写真観賞者の想像の取り分




EOS6D Mark2

2021年7月現在、私たちは長引くマスク生活を強いられていますが生活様式の変化の中で面白い発見があるのは確かです。例えば人前で話をするのがどうも苦手だ、という人がマスクをしていると緊張せずに人前で話せるとか、マスクをするようになって異性にモテるようになった気がするとか…そんな人、近くにいませんか?

マスク美人なんて言葉があるくらいですよね。マスクの下の様子が隠されていることで不足している情報を無意識に補完しようとする人間の心理だそうです。興味深いのは多くの場合で人は美しいもの、都合の良いものを想像するのだそうです。ある日、その人がマスクを外した顔を見たらガッカリしてしまった・・・という話を耳にしますが勝手に美しいものを想像したのがそもそもの原因なのですね。

見えない部分の情報を無意識に補完しようとする心理。アモーダル心理というそうですが写真にも同じような魅せ方が存在します。上の作品はそんな人間の心理を意識した想像誘導型のツーリング写真です。写真観賞者は写真をパッと見た瞬間に視線を走らせ認識しようとします。その結果を受けてその写真に自分の関心の対象があるのか、退屈なものかを判断します。




この作品の場合、少々やり過ぎ感があるのですがトリックアート的な要素も持ち合わせています。といっても本当にトリックアートな訳ではないのですが、扉がメイン被写体である時点で何やら不思議な世界に誘われているような雰囲気の写真、という意味です。まずライダーですが顔がフレームで見切れることで、この人物はどのような顔なのだろう?とアモーダル補完を誘います。歩む先に何があるのか?扉の中には何があるのか?写真を見ながら想像を楽しめる、言ってみれば観賞者に楽しみを与えた作品になっています。

さらに付け加えるとライダーの右手の後方に小さな人影があります。これは幽霊ではなく偶然に写った通行人です。本来であれば予定外に写ってしまったものは選別時にボツにしますが、この場合はユニークだな!と思い採用カットとしました。観賞者の想像の中に奇妙な緊張感を加える要素になると思ったのです。

一方でこういった観賞者の想像を誘う表現は難しい側面も持っています。とにかく異質なのでこのような写真ばかりを何枚もそろえて人にみせると嫌気がさしてしまう場合も。そのようにならないよう控え目に作れれば良いのですが加減は難しいものです。たまにやるから良いのかもしれませんね。




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春のツーリング写真☆撮影小物と写真演出について

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、間もなく3月も終わりですがいかがお過ごしでしょうか。私はスギ花粉のアレルギーなので桜の開花を過ぎてしまえば症状はもうありません。3月前半は目のかゆみが辛かったですが、これから一か月くらいはベストシーズンを満喫したいと思います。

さて春のツーリングといえば桜や菜の花の風景と愛車を一緒に撮りたいものですよね。SNSなどでも満開の桜やお花畑で撮ったバイク写真をよく見かけます。以前にも何度か解説しましたが、風景とバイクを撮るときは・バイクが主役で花は背景とする ・花のある風景を主体としその中に溶け込むようにバイクを置く のどちらかをハッキリさせましょうね。バイクが主役なのか風景が主役なのか曖昧にしないように。迷ったら両方撮っておけばOKです。

さて今回は写真の演出に関わる話題でございます。南房総、小湊鉄道のツーリング写真を作例に解説してみます。

究極のツーリング写真ではお馴染みの小湊鉄道の風景でございます。場所は月崎駅でこの季節は菜の花がたくさん咲いております。この場所でR1200GSをおいて気動車【キハ200】が来たところを写真にするという場面です。

まずは現場の様子をスマホで撮ってみたのですが、菜の花がたくさん咲いている場所を前景とし、バイクの向こう側が列車となるよう構図を練ります。




列車が登場するまでタップリ時間があるので落ち着いて試行錯誤です。まずは試し撮りの一枚がこれです。ちょうど菜の花のピークだったので傷んでいる花もなく手前の花の様子を表現しても悪くはないですね。しかし手前の緑の部分がゴチャゴチャしてお世辞にも美しいとは言えません。背景に駅の看板がありますが、あれはきっと列車が来たら隠れると思われます。

ここで撮影小物の登場です。これ、ダイソーで売っている菜の花の造花です。本物を摘み取ってしまうのはお花が可哀そうですからね。右の白いアームはホムセンの店舗用品コーナーでよく売っているヤツですね。




はい、こんな風に使います。三脚のエレベーターにアームを固定し、もう一方に菜の花の造花を付けてあげます。レンズの直前に花がくるようセットするのです。

少し絞りん混んで試し撮りしてみました。ゴチャゴチャしていた緑の部分をレンズの直前に置いた菜の花の造花で隠し、1レイヤー追加した奥行のある構図です。しかしまだ釈然としません…見る人には分からないかもしれませんが、本物と造花の違いも微妙に出ている気がします。

それに緑の部分のゴチャゴチャ感も完全に消えた訳ではなく、このままではイメージに届かないのでここは大胆に絞り開放でいくことに決めました。




EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

はい、絞り開放でF2でございます。インターバルタイマー1秒毎で枚数無制限。小湊鉄道も日本の鉄道ですのでダイヤ通りぴったりに列車がやってきます。Lightroomでの仕上げはシャドウを上げて全体を明るい印象に、明瞭度を下げてフォギーに仕上げてみました。ふんわりと春の温かみを感じる風景写真といった感じですかね。

ところで本題の【写真の演出】のお話ですが、こういった写真に加える演出については本当に人それぞれ考え方が違うものです。今回の造花を使った方法なんて悪い言葉で言えばインチキですからね。写真は現実を正直に伝えるのが正義であり、演出を加えるのは嘘と同じ!観賞者を騙す行為だ!とおっしゃるナチュラル派の権威も存在します。

しかし写真に演出を加えるのは果たして本当に悪なのでしょうか?もし見たままの現実こそが正義だ!ということであれば、例えばシャッター速度を落として流し撮りすることや、望遠レンズを使うことだって見たままではないのでNGとなる訳です。これらは古典的な手法で一般に浸透しているからOKだ…と言えばそれでは矛盾が生じます。昔から知られている演出は良いけどそうでないものは駄目という事ですからね。

突き詰めていけば完全ナチュラルを追求するほど無理が生じるものです。綺麗な風景を前に写真を撮るにあたって、地面にゴミが落ちていれば拾いますよね。しかしそれを「ゴミが落ちていた風景に手を加えた演出」となればいよいよおかなしな話です。

今、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムであのロベール・ドアノーの作品展をやっていますが、ドアノーの代表作である「パリ市庁舎前のキス」をご存じでしょうか?あれは発表当初は偶然にもカップルがキスをしている瞬間をドアノーが撮ったものとされていました。ナチュラル写真の権威からは「これぞ演出のない本物のスナップだ!」と称賛されましたが、何十年もあとにドアノーがカップルにキスのやり直しを依頼して撮った…とカミングアウトし、実は作品が演出だったことが公になったのです。当然、作品を称賛したナチュラル派達は面を食らったそうですね。その道のプロが演出を見抜くことが出来なかったのですから。

このように写真の歴史に名を遺す偉大な写真家でさえ演出をしているのです。そして専門家でさえ演出を見抜くのは難しいのです。大切なことは自分の中で写真に加える演出についてしっかり考えを持っておくことだと思います。私の場合はイメージの写真を実現するにあたり、今回のような小物を使うことに躊躇いはありません。前景が欲しくて咲いている花を摘み取ってしまう人よりうんとマシだと思います。

ただ一つ確かなのは今回の私のように撮影裏を公開するようなことはしない方が良いと思います。私はこのブログの運営に写真解説という目的があってやっていますが、皆さまは「実はこうやって撮りました」などという種明かしはどうかしないでくださいね。

今回はこの辺で!!

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これさえ出来れば立派!簡単だけど勇気のいるバイク写真の撮り方

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、当ブログをブックマークしていつも見て頂いている方は写真の方は上達しましたでしょうか?もう2年ほど前から投稿のコメント欄は閉じてしまったので、書いている私自身には皆さまの反応が分からないのですが、きっと少数だとは思いますが「上達したよ」「究極のツーリング写真の解説が役立ったよ」という方がおられることを願います。

さて、今まで究極のツーリング写真ではツーリング写真、バイク写真、バイク風景に関わるあらゆるノウハウを書いてきました。中には忙しい方向けに「これだけ押さえておけばOK」といった即効的な撮り方も書いてきましたが、今回は本当に簡単なことをご紹介してみたいと思います。

本当~?以前もそんなコト言って、結局できなかったよ…信じられん。という貴方もご安心ください。今度こそ即効的な撮り方でございます。…が、しかし少しだけ、ソレをやるには勇気がいるかもしれません。




まずはいつものパターンですが撮影地の様子の写真がこれです。私がここで何をどうして写真を撮ったか?のプロセスを解説いたします。

この場所は千葉県市原市の人気ローカル鉄道「小湊鉄道」でございます。菜の花の咲いた春の景色に右手の線路から小湊鉄道の気動車【キハ】がやってくる所をツーリング写真として撮ってみましょう。春の季節感ある鉄道風景、そんな場所へやってきた素敵なバイク旅のイメージです。

まずはこの状況を受けて「どう撮るか?」イメージの写真を練ります。念のため書いておきますが【イメージの写真】とは写真を撮り始める前に、脳内に描く空想の写真のことです。こう撮りたい!というイメージなくして良作は成し得ません。

しかし…どうでしょうか。この場所。菜の花が咲き乱れた小径は素敵ですが、民家や電柱など写したくはない余計なものが結構ありますね。こういった時は???そうです望遠の画角を選ぶと余計な物は画面内に入りにくくなります。

バイクのある場所から小径を歩いてうんと離れてみました。画角は135mm。左側は菜の花を主題に構図しましたがR1200GS-ADVENTUREの左に民家が入ってしまいました。それを嫌って立ち位置を左に移動したのが右側の写真。しかし、これでは菜の花が主役なのが小径が主役なのか曖昧になってしまいました。木製の杭も一気に仕事をしなくなった感じです。




先ほどの撮影場所からさらに後ろに下がるとこんな場所を見つけました。矢印の位置にカメラを置くことで超近景(カメラの目の前)に菜の花を置くことができそうです。これで画面全体を黄色にできないか試してみましょう。

はい、こんな感じです。カメラの位置を微調整するのに手間がかかりますが、ようやくイメージに近い写真になってきました。最初の写真よりもずっと雰囲気があるのがお分かり頂けると思います。特に小径がS字として入ったことでデザイン上の視線誘導線としても機能しています。

右側はカメラの目の前に菜の花を置くことで画面全体に黄色のフィルターがかかったような表現となっています。絞りを解放することで大きなボケ味で表現するツーリング写真ですね。

さて、この先が今回の投稿の本題でございます。




EOS6D Mark2 + EF135mmF2L

はい、これが最終的な完成写真です。今回、読者の皆さまにお伝えしたかったノウハウとは大物キャストをあえて脇役で使うテクニックです。

小湊鉄道は平日の日中なら1~2時間に1本くらいしか列車のこないローカル鉄道です。せっかく長い時間を待って撮るのに普通なら列車を主役に撮りますよね。映画で例えるなら草刈正雄や役所広司をキャストで呼んでおいて、出番は数秒だけの脇役…みたいな感じですね。勇気のいることでしょう?

しかし、こういったことは一般のカメラユーザーにはなかなか出来ないことなのです。虹が綺麗に出ているとき、誰だって虹をメインに撮りますよね。そこで水滴の輝く花を主題に背景を虹とした写真を撮ったとします。それは少々勿体ない気もしますが素人には撮れない素敵な写真になるのです。なんとなくお分かり頂けるでしょうか?

           ~今回のポイント~
!!誰がみても「それが主役だろう!」という大物を思いっきり脇役で使う!!

ね?簡単でしょう?

ところで草刈正雄といえば最近、プライムビデオで「汚れた英雄」を見たのですが面白かったですね。今の時代に改めてみると何だか新鮮さもあります。

今回はこの辺で!!

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マニュアル露出に挑戦したい人へ

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、ツーリングのベストシーズンをいかがお過ごしでしょうか?東京の人もGOTOの対象になりツーリングで宿を使う人にはいいですね。ニュースによると高級なお宿の方がお得感があるので人気なのだとか。私も一度はツーリングで高級なお宿に泊まってみたいです。

ところでつい先日のことです。私のInstagramに海外の女性からコメントがありました。聞くとアメリカ人でイエメンの内戦地で活躍している米軍兵だとか…写真もセクシーな姿でジムにいるところや迷彩服で装甲車に乗っているようなものが…。どれもそれっぽいのがアップされているのですが、どこにもバイクや写真といった私の趣味との共通点がありません・・・。

そんな人がなぜ日本の私に??これ国際ロマンス詐欺っていうらしいです。やり取りを続けて親密なっていけば、やがて「私の家族が日本で家を建てるので手続きに必要なお金を立て替えてくれ」といったお金の話に発展します。嫌ですねぇ~こんなのばっかりで。皆さまもお気をつけください。

詐欺とそうでない人を見分けるポイントは共通点ですね。自分の趣味や好きなモノ、ライフスタイルなどSNSに挙げていることに対して相手にも共通点があるか?それと自分のPOSTに関心をもってくれているか?もポイントです。こちらの写真にまったく感想やリアクションなく一方的に「友達になろう」みたいな輩は怪しいです。これってリアルな人間関係にも言えますけどね。




さて今回はカメラの操作において露出を自分で決める「マニュアル露出」について書いてみたいと思います。マニュアル露出と聞くとプロとかカメラ上級者の域というイメージで敷居が高いと感じている人も多いかもしれません。ベテランの人でも夜景や星空の時しか使わない、なんて方も多いのではと思います。

新潟県佐渡市

多くのカメラに搭載されているAモード(絞り優先)、Tモード(シャッター速度優先)は写真の明るさを決める露出はカメラのAE(自動測光機能)にお任せです。自動測光した結果を受けて撮影者が露出補正を入れるのが多くの人がやっている手法だと思います。

一方でMモード(マニュアル露出)は絞りもシャッター速度も自分の任意で決めるので最初の基準がありません。景色の明るさを受けて絞りとシャッター速度の相互関係を加味し、数値を頭に浮かべなければいけません。おっここはF11の1/200でいこう!といった具合に。

「それはオイラには無理!」「アタシには一生できる気がしない」なんて言わないでくださいね。簡単なやり方があるのでご説明します。




まずはISO感度/F16の法則を使え

ISO感度/F16の法則をご存じでしょうか?ベテランの方でしたら「またずいぶん古い話を引っ張ってきたな!」とお思いになるでしょう。それくらい昔から言われている屋外撮影においての基本露出なのです。

地球上にいる限り、太陽との距離関係はどこに居ても同じなので明るさは一緒という考えです。絞りをF16に設定したらシャッター速度はその時のISO感度と同じ、例えばISO100なら1/100にすれば間違いないですよ!という意味です。

もちろん日中の屋外撮影で晴天であり、且つ太陽が雲に隠れていない時です。

何だか嘘みたいな話ですがNASAが国際宇宙ステーションから地球の様子を写真にするときにISO200 1/200 F16で撮る事、と言っているくらいですから信用して大丈夫です。冒頭の詐欺の話とは違います。

写真は光をとらえるもの・・・と同時に「撮影」という字の通り影を撮るものでもあります。よってART写真であれば光と影の様子を理想的にとらえた露出を目指したいところです。しかし評価測光はどうしても画面全体を平均で評価しパラメーターに基づいて決めるので説明的な露出になってしまい、光と影の様子を…なんて考えてもくれません。

ISO感度/F16で撮ると1/3か2/3段ほどアンダーじゃない?という写真が撮れます。そこですぐに露出を変えずに構図を再考してみましょう。その露出で撮るにはどう構図したら良いか?です。くどいですがもう一度「光をとらえ影の様子を撮る」の言葉を思い出すのです。当初は被写体を見て構図を考えたと思いますが、ここでは光と影を注視してもう一度、構図を練るのです。

言葉ではよく分かりませんが上の写真を見ていただければ意味がお分かり頂けると思います。光の存在を影を意識して撮るだけで、こんなに美しくなるものです。これが評価測光だと説明的な露出になってしまい光の美しさが出ないのです。




ISO感度/F16を身に付けたらそれを基準に徐々に露出の感覚を身に着けていくと、しばらくすると脳内露出計が貴方にも備わります。それはカメラに内蔵されている露出計より少しだけアンダーになると思います。

マニュアル露出を使いこなし露出の感覚を身に付ければ大きな自信にもなります。ビンテージのフィルムカメラも使いこなせるようになりすよ!ぜひ挑戦してくださいね!

今回はこの辺で!!

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ちょっと技アリな?スマホで撮るツーリング写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、最近のスマホってカメラ機能がすごく優秀ですよね。最新のiphoneでは一眼レフで撮った写真のように背景をボカしたり、暗部がつぶれないよう自動で調整してくれたりで本当に良くできています。

スマホのカメラ機能って光学的な部分がどうこうではなくアプリケーションのAIが気が利いているのだと思います。きっと撮影者はこう撮りたいのだろうな、という予測がすごく的確なのですね。これって普通のカメラにはなぜか搭載されていませんよね。カメラメーカーの考え方って露出でもフォーカスでも平均的な値を出すことに縛られているように感じます…。

しかしいくら最近のスマホのカメラ機能が優秀だからと言ってどんな写真も実現できる訳ではありません。強烈な逆光、超望遠、深度やピント位置を微妙にコントロールしたい…他にもありますがカメラではないと出来ない事はまだまだ沢山あります。

今回は一眼レフカメラとスマホがコラボしたような、少々の遊び心で作ったユニークな写真をご紹介したいと思います。

iphone???

先日、自分の体調不良と、とある所用が重なり休日であるにも関わらず家から一歩も外に出れない日がありました。




都の将軍様は言いました「一休よ、今日はこの家から一歩も出ずに最高のツーリング写真を撮ってこい」。

さあ、困りました。一休さんはオートバイに乗るどころか家から一歩も出ずにツーリング写真を撮るよう将軍様から命ぜられてしまいました。ここで一休さんは得意の「とんち」をきかせます。

 ポクポクポクポクポクポク…

 チ~ン ひらめいた!

まずはスマートフォンのカメラアプリを起動させ、画像は何でも良いのでスクリーンショットで保存します。ここではカメラアプリの枠だけが欲しいのです。そして保存したファイルを一度パソコンに転送します。




次に過去に撮った画像の中から良さそうな写真を1枚選びます。今回は海岸での朝日のシーンで撮ったR1200GSアドベンチャーの写真をセレクト。そして先ほど保存したカメラアプリの画像とペイントツール(ウインドウズに元々入っているソフト)で合成します。

別の画像と切った貼ったという合成はPhotoshopの仕事ですが、ここでは誰でもできるようペイントツールを使ってみました。

こんな画像ファイルを作ります。あたかもiphoneで撮ったみたいですね。そして、これを再びスマートフォンに送ってカメラロール等に保存しましょう。

あとはスマートフォンでこの画像を表示させた状態で、家の窓を開けて夕陽に向かってかざし、一眼レフで撮るのです。両手でスマートフォンを持つので一眼レフは三脚に固定してセルフタイマーを使いましょうね。

指の形は写真デザインの観点から、最も画面内で美しいと感じられるポーズを検討します。背景となる部分とスマートフォンの画面内の風景に、なるべく矛盾が発生しないよう絞りは開放を選択します。

これで晴れて家から一歩も外にでないで撮った、ツーリング写真の完成です!どうですか?将軍様!えっ?ずるいではないかって??それを言ったら一休さんだって結構ずるいですよ!




合成した写真はコンテストには応募しないでくださいね。それとSNSで発表する場合も、合成であることを事前に開示した方が良いかもしれませんね。あくまで遊びですので!

しかし、こういった写真は例えばあと10~20年後に見ると、また違った印象になるものです。だってiphone7なんて思いっきり時代性を写しちゃってるではありませんか。10年後に見たら「うわ~懐かしいiphone7だ!」、20年後に見たら「うわ~懐かしい、スマートフォンだ!」みたいなね。

今回はこの辺で!

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走りながら偶然をキャッチする奇跡のツーリング写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、だいぶ蒸し暑くなってきましたね。バイクウェアー、キャンプ道具などクローゼットや押し入れに仕舞ったままにするとカビが生えやすい季節です。定期的に出して天気の良い日に太陽に当ててカビを防ぎましょうね。





さて今回の究極のツーリング写真ではバイク走行写真(コクピット風景)の写真を作例に偶然をキャッチするセンスについて書いてみたいと思います。偶然をキャッチするセンスといっても偶然は偶然なのですからセンスも何もないですよね…。ここでは複数カットの内の本来は捨ててしまうような予定外のものが写った写真から「いや、まてよ…コレはコレで有りかも!」と採用カットにしてしまうセンスについて触れてみたいと思います。

バイク走行写真というと走っているバイクを他の誰かが撮る写真と、自分が運転している時に見ているコクピット風景の2つがあります。コクピット風景は私も大好きでよくやります。

以前も書いたことがありますがコクピット風景は安全運転であることを強くアピールしたいですね。片手運転やスピードの出し過ぎがないことが写真からよく分かるように心がけております。

今回はコクピット風景の撮り方については詳しくは触れませんが、簡単に書き留めておきますとカメラはストラップを最短に調整し首から下げる、シャッターはインターバルタイマーを使用する、シャッター速度は1/40程度と遅くして風景を流す、といった感じです。

今回ご紹介する作例のようにタンク周辺からライダーの両手までしっかり画面内に入れるとなると、フルサイズ一眼レフで14mm程度のワイドレンズが必要になります。今回はSIGMAの12-24㎜F4.5-5.6DGという超ワイドズームレンズを使用しました。




さて、今回のツーリング写真解説の本題である「偶然をキャッチするセンス・・」のお話です。コクピット風景の場合は特に予定外の被写体が登場して撮影者を楽しませてくれるものです。

つい写真をやっていると「余計なモノを入れない」「邪魔なものは排除する」とイメージ通りのオールクリアーに固執してしまうものです。しかし本当に余計なモノかどうかは再考する余地があると思います。今回の作例は南房総の人気ツーリングルートである房総フラワーラインですが、キャンピングカーやコンテナが並んでいる所を通過した瞬間にこのような写真になりました。コンテナに書かれている「Lucky’S」の文字が綺麗に左上のスペースに収まりました。

写真に写った文字とは不思議な効果があるものです。日本語であれば自然と読んでしまいますし外国語が書かれていればオシャレな雰囲気になります。これを見た時にサーフトリップ系の雑誌カットを連想したのでプリセットもその雰囲気に近いものを選んでみました。

しかし今回の撮影シーンで私が最も気に入った1枚はこれです。対向車線から来る白い軽バンとすれ違う瞬間を捉えた写真です。これもまた先ほどと同様に今度は右上のスペースに綺麗に収まってくれました。まさに奇跡ですね。

本来、こういったシーンでは他車が1つも存在していないオールクリアーを狙いたい所です。その方が風景の最果て感や道の存在感が際立ちますからね。しかし実際には道路は自分だけの舞台セットではありませんから対向車も来ます。帰宅して写真セレクト作業をしている時に、イメージには存在していなかった他車が写っているからといって有無を言わさずボツにするのは少し勿体ないです。

この対向車線からやってきた白い軽バンは地元の素朴な雰囲気を象徴しているみたいで個人的にとても気に入りました。これがもし赤いフェラーリや厳ついミニバンだったらこのような素朴な雰囲気にはならなかったと思います。この軽バンだからこそ出せる雰囲気なのですよね。




今回は走行写真(コクピット風景)としての偶然をモノにするセンスについて書きましたが、これは普通の風景写真でも同様です。当初のイメージにはなかった予期せぬキャストは必ずしも邪魔扱いすべきとは限りません。あっこれもアリかも!と思えばラッキーな1枚を実現できるかもしれませんよ。

今回はこの辺で!!

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写真は完璧であってはならない理由<上級>ツーリング写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、芸術はお好きでしょうか?当ブログでは以前よりツーリング写真、バイク写真を芸術作品…つまりARTへ進化させバイク写真文化を成熟させていきましょう!と発信してきました。

しかしどうすればバイク写真という小さな写真文化をARTへ昇華させることができるでしょうか?そもそもARTって何でしょう。私も勉強不足なのでこの辺の深い話ができないのですが、観賞者サイドも作者サイドへ寄り添って共に思考して楽しむものがARTではないでしょうか?

美術館に行くと難解な作品を目にすることがあります。特に印象派の作品や現代アートなんかでよく感じます。「これは一体なんだろう???」「作者は何をうったえているのかな?」と作品の意図がパッと見た瞬間ではすぐには分からない作品です。このように観賞者が思考することが【観る側の楽しみ】です。ただ見るのではなく感じて思考すること。この意識がないと芸術を単純に視覚的な美しさやバランスだけで見てしまい面白くないものになります。

そして観賞者を楽しませてくれる芸術作品ほど曖昧さや不完全さがあるものだな…と私は感じます。あの岡本太郎さんも「芸術は美しくあってはならない」「芸術は心地よくあってはならない」と何かに書かれていました。不完全さや曖昧さからくる思考の渦を感じ取るもの…よく分かりませんがそんな感じがARTなのではないでしょうか。




さて今回はそんな観賞者を思考や想像で楽しませるツーリング写真をご紹介してみたいと思います。

これは撮影現場の様子をiphoneで撮った1枚です。漁船のキャビンだけが空き地に捨てられている様子ですが、私はこういった光景がいちいち心に刺さってしまうので、撮らずにはいられませんでした。

しかしこの朽ち果てた漁船のキャビンとバイクを合わせてどのようなツーリング写真を撮りましょうか?被写体の特徴をよく観察し、自身が動いた心の様子を自ら感じ取りながら思考します。

まず特徴的だと感じたのは連なる3つの窓です。ガラスは割れていますが枠を固定しているネジなどが面白いと感じました。ここを使って窓の向こう側へR1200GS-ADVENTUREを置いてこんな風に撮ってみました。この写真の説明範囲は漁船のキャビンのような物が横たわっているのだな…という事がかろうじて伝わる程度です。

「説明範囲」とは写真であるからには元は事実な訳ですが、それが何であるか見る側へ説明する作者の責任ようなものです。バイクを撮ったのに小さすぎたりボケすぎたりして、見た人に「ここに写っているのは自転車ですか?」となればバイク写真としての説明範囲が十分でなかったという事です。




ここではバイクはもちろんの事、メイン被写体である漁船もかろうじて漁船であることが多くの人に伝わるのではないかな、というつもりでこのように撮ってみました。

しかしこれだと見る側の思考の楽しみが少々もの足りないようにも感じます。説明範囲が広すぎて退屈なのです。せっかく変わったものを見つけたのですから、もっと観賞者の想像力をかき立てる工夫はできないでしょうか?

EOS6D mark2 + EF35mmF2 IS

そこで最終的にこんな風に撮ってみました。キャビンにぐっと寄って窓枠を主題にした写真にしたのです。寄ったことで枠の様子が明らかになりメイン被写体の質感が表現でき、わずかに残されたガラス片も写すことが出来ました。

しかし、これだとこの白いモノが何なのか?撮影現場を見ていない観賞者には得体の知れない物になってしまいます。説明範囲が狭く事実が伝わらない写真ですね。これが何であるかは観賞者が思考する取り分として意図的に残します。

「わけが分からない」と見向きもされないかもしれません。ここは「想像力が乏しい観賞者は残念ながらターゲット外にしよう」と大胆に割り切りましょう。たまには良いではありませんか。




このように写真とはいえ実際の様子の全てを明らかにせず、あえて観賞者の持ち分として想像範囲を残す手法のご紹介でした。写真は事実を元に生み出す芸術ですが実際の様子の何もかもを写す必要はなく【説明範囲】と【想像範囲】の割合を作者である貴方が裁量するのが面白いのではないでしょうか?というお話でした。

…完璧に説明した写真なんて退屈ではありませんか。

今回はこの辺で!!

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これが究極の黄金比☆フィボナッチ螺旋構図とバイク写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、河津桜の写真はもう撮られましたか?私は房総人なので南房総の河津桜「頼朝桜」の写真を今年も撮ってみました。

頼朝桜とはかつて石橋山の戦いに敗れた源頼朝が小舟に乗って房州の竜島(鋸南町)に流れ着き、そこで再起をはかったことに由来するものです。桜自体は河津桜と同じだと思いますが呼び名が房総では「頼朝桜」となり佐久間ダム親水公園や保田川で頼朝桜のお祭りも開催されるのです。

実は去年も保田川で写真を撮ったので今年は同じような写真を撮らないように、進化を確認するぞ!といった感じでハードルを自分で上げて撮影に挑んでみました。




EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L IS

桜に限らず「今日はお花のシーンで撮るかも」という時に迷わずに持っていくレンズはEF70-200mmF2.8L ISです。このレンズは開放F2.8が通しで得られるキャノンの大三元レンズですが、浅い被写界深度をコントロールしボケ具合で花のある風景をイメージ通りに表現できるのです。

で、今回の写真は究極の黄金比と言われるフィボナッチ螺旋構図、またはフィボナッチスパイラルと呼ばれる黄金螺旋構図を採用してみました。




フィボナッチ螺旋構図とはこのような構図です。黄金比(1:1.618)に基づいた比率の曲線です。少々アカデミックな話ですがフィボナッチ数列といい1から始まり前の数字を足していく数列(1.1.2.3.5.8.13.21・・・)があります。この数列を正方形として積み合わせていくと上の青点線のようになり、その交点を曲線でつなぐと何とも神秘的な渦巻き型の曲線ができあがります。

神秘的な…と形容したのは根拠があって、このフィボナッチスパイラルはオウム貝の断面、竜巻、花びら、DNAなど自然界や生物に存在している正に神秘の曲線なのです。

Lightroom

何だか難しく聞こえますが1:1.618だの数列だのを完全に理解する必要はありません。ポイントはフィボナッチスパイラルを何度も見て覚え、実際の撮影シーンで覚えたフィボナッチスパイラルを意識して構図を作るのです。

以前、私はこの構図を知ったばかりの頃「カメラにもグリッド線のようにフィボナッチスパイラルを表示できれば良いのに」と思っていました。しかしそのようなカメラは有るのかもしれませんが稀です。ここ、大事なポイントなのですがフィボナッチスパイラルはグリッド線のように合わせるものではなく、あくまで感覚でつかんでみましょう。人間のDNAにもある神秘の曲線な訳ですから、そういった意味で感覚が最も精度が高いと私は信じております。




実際には難しいです。まずは曲線の要素を探すよりも最初に渦巻の中心にバイクなどのメイン被写体を置いてみます。その上で曲線上に配置できるデザイン要素を見つけてアングルを探り当てていきましょう。

もしフィボナッチ螺旋構図が成功すれば、それはレオナルドダヴィンチなどの芸術作品に通ずる優れた構造を持った写真が実現できる訳です。

ステップアップの1つの目標として次の撮影で挑戦してみてくださいね。今回はこの辺で!!

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ツーリング写真に適正露出なんてものはない

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、突然ですが芸術はお好きでしょうか?いい写真、いいツーリング写真を実現するにあたり”芸術”というワードは決して無視はできないと思います。

私は今後の写真活動で今まで以上に美や芸術について見識を深めて、人々の心に響く写真芸術としての美を学んでみたいと思っております。

そもそも美しいものはそこら辺に存在していてもすぐに気が付くものではなく、作者の繊細な感受性、豊かな感性によって発見されるものだと思います。心惹かれる何かを見つけたら想像と創造、技法、知識、そして苦しみの末に生み出されるのが作品なのだと思います。

芸術作品を観賞する側も作者の苦しみや想像の領域に想いを及ばせて、作品の意図やメッセージ、被写体のもつ美の核心を心の目で感じ取るのが大切なのかな…最近はそんな風に思うようになりました。そう考えるとSNSのタイムライン上でチラッと見られるだけの発表の場に、どのような反応があったところで、ある意味どうでも良いのかも、と思ってしまいます。




さて今回は写真をやる人なら誰もが聞いたことがある「適正露出」のお話をいってみたいと思います。

EOS6D Mark2 + SIGMA12-24mmF4.5-5.6DG

こちらの作品をご覧ください。千葉県館山市の海岸で撮ったツーリングシーンですが強烈な逆光下の日中にも関わらず、昼間なのか夜なのか良く分からない露出で撮ってみました。これは奇をてらってこのような露出にしたのではなく、太陽周辺に発生したレンズゴーストが魅力的に見えるような露出を選んだ結果です。

当然ですが一般に言われる適正露出とはほど遠いほどアンダーです。適正露出のお話の前に少々ややこしい話なのですが標準露出の話に触れてみたいと思います。




適正露出と標準露出の違いって何じゃい?

標準露出とは反射率18%のグレー色が正しく18%として写真にできれば標準露出で撮れましたよ、という意味です。世の中にある多くの被写体となりえる物は反射率18%前後であり、人間の肌も18%と言われます。つまり見た通りの明るさとして写真にする基準、それが標準露出です。

例えば製品のカタログとして説明的に撮る写真や、図鑑や研究などに使われる記録写真として撮る場合は18%反射板などを使って標準露出を正確に出して撮影します。

一方で適正露出というのは作者のイメージの明るさのことです。目で見ている明るさの再現ではありません。つまり「好きなように設定してくれ!それがアンタの適正露出じゃよ」という表現の自由が与えられた明るさです。

EOS6D Mark2 + EF14mmF2.8L

そうと決まれば昼間を夜のように撮ろうが、夜を昼間のように撮ろうが撮影地であなたが描いた写真イメージがそうであれば、それが適正露出ということです。他の誰かに「この写真は適正露出ではないですぞ」と言われる筋合いはない訳です。




露出設定も表現の手段の1つです。必ずしも標準露出として撮らねば、と縛られてしまうと表現の幅は一気に限定されてしまいます。せっかくカメラは自由にマニュアル露出できるのですからね。カメラの評価測光は画面全体に対して平均的な明るさを得るために露出を設定しますので(平均以外にもスポットやマルチなどありますが)、作者のイメージ写真がどのような露出を希望しているのか?などと知る由もないのです。

見たままの明るさの再現に縛られず、ひとつ上のギアを使うように露出の魅せ方をシフトしてみてくださいね。

今回はこの辺で!!

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RICOH GR APS-C

この写真は水銀灯に照らされる夜の桜ですが、実際の様子よりも明るくなるよう高感度で撮ってみました。

 

上級者の秘密テク☆深度のピークをコントロールする妙

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今回は久しぶりに<上級>ツーリング写真解説をいってみたいと思います。今から2年前、私はこのブログを立ち上げたばかりの頃にツーリング写真の撮り方の解説として<初級><中級><上級>と3つのカテゴリーに分けて解説を作り始めました。

写真の撮り方のノウハウなんて普通は秘密にするものですし、基本的なことであればマニュアル本にもネット上にも情報は溢れています。世に存在している写真の撮り方とは大半が初級者向けのカメラ操作方法ばかりです。ビギナーを卒業しているはずの人でも最初に教わった基礎に縛られてしまい、それ以上の知識を得る機会が少ないな…と感じてこのようにしました。そして写真を好きになるとは、写真を楽しむには、といった写真を中心としたビギナー向けの情報が乏しいとも感じたのでその辺も最近は書くようにしております。

私のような人間が上級者向けの内容を書くなどまことにおこがましい…という事は承知の上でやってみようと思いました。「ぜったい偉い人に怒られるな」と当初は予想していたのですが、幸いなことに今のところ誰にも怒られておりません。




さて前回と前々回でツーリング写真、バイク写真に使う三脚のお話、そして三脚をバイクに積載するにはどうしたら良いか、という投稿を書きました。

前回の投稿はこちら

前々回の投稿はこちら

この解説の時に撮った作品で今回は被写界深度とピントピークのコントロールについて書いてみたいと思います。

EOS6D Mark2

まずは完成した作品からご覧ください。この冬の季節、南房総からは東京湾ごしに富士山が美しく見えるものです。また海は紺碧色で空気は澄んでいて冬の房総の海岸線は本当にバイクで走ると気持ちいいなと、30年も千葉をツーリングしていますがいつもそう思います。

いちおう<上級>ツーリング写真解説とはいえ、いつも通りこの作品の基本的なプロセスを最初に解説しておきます。まずFactorの解明ですが、ここで撮ろうとバイクを停めた理由は美しい東京湾ごしに見える冬の富士山にアンテナが反応したこと。Real side分析では富士山まで遠い、海が青い、撮影スペースはかなり広い、タンカーやコンテナ船が頻繁に行き交っている、トビが飛んでいる、など作品に使えそうな素材をピックアップしました。heart side分析ではとにかく全体が青の印象として感覚に刺さったこと、日本の玄関口である東京湾の様子とトビの演出で何となくStory性を作れそうだと予感したことです。

左 F6.3                     右 F14

<上級>ツーリング写真なので基本的なことはサラっと解説します。この撮影シーンではR1200GS-ADVENTUREの各パーツに入ったハイライトを使って玉ボケで表現してみました。F14まで絞り込んだ右よりもこのレンズで解放となるF6.3の方がキラキラと抽象的で私好みだったのです。画面全体は望遠レンズによる強烈な圧縮効果で富士山も海面の青も見る側へ圧力的にアピールします。

いくら絞りを解放に設定しても、ある程度から遠くにある部分は被写界深度が深く発生することは上級者の方でしたらご存じだと思います。そして深度は奥行方向に山になっていてピークが存在がします。ピークは最もシャープになる合焦ポイントですが、解放と違って深度が深い場合についてはピークもある程度の奥行きが存在するものです。




☆ここでワンポイント なぜMFを使うのか?

ではそのピーク位置をどこに置きましょうか?もちろんAFではなくMFを使用します。AFはスポーツシーンなど動く被写体を追従する時などに必需ですが、こういった風景写真の場合は被写体との深度の兼ね合いを考慮してMFで精密にコントロールしてみましょう。

カメラのAF機能は深度と被写体の兼ね合いまで考えて動作する訳ではありません。あくまでピントピークを特定の被写体に合わせることしか出来ないのです。

この作品の場合はとにかくR1200GS-ADVENTUREの車体に入る玉ボケのハイライトを美しく表現したい一心でした。そのための手段として開放F6.3で発生した深度とそのピントピーク位置をこの写真の最も遠景となる被写体、富士山の頂に合わせてみました。ピークが思いっきり遠くになったことで、R1200GS-ADVENTUREの玉を大きくしたのです。

これがもしピークを対岸の久里浜や沖合の船に合わせたとしましょう。それでも富士山の頂はシャープに写りますが、F6.3程度ではこれほど大きな玉ボケは作れません。

例えば300mmの望遠レンズで50m先に被写体A、70m先に被写体Bがあったとします。AとBの両方にピントを合わせたいとき、最低必要な被写界深度を出すにはF11だとします。AとB以外の背景や前景はなるべくボカしたいとなったとき、ピントピークの位置はAとBの真ん中となります。AFを使ってしまうとAかBのどちらか一方にピークを合わせてしまうので、両者にピントを持ってきたい場合はF11では深度が足らなくなってしまい、さらに絞れば背景や前景のボケ具合が甘くなってしまいます。

深度のコントロールとピントピークの調整は必ずMFで行う理由はこれです。

絞り込みボタンを押し込みながらフォーカスリングを回す

ピントピークの位置調整は難しいのでお勧めのやり方をご紹介します。まずレンズをMFにしてライブビューさせます。そして絞り込みボタンを押し込んでみましょう。

絞り込みボタンを押し込んだままの状態でフォーカスリングを回し各被写体の合焦を確認しながら調整します。私のSIGMA150-600mmF5-6.3DGの場合はピントリングを左に回していくことで、合焦ポイントは遠景に向かっていきます。拡大表示させる部分はコントラストのはっきりしている部分を探してみましょう。もしR1200GS-ADVENTUREに合焦させるのであれば上の写真のようにBMWのエンブレムが分かりやすいです。皆さんもご自身のバイクでピント確認しやすい部分というのを見つけて決めておきましょう。




このようにピントをかけたい2つの被写体を狙い、絞り込みボタンを押しながらピント調整する一方で、通常の方法としては絞りは解放にしてピーク位置だけを確認するやり方もあります。一般にはこちらが正しいのかもしれません。カメラのファインダー像が通常時は解放で写っているのも、ピントピーク確認用としてそうなっているのかもしれません。ただ今回の作例のように被写体Aと被写体Bの真ん中に目印になる物が何もない場合は困ってしまいますが(上の作品だと海のだいぶ沖らへん)。

最後に作品の深度のお話以外の部分を補足しておきます。絞り値の比較写真ではヘルメットを置いている位置がR1200GS-ADVENTUREの足元ですが、完成写真では画面のちょうど左下の角に置きました。光沢のあるヘルメットであれば、これもハイライトが玉ボケになってくれると思い、画面の中で印象の弱かった左下をヘルメットに補ってもらったのです。そしてコンテナ船は明瞭に写っていませんが、これは冬の東京湾でよく見られる蜃気楼のような現象によるものです。その証拠としてずっと手前に存在している鳶には合焦しています。

今回の解説としては蛇足ですが以前に解説した7つのプロセスの最後【奇跡の待機】によってラッキーを授かりました。鳶が登場し鮮やかに作品の主役を奪っていった・・・その瞬間をとらえることに成功したのです。これが写っているのを確認した瞬間「やはり写真の神は私の味方だな」と勝手に膝を叩いて喜んだものです。

どんなに静かに見える風景でも写真とは瞬間なのだ、という事を忘れずに撮影に挑みましょうね。

今回はこの辺で!!

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↓↓↓撮影地↓↓↓

ちなみにこの撮影ポイントから富士山の頂まで、直線距離で測定してちょうど100kmでしたよ。