バイクの写真、愛車写真を撮る場合のコツ

EOS5D Mark4+TAMRON SP24‐70 F2.8




愛車の写真を撮るときに記録的に撮っていませんか?

ただ枠におさめてピントを合わせれば正解…と思い込んでいると、平凡でありきたりな写真に陥ります。

愛車の写真を撮るときは、そのバイクの造形をよく観察し特徴をとらえ、それが最も魅力的に見えるようなベストアングル、ベストフレーミングを探りましょう。

そして自身の【魅せ方の引き出し】からそのシーンに相応しいものを選択し、ベストアングルに演出を加えます。

EOS5D Mark4+SIGMA150‐600 5.6‐6.3DG C

例えば一枚目の森の中の写真はカラーバランス、二枚目の海のシーンでは望遠で海面の青を引き寄せました。




「私は写真のセンスがない」と嘆く方がおられますが、センスとは【魅せ方の引き出し】にたくさんのカードが入っていて、その場面に相応しいカードを切れる才能のことです。

多くの方はカードを2、3枚しか持っていないのに「センスがない…」と言っているようです。
まずは貴方の魅せ方の引き出しに100枚くらいのカードを準備しましょう。

たくさんの魅せ方カードを在庫させたら「この場面ではこれだ!」とカードを切るセンスに磨きをかけるのです。センスとは先天的なものではありません。自分で磨くものです。

EOS5D Mark4+TAMRON SP24‐70 F2.8

私は10年以上かけてこれを磨いてきたので、なかなか洗練されていると自負しております。もちろんこの先も磨いていき終わりのない表現者の道を歩んでいきます。

常に関心の対象を写真とし(カメラやレンズではありません)、写欲という創作欲に従順に、好奇心で学び、実践と大量の失敗を繰り返してください。そう、大量の失敗です…それを検証すれば必ず学びがあります。

次のツーリングで一歩前進し、また次で前進する。一年前に撮った桜の風景の写真と「まったく同じような写真だな」と感じる人と「去年の自分とはまったく違う」と成長を感じられる人では天と地ほどの差が出ます。

写真を撮るのは楽しい!ということを見失わなければ、今回ご紹介したような写真なら誰でも撮れると私は思います。

さあ、次のツーリングであなたの【魅せ方の引き出し】に新しいカードを増やしてみましょう。

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ツーリング写真【極めてシンプルな7箇条】




さて今回は今年最後の投稿としてツーリング写真【極めてシンプルな7箇条】と題してツーリング写真に関わる基本的なことを書いてみたいと思います。多くはツーリング写真に限らず写真全般に言えることですが、ビギナーもベテランの方もいちど初心に戻って見て頂ければと思います。

EOS6D Mark2 + SIGMA150-600mmF5-6.3C

1.らしく撮る

被写体をその被写体らしく撮る…は写真の基本的なこととして古くから言われています。ツーリング写真に関して言えばそのバイクらしく、そのライダーらしく、北海道ツーリングであれば北海道らしく撮ることです。らしく撮るを意識するだけで今まで主題がボヤっとしていた写真が一気に魅力的になるはずです。

2.一つを明確にする

何かの被写体と一緒に撮るときに両者の存在感を意識してみましょう。どちらか一方が主役でもう一方は引き立て役。このことが誰の目にも明らかに分かるようにハッキリと差をつけるのです。やり方は大きさ、ピント位置、露出、フレームで切り落とすなど様々あります。「これがメイン」とはっきりさせることで作品の主題が明確となり、平凡な写真を卒業することができます。

3.感情にうったえる

美しい、楽しい、嬉しい、寂しい、郷愁感ある、崇高な・・・ こういった人の心の動きにうったえるような作品を作ることで、見る人の共感や感動を誘う作品を目指してみましょう。効果的なのは「人」の登場です。ライダーの姿とバイクを一緒に写すことで感情表現の幅は一気に広がります。この場合、記念写真の自撮りとは全く質の異なるものになります。あくまで見る側の心にうったえる作品作りです。

EOS1Dx + SIGMA150-600F5-6.3DG




4.余計なものを写さない

写真ビギナーはとにかく背景に無頓着なものです。都会のスナップのようにアッと思った瞬間にその刹那を作品にする写真ジャンルであれば背景にあまり気を遣う必要はありません。しかし通常であればカラフルな看板等でゴチャゴチャした背景、電柱や柵などの垂直線が多い場所、電線やガードレール、ゴミが落ちているような場所で写真を撮るのは避けましょう。自身の作品なのですから邪魔者は徹底排除するのです。

5.常にユニークさを意識する

自身の作品に変化をつけたいのであればユニークさを追求することをお勧めします。凝り固まった考えは画一化された「お上手な写真」ばかりを生み出すだけで退屈なものです。どう撮るのが正しいのか?ではなくどう撮れば面白いのか?を追求してみましょう。人に良く見せようという気持ちは一度忘れて大丈夫です。




6.瞬間を切り取ることを意識する

写真とは目の前に存在する三次元の空間、一定に流れている時間、つまり時空の様子を二次元の静止画にするものです。このごく当たり前のことを改めて強く意識することで他の芸術とは違う写真らしい芸術を目指してみましょう。あくまで元となるのは時空に存在している現実の様子であること。するとシャッターチャンスという言葉の本当の意味が実感できるはずです。

EOS6D Mark2

7.細部までクオリティを上げる

神は細部に宿る…なんていう言葉をどこかで聞いたことがあります。大衆的写真文化に埋もれてしまう写真ではなく、作品として残すべき一枚を目指すのであれば撮った写真はその場でよくチェックしましょう。ぱっと見て「大丈夫だな」ではなく拡大表示して微細なブレ、ピントの甘さ、飛んでいる小さな虫まで見逃さないよう細かく検査するのです。

実はこの7つの他にも色々あるのですが、今回は今まで解説してきたことをブラッシュアップして短めにまとめてみました。

この年末年始のお休みに、写真を撮る機会があればぜひ意識してみてください。

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目からウロコの露出のハナシ

EOS6D Mark2




写真ビギナーの方にとって理解しにくい写真の露出…。一般的な写真文化の範疇では多くのカメラユーザーは露出はカメラにお任せしていると思います。そもそも露出とは真っ暗なカメラの中にあるセンサー(またはフィルム)に外の光をレンズを通してどれくらい取り込むか?という話です。その名の通り光に【露出】させたという意味です。

優しく言ってあげれば最終的に出来上がる写真の明るさを決めるものです。まずは求める明るさというのがあって、その上でいまソコにある光の量を測り、最終的にシャッターを開けていた時間、レンズ内の絞りという穴ポコの大きさの二者の仕事によって露出が決まります。

ここではシャッター速度と絞りの話は別の機会にするとして、最終的な写真としたい【求める明るさ】と【いまソコにある光の量】の関係について書いてみます。

EOS6D Mark2 + SIGMA12-24mmF5.6-6.3DG




こんな風に考えていないでしょうか?

見た通りの明るさに撮らないと・・・。

いきなり結論から言ってしまうと見た通りの明るさを求めるのは表現の幅を自ら制限しているようなものです。写真の世界には適正露出という言葉がありますが、それは製品カタログや証明写真など現実の様子を正確に伝えるための説明写真の用語です。我々が目指したい「いい写真」とは異なるジャンルのお話なのです。

撮影者が感動した情景や被写体。これらをART的に表現するにあたり、実際の明るさを正確に写真にする必要は必ずしもありません。ここは少し暗い写真にした方が自分が感じたイメージに合致するな、とか明るくふんわり仕上げて女性的な表現にしたいな、といった具合に撮る時点でのイメージに忠実に露出を決めれば良いのです。

EOS6D Mark2

ここで一つ、ポイントとなるのはダイナミックレンジ。またややこしい専門用語が…と尻込みせず是非聞いていただきたいのですが、写真にできる明るさには特定の範囲が決まっています。暗い部分から明るい部分まで、様子が写せる範囲がダイナミックレンジです。ダイナミックレンジが広いカメラとか、ダイナミックレンジを広げたレタッチ写真と言った具合に使われます。

そしてダイナミックレンジは人間の目ほど広くはなく、ごく限られた範囲であるということです。この限られた範囲を「日陰と日向があって双方に露出が合わない」と苦しむか「ダイナミックレンジの外側に写したくないものを沈めて被写体を演出した」と出来るかが良きフォトグラファーであるかの分かれ道です。

よく「見た通りに撮れない」と露出について悩む方がおられますが見た通りに撮れないのが当たり前と覚えてしまいましょう。カメラは目ではないのです。で、あればその限られた光の範囲をうまく使ってあげるのです。




EOS6 mark2

この山桜の作品は露出を桜に合わせた結果、背景が黒バックとなりました。背景の部分は荒れた草地で所々に土が露出しているような場所です。メインである桜に露出を合わせた結果、見せたくない部分をシャドウに沈め作品を演出したのです。もちろんこの様子は実際に目でみた風景よりも、ずっと暗いので撮影場所に一緒に居合わせた人にこの写真を見せれば「信じられない」と言うでしょう。

撮りたいと思った写真のイメージを描き、求める露出を決めます。次にそこにある光の量を測り、最終的に露出値を決める。マニュアル露出モードで撮りましょうという意味ではありませんが、評価測光の場合であってもカメラが最初に算出した露出に惑わされないことが大切です。どんな高性能なカメラであっても撮影者のイメージをくみとることは出来ないのです(少なくとも2021年現在)。

明暗差のあるシーンでは限られた範囲【ダイナミックレンジ】を意識して写す部分、写さない部分の選別をしてから双方の割合が変にならないよう構図を作りましょう。露出と構図はセットで考えると習得しやすいです。

その被写体が最も魅力的にみえる露出はどうか?最初にその風景で感じたものを露出で魅せるにはどうであるか?これを今目の前にある光の量と相談して露出を決めるのです。カメラのAE(自動測光機能)はあくまでCPUが測光結果を受けて算出した機械的な値でしかないのです。

【カメラを使って写真を撮る人】と【カメラに写真を撮ってもらう人】の話を以前にしましたが、露出もまた然りなのですね。

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失敗写真を生まないためのシンプルな3つのこと




今回も写真ビギナー向けに優しい内容を少し書いてみたいと思います。題して「失敗写真を生まないためのシンプルな3つのこと」でございます。

1.設定間違いを防ぐ自分用デフォルト

よし今から撮るぞ!とカメラの電源を入れた時、最初の設定はどのようになっているか、きちんと意識できているでしょうか?よくあるミスは次のようなものです

・ISO感度の戻し忘れ 昨夜のパーティーで撮った時の設定、ISO感度を上げたまま…

・マニュアルフォーカスのままオートフォーカスだと思って撮っている

・RAWで記録しているつもりがJPEG記録になっている…

こういった間違いを防ぐ確実な方法は一つです。いかなる場合であっても撮影が終了した時は、カメラをデフォルト状態に戻すことです。ここで言うデフォルト状態とは自分なりに決めた次の撮影体制を想定したオーソドックスな設定のことです。

私の場合はISO100 絞り優先モードでF11 高速連写モード RAW記録 AF が私のデフォルトです。撮影終了後に必ずこの設定に戻す癖をつけておけば、天の川の写真を撮った翌日に、昼間の風景でISO2000で撮ってしまうようなミスは防げるのです。




2.画像を拡大して細部までチェックしよう

写真ビギナーの方は写真のクオリティに対する意識が低いのでカメラのディスプレイでパット見て確認し、何となくキレイに撮れていればOKと軽く考えている人が多いのです。後になって「これは自分なりに傑作だな」と思った作品を、4切Wサイズでプリントしたいとなったとき、微細なブレなどがあったらもう駄目です。覆水盆に返らずなのです。

多くのデジタルカメラには虫メガネのマークの付いたボタンがあります。これは撮った画像を再生確認する際に局所的に拡大表示できる機能です。これを使ってピントを合わせた被写体の特定部分を拡大し微細なブレやボケがないか詳細にチェックしましょう。

メーカーで働いたことのある人なら分かると思いますが製品が完成し出荷される直前の【完成品検査工程】のようなものだと思って下さい。




3.撮った画像の四隅をよくチェックしよう

これも撮った画像のチェックという意味では2と似ていますが、画像の四隅に余計なものが写り込んでいないかの確認です。写真ビギナーとは「これは撮る対象」「これは撮らない対象」という意識が低く、関係のない異物が画角内に入っても無頓着なものです。

写真を何年もやっているベテランとはとにかく余計なものは写さない、という意識をしっかりもっているので、いつの間にか写ってしまった遠くに飛んでいるカラス、意識せずに入ってしまった電線、地面の吸い殻など見落としがないかよくチェックするものです。

例えば貴方が映画監督だったとしましょう。名作になると分かっている素晴らしい映画を今、撮影しているところ!と想定します。そこへクランキングした直後に野次馬が画角内に入ってきたらどんな気分でしょうか?私だったら発狂します。




EOS6D Mark2 + EF135mmF2L

写真ビギナーが失敗写真を生まないための3つのこと、いかがでしたか?一言でいってしまえば写真品質に対する意識です。別にプロじゃあるまいし…といって雑になってしまえばいつまでも写真品質は向上しません。自分の作品の中には余計なものは塵ひとつ入れないぞ、という厳格な品質意識を持つことで貴方の写真が進化すると思います。

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ズームレンズの賢い使いこなし術




EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L

数日前の投稿で構図を作るにはまず足で動くこと…という内容を書きました。その投稿は こちら 

今回はそれと少し似ている内容になりますがズームレンズの使いこなし方について書いてみたいと思います。

カメラ関係の情報を見ているとズームレンズが良いか、単焦点レンズが良いか、という議論を度々見かけるものです。念のため書いておきますがズームレンズは画角をワイドにしたり望遠にしたり調整機能を持ったレンズのこと。対して単焦点レンズとは一つの画角に固定されているレンズのことです。

どちらも一長一短であり使い方、使う人によって様々な選択肢が用意されているに過ぎないのです。あなたにとってどれがベストな選択であるかはあなた自身にしか決められないものです・・・。とはいえ我々バイク乗りは持っていける撮影機材の質量に限りがありますので、圧倒的にズームレンズにメリットがあるのは疑う余地がありません。

例えば風景主体のツーリングシーン、愛車主役のバイク写真、遠景にある夕陽や山などを引き寄せたい…こういった要求があるときに広角、標準、望遠と複数の画角が欲しいものです。これが単焦点でいくとなると3本のレンズを持っていくことになりますが、ズームレンズであれば24-105mmあたりを1本用意してあげればOKです。ツーリングに行くのに一眼レフボディに3本のレンズなんて無理がありますからね…。

標準単焦点レンズ 左:SIGMA50mmF1.4DG ART 右:キャノンEF50mmF1.8STM

一般的によく見かける情報として単焦点レンズの方が描写が良いと言われています。そしてズームレンズに比べると内部の構造がシンプルなので軽量であること、ズーム可動部がないので気密性に優れていることなどがメリットとされています。

しかし高級なレンズになるほど軽量さについてはそうでもなく、上の写真(左)にあるような描写力命のモデルになると単焦点レンズでもそこそこの質量になってしまいます。

一方で最近のズームレンズは進化したので単焦点にこだわる理由はない…という意見も見かけます。出来上がった写真だけみて単焦点で撮ったかズームレンズで撮ったかを見分けるのは困難なほどズームレンズでも美しい描写のレンズは存在します。

私の個人的な見解としてはそれでも単焦点でしか撮れないような写真というのは確かにあると感じます。なので私の場合は好きな画角だけ単焦点レンズでそろえて、他の画角は荷物を減らすためにズームレンズで揃えています。




単焦点レンズ EF135mmF2L

さて、今回は単焦点レンズ、ズームレンズのお話ではありません。多くのカメラ、レンズはズームレンズが当たり前のように標準となっています。ここでは写真ビギナーの方にとってズームレンズをどう使うかの考え方について簡単に書いてみます。

ズームレンズの賢い使いこなし術。それはずばり複数の画角が使える事!この一言に尽きるのですが詳しく言うと特定のポイントを置いて幾つかの選択肢を持って使うことです

例えば上のズームレンズはキャノンのEF24-105mmですが、24、35、50、70、85、105mm…つまり数字が書いてある6ポイントに固定して使いましょう!という意味です。6本の単焦点レンズを持っていると思ってください。

写真ビギナーは撮る前のイメージ(空想の写真)を頭に描くのが苦手なものです。むしろイメージを描こうともせず「とりあえずどう写るのか撮ってみるか」という人が大半だと思います。そのようにイメージ無くして試し撮り感覚で撮ると、被写体の大きさや背景の範囲だけを意識してファインダーを覗きながらズームリングをぐるぐる回すものです。

これ良くないのでやめましょう。ズームぐるぐるは今日で卒業です。

こう撮りたい!というイメージを頑張って脳内で描き、それに最も近い画角は35mmなのか50mmなのかを考えてみましょう。違っていれば70や85を試せば良いのです。とにかく「ぐるぐる」やらない。画角縛りです!

冒頭で「足で構図を作る」に話が似ていると書きましたが、画角を固定した単焦点レンズや今回ご紹介する画角しばりは足で動いて構図を作れるようになる不思議な効果があるのです。被写体にしっかり寄るには一歩前に出るという基本を体で習得できます。

たまに単焦点レンズを使うようになったら構図が上達した、という話を聞きますがそれは寄るという動きを習得した証拠です。




尖った岩のてっぺんに登って撮った

ではズームレンズの微調整はどのような時に使うのか?例えば背後に壁があってそれ以上下がれない、それ以上寄ったら海に落ちる、尖った岩のてっぺんに登って撮る、といった具合に動くスペースを奪われてしまった時です。そういったスペースを奪われてしまった時に画面の四隅に注視しながらズームリングを微調整するのです。

ズームレンズの賢い使いこなし術。それは特定のポイントで画角を縛ること。上達にもつながるのでぜひ実践してみてくださいね。

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ほんのひと工夫で構図が激変 構図に奥行を作る方法




今回はツーリング写真の構図について簡単な内容をひとつ書いてみたいと思います。

突然ですが上の写真のような構図をどう思いますか?朝霧高原のふもとっぱらキャンプ場で撮った一枚です。キャンプ場に着いたよ!ということをSNSで上げるために撮りました。普通にスマホで撮った説明写真なので大きな問題はありませんが、この構図はあまりに平凡だと思いませんか?

富士山を日の丸構図で配置したのは基本に忠実なので安定感があって良しですが、いくつかある被写体の位置関係に注目してみましょう。この場合、R1200GS-ADVENTUREとテントという2つの被写体がありますが、この2つの位置関係は横一列に並んでいます。

この写真が平凡に見えてしまう原因はこの奥行き感の出ない被写体同士の位置関係にあるのです。

シーンが変わって本栖湖の浩庵キャンプ場ですが、このように手前にテント、その奥にR1200GS-ADVENTURE、そして遠景に富士山とくれば、被写体同士の位置関係で3レイヤーの構図を構成できて、これだけで奥行きのある構図が作れるのです。

そこで写真を撮りたいと思ったからには景色の良い場所なのですから遠景は問題なく存在していると思います。そしてそこでバイクや人物など被写体を置いて撮る時、被写体と背景で2レイヤー、ここまでは多くの人が普通にやることです。

大事なポイントはこの先で被写体とカメラの間に前景として一方の被写体を配置してあげるのです。3レイヤー以上の構図が作れれば2次元である写真に奥行きが生まれて平凡さが一気に消えるのですね。




EOS6D Mark2 + EF135mmF2

何か特別な意図があって被写体同士を横に並べたのであれば良いですが、奥行を意識できずに被写体の位置関係に意識が向かなかった…という事であれば、ぜひ次回の撮影から被写体の位置関係で奥行を作ることに挑戦してみてください。

それはバイクやテントの置き場所、撮影するポジションなどに一手間かけてあげれば簡単に出来ることです。上の作品のように幾つものレイヤーを構成できれば、たとえ望遠レンズで圧縮されてしまった写真でも奥行き感を出すことができます。

知識は撮影現場で意識して実践し、成功でも失敗でも良いので経験として積み重ね、それを繰り返して検証し【習得】へとつなげていきましょう。知っているだけでは意味がありませんからね。




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写真の基本【三分割構図】をツーリング写真で再考してみる

今回は構図の基本として広く知られる三分割構図についてツーリング写真の作例で書いてみたいと思います。




三分割構図といえば誰でも知っている有名な基本構図です。その名の通り画面を縦横に三分割にグリッド線をひいたものが三分割構図です。これは多くのカメラに表示する機能がついています。あまりに有名すぎて今さら感があるかもしれませんが、意外とSNSなどで見かける写真では三分割構図をうまく使ったな、と思えるような写真は見かけないものです。

ここで三分割構図の使い方について少しおさらいしてみましょう。

まず上の写真ですが港にバイクを置いたオーソドックスなバイク写真の作例です。言うまでもありませんが三分割グリッド線の右下の交点にR1200GSを配置した三分割構図です。これは多くの方が知っている【交点】に被写体を配置する手法です。

この作例は地平線をグリッド線の下の水平線に合わせた構図です。加えて右下の交点にライダー+バイクを配置しています。つまり【交点】と【水平線】の2ポイントで三分割構図を使った構図ということです。

複数ポイント使う事でより三分割構図が生きてくる構図となります。




こちらは三分割グリッドのマス目を使った例です。三分割グリッドは全部で9個のマスがある訳ですが、その右下のマス目にR1200GSを配置しました。あまり知られていないのでマス目に合わせる方法もぜひ習得しておきましょう。




こちらは線や交点を複数ポイントで複雑に組み合わせた作例です。奥の堤防と手前の漁船は水平線に合わせ、漁船のマストは右の垂直線、R1200GSは左上の交点です。複雑な構図とは写真の構造を容易に鑑賞者に伝えない写真構造の暗号化ができるものです。実際にこの写真をパッと見て「あっ三分割構図だな」とすぐに気が付く人は普通の人には少ないと思います。

ただし複雑な構図になるほど、アングルはピンポイントとなり、それを探るには手間のかかるものです。

【交点】【線】【マス目】こういったポイントを意識して複数組み合わせたり、日の丸構図とハイブリッドで配置させたりと三分割構図をイメージにあわせてどう使うかは…そう毎度同じセリフになりますが「撮影者の自由」です。

知識だけでなく実践し三分割構図の使い方をぜひマスターしてみてください。

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風景写真をあらためて考えてみる




EOS6D Mark2

ツーリング写真とは写真ジャンルでいう風景写真が基本となっています。風景の中をツーリングしているのですから当然ではありますが。では風景写真とは何か?ということをあらためて考察して書いてみたいと思います。

山や海などの自然地形の風景、夕陽や虹などの自然現象、町並みや工場などの風景、人の営みを感じる情緒風景、まだまだありますが風景写真とはありのままの様子を受けて、作者の感じたことを切り取った写真とでも言いましょうか。「ありのままの様子」と書いたのはスタジオや舞台のように撮影のために作り込まれた様子ではないということです。

ツーリングをしていると出会いが最大の楽しみであります。それは風景、人、自然現象、野生動物でも良いですがとにかく予期せぬ出会いに感動をもらうと「旅は良い、またいつか旅にでよう」と思うものですよね。では、そういった風景などとの出会いを写真作品として表現するにはどうしたら良いでしょうか。




大きく分けて二つ。一つ目は予定調和型の風景写真です。例えば天の川の写真が撮りたいとなったとき、月齢や天気、方角や時間帯を予め綿密に調べて撮影に挑むものです。きっとこうなるであろう、と予定を立てて準備していどむ予定調和型の風景写真は作品にインパクトを与えてくれます。

二つ目は受け皿型です。旅をしている時間を大切に、その過程で出会った風景を受け入れるように撮る受け皿型の風景写真は前述の予定調和型とは対照的です。大切なのは撮影準備ではなく気持ちです。バイクに乗っているとその気持ちよさからアドレナリンやドーパミンなど快楽系報酬物質が脳内に発生しますが、そういった興奮状態よりもセロトニンなどの癒し系報酬物質の出たリラックス状態を作ることを心がけます。それによって生まれた作品は旅のリアル、出会いの素晴らしさが伝わる写真になるのではないでしょうか。

思いがけない絶景に出会ったり、予想もしなかった嬉しいハプニングというのは決して珍しくはありません。奇跡を信じている人ほどそういったシャッターチャンスに恵まれているとも感じます。

何しろ相手は自然であったり既にそこに在るものを撮るのですから、自身では被写体側をどうこう調整することができません。いま目の前にある様子を自身の感受性、経験、表現力などを用いて作品を作るのです。そこに例えば鳥がやってきたら一緒に撮ってあげようと思うか邪魔だからいなくなるのを待とうとするかは自由です。

よく同じ場所でも同じ風景は二度とないと言います。一期一会の風景を大切に旅するように写真を撮りたいものです。




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被写体をよく見てシンプルに撮る

EOS6D Mark2




立派な写真を撮ろうと思うほど何をして良いか分からなくなり途方に暮れてしまうものです。

まずそこで足をとめたなら被写体、情景をよく見てそこで撮ろうと思った理由を探し、特長を見極めてみましょう。

目についた中で「あっ、なんかこれ面白いかも」と、心の針が少しでもふれたなら、立派な写真を撮る事をいちど忘れて、子供のように素直な気持ちでシャッターを切ってみるのです。

上の作品は当初は漁船が佇む場所でのツーリング写真を目指していましたが、よく見ると大漁旗の代わりに鯉のぼりが漁船の上を泳いでいました。こどもの日でもないのに何故に鯉のぼり…???これは面白いな、と思ったので素直にそれが主役になるような写真を撮ってみたのです。

ちょっとの気づきとソレが「いいな」と思える心を持っていれば特別な撮影技法などはさして重要ではないのかもしれません。

被写体をよくみてシンプルに考えて撮ってみましょう。




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デジタル写真時代に与えられた自由表現

EOS6D Mark2

デジタル写真とはフィルム写真と比較して趣こそ失われたかもしれませんが、やはり便利なことが圧倒的に多いものです。その場で画像をチェックできること、フィルム代や現像代がなく経済的であること、ホワイトバランスやISO感度をいつでも自在に変更できること…など数えたらキリがありません。

その中の一つとしてフォトレタッチがあります。フォトレタッチは実はフィルム時代から存在はしていましたが広告写真や一部のARTなど主にプロユースの仕事でした。それがデジタル写真時代を迎えフォトレタッチソフトが登場したことで一般に普及したのです。




フォトレタッチの難しい面は作者の表現の手段、あるいはイメージの再現として用いいるのが本来ですが、必ずしもそういった使われ方ではないことです。というのはかつて写真に見識の浅い人までもが無料レタッチソフトを乱用して画像破壊をしていた時代があったからです。そのイメージがあまりに悪かったので「レタッチは悪である」という間違った解釈が広まってしまいました。

先ほども書いた通り、レタッチは表現の手段、イメージの再現として使っていればこれほど有難いものはありません。何しろAI技術がすすんだ現代でさえも撮影者の意図の通りにカメラはJPEG画像を生成してくれないのですから。

そもそも全てのデジタルカメラは撮像素子から送られてきたRGB情報の集合体(RAW)に対して内部のCPUでレタッチ処理をしてからJPEG画像へと処理しているのです。ですからレタッチとはカメラに任せるか自分でやるかの違いなのですね。

注意点は一つだけ。写真を良く見せようと盛ってしまえば醜いものに崩れ行くのがデジタル画像というものです。ここだけ気を付けておけば加工や合成でさえも、表現の幅と言う意味で大いに結構なのではと感じます。




上の作品はこの時期らしいアガパンサスのある風景ですがフォトレタッチのHSL機能を使用して緑の彩度を抜きました。この意図はR1200GSのライトブルーメタリックとアガパンサスの淡い紫が相性が良いことに気が付きそれを表現したかったことです。ヘルメットを分かりやすい位置に置くことでカメラの側はこのバイクのライダーであると予感させる想像誘導型のツーリング写真です。

こんな邪道なことをして…というご意見は真摯に受けたいと思います。しかし、実はデジタル写真というのは元々、緑色だけがやたら彩度が豊かであり、レタッチなどしなくても撮ったままの画像の緑がやたら鮮やかなものです。そこでフィルムっぽい写真がお好みの方にお勧めなのは緑の彩度を少々抜いてしまうことです。まあ…今回の極端ですけどね。

レタッチは自分の場合はこうなんです、と信念のもとで堂々と行えば仮に他人に何か言われようと全く気にならないものです。もし写真を良く見せようと後から盛った写真であれば、欲望に負けた自分の存在を指摘されたことになります。そのような嫌な思いをしないためにも確固たる信念をもってイメージの再現、表現の手段としてフォトレタッチを使いましょう。せっかくのデジタルなのですからね。




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