の林道で慎重に難セクションを通過するときなど、逆に巨体が足かせになってしまうことも。ADVENTUREをオフロードで振りますには相応しいオフロードステージとオフ走行の高いスキルが要求されます。

注目したいのはオフロード向けのサスペンションシステムの副産物ともいえる乗り心地です。長いプリロードの影響か舗装路のギャップ通過も良好で非常に快適なクルージングができます。R1200GSよりもR1200GS-ADVENTUREのほうがゆったりとして乗り心地が良いです。

GSとGS-Aを近くに並べるとこんな感じです。圧倒的にGS-Aの方が大きく感じますね。

問題はこの車格の違いですね。とても同じバイクとは思えない程にADVENTUREの方が圧倒的に大きいバイクに感じます。足つきはR1200GSは身長170cmあれば十分に扱えますが、ADVENTUREの方は180cmはないと厳しいものがあります。

R1200GSにはシートのマウントに2段階の高さ調整があるのですが、どうやら設計思想上では高い方がデフォルトのようです。ハンドルとステップ位置、そして車体ジオメトリーとのバランスを考えるとハイが良好でローの方はバランスが崩れてコーナリングもイマイチになります。純正シート(日本仕様はミディアムが標準でオプションでハイシートがある)、シートをハイの位置でマウント、ESAを標準とした場合で身長180cm、体重85㎏で乗車すると両足のつま先、指の第一関節くらいがかろうじて地面に設置する感じです。この巨体をバレリーナのような足つきで支えるのですから…なかなか手ごわいです。

社外品のローシートやローダウンサスペンションなどで足つきの問題を解決させている人が多いようですが、これをやってしまうと前述の車体側とのジオメトリーのバランスがさらに崩れてしまい、本来の走りが相当にスポイルされます。特にハンドルが遠いからと体の方へ近づけるハンドルライザーは、人車一体とは逆の方向へカスタマイズすることになります。そのような無理をしてまでADVENTUREを選ぶならR1200GSの方がずっと賢明な選択だと思います。




ただ、慣れとは恐ろしいもので自分のバイクとなって半年も乗り回せば、当初に威圧感を感じていた巨体は普通になって、むしろ包み込まれているような安心感すら覚えます。この巨体だからこそ醸し出す雰囲気に「過酷な旅でも乗り越えるぞ」という勇気さえもらえるのです。実にADVENTUREは頼もしいバイクなのです。

R1200GSとR1200GS-ADVENTURE、買うならどっちだ?と聞かれれば次のようになります。

・R1200GS : ワインディングやトリッキーな舗装林道、こういった道でコーナーや走りを楽しみたい人は軽快な運動性能をみせるR1200GS。キャストホイールの車両を選べば軽快な動きにさらにダイレクト感が楽しめる。オフロードもフラットダートであれば十分に楽しい。取り回しは軽く慣れてしまえば問題ない。デザインもどの角度から見てもスッキリしている。

・R1200GS-ADVENTURE : コーナーなど舗装路の走りは通常のツアラーに比べれば軽快だがR1200GSには一歩譲る。33Lタンクの長いディスタンスで北海道などのロングツーリングを楽しめる。乗り味は懐が深い。ダートでの走りを楽しみ自然深いところへツーリングしたいなら絶対にADVENTURE。取り回しについては一定の体格を要求されるもので、ガソリン満タン時は特に重くなる。




ここ最近になって空冷モデルのR1200GSはさらにこなれた価格帯になってきたようですね。タマ数が多いのは選ぶときに良いですし、購入後も中古パーツが豊富なのが有難いです。

BMWやハーレーは新車購入できるくらいの経済力の人は仕事も忙しい人が多いので、あまりバイクに乗る時間がなく、低走行距離で状態の良いものも多いと思います。車もバイクも同じですが中古車というのは価格相応なものです。高いものは程度が良いですし、安いものは何か理由があります。お店の人だけでなく出来れば専門の知識がある第三者に見てもらえると安心ですね。

R1200GSの場合、アンダーガードのキズや装着されているタイヤの銘柄などで舗装路オンリーであったか、オフロードもガンガンであったか?が判別できます。クラッチやブレーキディスクの摩耗など、購入後に交換となった場合に高額となってしまう部分もチェックしましょう。

空冷モデル R1200GSとR1200GS-ADVENTURE、中古車でいま買うならどちらにするべきか?でした!!

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トップケースにカメラを積んで壊れないのか?

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、ここ最近になって少し日も伸びて、近所では梅の花なども見かけるようになりましたね。まだ寒い日はありますが少しずつ春の足音が聞こえてきました。

同時に春になると花粉症の人にはつらい季節ですね。私は重度ではありませんが毎年3月になると症状が出ます。今年は新型コロナウイルスの問題もあるので、花粉症の人はむやみに目や鼻に触れてはいけないと聞きましたが、痒いのに触れないという二重苦ですね。

さて今回は当サイトへクエリ(検索からの問い合わせ)の多いバイクへのカメラの積み方について書いてみたいと思います。カメラを持ってバイクで出かける…。精密機器である【カメラ】にとって過酷な移動手段であるバイク。何も気を遣わず持ち歩いたら壊してしまいそうですよね。

きっと多くの方が「どうやってカメラを持って行こうか」と悩まれていると思います。私の場合は主にトップケースに積載なのですが、よく「トップケースにカメラを入れて壊れない?」と聞かれます。結論を言ってしまえば壊れたことはありません。しかしいくつかの注意点があるので、今回はそれを書いてみたいと思います。




使用しているトップケースはヘプコ&ベッカーのALU EXCLUSIVE 30 で本体があのRIMOWAで出来たアルミ製ケースです。

内部にはカメラ用品として売られているスポンジ製のインナーボックスを組み合わせて置いています。これで仕切りを構成しカメラボディ、標準レンズ、望遠ズームレンズ、ミニ三脚や予備バッテリーなどの小物を収納しています。

トップケースを使用するメリットは中身の取り出しが容易、大雨でも安心の防水性、衝撃に強く強固であること、施錠できることです。

バックパックやスリングバッグなど、身に付けるカメラバッグはコンデジ一つ程度ならOKですが、一眼レフに交換レンズを複数となると重さで疲れてしまい、ライディングの妨げにもなります。雨天時の防水や万一の転倒時のダメージも心配です。

このヘプコ&ベッカー ALU EXCLUSIVE 30は何が良いか?というととにかくRIMOWAのアルミケースは軽量で頑丈、見た目もカッコイイ…と、とにかくRIMOWA製であることに尽きます。逆に言うとヘプコの仕事してマウントへのアタッチメントや金具類などについては、特に褒めるべきポイントは無いように思います。

ALU EXCLUSIVE の場合はケースの内装が黒い発泡スチロール製なので、これが衝撃吸収だけでなく結露も防いでくれます。

トップケースのデメリットとして装着しているとカッコ悪いので嫌だ…という方も多いと思います。R1200GSのようなアドベンチャー系バイクでしたら、装着していてもさほど違和感ありませんが、スポーツ系やクラシック系のバイクだと気になりますよね。ヘプコのケースの場合はキー1つで簡単に着脱できるので、私は写真を撮るときは外してしまう場合も多いです。

そして気になる振動や衝撃ですがトップケースは車体の振動源となるエンジン(主にクランクシャフト周辺)、路面からの凸凹(サスペンション部)といった場所から離れています。振動は振動源から離れると振幅が増幅されるので好条件とは言えません。

その昔、バイク用ミラーの設計をしていたころに振動試験をよくやったものです。ミラーは振動源から離れているので振幅が大きく、それが鏡面のブレとなって後方視界を悪くさせます。振動の周波数や振幅は車種によって大きく異なるため、汎用ミラーを作るというのは難しいものでした。




先日、千葉のとある道の駅でとっても美味しそうな苺、紅ほっぺが売っていました。ちょっと高かったのですが、あまりに美味しそうなので誘惑に負けて買ってしまいました。しかし…これトップケースに入れて帰っても大丈夫なのだろうか?と買ってから思ったのですが…もう後の祭りです。とりあえず少しくらい大丈夫だろう…と思いトップケースに収納して1時間半ほどの走行で帰路につきました。

どころが家に買ってトップケースを開けてみると高級イチゴは無残な姿に…。振動によって容器の中で暴れていたようで、イチゴジャムになりかけていました。悲しかったですが味には影響ありませんでした。美味しかったです。

このようにバイクのトップケースには高周波の振動とランダムな衝撃波が二重に伝わる事で過酷な振動環境だと分かります。加えてマフラーからの排気音が爆音の場合はトップケース内に音が反響しスピーカーで言うエンクロージャーと同じ状態で音による振動も発生するものです。

以前の仕事でよく関わったのですが自動車、オートバイにおけるJIS規格の振動試験にはSOR(sign on random)試験といってエンジンなどの正弦波の振動に路面ギャップ通過などのランダム波を加えたダブル振動をかけるというのがありました。

エンジンからの振動である正弦波は回転数や負荷状況によって周波数が変化するもので、特定の条件が揃う事で締結されていたネジやボルトを緩めたり、樹脂部品や薄いアルミプレス部品などに亀裂を発生させたりします。一方、路面ギャップを通過したときのような瞬間的なインパクトであるランダム波は積載している荷物がズレる、物を破損させるといった特性があります。

カメラ、レンズに多く使われている小さなネジは高周波振動で緩みやすい

トップケースにカメラ、レンズを収納する場合、まずは正弦波振動による対策をします。特に4気筒のオートバイや高速道路の長時間走行が多い場合など、高周波な振動が持続して発生する場合、レンズキャップ、ボディキャップ、レンズフードなどをしっかり締めておくこと。締めが甘いと振動で徐々に緩み、カタカタと共振しはじめ、ヤスリをかけたように粉をふきはじめます。

ランダム波の衝撃については前述のカメラ用品のスポンジ製のボックスである程度は吸収してくれます。なるべく厚みがあって柔らかい物を選びましょう。

それと収納時に固い物同士が触れ合うことがないように、しっかり区別して収納することも大切です。例えばミニ三脚の雲台がレンズに触れた状態で走行すると、高周波な振動により両者を削り合います。そうならないために100円ショップで売っているようなミニポーチに小物を入れるのも良い対策となります。




このようにアドベンチャーの方にキャンプ道具フル積載のときも、トップケースの中身は撮影機材専用となっています。

話は本題から少々脱線しますが大きなトップケースを装着し、そこに多くの荷物を詰め込むと重さでウォブル現象が発生する場合があります。ウォブル現象とは直進しているのにハンドルが左右にブルブル振れてしまう現象です。設計の古いバイクで過度なスピードを出したり、同じく古いバイクでタイヤが偏摩耗していたりすると発生します。R1200GSは大きな車格で積載キャパシティが大きいので大きなトップケースに荷物を詰め込んでもウォブルは発生しませんが、たとえば流行の250ccクラスのアドベンチャー系バイクに、大きなトップケースを装着して重い荷物を詰め込めばウォブル現象は出ると思います。

上の写真を見てこんな大きなバイクならもう少し大きいトップケースの方が良いのでは?と感じた方もおられるかもしれませんが、前述の理由で私の場合はトップケースは小さめのサイズをあえて選んでおります。積載は走りをスポイルしないよう最大限に配慮したいのです。

先ほどトップケースにカメラを積んでツーリングして壊れたことなどない…と書きましたが、私の場合は愛用してきたカメラが歴代キャノンEOSシリーズであります。光学ファインダー搭載の一眼レフカメラに限って振動に強いというのもあるかもしれません。これがもしコンデジやミラーレス機だったら話は別かもしれません。とにかく私の中では光学ファインダー搭載の普通のデジイチはバイクに積んでも壊れない、という印象です。なかなかミラーレス機に買い替える気になれないのはこの辺も理由のひとつであります。

蛇足ですが先ほどマフラーが爆音の場合はトップケース内がエンクロージャーになる…と書きましたがメーカー時代にこんな出来事がありました。タンデムライダーと会話できるヘルメットインカムを製品化していたのですが、タンデムライダーからの声が雑音が酷いというクレームがありました。エンジンを停止して試すと問題がないとのことだったので当初はバイクのジェネレーターかハイテンションコードの劣化による電気的ノイズか?と疑いましたが、原因を突き詰めていくとマフラーからの爆音がタンデムライダーのヘルメット内で反響しマイクに伝わっていると判明しました。そう説明してもお金を払ったお客さんの気持ちは収まらず「じゃあどうしたらいいんじゃい!」と怒るいっぽう。私は内心「ノーマルマフラーに戻せば?…彼女もうるさくて気の毒だし」とつぶやいていました。

バイクのトップケースにカメラを積んで壊れないのか?…でした。

今回はこの辺で!!

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アホな青春バイクコラム【空中遊泳ライディング】

1991年2月

高校生だった私は90年式VFR400R(NC30)を愛車に峠を走るバリバリの走り屋だった。そう…バリバリで、ある。NC30はエトスのレース管、HRCのCPU(点火系統変更とリミッター解除)、BEETのエアロシャークフェンダー、コワースのバックステップ、タイヤは横浜のゲッター003、下品な耐久カウルなどは装着せずパッと見はノーマル然とした玄人スタイルだ。

地元の仲間でチームを作りお揃いのトレーナーを革ツナギの上に着て峠を走る。私は学校では真面目を装っていたので、夜の埠頭走りはせず昼間の峠専門。走り屋の中でも不良系ではなく見た目は普通の高校生だったと思う。

その日、同じ高校に通う同級生のSと行きつけの峠の近くのコンビニでたむろしていた。週末の峠は100台近いバイクが集結し、事故や近所迷惑が問題となって定期的にパトカーが巡回にくるのだ。パトカーがやってきたときは決まってこのコンビニに避難し仲間たちとダベりながら時間を潰した。その日もおばちゃん婦人警官2人が乗ったミニパトがやってきてマイクで怒られた。

「ここへ来ているライダーのみなさん、騒音が迷惑です。ただちに家に帰りなさい。高校生は学校へ通報します。」

S「あの婦警のオバちゃん、母ちゃんに似ていて気持ち悪い」

ここ最近になってよく見かけるミニパトの婦警2人。確かに運転していた婦警さんは糸のように細い目と毛虫のような眉毛がSにそっくりだった。しかし笑っては友人であるSに悪いと思ってこらえた。




Sは数か月前に高校を中退してしまい、来年度の春から北海道の余市にある少々変わった高校に入るのだとか。性格が悪すぎて学校の不良グループから酷いいじめを受けて不登校になってしまったのだ。余市の高校は中退した学年から始めることができる全国で唯一の高校なのだとか。北海道へ行く4月まではバイク便のアルバイトをしながら悠々自適にプータローを満喫するのだと。

Sは古いボロボロのRG250ガンマから89年式のNSR250R-SPに乗り換えていたが、こちらも走り屋にいじり倒された酷いポンコツだった。せっかくのマグネシウムホイールが缶スプレーで蛍光ピンクに塗装され、ところどころ剥がれて目も当てられない。エイのような耐久カウルはヒビだらけで番線で縫われている。タンクについてはよそのチームのステッカーがびっしりと貼ってありロスマンズカラーの面影もない。

Sはとにかく転倒や事故、トラブルの絶えない破天荒なヤツで地元の警察からも目を付けられていた。Sの無茶苦茶ぶりは主に自分でイジった改造に由来するものが多かった。

走行中にスプロケットが緩んで外れたチェーンがアームに挟まり、タイヤがロックしたまま湾岸道路の交差点に突っ込んだり、走行中にブレーキキャリパーが外れてコーナーを曲がり切れず川に落ちたりとブレーキ系の整備不良が多かった。一方でキャブレターのセッティングとか、自分で腰上をオーバーホールしたエンジンとか、気味が悪いほど高回転までよく回る極上エンジンに仕上がったものだ。エンジンは絶好調だがブレーキは壊れるという地獄への片道切符のようなバイクがSのバイクなのだ。

「そういえば茂原のチームのY君、S山で転倒して腕を骨折だってな」

S「おうよ。」

「1年のTも免許とって早々に事故って左脚を骨折、後方排気(TZR250)も廃車だって」

S「おうよ」

「みんな骨折が多いな」

S「みんな鍛え方がたんねーんだ。それに事故り方が下手だ」

「事故り方に上手いも下手もあんのか?」

S「おうよ。俺なんかな、バイク便の経験が長いだろ?都内なんて行くとタクシーとしょっちゅう接触事故だからよ、事故り方もダメージが少ないように上手いことやんだな」

「へ~すげーな」

Sの糸のように細い目が光った。

S「あ~これは当たるってなったとき、タクシーのどの部分を狙って突っ込むか最後の瞬間までコントロールすんだ。そんで体が空中に投げ出されたら、姿勢を整えて着地点を探す、例えば植え込みとか土の地面とかな。あと道路を滑走している時は反対車線に出ないようスキーみたいに進路を調整するんだ」

「まじかよ」

S「空中を飛んでいる時や道路を滑走しているときに、瞬時にこの先どうしたらダメージを最小限にできるか考えるんだ、後は本能で勝手に体が正しい方向にいく」

「そうえばオマエ、何度も事故っているけど骨折とかしないよね」

S「おうよ、俺は骨折なんてしたことねえ。これからもそんなマヌケなミスはしねぇ」

Sはいつでも上から目線で自信満々の男だった。だから嫌われていじめを受ける羽目になったのだが…。しかしその自信は説得力のあるものが多く、暴走族に追い回されて逃げる時にうまいこと誘導したり、骨折した仲間に当て木などして的確な応急処置をしたり、強く頼もしい一面も持っていた。

S「俺、夕方からバイトだからもう帰るわ」

手に持っていた鉄骨飲料を飲み干して細い目が言った。

「おう、そしたらここ、中央分離帯で右折できないから先の交差点でUターンしたら豪快にウイリー決めていってくれや」

S「おうよ、みせたら俺のウイリー」

「4速までつなげよ」




Sは峠ではパッとしない速さで私のNC30に追従することも出来なかったがウイリーの技術は素晴らしいものがあった。ほぼ垂直の角度を安定してキープし確実に加速していくのだ。どうやったらあんな角度であの加速ができるのか?といつも感心していた。

Sは汚いプリカーナのツナギのファスナーを首元まで上げ、同じく汚いAraiラパイドを被って颯爽とエンジンをかけ、NSR250R-SPボロのまきちらすイチゴの香りの白煙(※)の中にその雄姿を霧散した。

ほどなくして先の交差点でUターンしてきたSが吹け上りの良いレーシングマシーンのようなエンジン音をSSフクシマのチャンバーから響かせて近づいてきた。それはまさに【主役の登場】を意味するSの咆哮に他ならなかった。私たちの視界に入るころにはとっくに垂直ウイリー状態になっていて既に3速ギアに入ったところだった。

「すげ~、かっこいいな」コンビニにいた走り屋達、他の客、店員までもがSのウイリーに視線を釘付けにした。

私の目の前を通過する刹那、ラパイドのシールド越しにSの糸のように細い目、毛虫のような眉毛が「どうだおまえら!」と誇らしげに光った。

その直後…「ウォン!!!」というエンジン音と共に均衡を保っていた何かの支えが破綻したようにNSRは左右にふら付きはじめ、垂直ウイリーの車体は無重力空間で月面着陸を試みるような謎の乗り物と化した。

「うわ、あぶな」

バランスを崩したNSRは中央分離帯の緑地に積んであった工事用資材の山に突っ込み、Sの体は空中に投げ出され美しい放物線を描き始めた。

あ…空中でコントロール…??私がそう思った矢先、Sが目指したランディングポイントは誰も予想しないエリア51だった。




ミ…ミニパト?!

先ほど峠に来たSのお母ちゃん似の婦警のミニパトがちょうど反対車線からやってくるところだった。そのフロントウインドウにSは背中から突っ込みガラスは粉々に砕け散った。衝撃か回避か進路を逸れたミニパトはそのまま縁石を乗り越え、コンビニの隣にあった小児科の駐車場に突っ込んで止った。

あわてて私と仲間達はSの居ると思われるクラッシュしたミニパトへ駆け寄る。騒ぎを聞いたコンビニの店員や他の客もやってきた。車体の下からクーラントが流れ出ている。車内をのぞくとSはミニパトの運転席と助手席を橋渡しにするような恰好で車内で横たわっていた。その様子は運転席にいたお母ちゃんに寝かしつけてもらっている子供のようにも見えた。

「まあ、たいへん…大丈夫あなた」ガラスの破片まみれの婦警が慌てて言った。

糸のように細い目、毛虫のような眉毛の・・・の太ももを汚いラパイドが膝枕に。その内部に同様に糸のような細い目、毛虫のような・・・ Sである。反社会的なローリング族と社会秩序を取り締まる警察の相反する両者が、母子の愛で和解したような不思議な空間だった。

「ぷっ…ダメだ」

私は親友の不幸が蜜の味を通り越し、袋に火が付いたように笑いがこみ上げてきた。笑っては駄目だ!と思うほどにおかしく感じた。しかしSに見られたらブチ切れされると思い必死にこらえた。

車外に出されて手当されるSは右足の膝下がどうも様子がおかしい。通常、人間の足は膝の関節は後方にしか曲がらない構造だ。しかし今のSの右足は小学生の時に説明書を読まずに組み立てたガンダムのプラモのように前に向かって曲がるのだ。

婦警「まあ、大変だわ、これは骨折よ。救急車はいま無線で呼んだからね」

「ぷっ、お母さん、これは明らかに変な足ですけど骨折ではありませんよ」

婦警「私、この人のお母さんじゃありませんよ!」

「あっすいません。でもコイツ、つい数分前まで絶対に骨折しないって言ってましたよ」

数分前までの自信に満ちたSの顔は蒼白で、Sのことを良く知る走り屋連中は「ざまあみろ」といわんばかりにニヤけていた。中でも酷いのはその中の一人はコンビニに戻ってわざわざ【写ルンです】を買ってきて前方に曲がったSの足と一緒に記念撮影まではじめた。

婦警「あなたたち、やめなさい、友達が大怪我しているのに」

「お母さん、大丈夫ですよこれくらい、いままでガソリンあびて火だるまになったり、脳にドライバーが刺さったりしましたが死にませんでしたから」

S「母ちゃんじゃねえっつの!!」こんどはSが叫んだ。

その直後、駐車場の主である小児科の医院長らしき高齢紳士がやってきた。

「大丈夫ですか!あぁ、これはひどい事故だ、救急車が来るまで当院の中へどうぞ、さあお母さんもご一緒にどうぞ」

S「母ちゃんじゃねえっつの!!!!」

やがて遠くから救急車のサイレン音が聞こえてきた。

…END

※2ストロークエンジン用オイルは当時、イチゴやらココナッツやらの香りのするものが発売されていました。

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<永久保存版>バイク写真とレンズ選び☆レンズの選び方

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、ご自身の好きなことに向き合いライフスタイルを充実させていますか?何かと忙しい現代人、コロナ渦で余裕もない…というのが現状かもしれませんが、好きなことを楽しむのに必ずしもお金や時間が必要とは限りません。私は独身時代に比べれば自由に使えるお金や時間がぐっと減ってしまいましたが、今の方がライフスタイルは充実していると感じます。

仕事に家庭にと忙しいから自分の好きなことは諦める…これってもう時代遅れのような気がします。いまの限られた時間やお金を有効に使うにはどうしたら良いか?を考えてみましょう。

さて今回は久しぶりにカメラ、レンズのお話を書いてみたいと思います。カメラ、レンズと聞くと高い、お金がかかる、と感じますよね。いい写真は撮りたいけど最新のカメラや高級なレンズは買えない…そんな人も多いはずです。こんなご時世なのでなるべく出費は避けたいものですね。

実はツーリング写真を充実させるのに最適なカメラやレンズは何か?と聞かれると、その人の好き好きなので一概にコレがお勧めなんて言えないものです。メーカーからもバイクツーリング用のカメラやレンズが製品化されている訳ではありません。各メーカーから発売されている数々のモデルから自分の使い方や好みに合ったカメラを選ぶしかないのです。ただそれではあまりに薄情なので今回はビギナーの方でも自分に合ったレンズ選びができるようヒントのようなものを書いてみたいと思います。

・広角か?望遠か?

広角レンズ(ワイドレンズ)

EOS6D mark2 + EF14mmF2.8L

広角レンズは目の前の風景をワイドに、そして遠近感を出すレンズですよね。主に風景写真で使われるレンズですが、ツーリング写真の基本構造は風景写真なので風景が主体となるツーリング写真に活躍するレンズです。私の場合は多くの作品で広角レンズを使っています。

大まかに言ってしまえば景色の雄大さ、広がり感を表現したいときに使う事が多く、画面内でバイクやライダーは小さく構成することが多いです。特に空一面に広がるウロコ雲や夏の入道雲、星空の写真など空が主役になる場合に広角レンズは重宝します。

上の作品のように特定の主題、この場合は「道」ですが主題にぐっと寄って撮る場合と、逆に引いてスペースを作る場合の2者があります。被写体にしっかり寄っても背景となる範囲がワイドになるので、場所に対して存在している意味を表現するのに適しています。ただこれはあくまで目安であって使い方は他にもたくさんあります。広角レンズをどう使うかは使う人次第です。

注意したいデメリットはバイクや建物といった人工物を大きく撮ってしまうと、レンズの歪みによって不自然な変形が発生すること、順光で撮る場合は自分の影が写ってしまうこと、電線や看板など写したくない余計なものが画面内に入りやすくなること、などです。上の作品に使ったような14mmなどの超広角レンズは扱いに難しい側面もあり、あまりビギナーにお勧めできるものではありません。最初は28mmくらいが良いでしょう。

望遠レンズ

望遠レンズは遠くのものを大きく写すレンズということは誰でもご存じだと思います。もう少し付け加えると写せる範囲を狭めること、カメラから遠景方向に向かって空間を圧縮すること、被写界深度が浅くなって近景や背景はボケやすい傾向になること、といった特徴があります。

こちらも何を撮るかは「あなた次第」でこれという正解はありません。例えば私の場合は上の作品のように遠くまで続く直線路に「隆起している」という特徴を見出して、それを表現する手段として望遠レンズの圧縮効果を使いました。一般的な使い方としてはバイク、ライダーを主題とし背景をボカすようなポートレート的な撮り方があると思います。その場合、85から135mmあたりがお勧めです。

気を付けたいデメリットはバイク写真、ツーリング写真で使う場合、バイクと背景の組み合わせでは後ろに下がれる撮影スペースが必要になってくること、望遠の画角ほど手ブレしやすいので三脚があった方が良いこと、重く大きいので気軽にはバイクツーリングでは使えないこと、などが挙げられます。

…レンズは重いし三脚も必要だしで持って行くこと自体がハードルが高いですね。そう考えると最初は135mm程度までの中望遠レンズが良さそうですね。




この広角レンズと望遠レンズで撮った2つの作品は、どちらも北海道の人気ツーリングスポット オロロンラインで撮ったものです。撮影ポイントこそ少し違いますが、どちらも直線路を主題に撮ったものです。同じ道の写真なのに魅せたい意図に合わせてレンズの画角をチョイスすることで、まったく違った表現になるのがお分かり頂けると思います。

自分はツーリングに行った時に「どんな写真を撮りたいのか?」を最初に決めておくと、広角よりか望遠よりのどちらかを決めやすいです。それもよく分からないという写真ビギナーの方には標準から中望遠くらいがお勧めです。

・ズームレンズか単焦点レンズか?

ズームレンズとは画角を広角よりにしたり望遠よりにしたり調整できる機能を持ったレンズのことですが、現代の多くのカメラは当たり前のようにこのズームレンズが搭載されています。ここで気を付けたいのは「調整できる」のはサブ的なメリットに過ぎず本当のメリットとは複数の画角を1本のレンズで済ますことが出来る身軽さにあります。

特に我々バイク乗りはツーリングの時に何本ものレンズを持って出かけるのは困難です。積める積めないの問題の他に、万一の衝撃による破損や盗難などに遭った場合の損害を考えるとレンズは持って行っても2本くらいが妥当でしょうか。

しかし単焦点レンズにこだわってしまうと旅先で出会った想定外の奇跡の風景に「今日、あのレンズを持って来ればよかった」と後悔の念にかられるものです。それを嫌って念のため幾つかのバリエーションのレンズを持って行けば荷物が増えます。それ以前に何本も購入するのですから経済的ではありませんね。

そんなときズームレンズであれば予想外の出会いというシャッターチャンスを逃すことがありません。少々高いレンズでも1本で済ませると考えれば経済的でもあります。例えば上の写真にあるキャノンEF24-105であれば、24、35、50、70、85、105mmと6本の単焦点レンズを1本で済ませることになります。

単焦点レンズ EF135mmF2L

では単焦点レンズはおススメではないの?と聞かれると違います。単焦点レンズはレンズの群構成(ガラスの枚数)が少ないので透過する光が美しく、ボケ味にも独特の個性があったりするので、そういった特性を作品の表現として使いたい人は単焦点レンズが良いです。何本も持っていかなくてはいけない…という犠牲を払っても、です。

単焦点レンズは画角が固定されているので写真ビギナーの方にとって「足」で構図を作る訓練にも良いですし軽量で機密性も良好なので私は良いと思います。ただ望遠側の画角に限っては「それ以上は後ろに下がれない」というシチュエーションが多々あるので、その時の苦肉の微調整でズーム機能が重宝されるので、望遠はズームがお勧めとなります。しかし望遠ズームレンズは高くて重いことをお忘れなく。




・レンズの大きさと重さ

標準単焦点レンズ 左:SIGMA50mmF1.4DG ART 右:キャノンEF50mmF1.8STM

これも先ほどの単焦点かズームレンズかの話とやや重複しますが、バイク乗りにとってカメラ、レンズの機材ボリュームは極力軽量コンパクトにしたいものですよね。ましてやキャンプ道具も積載する旅となると尚のことです。

そこでレンズ1本の重量とコンパクトさはバイク乗りにとって軽視できないポイントになります。上の写真の左はSIGMAの評判の良いARTラインの50mmF1.4。右は撒き餌さレンズと呼ばれるキャノンのEF50mmF1.8どちらも同じ50mm単焦点ですが重量と軽量さでは大差でキャノンに軍配があります。

もちろん収差やボケの立ち方など細かいことを言ってしまえばSIGMAのARTなのですが、そういった写真クオリティやレンズ固有の特徴が自分が撮りたい写真に果たして必要なことなのか?をよく考えてみましょう。

・高級なレンズは必要なのか?

高級なレンズを使えば自分が憧れる良い写真が撮れる、というのは完全に幻想です。かつてキャノンのLレンズ、SIGMAのARTレンズなど何本も高級なレンズを使ってきましたが断言できます。高級レンズ≠良い写真であると。

もちろん高級なレンズは素材、設計、製造にお金がかかっていますので写真クオリティに関わる部分は素晴らしいです。レンズ特性による写真クオリティとは主に収差、ゴースト、フレア、ハレーションなどの光学的な反応をどれほど抑えられるか?となります。

上の作品は画面内に太陽光が入ったことで盛大にハレーション、ゴーストが発生しましたが、これがキャノンのLレンズだったりするともっと抑えられてクオリティの高い写真が生まれます。しかしどうでしょう?この写真を見てゴーストが残念だな…と感じた方はどれくらいおられるでしょうかね。完全に好みの問題ですが私は気にしません…というよりゴーストが出てくれた方が好きです。人の目だって太陽を見たとき「まぶしい」と目を細めると、視界にはまつ毛に反射した光がゴーストのように虹色になります。つまり人が目で見た記憶風景にもゴーストがあるではないか、だから写真にあっても良いでしょ?と言いたいのです。

・解放F値はどう選ぶ?

絞りを解放したときのF値は明るいほど(数値が小さいほど)良いレンズとされています。解放F値が明るいレンズは暗い場所に強く、美しいボケ味で表現することもできます。一方で大口径となるので大きく重くなります。価格も高いです。

よって解放F値が明るいレンズは星空を撮りたい、ボケ味で表現したい、という要求が発生したときに、はじめて購入するか検討しましょう。

EOS6D MARK2 + EF35mmF2 IS 解放F2




・お気に入りの画角をみつける

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

一眼レフカメラを購入して何年かのキャリアを積んでいくとご自身で得意、あるいは好きだと思える画角を見つけるものです。私の場合は35mmがそうで被写体に寄っても適度に背景がワイドになるのが気に入っています。バイクを大きく構成しても歪みが殆ど気にならない広角という意味でも良いですね。

皆さまもぜひ、ご自身でこの画角が好き、得意だと思える画角を見つけてみてください。そしてその画角は自分にとっては特別な意味のあるもの、として単焦点レンズを用意してみましょう。きっといつかこの意味が理解できる日がきます。

・高倍率ズーム

24-200mmとか凄いものは18-400mmといった具合にカバーできる画角を広範囲にしたレンズを高倍率ズームレンズと言います。先ほど我々バイク乗りは持っていける質量が限られているのでズームレンズは良い、と書きましたが高倍率ズームレンズで行ってしまえば本当に1本でOKとなる訳です。しかしそんな都合の良い話は無い訳で当然ですがデメリットも多いです。具体的には望遠側で顕著に出てしまう画質の低下、解放F値が暗いので手ブレしやすくボケ味も期待できない、などです。画質の低下はSNSにアップする程度なら問題無さそうですが大きくプリントしたい人には許容できかねない場合も考えられます。

価格も安く便利なのは間違いありませんがビギナーにはお勧めできません。慎重に検討しましょう。

 ~レンズの選び方 まとめ~

・ズームレンズを賢く使えば荷物は身軽に&経済的

・高いレンズ≠いい写真

・お気に入りの画角を見つけたらそれだけは単焦点で!

・風景主体のツーリング写真は広角を使おう

・バイク、ライダー主体で撮るには中望遠から望遠を

・星空や夜景で撮りたい場合はF値の明るいレンズを

・ビギナーは高倍率ズームはやめた方が無難…

レンズ選びはカメラ選びと同じで人の好き好きです。こんな写真が撮りたい、という要求に合わせて選ぶものなので他者の情報はあまり参考にならないものです。また「こんな写真が撮りたい」という要求は時間とともに変化していくので何度か買い替えを繰り返すことがあると思います。いろんな写真を撮って写真に対する理解を深め、それと同時にカメラやレンズの知識も覚えて自分に合ったものを自分で探せる能力もつけていきましょうね。

では!!

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バイクキャリア回想☆私とキャンプツーリングの出会い

2005年 大分県佐伯市 波当津海岸キャンプ場

バイクは16から乗っているのでバイクキャリアは30年以上になりますが、最初の10年くらいは峠やサーキット、バイクカスタムや林道走行などに夢中でした。本格的にツーリングをするようになったのは2000年にジェベル250GPSを購入した辺りからです。なので北海道ミツバチ族ではなかったし日本一周を経験した若者でもなかったのですね。

そして2003年にはじめてのBMW、F650GS Dakarを購入したのをきっかけに「とにかく遠くへ行きたい」「行ったことのない場所へ行きたい」という欲望が湧きたってきたのです。

F650GS Dakarはそれまでに乗り次いできた国産メーカーバイクと違い、とにかく長距離が楽しいと感じるバイクでした。見た目はフロントに21インチホイール、カラーはパリダカールのBMWワークスのレプリカなのでラリーマシン見えますが、想像をはるかに超越したツーリング性能に感銘したのを覚えています。

F650GS Dakarを購入し裏磐梯や信州の林道など日帰りで行けるところは弾丸で走りまくり、1年で3万キロくらい走ったと記憶しています。そして翌年には「北海道ツーリング、行ってみたい!」と思うようになりました。

2005年 北海道 礼文島

しかし北海道へツーリングとなると最低でも5日間くらいの予定を立てる必要があります。泊まるところはどうしようか…?普段、仕事で安いビジネスホテルをよく使っていたので同じようなホテルが北海道の各所にあるだろうからそうするか?とも考えましたが、それでは面白くないし経済的にも負担が大きい・・・と思い「やっぱり北海道ツーリングするなら絶対キャンプだな」となったのです。この時はまだユースホステルとか旅人宿といったものは存在自体知りませんでした。

「キャンプツーリング…大丈夫だろうか?」

実のところ、それまでの私は子供の頃も含めてただの一度もテントで泊まったことなどないキャンプ未経験者だったのです。

それでテント、寝袋、マット…と必要と思える道具を一通り揃え、8月のお盆休みに有給休暇を足して大洗から苫小牧へと旅立ったのです。今になって振り返ると初めてのキャンプ、初めての北海道ツーリング、どうして友達を誘わず一人で行こうと思ったのか?よく覚えていませんが根っからの単独行動派なのか、特に不安を抱くこともなく一人旅を決意しました。




それとせっかく北海道にツーリングに行くのだから、カメラくらいちゃんとした物を持って行こうと思い当時はまだ草創期だったデジタルカメラ、その中でも立派なカメラであるFujiのFinePix S602というカメラを買いました。出かける前に勉強したのは取扱説明書だけで、露出補正くらいは使えるように操作を覚えておきました。

何事も「初体験」とは特別なものですよね。北海道をバイクで走ること、キャンプすること、景色の写真を撮ること。もう若者とは呼べない年齢でしたが青春の残り香をF650GS Dakarの排ガスにまぜて北の大地を走ったのです。今になって回想すると私の人生の中で「特別な旅」と呼べる経験になりました。

渡道して2日目でいきなり試練が待っていました。雨です。8月とは思えない寒さに冷たい雨。雨の中をバイクで走ったことは何度もあったけど、あまりツーリングをしなかった自分にとって長時間の雨天走行はこの時が初めてでした。朝から夕方までずっと雨を走り、やがて下着まで湿っぽくなった頃、もう帰りたい…惨めな気持ちで心が折れかけました。たまらず駆け込んだ道の駅のような場所でトイレに石油ストーブが焚かれていたのをよく覚えています。

「8月なのにストーブ…」

美深をぬけ天塩川沿いに北西に走ると日本海が見えてきてオロロンラインへ。そこで急に晴れてきて強烈な夕陽に冷えた体温が一気に上昇するようでした。

今日、テントでちゃんと寝れるだろうか?と心配はしましたが長時間走行による疲労で缶ビール一本を開けたら失神したように朝まで眠りについたのを覚えています。はじめてテントで寝るのにあんなに熟睡するなんて…とても奇妙でした。

ずっと憧れを抱いていた日本海オロロンライン。あいにくの曇天でしたが気のすむまで走ってから、オホーツク海を目指して東へ走りました。その後、道北スーパー林道や風烈布林道などオフロード走行を楽しんで次々とキャンプ地へ移動。そして道東エリアへ移動する頃には夏休みにバイクツーリングにきたサラリーマンからバイクで旅をする一人の旅人になったと思います。




北海道の雄大な大地、表情豊かな空、千葉とは全然違う見たこともない海岸風景、鹿やエゾリス、錆びたトラクター、ボンネットのある大型トラック・・・目にうつる何もかもが新鮮で感じたコトのない何かが心の中で騒いでいました。

カムイコタン、ポンポロト、ヌプントムラウシ、チッポマナイ・・・アイヌ由来の地名も特別な場所に来たのだという気分にさせてくれました。それは今になって考えれば異文化に触れた刹那に潜在的な旅心が反応を示したのだと思います。

人との出会いも格別でした。スタンドやお店などで会う地元の人との何気ない会話などに、日常では感じない人の温かみを感じ、同じ道の先を目指す旅人達との出会いは絆のようなものを感じました。全てが楽しかったし嬉しかった。

そして気に入った風景を見つけては無心でシャッターを切って「忘れまい」と写真にしました。そう、私の原点はこの素晴らしい旅を忘れまいという記録から始まったのです。

恐らく多くの人も同じだと思います。忘れてしまっては寂しいから、だから写真に撮っておく。ブログではただの記録写真じゃつまらない…なんて言ってきましたが、やっぱり写真の根っこは記録なんだと思います。

2006年 北海道富良野

キャンプは当初は経済的な意味で選んでいた宿泊手段でしたが、雨や予想外の寒さなど快適ではないところに本当の「旅」を教わったと思います。野外で夜を明かす行為とは人類にとって原始的であり、旅と共に文化を反映させた人類の本質はキャンプという行為に凝縮されている気さえします。

美味しい食べ物も名湯と呼ばれる温泉も、たまたまあれば頂きますが、この当時から私の最大の目的はそれではありませんでした。移動をすること、キャンプをすること、風景を切り取ること。これが私にとっての旅であり、私らしい私の旅を最大限に楽しむのが唯一の目的です。

今でこそキャンプ場でまったりキャンパーをしけこむ時がありますが、そもそもキャンプツーリングは旅らしい旅をするためのシンプルで身軽な宿泊手段だったのですね。

2006年 北海道 昆布森 来臥止キャンプ場




北海道の旅から帰った私はもう別の人間になっていました。見慣れた職場も通勤路も不思議と別の風景に感じました。何だか自分の居場所はもう此処ではないような気がしたのです。その時は気が付きませんでしたが、もう旅の魅力に憑りつかれていたのですね。

北海道で撮ってきた写真は思いのほか良く撮れていて、プカプカと白い雲浮かぶ青空、牧草の香りがしてきそうな緑の写真がたくさん撮れていました。中でも知床で撮ったキャンプ場の夕日の写真がお気に入りで、それを試しに雑誌アウトライダーのツーリング写真コンテストに応募したら、大きく掲載されて高評価だったのです。これが今の自分を形成している全ての始まりです。

その翌年も、そのまた次の年も、夏になれば北海道へ走りに行きました。北海道以外にも東北、信州、四国、九州も走り、ついには会社を辞めてしまい、沖縄の石垣島までF650GS Dakarを走らせました。経験を積むほど旅の内容は充実し、キャンプも写真も進化を遂げました。やがて自分なりのこだわりが芽生えただのサラリーマンだったくせに旅人風をふかせるようになったのです。

2006年 高知県四万十川キャンプ場

そこから20年近く経ちますが、今の私は大きくは変わっていません。いや…むしろバイク、キャンプ、写真というキャリアについては何らかの進化はあるかもしれませんが、肝心の旅心はすっかり青春の残り香を燃やし尽くし、純粋さのカケラすら無いようです。そう、失ったのは青春とか純粋さといった心の時めき。旅に対する憧れや人との出会いなども気が付くと意識していない自分がここにいます。

時めきを取り戻す唯一の手段は知っています。それはまだ撮ったことの無い傑作ツーリング写真を撮ることです。もし願いが叶うなら自分の人生の中で一枚でいいから、最高傑作とよべる一枚のツーリング写真を撮ってみたいです。ただの幻想に終わる可能性は高いです… しかし、それがあれば自分がこの世界にいた意味が生まれる気がします。そしていつまでも旅心に時めきを抱いて生き抜くことができるのです。

だからまた旅に出たいです。

一枚のツーリング写真を求めて。

2018年 北海道 宗谷丘陵 白い貝殻の道

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カメラ業界の闇とスマホ写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、世の中が未知のウイルスに侵され、私たちの平穏な暮らしが脅かされていますが心身ともに健康にすごされていますか?「心身ともに健康」とは本当に大切なことで食事や運動に気を遣っていても、過度のストレスや大きな悩みを抱えたままにすると心の病を患うものです。心の病は一度悪くすると簡単に治らないのだから厄介なものですね。

少しでも異変を感じたら無理をしないで休むこと…いや敢えて分かりやすく言うとサボるのが良いと思います。適度にサボる、少しだけ怠けてみる、そう…「少しだけ」という自分なりの裁量で立ち止まったり休憩することは本当に大切です。真面目な日本人は「少しサボろう」が苦手なのだと感じます。私は違いますけど。

それと毎日暗いニュースばかりを見ていると滅入ってしまうので、たまには情報を遮断してテレビやネットニュースを見ない日をつくるのも良いと思います。

さて今回は少々大げさなタイトルですが日本のカメラ業界と写真文化について、そしてスマホのカメラ機能によって変貌を遂げてきたスマホ写真について、独り言風に綴ってみたいと思います。

突然ですがヤフオクなどで中古カメラを買われている方は、こんな出品物を見たことはありませんか?大量のカメラやレンズのセット販売です。多くはフィルム機からデジカメ初期のもので、どれも普及モデルが多いと感じます。はじめて見た人は「なんだこりゃ!?」って感じですよね。

スマホのカメラ機能が進化しカメラが売れなくなってしまった現代。みんなが「もうカメラは要らない」と言って売りに出しているのでしょうか?いいえ…違います。

これ、遺品なんです。私は以前にリサイクル品のECサイトでカメラマンの仕事をしていた時があったのですが、こういったカメラ大量セットはかなり頻繁に買取店舗から入荷するものでした。

故人が生前に愛用していたカメラ達…四十九日を過ぎてご遺族がコレクションなどと一緒に買取店にまとめて持ち込むのです。5台10台はざらで30台くらい持っていた方もいました。こういった遺品を集めて置いておく在庫ヤードは、深夜まで残業していると何やら幽かな気配を感じたものでした。




ここで言いたいのは日本の嘆かわしき写真文化への苦言です。これだけ人にお金を使わせておいて、カメラメーカーさんはさぞ儲かったでしょうね。故人が生前にこれだけのカメラやレンズを購入して果たして納得のいく「良い写真」は撮れたのでしょうか?撮れたなら良いです。でも、買い替えても買い替えても…を繰り返していたということは、願いがなかなか成就せず、カメラを買い替え続けていたのではないでしょうか。カメラメーカーの「新型のカメラへ買い替えればいい写真は実現しますよ!」というプロパガンダに洗脳されて…です。

カメラメーカーは何十年も前から現在に至るまでやっていることは同じです。新型のカメラの宣伝方法は「圧倒的な描写力」とか「表現力の云々」とか「繊細な美しさ」といった写真クオリティに関わるワードで消費者を誘惑してきました。もちろんカメラが好きな人に向けたメッセージはこれで良いかもしれませんが、写真が好きな人には混乱を招く表現です。あたかもそのカメラを買えば「あなたも明日からいい写真が撮れます」と騙しているようです。

テクノロジーの進化と「いい写真」は必ずしも関係しているとは言えません。もしそうであればアンセルアダムス、ブレッソン、ソールライター、ロバートキャパなどの先人が生み出した名作写真は、現代で見れば駄作になるはずです。そんな訳はないですよね。

もちろんカメラメーカーも利益が必要な企業なわけですから、利益のためには一台でも多く製品を売る必要があります。私も長い間、メーカー系で働いていたのでそれは理解できるのですが、写真文化を育むことや写真の楽しさを広めることに失敗したのは明らかだと思います。もし写真文化の繁栄に成功していれば今頃は写真は「上手い下手」「美しい美しくない」ではなく芸術分野で絵画と肩を並べるARTとして認知され、カメラもちゃんと一定数は売れているのだと思います。

遺品カメラコレクションの在庫ヤードから深夜に感じる幽かな気配。それは「いい写真が撮りたかったのに撮れなかったではないか!」という亡き持ち主達の無念のように感じてなりません。

私の場合はメイン機をEOS6D Mark2 などと言う(流行らない光学ファインダーのデジイチかもしれませんが)立派なフルサイズカメラを使っていますので、最新のカメラや高級なレンズなどに精通している人間なのだろう…とよく誤解を受けますが、バイクを愛するようにカメラを愛するということは無いです。

カメラ、レンズはあくまで【頼もしい道具】です。絵描きさんなら筆や絵の具、音楽アーティストなら楽器や機材ですね。何でもいい訳ではないけど、作品を生み出すための大切な道具。自分にとって必要な機能と、信頼性があるもの。そして使いやすく手に馴染み「お気に入り」といえる旅の道具が私にとってのカメラです。

これはキャンプツーリングの時に撮ったスマホ写真です。到底「作品」などと呼べる写真ではなく記録として撮った普通の写真…いや画像ですね。太陽に近い場所が飛んでしまいましたがクオリティ上は大きな問題はありません。

このように記録、記念の写真を綺麗に撮るだけなら今や誰でも持っているスマホで十分な時代です。【綺麗に撮れる】が良い写真であると言い続けてきたカメラメーカーは、この【綺麗に撮りたい人々】のパイを丸ごとスマホに持って行かれてしまったのですね。カメラが売れない時代になってしまった背景はここにあります。

カメラメーカーも早い段階でこれが分かっていれば、日本の写真文化の発展に別のアプローチができたかもしれません。その場合、決して「綺麗に撮る」とは言わないでしょう…。

先ほどの写真、構図が平面的だったので立ち位置を変えて手前がテント、奥がR1200GSという構図に変えてみました。このように2つある被写体は横一線に並べないよう配慮するだけで奥行のある構図が作れます。アングルが変わったので空の飛んだ部分も画面外になりました。一方、R1200GSのスクリーンに入ったハイライトが線になってしまいました。ここ、スマホで逆光を撮る時の注意点なのですがレンズに汚れ(手の脂やハンドクリームなど)があったりすると出やすいので撮る前に拭いておきましょう。またレンズの周囲を片方の手で覆い簡易的なレンズフードを作ってあげることで軽減もできます。




iphone7

これもスマホで撮った写真です。まあまあ綺麗ですよね。こういったシーンでの記録写真だけで良ければ本当にカメラなんてもう要らないと言えそうです。スマホにはまだまだ弱点もありますが、苦手なことを強いないよう工夫すればART写真だって撮れてしまいます。

苦手なこととは例えば超望遠、強烈な逆光、暗いシーン、深度やピント位置を任意でコントロールしたい…といったものです。もちろん機械的なシャッターが無いのでシャッター速度で演出することも出来ません。しかしスマホ業界はカメラと違って膨大な開発費を投資できるので日進月歩で進化を遂げています。夜景や星空が一眼レフで撮影した写真と見分けがつかないほど良く撮れるスマホは既に存在しています。

シャッター速度や絞りで表現するようなこともソフトウェアで解決する方向で進化しています。既に現行機種のiphoneなどは一眼レフのような背景ボケの画像が作れます。

EOS6D mark2 + SHIGMA12-24mmF4.5-5.6DG




じゃあリアルなカメラは本来はどう在るべきだったのかな?とふと考えてみました。写真に興味を抱いたユーザーに写真とはこうですよ、と優しくフォローするAIを搭載したカメラなんて良いかもしれませんね。

スマホと違いあくまで光学的なアプローチで作品を演出するカメラ。しかし写真の入り口に立ったばかりの人にそれを理解するのは難しいものです。そこでAIがユーザーの性格や好み、行動パターンなど予め入力した情報をもとに、的確にエスコートをしてくれるのです。そして一緒に旅をした軌跡をユーザーと共有し、旅と写真をセットに楽しむカメラなんてどうでしょう?

スマホに【アクティベイト(Activate)】ってありますよね。新しく買った時に最初にやるやつです。そのオーナーの物として有効に、活動的な状態にするという意味です。しかしカメラにはアクティベイトはありませんよね。強いていえばカメラユーザー名を入力すること。あとは頻繁に使うような機能をショートカットとしてFn1やFn2に割り当てるくらい。昔も今もカメラはあくまで無機質なメカに過ぎず、撮影者の気持ちなど知る由もないのです。

もしカメラにユーザーがアクティベイトしたAIが搭載されたら…。上達へのサポート、困ったことの解決案、手ブレやピントズレなどの指摘、GPS機能を使ったロケーション管理、被写体の位置関係や水平垂直、黄金比を目指した比率など…画像処理しAIが構図の具体案を出してくれるのです。右に動いて、チョットしゃがんでとか先ほどのキャンプシーンの例のように、AIがしゃべってくれる…そんなカメラはどうでしょう。

そしてAIプログラムの元は何人かの有名写真家が手掛けたもので、ユーザーは好みで〇〇先生のAIが選べる。またはネット上でユニークなAI先生をダウンロードできるとか。もしそんなカメラがあったら写真ビギナーの人も「写真って楽しい」ってすぐに感じるのでは?と思います。現代的な写真文化の発展ってこういうことではないでしょうか。

おっと、長くなったので今回はこの辺で!!

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確実に上達を約束する唯一の方法。写真上達の秘密。

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、そろそろお正月ボケも抜けて日常モードでしょうか。新型コロナウイルスは今も感染者数を増やして私たちの日常を脅かしていますが下を向いてばかりはいられませんね。できることを確実にしていつか必ず訪れる平穏を一日でも早く取り戻しましょう。

さて今回はこのようなコロナ渦において、写真のレベルアップをするには何ができるだろう?写真のレベルアップのヒントについて書いてみたいと思います。どこか遠くに出かけたり写真のワークショップに参加したり、そういった事が難しい昨今ですよね。しかし、だからこそ上達のチャンスがあるのです。

それは特別なところに行かなくても良い写真は撮れる!ということです。いや…大胆に言ってしまえば特別なところなんて何処にも存在していなく、いい写真を撮るための桃源郷は身近にもあるのだ、と気が付くチャンスなのです。

EOS KissX7

難しいことは何ひとつありません。とにかく気軽にカメラを持って出かけることです。家の近所や通勤の途中など、貴方の日常風景の中で何か反応するものは無いか?心の声に耳を澄ませて少しでも触れるものがあったら「パッと」撮ってみましょう。

上の写真は会社の健康診断の帰りに都内で撮ったスナップです。いつも鞄の中にはカメラが入っているので、あっと思った瞬間にパッと撮れるように準備をしています。こういった写真をストリートスナップと呼びますが、あれこれ構図などを考えず「瞬間」をイメージして撮る写真です。なにもせず瞬間を切り取る…これがスナップの楽しさであり醍醐味でもあります。強いて何かをしたか?と言えば露出補正を常にマイナス2/3程度にして、都会に存在するビル間の光に露出を合わせていることです。たったこれだけで雰囲気のある写真になるのですから不思議なものです。




EOS KissX7

写真ビギナーの方にとってピントをしっかり合わせる、水平を出す、手ブレしない…といった基礎をこれで学ぶことは出来ませんが、息抜きという意味でも良いですし何より写真の楽しさの原点を知ることができます。

写真を撮る楽しさとは撮影者の見た「それ」が写真になることです。現代人にとってカメラは実に当たり前のように存在する文明の利器ですが、実はカメラが写真にしてくれることは、それだけでエキサイティングなことなのです。

EOS KissX7

いつもでお気に入りのカメラを持って、いつでも写真を撮って楽しむこと。別にうまく撮れなくてもいい。上手に撮る必要はありません。何でもない光景の中に貴方しか見えない何かを掴み取るのです。

ポイントは「もの」を探すのではなく時代、文化、感情、動き、色、それらに光と影が当たった時に心のセンサーが反応する僅かな瞬間があります。それを見逃さないよう慎重に読み取って「あっ撮りたい」という欲望に従順にシャッターを切るのです。その瞬間が美しいと分かったとき、スナップ写真の虜になるはずです。

留意すべき点は見知らぬ人の「顔」というIDを無断で私物化しないよう最大限の配慮をすることです。肖像権などという言葉を多くの人が意識するようになったのは近年の話です。勝手に顔をデジタル化して悪用されることに人々は強い防衛意識をもっています。一方で都会の刹那を切り取ったストリートアートに対する理解は絶望的なほど低いのが現実です。他人の顔を撮ってしまった場合、明らかに風景の一部であればセーフ、顔を対象に撮った写真であればその人の承諾が必要となることをお忘れなく。




写真ビギナーの方が知識や経験以外にベテランと決定的に違う点は感覚です。その画角で写真にするとどの範囲まで写るか?とか、これくらい動いているものを1/40のシャッターで撮ったらどう写るのか?とか、どの範囲までをフレーミングしたらどのような印象の写真になるか?といった完成写真を想像できる感覚です。

感覚ばかりはいくら書物を読んで知識をつけても、いくら名作写真を眺めて何かを学ぼうと思っても、それだけでは全く前進しません。感覚は気の遠くなるような反復練習によって身に付いていくものです。ゴルフやピアノが上達するには知識だけではダメですよね。たくさん練習すれば練習しただけ上達するものです。

EOS KissX7

仕事の日もバイクに乗れない休日でも、いつもカメラを持ち歩いて何かの写真を撮っていれば、写真を撮ることはいつの日か日常になって気が付けば感覚も養われます。あっと思った刹那を写真にすればどんな風になるだろう、これが簡単に頭の中で想像できるようになるのです。




休みの日に景色の良い場所やお花畑や有名な撮影スポットに行くことも、もちろん良い練習になりますが毎日やっている人にはかないませんよね。私は写真についてもっと知りたい、もっとレベルアップしたいと考えていた時期、RICOH GRというカメラをいつもポケットに入れて毎日100ショット以上の写真を撮っていました。その期間で確実に写真について様々なことを学んだと感じます。

今回の投稿でご紹介した5枚のストリートスナップ写真。全て同じ日に撮ったものです。久しぶりにストリートスナップを撮ったのですが、美しいものはいつも身近にあって、それらの「もの」はきっかけに過ぎず核心は自分の内面にあると改めて認識しました。

いくらやっても写真が上達しない…そんな方は撮っている機会が少なすぎる、写真を撮る楽しさを見失っている、撮る対象(もの)を探している…これが原因ではないでしょうか?いつでもお気に入りのカメラを持ち歩いて、日常的に写真を楽しむこと。そして写真を愛する人になること。これこそが確実にレベルアップする唯一の手段だと思います。

騙されたと思って実践してみてくださいね。

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