ピント位置と露出で魅せる複合上級テクニック

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、せっかくの良い季節ですが容易に外出できない有事となってしまいましたね…。ここ数日、究極のツーリング写真ではPV数がすごく伸びておりまして、きっと多くの方が外出できずにご自宅でインターネットをされているのだと推測されます。

こういう時は街中でスナップ写真や人の多い場所で桜の撮影とか難しいので、知識をつけるために究極のツーリング写真の過去記事をご覧ください・・・ちょっと無理があるかな?




さて今回はピント位置と露出で魅せる複合テクニックと題して上級ツーリング写真の解説をいってみたいと思います。

EOS6D mark2 + SIGMA150-600mmF5-6.3DG C

まずは完成作品からご覧ください。南房総の海岸線で撮った一枚ですがこの時、良いお天気と反して海は荒れていました。岩場に砕ける波の様子にすぐに私のセンサーが反応しました。

この砕ける波のダイナミックな表情を望遠レンズで引っ張って撮ろう。すぐにそう思いついてEOS6D mark2にSIGMA150-600㎜F5-6.3DGを装着して撮影に挑みました。

まずリアルサイド分析ですが撮影現場は太陽光が眩しいくらいに注いで十分に明るいこと、岩に砕ける波の様子が様々な表情があること、波の飛沫はかなり白いこと、遠景に船が行き交っていること、後方からの順光によりR1200GSアドベンチャーの各部にハイライトが入り輝くこと…などが確認できます。

充分に明るいということは早いシャッター速度をかせげる状況です。そして望遠レンズを使うには十分なスペースも確保されています。ここは岩に砕ける波を主題に撮るのですから大胆に絞りを解放に設定しピント位置を波にしてみました。

いちおう書いておきますがこのようなシーンでは迷わず高速連写モードを使用します。この撮影シーンだけで軽く200カットはシャッターを切りました。たくさんのバリエーションの中から自分の気に入った波の様子の1枚を後でselectする作戦です。




最終的に仕上げまで行ったカットは25枚でした。その中で上の写真のように葛飾北斎の神奈川沖浪裏を彷彿するような波のものもありました。これを採用カットにするかかなり悩みましたが、採用カットに選んだ写真の方が飛沫が鶴の化身のようで印象的だな、と思い最終的にselectを終えました。

上級者であれば魅せ方は1つと限らず2つ3つと複数の手法を複合的に駆使して表現してみましょう。今回の作品では先ほどご紹介した絞り開放により深度で魅せる方法、たくさんの連写から1枚を選ぶこと、そしてもう1つくらい何かないでしょうか??そう露出です。

リアルサイド分析で波の飛沫は真っ白である…と確認しましたが、この白さが白トビしてディティールが失われないようこの部分に露出を優先します。結果、他の部分が少し暗くなってしまいますが、そうなっても変な写真にならないように構図を組み立てます。飛沫に露出を合わせたことで高速シャッターが捉えた飛沫の一粒一粒まで精密に表現することができました。




いかがでしたか?私もまだまだ勉強中ですが一枚の作品の中にいくつもの表現手法を組み合わせた写真。そうすることで写真の構造を暗号化して見る側に巧妙さを容易には感じさせないという効果もあります。

ちょっとマニアック過ぎたかな…

今回はこの辺で!!

にほんブログ村 バイクブログ バイク写真へ
にほんブログ村

にほんブログ村 バイクブログへ
にほんブログ村


バイク旅ランキング

写真は完璧であってはならない理由<上級>ツーリング写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、芸術はお好きでしょうか?当ブログでは以前よりツーリング写真、バイク写真を芸術作品…つまりARTへ進化させバイク写真文化を成熟させていきましょう!と発信してきました。

しかしどうすればバイク写真という小さな写真文化をARTへ昇華させることができるでしょうか?そもそもARTって何でしょう。私も勉強不足なのでこの辺の深い話ができないのですが、観賞者サイドも作者サイドへ寄り添って共に思考して楽しむものがARTではないでしょうか?

美術館に行くと難解な作品を目にすることがあります。特に印象派の作品や現代アートなんかでよく感じます。「これは一体なんだろう???」「作者は何をうったえているのかな?」と作品の意図がパッと見た瞬間ではすぐには分からない作品です。このように観賞者が思考することが【観る側の楽しみ】です。ただ見るのではなく感じて思考すること。この意識がないと芸術を単純に視覚的な美しさやバランスだけで見てしまい面白くないものになります。

そして観賞者を楽しませてくれる芸術作品ほど曖昧さや不完全さがあるものだな…と私は感じます。あの岡本太郎さんも「芸術は美しくあってはならない」「芸術は心地よくあってはならない」と何かに書かれていました。不完全さや曖昧さからくる思考の渦を感じ取るもの…よく分かりませんがそんな感じがARTなのではないでしょうか。




さて今回はそんな観賞者を思考や想像で楽しませるツーリング写真をご紹介してみたいと思います。

これは撮影現場の様子をiphoneで撮った1枚です。漁船のキャビンだけが空き地に捨てられている様子ですが、私はこういった光景がいちいち心に刺さってしまうので、撮らずにはいられませんでした。

しかしこの朽ち果てた漁船のキャビンとバイクを合わせてどのようなツーリング写真を撮りましょうか?被写体の特徴をよく観察し、自身が動いた心の様子を自ら感じ取りながら思考します。

まず特徴的だと感じたのは連なる3つの窓です。ガラスは割れていますが枠を固定しているネジなどが面白いと感じました。ここを使って窓の向こう側へR1200GS-ADVENTUREを置いてこんな風に撮ってみました。この写真の説明範囲は漁船のキャビンのような物が横たわっているのだな…という事がかろうじて伝わる程度です。

「説明範囲」とは写真であるからには元は事実な訳ですが、それが何であるか見る側へ説明する作者の責任ようなものです。バイクを撮ったのに小さすぎたりボケすぎたりして、見た人に「ここに写っているのは自転車ですか?」となればバイク写真としての説明範囲が十分でなかったという事です。




ここではバイクはもちろんの事、メイン被写体である漁船もかろうじて漁船であることが多くの人に伝わるのではないかな、というつもりでこのように撮ってみました。

しかしこれだと見る側の思考の楽しみが少々もの足りないようにも感じます。説明範囲が広すぎて退屈なのです。せっかく変わったものを見つけたのですから、もっと観賞者の想像力をかき立てる工夫はできないでしょうか?

EOS6D mark2 + EF35mmF2 IS

そこで最終的にこんな風に撮ってみました。キャビンにぐっと寄って窓枠を主題にした写真にしたのです。寄ったことで枠の様子が明らかになりメイン被写体の質感が表現でき、わずかに残されたガラス片も写すことが出来ました。

しかし、これだとこの白いモノが何なのか?撮影現場を見ていない観賞者には得体の知れない物になってしまいます。説明範囲が狭く事実が伝わらない写真ですね。これが何であるかは観賞者が思考する取り分として意図的に残します。

「わけが分からない」と見向きもされないかもしれません。ここは「想像力が乏しい観賞者は残念ながらターゲット外にしよう」と大胆に割り切りましょう。たまには良いではありませんか。




このように写真とはいえ実際の様子の全てを明らかにせず、あえて観賞者の持ち分として想像範囲を残す手法のご紹介でした。写真は事実を元に生み出す芸術ですが実際の様子の何もかもを写す必要はなく【説明範囲】と【想像範囲】の割合を作者である貴方が裁量するのが面白いのではないでしょうか?というお話でした。

…完璧に説明した写真なんて退屈ではありませんか。

今回はこの辺で!!

にほんブログ村 バイクブログ バイク写真へ
にほんブログ村

にほんブログ村 バイクブログへ
にほんブログ村


バイク旅ランキング

これが究極の黄金比☆フィボナッチ螺旋構図とバイク写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、河津桜の写真はもう撮られましたか?私は房総人なので南房総の河津桜「頼朝桜」の写真を今年も撮ってみました。

頼朝桜とはかつて石橋山の戦いに敗れた源頼朝が小舟に乗って房州の竜島(鋸南町)に流れ着き、そこで再起をはかったことに由来するものです。桜自体は河津桜と同じだと思いますが呼び名が房総では「頼朝桜」となり佐久間ダム親水公園や保田川で頼朝桜のお祭りも開催されるのです。

実は去年も保田川で写真を撮ったので今年は同じような写真を撮らないように、進化を確認するぞ!といった感じでハードルを自分で上げて撮影に挑んでみました。




EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L IS

桜に限らず「今日はお花のシーンで撮るかも」という時に迷わずに持っていくレンズはEF70-200mmF2.8L ISです。このレンズは開放F2.8が通しで得られるキャノンの大三元レンズですが、浅い被写界深度をコントロールしボケ具合で花のある風景をイメージ通りに表現できるのです。

で、今回の写真は究極の黄金比と言われるフィボナッチ螺旋構図、またはフィボナッチスパイラルと呼ばれる黄金螺旋構図を採用してみました。




フィボナッチ螺旋構図とはこのような構図です。黄金比(1:1.618)に基づいた比率の曲線です。少々アカデミックな話ですがフィボナッチ数列といい1から始まり前の数字を足していく数列(1.1.2.3.5.8.13.21・・・)があります。この数列を正方形として積み合わせていくと上の青点線のようになり、その交点を曲線でつなぐと何とも神秘的な渦巻き型の曲線ができあがります。

神秘的な…と形容したのは根拠があって、このフィボナッチスパイラルはオウム貝の断面、竜巻、花びら、DNAなど自然界や生物に存在している正に神秘の曲線なのです。

Lightroom

何だか難しく聞こえますが1:1.618だの数列だのを完全に理解する必要はありません。ポイントはフィボナッチスパイラルを何度も見て覚え、実際の撮影シーンで覚えたフィボナッチスパイラルを意識して構図を作るのです。

以前、私はこの構図を知ったばかりの頃「カメラにもグリッド線のようにフィボナッチスパイラルを表示できれば良いのに」と思っていました。しかしそのようなカメラは有るのかもしれませんが稀です。ここ、大事なポイントなのですがフィボナッチスパイラルはグリッド線のように合わせるものではなく、あくまで感覚でつかんでみましょう。人間のDNAにもある神秘の曲線な訳ですから、そういった意味で感覚が最も精度が高いと私は信じております。




実際には難しいです。まずは曲線の要素を探すよりも最初に渦巻の中心にバイクなどのメイン被写体を置いてみます。その上で曲線上に配置できるデザイン要素を見つけてアングルを探り当てていきましょう。

もしフィボナッチ螺旋構図が成功すれば、それはレオナルドダヴィンチなどの芸術作品に通ずる優れた構造を持った写真が実現できる訳です。

ステップアップの1つの目標として次の撮影で挑戦してみてくださいね。今回はこの辺で!!

にほんブログ村 バイクブログ バイク写真へ
にほんブログ村

にほんブログ村 バイクブログへ
にほんブログ村


バイク旅ランキング

上級者の秘密テク☆深度のピークをコントロールする妙

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今回は久しぶりに<上級>ツーリング写真解説をいってみたいと思います。今から2年前、私はこのブログを立ち上げたばかりの頃にツーリング写真の撮り方の解説として<初級><中級><上級>と3つのカテゴリーに分けて解説を作り始めました。

写真の撮り方のノウハウなんて普通は秘密にするものですし、基本的なことであればマニュアル本にもネット上にも情報は溢れています。世に存在している写真の撮り方とは大半が初級者向けのカメラ操作方法ばかりです。ビギナーを卒業しているはずの人でも最初に教わった基礎に縛られてしまい、それ以上の知識を得る機会が少ないな…と感じてこのようにしました。そして写真を好きになるとは、写真を楽しむには、といった写真を中心としたビギナー向けの情報が乏しいとも感じたのでその辺も最近は書くようにしております。

私のような人間が上級者向けの内容を書くなどまことにおこがましい…という事は承知の上でやってみようと思いました。「ぜったい偉い人に怒られるな」と当初は予想していたのですが、幸いなことに今のところ誰にも怒られておりません。




さて前回と前々回でツーリング写真、バイク写真に使う三脚のお話、そして三脚をバイクに積載するにはどうしたら良いか、という投稿を書きました。

前回の投稿はこちら

前々回の投稿はこちら

この解説の時に撮った作品で今回は被写界深度とピントピークのコントロールについて書いてみたいと思います。

EOS6D Mark2

まずは完成した作品からご覧ください。この冬の季節、南房総からは東京湾ごしに富士山が美しく見えるものです。また海は紺碧色で空気は澄んでいて冬の房総の海岸線は本当にバイクで走ると気持ちいいなと、30年も千葉をツーリングしていますがいつもそう思います。

いちおう<上級>ツーリング写真解説とはいえ、いつも通りこの作品の基本的なプロセスを最初に解説しておきます。まずFactorの解明ですが、ここで撮ろうとバイクを停めた理由は美しい東京湾ごしに見える冬の富士山にアンテナが反応したこと。Real side分析では富士山まで遠い、海が青い、撮影スペースはかなり広い、タンカーやコンテナ船が頻繁に行き交っている、トビが飛んでいる、など作品に使えそうな素材をピックアップしました。heart side分析ではとにかく全体が青の印象として感覚に刺さったこと、日本の玄関口である東京湾の様子とトビの演出で何となくStory性を作れそうだと予感したことです。

左 F6.3                     右 F14

<上級>ツーリング写真なので基本的なことはサラっと解説します。この撮影シーンではR1200GS-ADVENTUREの各パーツに入ったハイライトを使って玉ボケで表現してみました。F14まで絞り込んだ右よりもこのレンズで解放となるF6.3の方がキラキラと抽象的で私好みだったのです。画面全体は望遠レンズによる強烈な圧縮効果で富士山も海面の青も見る側へ圧力的にアピールします。

いくら絞りを解放に設定しても、ある程度から遠くにある部分は被写界深度が深く発生することは上級者の方でしたらご存じだと思います。そして深度は奥行方向に山になっていてピークが存在がします。ピークは最もシャープになる合焦ポイントですが、解放と違って深度が深い場合についてはピークもある程度の奥行きが存在するものです。




☆ここでワンポイント なぜMFを使うのか?

ではそのピーク位置をどこに置きましょうか?もちろんAFではなくMFを使用します。AFはスポーツシーンなど動く被写体を追従する時などに必需ですが、こういった風景写真の場合は被写体との深度の兼ね合いを考慮してMFで精密にコントロールしてみましょう。

カメラのAF機能は深度と被写体の兼ね合いまで考えて動作する訳ではありません。あくまでピントピークを特定の被写体に合わせることしか出来ないのです。

この作品の場合はとにかくR1200GS-ADVENTUREの車体に入る玉ボケのハイライトを美しく表現したい一心でした。そのための手段として開放F6.3で発生した深度とそのピントピーク位置をこの写真の最も遠景となる被写体、富士山の頂に合わせてみました。ピークが思いっきり遠くになったことで、R1200GS-ADVENTUREの玉を大きくしたのです。

これがもしピークを対岸の久里浜や沖合の船に合わせたとしましょう。それでも富士山の頂はシャープに写りますが、F6.3程度ではこれほど大きな玉ボケは作れません。

例えば300mmの望遠レンズで50m先に被写体A、70m先に被写体Bがあったとします。AとBの両方にピントを合わせたいとき、最低必要な被写界深度を出すにはF11だとします。AとB以外の背景や前景はなるべくボカしたいとなったとき、ピントピークの位置はAとBの真ん中となります。AFを使ってしまうとAかBのどちらか一方にピークを合わせてしまうので、両者にピントを持ってきたい場合はF11では深度が足らなくなってしまい、さらに絞れば背景や前景のボケ具合が甘くなってしまいます。

深度のコントロールとピントピークの調整は必ずMFで行う理由はこれです。

絞り込みボタンを押し込みながらフォーカスリングを回す

ピントピークの位置調整は難しいのでお勧めのやり方をご紹介します。まずレンズをMFにしてライブビューさせます。そして絞り込みボタンを押し込んでみましょう。

絞り込みボタンを押し込んだままの状態でフォーカスリングを回し各被写体の合焦を確認しながら調整します。私のSIGMA150-600mmF5-6.3DGの場合はピントリングを左に回していくことで、合焦ポイントは遠景に向かっていきます。拡大表示させる部分はコントラストのはっきりしている部分を探してみましょう。もしR1200GS-ADVENTUREに合焦させるのであれば上の写真のようにBMWのエンブレムが分かりやすいです。皆さんもご自身のバイクでピント確認しやすい部分というのを見つけて決めておきましょう。




このようにピントをかけたい2つの被写体を狙い、絞り込みボタンを押しながらピント調整する一方で、通常の方法としては絞りは解放にしてピーク位置だけを確認するやり方もあります。一般にはこちらが正しいのかもしれません。カメラのファインダー像が通常時は解放で写っているのも、ピントピーク確認用としてそうなっているのかもしれません。ただ今回の作例のように被写体Aと被写体Bの真ん中に目印になる物が何もない場合は困ってしまいますが(上の作品だと海のだいぶ沖らへん)。

最後に作品の深度のお話以外の部分を補足しておきます。絞り値の比較写真ではヘルメットを置いている位置がR1200GS-ADVENTUREの足元ですが、完成写真では画面のちょうど左下の角に置きました。光沢のあるヘルメットであれば、これもハイライトが玉ボケになってくれると思い、画面の中で印象の弱かった左下をヘルメットに補ってもらったのです。そしてコンテナ船は明瞭に写っていませんが、これは冬の東京湾でよく見られる蜃気楼のような現象によるものです。その証拠としてずっと手前に存在している鳶には合焦しています。

今回の解説としては蛇足ですが以前に解説した7つのプロセスの最後【奇跡の待機】によってラッキーを授かりました。鳶が登場し鮮やかに作品の主役を奪っていった・・・その瞬間をとらえることに成功したのです。これが写っているのを確認した瞬間「やはり写真の神は私の味方だな」と勝手に膝を叩いて喜んだものです。

どんなに静かに見える風景でも写真とは瞬間なのだ、という事を忘れずに撮影に挑みましょうね。

今回はこの辺で!!

にほんブログ村 バイクブログ バイク写真へ
にほんブログ村

にほんブログ村 バイクブログへ
にほんブログ村


バイク旅ランキング

↓↓↓撮影地↓↓↓

ちなみにこの撮影ポイントから富士山の頂まで、直線距離で測定してちょうど100kmでしたよ。

ツーリング写真家が実践している7つのプロセス<中編>

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、気が付くともう1月も終わってしまいますね。暖冬とはいえバイクにはまだまだ寒いですが、早くバイクの季節がくるといいですね。

さて前回よりバイク写真家が実践している7つのプロセスとして、ツーリング写真に関わる総合的なことを書いております。今回はその続きでございます。

・前回の投稿ツーリング写真家7つのプロセス 1~3はこちら

4.リストからのsearch&choice

写真は撮り方が大事…と多くの方がご存じだと思います。しかし撮り方は確かに大事ですが最重要ではなく、あくまで今回ご紹介するプロセスの中の1つに過ぎません。撮り方の引き出しはベテランほど豊富に在庫しているものです。その中からいま目の前にある情景や被写体に対して、自分が感動したことを魅力的に表現する手段として自身の「撮り方の引き出し在庫リスト」からsearch(検索)をかけてchoice(選択)するのです。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

撮り方の引き出しは例えば三分割構図で撮るとか、絞りを解放して背景をボカすといったものが一般的に知られていますが、そういったメジャーなものに限らずマニアックな手法からオーバーヘッドキックのような飛び道具的な引き出しまで、豊富なバリエーションで持っておくのがおススメです。引き出しの数は2つ3つでは全く話にならず100でも1000でも多ければ多いほど作品の可能性は広がると思います。

そして豊富な「撮り方の引き出しリスト」から目の前にある情景や被写体に対して、どれをchoice(選択)するかが重要な見せどころであり、貴方らしさを発揮するポイントでもあります。choiceは2.のReal side分析から得た素材情報を元に使えそうな撮り方をリストから見つけます。それは被写体の特徴であったり線や色などのデザイン要素、光の様子といったことからヒントを得ます。

上の作品では南房総にこの時期に咲く頼朝桜(河津桜)のツーリングシーンですが、全体を桜の花で埋め尽くす構図を作り頼朝桜のピンク色を印象付けました。そしてわずかな隙間にR1200GS-ADVENTUREを配置する「のぞき窓構図」を採用しました。そして近景になる桜の様子がある程度明らかに表現できるよう絞りをF18まで絞り込みました。私の撮り方の引き出しリストを検索した結果・埋め尽くす構図・のぞき窓構図・近景から深い深度で魅せる などがヒットしてそれをchoiceしたのです。




EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

もう1つ作例をご紹介します。この作品は富士五湖の1つである精進湖で撮った1枚です。太陽を画面内に入れてしまう強烈な逆光のツーリング写真です。

このとき私は道路という限られた撮影スペースでいかに富士山を望む精進湖の雰囲気を表現しようか模索しました。Factorの解明、Real side分析、Heart sideを感じ取るプロセスで富士山や精進湖といった固有の被写体がどうこうではなく、この強烈な光が存在する空間に心が動かされたのだと思いました。そこで撮り方の引き出しリストに検索をかけて、そのイメージにぴったり合うものがないか探しました。

強烈な光が心に突き刺さったツーリングシーンなのですから、光が記憶に残った記憶色風景を演出してみようと思いつきました。記憶色風景であれば抽象的な表現の1つとしてレンズフレア、ゴーストを使ってみようとなったのです。逆光時に発生する光学的なレンズゴーストは一般には嫌われる傾向ですが、私は好きなので積極的に使うことが多いです。八角形のゴーストがR1200GS-ADVENTUREに向かって光の宝石を散りばめるように…あるいはキラキラと注ぎ込まれるようにカメラアングルを探ってみました。

これは事前に撮り方の引き出しリストの中に「ゴーストを被写体に散りばめるの術」を持っていたからに他なりません。忍法みたいですが分かりやすく言うとそうです。

撮り方はある種の演出なので賛否あるものです。中にはそういった手法はあえて使わない写真家や撮り方を感じさせない巧妙な構造の写真を好む写真家もいます。ドキュメンタリータッチなナチュラル写真を撮るベテランは星の数ほど持っている引き出しリストから「1つも使わない」をchoiceしているのです。




5.uniqueさをプラスオン

ここまでのプロセスで試し撮りをした画像を確認し次のように自問してみましょう。本当にこれでいいか?普通すぎやしないか?意外性、驚き、おもしろさ、珍しさなど最後のひとひねりを加えることはできないだろうか?と。

RICOH GR

美しい景色を撮るべきだ!とかカッコいい写真を撮らねばいけない!と執着心のようなものがあると柔軟な発想は出てこないものです。ユニークさはいつも楽しんでいる心から生まれるものでツーリングを、写真を撮ることを、心から楽しむことを忘れずにいましょう。

ユニークな被写体を見つけたら擬人化してみて「ここで何をしているんだい?」と話しかけてみたり、カメラを持って遊んでいる自分の影を撮ってみたりアイデアは無限大です。いつも美しい景色やカッコいいバイク写真ばかりを求めていた自分が馬鹿らしく感じるほど楽しいですよ。




EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

そんなユニークな発想力を日常的に鍛えていれば、ある日突然としてツーリング写真の中にユニークをブレンドして目からウロコの写真を撮ってしまうものです。それはかつて誰も撮ったことのないような写真を斬新な表現として誕生させます。

さらに愉快なのはそんな写真を撮ってしまった”未知の自分”の発見です。自分で撮っておきながら「なんだこの写真!」と笑いがこみあげてくるでしょう。そうなると発想力はさらに柔軟になりuniqueとinspirationの無限ループは成立します。

inspiration、つまりひらめきとは考え抜いても気張っても出てくるものではありません。IPS細胞の研究で有名な京都大学の山中教授も「ひらめきは脳のリラックス状態から生まれる」と言っていました。まずは撮影地で少し散歩するような気分で歩き回ってみましょう。奇想天外な何かを授かるかもしれませんよ。

それをキャッチしたら作品にプラスオンするのみです!

にほんブログ村 バイクブログ バイク写真へ
にほんブログ村

にほんブログ村 バイクブログへ
にほんブログ村


バイク旅ランキング

次回、ツーリング写真家の撮影現場7つのプロセスの最終回でございます。お楽しみに!!

上級者がスランプに陥ったときの脱出方法

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、お正月の運動不足、食べ過ぎでダラけていませんか?私は元旦から仕事ではありましたが、お酒や食べ物はつい気がゆるんで普段よりも不摂生してしまいました。

年末は連休をいただいたので2019年の最後のキャンプツーリングを2泊で楽しんできました。しかし真冬だというのにキャンプ場はファミリーやその他のカーキャンパーで溢れかえっていてガードマンまで出動するというカオスでした。その昔、真冬にキャンプなんて変人扱いされたものですが、時代は変わりましたね…。

さて今回は少々大げさなタイトルですが写真キャリアを積んだベテランであれば誰もが通過点となる、写真に関わるお悩み「スランプ」の脱出方法について偉そうに書いてみたいと思います。

RICOH GR APS-C

カメラやレンズの使い方、構図や露出などの撮り方、被写体への理解、そして数々の失敗作と成功作。これら写真に関わるあらゆることを経験してきたベテランが、最初に当たる壁は表現やスタイルの問題ではないでしょうか?

万人に受ける写真が良しとされるのか?分かる人にだけ分かってもらえる写真が良いのか?

美しい、驚きといったインパクト系の写真が良いのか?地味でも伝えたい事がきちんと写っている写真が良いのか?




表現の世界であるからには見てくれる人の存在があって成り立つ訳ですから、見る側を全く無視するのは出来ませんよね?しかしあまり意識しすぎると個性が消えてしまい上手なだけの記録写真になってしまいます。そしてそういった写真は既に他の誰かが撮っているものです。

上の写真はいつも通りの私の大好きな撮影シーン、ツーリング先での漁港です。毎度、すごく地味な写真でこのような写真を見ても喜んでもらえる人は稀なのは、何より私自身が理解しています。故にこういった写真が大好き!という人に巡り合ってしまうと怖いぐらいに意気投合してしまうのですが、それはそれで嬉しいものです。

この写真をSNSで投稿しても「いいね」もコメントも少ないです。もちろんコンテストに応募しても入選は難しいでしょう。しかし全く気にしません。好きなものを好きなように撮るのが最高に楽しいからです。反応が薄いのは正直に言えば少し寂しいですが、SNSやコンテストが何なのか?を考えれば簡単です。SNSは近況報告やコミュニティーを楽しむもの、一部の人は承認欲求を満たすもの。コンテストは他者との比較によるコンペです。主催サイドの意向に合致している作品であるか審査し優越を付けるのがコンテストです。

私がSNSの反応を気にしていないのは写真を通して承認欲求を満たそうとはしていないからです。承認欲求とは他者に自分は立派であると認めてもらいたい欲望のことです。簡単に言ってしまえば「どうだ俺、写真うまいだろう~、俺のカメラ凄いだろう~」という見栄や自慢という事ですね。

RICOH GR APS-C




もっと「いいね」をもらいたい、コンテストで入賞したい、もっと人々を驚かせてみたい、こういった欲求は決して悪い事ではありませんが、これに支配されてしまうと自分の撮りたい「好きなものを好きなように撮る」を見失って、たちまち写真を撮る楽しさが消えてしまいます。

楽しさが消えると連鎖反応であらゆる大切なものも消えていきます。楽しんでいないと出会えない、楽しんでいないと気が付かない、楽しんでいないと表現できない。他にもたくさんあります。結果、いい写真など撮れず最終的にpassionも消えてしまいます。昔、ある先人が人生における効率で最も非効率なのは悩むことで、最も効率が良いのは楽しむことと言っていました。

ここまで書けばもうお分かり頂けたかと思います。スランプはいつも楽しめていない時、人の目を過剰に気にしているとき、欲求や得体の知れない何かに支配されているときなのです。

「あ…私そうかも…」と気が付いた貴方はすぐに軌道修正に取り掛かりましょう。好きなものを好きなように撮って、これが私流、俺スタイル、とにかく私の場合はこうです!という自分の主張をこれでもか!と盛り込んでみましょう。上級者なら他人のコピーなどやめてインスピレーションを信じて独自の表現を貫いてみましょうね。それはSNSで発表しても「いいね」は少ないかもしれませんが素晴らしいことです。

リコーGR APS-C

「でもそれって自己満足の押し売りじゃない?」という疑問も出てくると思います。いいえ違います。確かに写真をはじめたばかりのビギナーの頃は、写真は人に見てもらう表現の世界なのだから、自己満足ではいけませんよ…と教わった記憶がありますね。もちろん正しいことですが、ここで言う自己満足とはただ撮ったという中身のない画像を他人へ見せるのはやめましょう、という意味で今回の解説でいう「自分の大好きを好きなように撮る」とは本質的に異なります。




大丈夫です…あなたが本当にツーリングを愛しているのなら難しいことに悩まなくてもきっと撮れます。

ツーリングで出会うものをキャッチする受け皿になる感じです。「いい写真を撮ってやるぞ」というハンターにならないよう気を付けましょう。

以前も書いたことがありましたがインスピレーションを生み出すのはいつもリラックス状態です。楽しい、落ち着く、のんびりと…といった穏やかな精神状態のときにインスピレーションは生まれます。もし精神状態の構築が難しいと感じるなら簡単な方法が一つあります。それはバイクを停めて写真を撮り始める前に、15分くらいで良いので撮影地を歩いてまわってみましょう。気楽に歩き回るだけで楽しさ、落ち着きといったリラックス状態がつくれますよ。

今回はこの辺で!!

にほんブログ村 バイクブログ バイク写真へ
にほんブログ村

にほんブログ村 バイクブログへ
にほんブログ村


バイク旅ランキング

ドレミファ構図で決める☆ツーリング写真におけるデザイン~リズム編

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今年も残すところわずかになりましたね。年末のお仕事、家の大掃除など何かと忙しい日々を送られているのではないでしょうか。それと愛車の洗車と整備、カメラのレンズやセンサーの清掃もお忘れなく。

つい先日、職場の近くで私のファーストバイクと同じ1990年のVFR400R(NC30)を見かけました。そのバイクはオリジナルを忠実に保存した個体ではなく、90年代の走り屋スタイルを再現したバリバリのカスタム車両で思わず見入ってしまいました。オメガの耐久カウル、ヤマモトのマフラー、コワースのバックステップ、ブルーフォックスのレーシングパーツなどなど… 約30年前に自分が走っていた頃に峠や埠頭でよく見かけた懐かしいスタイルです。

さらに驚いたことはオーナーさんがとても若い方だったこと。20代前半でしょうか…てっきり私と同年代の人が当時を懐かしく思い復活させたNC30なのかと思いました。4輪も同じようなことが言えますが安全面、環境性能、生産コストなど様々な背景でむかしはOKだったけど今は作れない。そんな時代なので20~30年前に作られていた車やバイクが若い世代の人から見て魅力的に感じるのはごく自然なことかもしれませんね。




さて今回は久しぶりに<上級>ツーリング写真解説として写真の基礎工事とも言えるデザインの話をしてみたいと思います。

EOS6D Mark2

以前にも究極のツーリング写真では何度か写真におけるデザインのお話を解説してきました。写真におけるデザインとは主に色、線、図形、規則的なパターン、立体感、質感、シェイプなどですが、今回はリズムを解説してみたいと思います。

この写真は関東地方で最も遅い紅葉と言われる養老渓谷の近くで撮影しました。秋の台風で塩害があったため、例年ほど美しく色付いてくれませんでしたが、それでも赤や黄色の葉に午後の太陽光が透過する様子が素晴らしかったです。

ここでは「午後の光が紅葉を透過して降り注いでいる空間」として表現できるよう、光や空気の様子を大切にフレーミングや露出を決めました。このように全体が赤、黄色、オレンジが主体となると写真デザインの上で「色」の要素が効果的になり、とりわけ暖色として見る人に暖かさ、安心感を与えるものです。

しかし紅葉した葉の密度を上げる目的で150mm望遠を使用したので、すこし奥行きが失われてしまいます。それを木の幹をリズム配置して補ってみました。




木のある風景を撮るときに紅葉した葉や花をつけた桜などに気をとられすぎて、つい幹の存在が手薄になってしまうものです。木の写真の多くの場合、幹の様子をしっかりデザインとして取り入れるかで安定感が決まります。重要なポイントなので覚えておきましょう。

写真の観賞者とはその写真をぱっと見た瞬間に、写真内で視線を右に左に走らせています。その無意識下で動く視線の動きは写真の中に誘導係がいないと泳いでしまい「この写真に関心の対象はない」と思われてしまうものです。しかしデザイン要素で効果の高いS字曲線やカラフルな色が存在すれば、極端に言ってしまうと被写体が何であろうと「おっ」と感じる写真が成立するものです。

この作品ではピンクの枠で囲ったように木の幹の様子をドレミファソラシドで配置するよう意識してみました。これだけで観賞者の視線はかなり楽しめますし泳ぐこともありません。もちろん見る人にそのような知識などなくても、あくまで無意識下で視線を楽しんでいるという意味です。




ポイントはデザインに使えそうなリアルサイド(現実の様子)を最初に洗い出して、構図内に使えそうか検証することです。それと忘れ勝ちなのは悪影響してしまうデザイン要素は画面外に排除すること。被写体を串刺しにしてしまう垂直の貫通線や色であれば色相環で補色とはほど遠い組み合わせを見つけた時などです。

あっ、紅葉の木々からの光にぬくもりを感じた…といったハートサイドでのアプローチも大切なのでお忘れなく。

今回もマニアックな話だったなぁ…誰も最後まで読んでないかも…

しかしまた書きます!今回はこの辺で!!

にほんブログ村 バイクブログ バイク写真へ
にほんブログ村

にほんブログ村 バイクブログへ
にほんブログ村


バイク旅ランキング

上級者なら直感で比率を作ろう☆究極の黄金比は勘でOK

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、食欲の秋なのでツーリング先でもつい美味しい物を食べ過ぎてしまう季節ですね。

私も健康のために少しは減量したいのですが、こう涼しくなってくるとツーリング先でつい美味しい物を食べ過ぎてしまうものです。そこで何とか楽をして対策できないものか?と調べていたところ、難消化性デキストリンなるものを発見しました。これは特保のお茶などに入っているそうなのですが、食事による糖の吸収を穏やかにしてくれるのだとか…。

薬品ではなくトウモロコシ等から作ったデンプン成分なので、無味無臭で副作用などなく、食事のときに飲み物に溶かして飲むだけで良いそうです。バランスの良い食事に適度な運動…が一番良いのは分かってはいるのですが、それがなかなか長続きできないので、難消化性デキストリンをしばらく試してみたいと思います。




さて今回の<上級ツーリング写真解説>では今まで当ブログで何度か解説してきました、比率のお話をさらに掘り下げてマニアックに解説してみたいと思います。ビギナーの方はサラッと読んでご参考までに。

フィボナッチ数列の「黄金螺旋構図」

比率と言うと例えば画面に海と空といった具合にスペースが2つ発生したとき、あるいはバイクと鉄道といった具合に2つの被写体が存在するときなど、両者の大きさや面積、存在感などの比率を撮影者の意図で作る比率のことですよね。

比率を意識しないで撮れば意図なき2等分を作って陳腐な構図に陥ったりと何かと写真の世界では重要と言われる比率です。

比率はエラい順に並べると黄金比(1:1.618)、白銀比(1:1.1414)、1:1.5、青銅比1:2.303といった具合になります。有名な三分割構図も黄金比で割った三分割線「ファイグリッド」があったり、ダビンチの絵画のようにフィボナッチ数列のスパイラル曲線で作られた「黄金螺旋構図」なんてのもあります。

こういった黄金比や比率の知識は写真をやっていく上で重要なことですが、撮影地で精密に1:1.618を測定する術はありませんよね?ではどうしたら良いでしょう?

私の出した答えは極めて単純です。「だいたいこんなもんかな」という勘でOKだと思います。もし心配なら比率の微妙に異なるカットを数枚撮っておいて、帰宅してからどれが理想的な比率なのかを選別すれば良いと思います。




EOS6D Mark2 + EF14mmF2.8L

先日、館山市の天の川のスポットで再び写真を撮ってみました。8月も後半になると天の川の位置がだいぶ北よりになってしまい、このポイントでは道路とからめて構図するのが苦しくなってきました。これが7月の初旬くらいですとS字の先にちょうど天の川が位置するのですが。

この時、暗闇の中で肉眼ではよく見えない景色を相手に構図を作るのに苦戦しました。とはいえ美しい天の川と満天の星空に興奮をおさえきれず夢中になって撮っていたのですが。

まずS字を描く道路と組み合わせるのに選んだのは縦構図で斜めにしてしまう方法でした。斜め構図は通常は避けたい撮り方ですが異空間という演出には効果的ですし、斜め構図によって失われた安定感はS字の導線効果が補ってくれます。

それから水平線と天の川の中心線の位置関係ですが、私はこの撮影地で三角構図に当てはまらないかとイメージしていました。しかし出来あがった写真をLightroomのガイドオーバーレイで三角構図を表示して照らし合わせてみましたが、三角構図とは少し違っていたようです。




実際に線をトレースするとこんな感じです。水平線と天の川が90度であるのは三角構図に近いですが、何とも不思議な構図です。ポイントは測る術はありませんが①と②のエリアが黄金比1:1.618なのでは?という事です。

①と②のエリアの比率は正直、現場では全く意識していませんでした。ただ1つ覚えているのは試し撮りの画面をプレビューしたときに「よく分からんけど、何となくしっくりくるな」と感じたことです。

結論を言ってしまえば有名な〇〇構図には当てはまりませんが、成功した構図と言えそうです。地上部にはS字導線で視線誘導と安定を、夜空には天の川の右と左のエリアで黄金比を。空と地上の割合も白銀比に近い…?くらいにはなっていると思います。

黄金比1:1.618はDNAやオウムガイの断面構造など自然界に数多く存在する神秘の比率です。DNAにも通ずる比率なのであれば人間の直感に任せてしまっても強ち間違いとは言えません。端的に言ってしまえば黄金比は直感的に良いと思った比率ということです。

比率やグリッド線といった知識は確かに大切ですが、スケールのような物を当てがって景色を測定することはできません(近い将来は出てきそうですが)。知識は知識として脳内のどこかに置いておいて、撮影地では自分の直感を信じて比率を作ることも上級者には求められる能力なのかもしれませんね。

今回はこの辺で!!!

にほんブログ村 バイクブログ バイク写真へ
にほんブログ村

にほんブログ村 バイクブログへ
にほんブログ村


バイク旅ランキング

インスピレーションの有機栽培<上級>ツーリング写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、前回より<上級>ツーリング写真解説として・写真家脳の使い方を再考しましょう・思考は妄想の渦を巻いている・issue drivenとvision driven の違い、などをお話しました。

今回はその続きで妄想の渦はインスピレーションを生み出すための種まきをしている、という話をいってみたいと思います。

インスピレーション、それは「ひらめき」の事ですが、なにか妙案はないものだろうか?と考えてもコレだ!と思える案が浮かばなかった…こんな経験、どなたにもあるかと思います。

そもそもインスピレーションは考えても出てくるものではなく、リラックス状態で妄想渦が瞬停したような時に突如として生まれてくるものです。「そうか!そのテがあったか!」と思わず膝を叩いてしまうインスピレーションが生まれた時は、考えるのをやめてボーっと海や空を眺めている時だったりします。




そう、写真もビジネスと同じで欲しいのはインスピレーションです。誰も撮ったことのない写真で印象や個性を表現できれば、何にも代え難い喜びがあるでしょう。

しかし、考えても生み出すことのできないインスピレーションはどのようにして手に入れるのでしょうか?ヒントは妄想 Vision driven にあります。日常的に妄想の渦を脳内でまわしている人は、その時にインスピレーションの種を脳内に撒いているのです。妄想は想像力を柔軟化し自分独自のナチュラルなインスピレーションを生み出してくれる胎盤のような機能をもっています。

話し相手もいなくテレビを見るわけでもない。何もしていない時に脳内で渦をまく妄想。お風呂に入っているときや散歩している時など、心がリラックス状態のときに妄想は活性し良質なインスピレーションの種まきをしています。

良質な…と書きましたが妄想には悪質な側面があるのも事実です。人の心を傷つけたり、破壊的なことを妄想したり、犯罪を企てたり、被害妄想なんていう言葉もある通り、妄想は必ずしも良い結果を出すとは限らないのです。

日々、ニュースで聞く振り込め詐欺の手口なんかも、最初に考えたやつは妄想からインスピレーションを受けて生み出したはずです。現実とは受け入れがたい残忍な凶悪犯罪も最近はよくニュースになりますが、それも同じだと思います。仏陀の教えでは妄想の渦を断ち切る教えがあるそうですが、妄想は使い方を間違えれば負の要素となることも覚えておきましょう。

そうと分かれば日々、流されるように妄想にふけるのではなく、良い妄想を意識して心の状態をポジティブに保つことが重要になってきます。優しいことを妄想する人は優しいことを実際にするし、破壊的な妄想をすればやがて犯罪を犯すかもしれません。夢を抱いている人はそれを実現した自分の姿を妄想し、日々それに近づけるよう努力するのでしょう…。毎日妄想することは将来の自分のセルフイメージの構築でもあるのです。

いつも楽しい、おもしろい、素敵、美しい、かっこいい、可愛い、オシャレ、夢のような・・・といったポジティブな妄想をする習慣をつけることです。これを質の良いインスピレーションの有機栽培といいます。

日頃からインスピレーションの有機栽培をしていれば、いざ旅に出たときに風景を前にしてissue drivenだけではなくvision drivenを自然と使えるはずです。そして究極のリラックス状態を作ったら自然と生まれたインスピレーションをキャッチするのみです。




インスピレーションを生まれやすくするヒントは脳の使い方だけでなく、肉体的な部分にも鍵があります。それは足または手を動かして作業に没頭することです。以前に<初級>ツーリング写真解説で撮影シーンで1枚だけシャッターを切って終わりにするのは勿体ない、デジタルカメラ主流の現在であればシャッターを何度でも切って試行錯誤し、探り当てるように撮ってみよう!という解説をしました。

あの解説は単に「いろいろ試してみようよ」という事だけではなく、手を動かして作業に没頭する、アングルを探るのに足で動き回ることにより脳内のVision driven 回路が活性化するという効果もあるのです。

リコー GR APS-C

むかしバイク用品メーカーにいたときに新製品の発売日が迫ってしまい、しかし中国の工場からの入荷が遅れてしまった…なんて事が頻繁にありました。そうなると入荷後に国内で行っている作業は日程が押してしまい、普段は人任せでしたが自分も加わってお手伝いをしたものです。

タンクバッグのフラップに磁石を入れる作業、説明書を折って袋に入れる、パッケージ台紙をホチキスで留める、段ボールへの箱詰め…どれも1000個、2000個とある同じ製品を流れ作業でこなしていく単調作業です。ちなみにタンクバッグは縫製時にミシン針が磁石に引っ張られてしまうため、完成させた後に磁石を入れるのです。

ある日、私はそんな完成品工場の流れ作業でひたすら袋詰めをしていました。作業開始から1時間もしたころ、周囲の仲間との会話も尽きてしまい静かな中で黙々とやっていたら、ある製品のことで行き詰っていた問題を打開できる妙案を突如として思いついたのです。これは単調な作業で緊張感もストレスもない仕事→リラックス状態になっていた。そして手を動かしていたことでVision drivenが活性化していたことが要因と思います。




あのIPS細胞の京都大学 山中伸弥教授も最初にIPS細胞の実現に関わるアイデアをひらめいた時はご自宅でシャワーを浴びていた時に突如として授かったのだそうです。これもリラックス状態とシャワーで手を動かしていたことが要因ではないでしょうか。

EOS6D Mark2 + EF14mmF2.8L

こんな写真はかつて無かった、新しい写真のスタイルだ、といったブランニューを生み出すにはインスピレーションが命であり、それを授かるには日々の良質な妄想(Vision driven)の種まきが大切なのはお分かりいただけたでしょうか?

えっ?よく分からなかったですか?では今回のお話をLEGOブロックで例えてみましょう。パッケージや説明書にある完成作例を見て、それと全く同じものを作るのではなく、ブロックで何を作るかを考えるのがvision drivenという事です。いくら考えても何を作っていいかアイデアが出てこないときはissue drivenを使っているのが原因です。リラックスして楽しい気分でブロックに触れて手先を動かす。そうするとアイデアはパッと突如として出てくるのですね。

もちろん何か問題が発生したときや迷いが生じたときはissue drivenを機能させても良い訳です。ここでは人間の思考回路にはVision drivenとissue drivenがあり、それぞれの役割と特徴を使い分け、そして日々の妄想から写真家脳を育みましょう!といったことを書いてみました。

それではまた!!

にほんブログ村 バイクブログ バイク写真へ
にほんブログ村

にほんブログ村 バイクブログへ
にほんブログ村


バイク旅ランキング

 

妄想の渦と想像と…<上級>ツーリング写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今回は久しぶりに<上級>ツーリング写真解説として想像力や写真家脳のお話をいってみたいと思います。事前にお断りしておきますが主観的な内容で難解ですので、そういったのは苦手だ!という方や写真ビギナーの方は読まなくても大丈夫です…。

「妄想」と聞くと多くの方があまり良いイメージをもたないかもしれません。しかし特にビジネスの世界では近年になって妄想や直感が大きな成功や発展をもたらすと注目されているのだそうです。妄想、直感、勘…といった人間の感覚の世界は数字的な根拠がないので従来はビジネスでは否定されてきましたよね。私も前職はメーカー系で企画開発をし、前々職は大手のメーカー系でしたので嫌と言うほど数字を元に仕事をしてきました。

しかしなぜ今、数値的な根拠ではなく妄想や直感が注目されているのでしょうか?

記憶に新しい例えですとスズキ自動車が中国市場から撤退を決断したニュースがそうです。あの鈴木修会長は数字的な根拠なく中国という10億人市場から撤退を決意した訳ですが、それは他の何でもない鈴木会長の直感で決めた訳ですよね。

大手企業などの有能な経営者にこういった直感や妄想で仕事をする感覚派の人が多いのだそうです。

そもそも人間の脳内は妄想や直感を司る部位と数字的な根拠で分析したり問題を打破する思考回路などは全く別の部位と言われます。前月比120%の成績を今月の目標とする、といった具合に少し頑張れば達成できそうな目標は「どうすれば出来るだろうか」という問題解決型の思考回路でこれをissue drivenというそうです。一方で「こんどの新製品で社会現象といえるヒットを生み出したい」と言えば妄想型思考でこれをvision drivenというそうです。




前月比120%といった小さな目標は大切なのは間違いありませんが、大きな成長や発展を直接的にもたらすことがなく無難と言えます。issue drivenはいつも無難に良い成績を残す問題解決型の堅実思考回路な訳です。

とんでもない妄想を人前で言葉にすれば「この人はアタマ大丈夫だろうか?」と疑われる場合も珍しくありません。こんどの新製品で社会現象?なにを妄想を!と。しかし多くの偉大なる先人たちは実は完全なるvision driven型で常に妄想からvisionを飛躍させ少しづつ実現に近づけて偉業を成し遂げると言われます。

アポロ11号の月面着陸も最初に「人類を月に立たせる」と発言したときは周囲から冷ややかな目を浴びたでしょう。しかし、そういった妄想から偉業は生まれるためvision drivenはアポロ11号月面着陸のエピソードからムーンショットとも呼ばれています。

RICOH GR APS-C

では私たち写真を愛する人間にとって妄想は何をもたらしてくれるのでしょうか?

経験豊かな上級者の方でしたら豊かな感受性、写真家の目、写真家の足、写真に関わるあらゆる知識、そして写真家脳をお持ちかと存じます。その写真家脳の使い方としてissue drivenとvision drivenの使い分けについて考えてみたいと思います。

まず問題解決型のissue drivenですが、こちらは前述したように現状の問題点について解決策や正しい答えを探す思考回路です。ツーリング先で「おっここはいいぞ」と思ってバイクを停めて、いざカメラの準備をして撮影を開始したはいいけど、具体的に何をしていいか分からなくなったとき。この場合、どう撮るのが良いのだろうか?被写体Aを主題にして被写体Bが副題が良いのか、あるいはその逆が正しいのだろうか?といった具合に現状の問題を打破する思考回路です。

写真のビギナーの方は分からない事だらけなので、撮影シーンではissue driven回路だけが活発に働いていると思います。この場合は望遠レンズがいいのか?広角レンズがいいのか?と焦点距離を決められない、という問題を解決するためのissue driven思考回路な訳です。

RICOH GR APS-C

しかし冷静に考えてみるとissue drivenでは正解探しをしているという事なので、既に誰かが過去に実績を出している既存の撮り方を探しているだけとも言えます。これでは傑作を狙うどころか無個性は回避できません。




どこかで見かけたような写真を無意識にお手本のようにしてしまい「そのように撮るのが正解」としてしまえばそれはissue driven思考回路の仕事であり、それっぽい正解が見えればそこで終わりです。

これによって生まれた写真は悪くはないかもしれませんが「画一化されたうまい写真」の枠から出ることはできず、目標を達成したようで実は平凡な着地点なのです。

RICOH GR APS-C

では妄想であるvision driven はどうでしょう。そもそも妄想について今一度考えてみましょう。妄想は誰とも会話していない時、ぼーっとして何もしていない時、人は脳内で様々な思考を遊泳させています。かく言う私も通勤電車に揺られているときや、駅からバス停まで歩いている時などに、かなり妄想しまくっています。

脳内の妄想はぐるぐると渦を巻いて大きくなったり消滅したり、突然別の妄想渦を生み出したりを繰り返しています。

夏の北海道ツーリングで諸事情(台風でサンフラワーが欠航)で東北自動車道を青森まで自走!なんていう時は嫌気がさすほどの長時間を淡々と高速走行させる訳ですが、そんなときも孤独なヘルメット内で私の脳内は妄想の渦を巻いています。

学生の頃に好きだった女の子とオンネトーで偶然再会し、そこから2人で北海道をキャンプしまくるとか、腹黒い政治家に自分のツーリング写真を見せて、たちまちバイクツーリングの世界の虜にしてしまい、そして政治家はバイク乗りになって全うな政治をするようになったとか、地球の中心をつらぬく巨大トンネルがあったら、簡単にボリビアやチリにツーリングに行けるな…とか下らないことばかりですが。

しかし、そんな妄想がいったい何の役に立つのでしょうか?




ここからは私の完全なる主観なのですが妄想は想像力を活性させて脳内にインスピレーションの種まきをしているのだと思います。日常的に妄想をして想像力を刺激して、そういった脳はいざ写真を撮るシーンで独創的なインスピレーションを生み出すヒット率が高いのだと思います。

日常の忙しくはない何でもない時間。ぼーっと窓の外を眺めている時など。リラックスして妄想の渦をぐるぐるとさせる。実はすごく素晴らしいことなのだと思います。チコちゃんに叱られる筋合いはないのです。

長くなりましたので、次回はインスピレーションの有機栽培 と題して妄想がもたらすインスピレーションについて書いてみたいと思います。

にほんブログ村 バイクブログ バイク写真へ
にほんブログ村

にほんブログ村 バイクブログへ
にほんブログ村


バイク旅ランキング