ツーリング写真と天の川の撮影方法 その2

前回より天の川とバイクを撮る撮影方法を解説しております。前回では天の川の写真を撮るための必要な機材、季節や時間帯、月齢、そして夏の天の川を撮るには千葉が意外なスポットですよ!というお話を書きました。今回はその続きで露出や構図について解説いたします。

前回の投稿 天の川の写真を撮るなら千葉だ☆バイク写真と天の川

では続きでございます・・・

・天の川の写真を撮る気象状況

EOS6D mark + SIGMA12-24mmF4.5-5.6DG  F5 30SEC ISO3200

満天の大空に流れる天の川という写真にするなら14mmあたりのワイドレンズを装着して完全な快晴を狙いたいところです。しかし35mmや50mmのレンズで天の川銀河を大きく切り取るのであれば晴天であれば快晴にこだわる必要はありません。雲は風で流れてゆくのでタイミングをみて撮ればOKです。流れる薄雲がスローシャッターによって演出として機能する場合もあります。

むしろ悩ましいのは温度と湿度、海岸から撮る場合は海水温などによる霞みです。天気補予報で「沿岸部は濃霧に注意」といった予報の時は期待できません。




あとは実際に行ってみないと分からない部分も多くチャレンジ精神が要求されるものです。私の経験上、今日はイケるか!?と期待しても行ってみたら霞んでいてダメだった…なんて残念なことは何度もありました。標高の高い山の上から狙うなら霞の心配はそれほどありませんが、今回私がご紹介しているのは「千葉の海から撮れますよ!」という事なのでこの問題は海から狙う場合ならではかもしれません。

そもそも天の川の景色なんて特別なものですからいつも完璧に見れるわけではないのですけどね。

・天の川を撮影するときの露出設定

星景写真の経験がある方でしたら天の川だからと言って特別なスキルは要求されません。薄雲などで天の川の位置がよく確認できない場合はスマホを空にかざしてアプリで位置を確認してみましょう。そしてカメラを三脚にセットし大まかにアングルを決めたらフォーカスはマニュアル、撮影モードもマニュアルに、手ブレ補正のあるレンズは忘れずにOFFにしておきます。

星空の写真を撮るときの露出設定は夜空の明るさに合わせるのが基本です。例えば新月で14mmで撮る場合、F2.8であれば30秒のISO2000あたりで天の川は鮮明に確認できると思います。ここでポイントとなるのは選択した画角によって許容されるシャッター速度が変わってくることです。地球は自転しているのですから暗いからといって長時間シャッターを開ければ星は点ではなく軌跡を描いてしまいます。14mmのようなワイドレンズであれば30秒開けていても軌跡はさほど気になりません。しかし35mmや50mmで大きく天の川を切り取る場合は10秒程度に抑える必要があります。

これは50mmレンズで30秒シャッターを開けてしまった写真の拡大です。軌跡を描いてしまったことで全体がボヤけたような星空となり失敗写真となりました。星々が丸く円を描いている星景写真を皆さま一度は見たことがあると思います。あれは意図的に軌跡を描かせるため30分や1時間といったバルブ撮影をしたものです。

天の川や星景写真の場合、小さな星の1つ1つの集合なので、軌跡の影響だけでなく風などによるブレ、ピントの甘さ、遠くに飛んでいる航空機などがないか拡大表示して現場でしっかりチェックしましょう。

・天の川とバイクを撮るときのライティング

EOS6D Mark2 + EF14mmF2.8L

天の川の撮影といえば夜空に露出を合わせる訳ですからバイクのある地上サイドは何も光源が無ければ真っ黒に潰れます。上の作品は海へ続くS字カーブが美しかったので画面の割合として地上を多めに入れた天の川の作品です。ツーリング写真における天の川の作品なので空だけの写真ではありません。道やバイクなどの地上物をどう写すかが良作へのカギとなります。この写真ではカメラ背後のナトリウム灯が光源になっていて、バイクにはLEDライトを車体の向こう側から照らしてみました。

バイクを照らす用のLEDは強烈なものではなく100lm程度のダイソーのLEDでも問題ありません。カメラ側から照らすのが基本ですが上の写真のように逆側から照らしてしまうのも技アリだと思います。このようにただ撮るのではなく何かユニークなひと捻りを考えてみましょう。天の川の写真だからといってただ天の川とバイクを撮るのではなく、いつものツーリング写真と同様にユニークな表現やエキサイティングな設定ができないか?思考を凝らして個性を発揮しましょうね。




・天の川とバイクを合わせた構図の作り方

EOS6D Mark2 + EF50mmF1.8STM  F1.8 8SEC ISO3200

天の川は虹と同じように特別なシーンです。特別なシーンの怖いのはそれを写真に収めたこと自体に満足してしまうことです。バイクを置いてライトをセットし天の川が写っていればそれでOK!という写真では他の誰かが撮っているような写真と同じような写真かもしれません。

相手は真っ暗闇の世界なので難しいかもしれませんが、自分なりに表現したい部分を明確化して構図を作ってみましょう。上の写真の場合では大胆にも50mmレンズで天の川銀河を大きく引き寄せF1.8でピントピークを遠景に合わせバイクはボカしてみました。これはほんの一例にすぎませんが道を主題に写したり、モデルのポージングで天の川に対する感情を表現したりと工夫を凝らしてみましょう。

・天の川を撮影する際の注意事項

一つ目の注意点としてレンズの結露、夜露があります。結露がひどい場合は数分に一度の頻度でレンズをクリーナーで拭き取ることもあります。星景写真の専門の人はレンズヒーターを用意している人もいます。レンズの結露に気が付かず撮影に没頭していると明瞭さのないボヤけた写真が出来上がります。

もう一つの注意点は暗がりでモニターを確認することで正しく露出を判断できないことです。暗がりで目が慣れてしまうと真っ暗な画像もモニターのバックライトで明るく感じるものです。ヒストグラムを表示して確認するか念のため明るすぎると思うほどのカットも撮影しておきましょう。案外それが本来欲しかった露出という場合もあります。

飛行機を流れ星に見立てて撮った(撮れた…) 夏の猛暑日で下の方は霞んでいる

ビクセンポラリエなどの赤道儀は必要ないの?という疑問をお持ちの方も多いと思います。ネットで天の川の撮影方法を検索すると赤道儀が紹介されている場合が多いですよね。赤道儀は自転に合わせて空を追従してくれる物ですが、星座や星雲など空にあるものだけを撮るときに使う物です。地上物であるバイク等と一緒に天の川を撮るときにはメリットが出しにくいです。(1分くらいのシャッターであればバイクもさほどブレませんが、その程度であれば高価な赤道儀を用意するメリットがあまりない)

ポイントはバイク写真、ツーリング写真としての天の川風景ですので、地上物とどう撮るか?が重要になってきます。なので私は赤道儀は使っておりません(持ってもいませんが)。

・天の川のRAWデータをLightroomでレタッチする

天の川の写真をイメージ通りに美しく仕上げたい、という事であればAdobe PhotoshopやLightroomなどのソフトはマストであると言っていいと思います。撮影時はRAW+JPEGで記録しRAWデータを取り込んで作業を開始します。ここでは詳細には触れませんが天の川を美しく出すためにテクスチャ、明瞭度、かすみの除去などの機能を使ってレタッチします。暗くなってしまったバイクの露出を上げたり天の川銀河にハイライトを局所的に入れたりもします。

このようなレタッチについては実際の様子と異なる写真ではないか、として否定的な意見も散見されます。私の個人的な考えとしてはカメラは写しているのだから、それを美しく分かりやすく調整することには何の躊躇いも無用だと思います。なのでこれから天の川の撮影を本格的にやってみたい、という方にはLightroomを導入してイメージ通りに仕上げるレタッチに是非挑戦してみてください。

Lightroomを使って天の川の写真を仕上げる解説は別の機会に詳しく書いてみたいと思います。




 ~天の川とツーリング写真 まとめ~

・九十九里や南房総の海岸から天の川の写真が撮れる!

・ツーリング写真としての天の川作品は地上サイドをどう撮るかが重要

・春から夏に南東の空、新月や三日月のときを狙おう

・光害のない開けたロケーションで撮ろう

ちなみに天の川とは英語でmilky wayといいますが由来はギリシャ神話に登場する女神ヘレの母乳なのだそうです。

ツーリング写真における天の川の撮影方法でした!

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天の川を撮るなら実は千葉だ!天の川とバイク写真の撮り方

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今回は星景写真・・・それも天の川の撮影ノウハウを解説してみたいと思います。すごくハードルの高いイメージですが恐らく皆さまが今お使いになってるカメラで天の川はキレイに撮影できるはずです。

ネットで検索すると天の川の撮り方はけっこう情報が出てきますが、今回はバイク写真&ツーリング写真としての天の川の写真の撮り方として私なりのノウハウを公開してみたいと思います。

天の川の撮影って天体の専門的な知識がないと難しいんじゃ…、カメラのベテランでないと写真にならないでしょ…?いいえ大丈夫ですよ。

EOS6D MARK2 + EF35mmF2 IS 千葉県南房総市




・天の川の撮影で準備するもの

まず天の川の撮影において必要な物からご紹介します。1.マニュアル露出できるカメラ(できれば高感度でも低ノイズなモデル)2.三脚(3型くらいのしっかりした物)3.一眼レフの場合は広角レンズ 4.LEDライト(キャンプ用のヘッドランプ 周囲の確認用に強力なライト バイクを照らす用に小さな物を1~2個) 5.レンズの結露を拭き取るレンズクリーナー 6.Sky ViewやStarwalkなどの星座観測用のアプリをスマホに入れておく 7.できればadobe Lightroomもしくはphotoshopのソフトorアプリ。などです。

天の川とバイクを撮るなら35mmがおススメ!

レンズは星景写真では14㎜などの超広角レンズから24mmくらいを使用するのが一般的ですが私が個人的にお勧めしたいのは35mmです。星空に流れる天の川を表現するなら14mmですが天の川銀河自体に絶対的な存在感を持たせるなら35mmです。(APS-Cカメラの場合は24mmくらいに相当します)

解放値はF2.8くらいは欲しいですがカメラが低ノイズであればF5.6くらいでも何とか許容できると思います。私も以前はキャノン純正EF14mmF2.8Lを使っていましたが今はSIGMA12-24mmF4.5-5.6DGにしましたが感度を上げても問題ありません。

それから天の川を撮るためにバイクで出かけるのですから夜間走行用の装備(クリアシールドなど)もお忘れなく。

・天の川の撮影ポイント

天の川の撮影で最も大事なポイントは撮影地選びです。天の川が目視でしっかり確認できるポイントでないと高感度が優秀なカメラでも解放の明るいレンズでも難しいです。

天の川がキレイに見える場所?と聞くと長野県や北海道などの山間部をイメージしますが、意外や意外なことに千葉県の房総半島もキレイに天の川が観測できます。と言うのも今の時期、天の川銀河が見えるのは南東の空です。房総半島の太平洋側、外房のエリアであれば南東の方向は海しかありません。

こんな感じで南東に遮るものがなく海!というロケーションであれば天の川の観測に向いています。伊豆半島は大島があるので微妙ですが下田よりも南なら良さそうですね。

外房の場合は険しい断崖や九十九里平野のような海岸が多いのですが、照明の無い広い駐車場や公園のような場所、高台の空き地などを探してみましょう。

これは南房総市千倉町の漁港で撮った1枚ですが街明かりや近くの街灯、灯台などの光があるとこのように影響を受けてしまいます。夜空の中心に天の川があるのですが殆ど確認できません。この写真は光害の影響を受けたけど、これはこれで不思議な写真になったと思い仕上げてみましたが…。イメージと違う物が偶発的に撮れてもそれは魚釣りで言う外道のようなものですね(ごく稀に傑作になりえますが)。

自分の目では真っ暗闇でも広角レンズをセットすると近くの街明かりなどが影響してしまうものです。カメラのすぐ背後にある道路の街灯なども影響しますが、これは場合によっては地上にあるバイク+ライダーなどを程よく照らす照明として機能する事もあります。




・天の川の撮影時期、時間帯

EOS6D mark2 + EF35mmF2 IS  F2 15SEC ISO1250

今回ご紹介する作品は春から初夏にかけての天の川です。8月、9月となると垂直になって再び斜めになっていくので主に縦構図での写真になると思います。ちなみに天の川は冬よりも夏の方が明るく美しく見えるそうです。

天の川の撮影で注意したいもう1つのポイントは月です。月明かりは肉眼で感じるよりも実際はとても強烈で星空の観測や撮影に大きく影響するものと考えましょう。簡単に覚えるのであれば満月やそれに近い月齢は避けて、新月や三日月くらいのタイミングが狙い目ということになります。

半月程度の月例の場合は月の入り時間をチェックしてみましょう。季節によって変動しますが夜明け前の時間に月没することも結構あります。




F2 15SEC ISO1250

この写真は先ほどのカットと近い場所で撮りましたが先ほどは新月、こちらは月齢9の半月(月齢14が満月)です。半月をカメラの背後に撮っています。露出設定は先ほどと全く同じでF2 15秒 ISO1250 です。ぜんぜん明るいのがお分かり頂けると思います。ちなみに方角的には目の前に天の川ですが、当然ですがこの設定ではほとんど天の川は写りません。

しかしこのような状況でも月没の時間が近いのであれば月没後の30分から1時間くらいでかなり夜空は暗くなるのでチャンスがあります。タイムリミットは日の出で空が明るんでくる直前です。解放の明るい広角レンズを持っていないしカメラも高感度に弱い…という方は肉眼では分からない程度に空が明るんでいる3時や4時に撮るといいと思います(徹夜の撮影になっちゃいますが…もうそうなったら朝焼けの景色も撮って帰るしかありませんね)。

それと天の川は南へ向かって移動するので長時間にわたり待機する場合はバイクとの構図がずれてくるのでご注意を。

長くなったので次回に続きます

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目に見えないものを写真にする技術☆被写体と空間

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、不可解なタイトルをつけてしまいましたが今回はいつもと少しアプローチを変えて写真解説を書いてみたいと思います。題して「目に見えないものを写真にする技術☆被写体と空間について」でございます。

ビギナーだったころ一歩前に出て被写体に寄って撮ること、と教わりましたよね。きっと多くの方が知っている写真の基礎的な技術ですが皆さまはいつも意識されていますか?被写体に寄ることは特徴を強調したり主題をより明確にすることが目的ですが必ず寄らなくてはいけないのでしょうか?被写体に寄るは重要なのは理解できますが逆に引くことはダメなのでしょうか?

「被写体に寄る」に限らず例えば三分割構図とか写真の基礎と言われること、これらは「使うテクニック」と「使わないテクニック」の両者を身に付けるよう心がけてみましょう。この場合は三分割構図ではない、ここでイメージ通りに表現するのは敢えて被写体に寄らない、といった具合に【使わない方】も覚えるのです。




RICOH GR APS-C

さて今回は「目に見えないものを写真に・・・」と題しましたので、理論的なお話ではなく少々オカルト…ロマンチックな観点でご説明します。上の作品は東京の日常にあったバイク風景を写真にしたスナップです。少し前に風景主体のバイク写真はライダーの姿が無いと風景の中でバイクがお留守番しているみたいで不自然である…と書きました。しかしこの写真はツーリング写真ではなく本当にバイクが主人の帰りを待つお留守番状態なのでライダー無しでも成立するバイク写真だと思います。

私がここで写真を撮ろうと思ったのは都会特有のビル間から差す美しい光、ガラス張りの建物から透過している光の様子、苔むしたアスファルトなどが気に入ったからです。バイクという特定の被写体が存在しているので本来であれば寄って撮るのがセオリーです。しかしこの場合はその空間において被写体が放っている存在感を写真にしています。

「そこに在る」という事実を表現するために目には見えないオーラのような存在感をとらえるのです。




「そこに在る」をとらえるために被写体に寄らない。あえて空間を多めにとるという表現手法です。この引いて撮るやり方は被写体の小ささや可憐さを表現するのにも使われますが、ここでは存在感を放っている範囲をフレーミングし空間自体を撮るのでそれとは少し意味合いが異なるものです。

そう、存在感を放っている範囲です。目には見えないですよね。それは上の写真のように一輪の花がまるでその場に明かりを灯してるような空間のことです。明かりが灯されている部分とその周囲までが対象範囲です。「そこに在る」を撮るとはこうゆう事です。

EOS6D Mark2 + SIGMA50mmF1.4ART

被写体が放つ存在感が目の前の風景の中でどこまで及んでいるか?これは「ものを撮ろう」と凝り固まっていては捉えることができません。被写体がその空間に放っている存在感はまずは作者が被写体に心動されたことに向き合い、その場所に対してどう存在してるのかを感じ取ってみましょう。

この作品では廃屋が放つ崇高さだけでなく、かつて不毛の地を開拓したが自然の力には及ばなかったというStory性なども含め、場所に対して存在している事実を考えてみましょう。




このように目の前にある事実に対して心が動かされること、感じ取ること、想いを馳せることは「いい写真を撮ってやろう」という「やろう精神」では実現できません。以前も書きましたが「私の場合はこうです」という個人的な美的表現と「どうだうまいだろう」というやろう精神は似て非なるもので、間違っても後者にならないよう注意が必要です。被写体と素直に向き合って出会いに感謝する心を持ってみましょうね。

えっ?そんな善人じみたことは難しい?では上の作例でご紹介したような被写体を見つけたらまず最初に「こんにちは」、撮り終わったら「ありがとう、また会いましょう」と呟いてその場所を立ち去りましょう。これでOKですよ。

今回はこの辺で!

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常識を飛躍した表現に…<上級>ツーリング写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、コロナウイルスショックで大変な状況ですが如何お過ごしでしょうか?こういった状況になると平凡な日常が実は有難いことだったのだ…と改めて実感するものですね。

普通に会社に行ける事、普通にお店や映画館に行ける事、イベントや芸術鑑賞を出来る事…そんな「普通」を早く取り戻して、そして健康に生きることに感謝できる日がくるといいですね。そのために私たち一人ひとりが出来ることを確実にしていきましょう。




さて今回は私の独り言風にツーリング写真に関わる少々マニアックなお話を書いてみようかと思います。確か今年のはじめくらいにドキュメンタリータッチなツーリング写真とRoadTrip Photoのバイク版を今年の課題にすると書きました。ツーリングのRealを伝える写真は今まで意識したことも無かったので楽しい試みでしたが、いざやってみると課題にするような感じではなく、何というかこう…簡単だったのですね。感じたものへ視線向けた、それにレンズを向けてシャッターを切るだけですから。

そこでちょっとハードルを上げて常識の枠を飛躍したアートと呼べるツーリング写真にも挑戦してみることにしました。

EOS6 mark2

以前から芸術、アートを意識していなかった訳ではないのですが、なにしろ勉強不足で芸術とはなんぞや?というアカデミックなことになると全くダメでした。今も芸術について勉強している訳ではないのですが、以前よりも芸術を好きになり身近に感じるようになったのは確かです。




そこで先日、桜の咲く千葉県富津市の佐久間ダムでこんな写真を撮ってみました。日陰の多い鬱蒼した小径でしたが山間の隙間から強い太陽光が差し込み、ちょうど桜の花の部分とバイクを停めて良さそうな場所に強い日差しが差し込んでいました。

日の当たっている場所にR1200GSを停めて撮影を開始したのですが、当初のイメージが曖昧だったため、撮影は難儀しました。どちらかを立てれば一方が犠牲になり最終的に納得のいく着地点が見つからないパターンです。特に前景になっている緑や茶色が桜の存在を曇らせていました。

この時、どうも自分はいつもこんな事に苦しんいる…なにか腑に落ちない。仮にこの作業で納得のいくアングルを発見しても果たして自分が憧れている写真になりえるのだろうか?そんな疑問がふつふつ沸いてきました。

「そうだ、こんな普通の撮り方なんてもう〇〇食らえだ!」と半ばヤケになり、開き直りとは恐ろしいもので突拍子もないアイデアを思いつきました。それが上の写真です。何をしたかと言うと緑と茶色を抜いたのです。モノクロ写真に桜のピンクとR1200GSのブルーがあるのみ。後でLightroomでそうしようと思いシャッターを切りました。

もちろんこの写真が成功であったか?は微妙です。ただ非常識なことをしたのは事実です。私たち現代人、特に職業として芸術とは直接関係ないサラリーマンや公務員はどうも集団と同調するよう教育されているようです。その上で常識の範疇内で物事をすすめるのを良しとする傾向があります。

みんなと同じように常識的にやる…

無意識下に常識を飛躍するような発想を持ち合わせていない人間になっているのかもしれません。日常生活やお仕事をする上ではこれでも良いのかもしれませんが、自由を与えられたアマチュアの写真家が常識に縛られていて良いことがあるでしょうか?




既に誰かがやった撮り方、いい写真とはこんなんだ、一般に画一化された上手い写真…そんなものは貴方の個性でブチ壊してやりましょう。失敗に終わっても損害は何もありませんし、ましてや誰にも怒られたりしません。

私はこの4月からこういった常識を飛躍したアートツーリング写真に挑戦してみたいと思います。楽しそうでしょう?

今回はこの辺で!

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ピント位置と露出で魅せる複合上級テクニック

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、せっかくの良い季節ですが容易に外出できない有事となってしまいましたね…。ここ数日、究極のツーリング写真ではPV数がすごく伸びておりまして、きっと多くの方が外出できずにご自宅でインターネットをされているのだと推測されます。

こういう時は街中でスナップ写真や人の多い場所で桜の撮影とか難しいので、知識をつけるために究極のツーリング写真の過去記事をご覧ください・・・ちょっと無理があるかな?




さて今回はピント位置と露出で魅せる複合テクニックと題して上級ツーリング写真の解説をいってみたいと思います。

EOS6D mark2 + SIGMA150-600mmF5-6.3DG C

まずは完成作品からご覧ください。南房総の海岸線で撮った一枚ですがこの時、良いお天気と反して海は荒れていました。岩場に砕ける波の様子にすぐに私のセンサーが反応しました。

この砕ける波のダイナミックな表情を望遠レンズで引っ張って撮ろう。すぐにそう思いついてEOS6D mark2にSIGMA150-600㎜F5-6.3DGを装着して撮影に挑みました。

まずリアルサイド分析ですが撮影現場は太陽光が眩しいくらいに注いで十分に明るいこと、岩に砕ける波の様子が様々な表情があること、波の飛沫はかなり白いこと、遠景に船が行き交っていること、後方からの順光によりR1200GSアドベンチャーの各部にハイライトが入り輝くこと…などが確認できます。

充分に明るいということは早いシャッター速度をかせげる状況です。そして望遠レンズを使うには十分なスペースも確保されています。ここは岩に砕ける波を主題に撮るのですから大胆に絞りを解放に設定しピント位置を波にしてみました。

いちおう書いておきますがこのようなシーンでは迷わず高速連写モードを使用します。この撮影シーンだけで軽く200カットはシャッターを切りました。たくさんのバリエーションの中から自分の気に入った波の様子の1枚を後でselectする作戦です。




最終的に仕上げまで行ったカットは25枚でした。その中で上の写真のように葛飾北斎の神奈川沖浪裏を彷彿するような波のものもありました。これを採用カットにするかかなり悩みましたが、採用カットに選んだ写真の方が飛沫が鶴の化身のようで印象的だな、と思い最終的にselectを終えました。

上級者であれば魅せ方は1つと限らず2つ3つと複数の手法を複合的に駆使して表現してみましょう。今回の作品では先ほどご紹介した絞り開放により深度で魅せる方法、たくさんの連写から1枚を選ぶこと、そしてもう1つくらい何かないでしょうか??そう露出です。

リアルサイド分析で波の飛沫は真っ白である…と確認しましたが、この白さが白トビしてディティールが失われないようこの部分に露出を優先します。結果、他の部分が少し暗くなってしまいますが、そうなっても変な写真にならないように構図を組み立てます。飛沫に露出を合わせたことで高速シャッターが捉えた飛沫の一粒一粒まで精密に表現することができました。




いかがでしたか?私もまだまだ勉強中ですが一枚の作品の中にいくつもの表現手法を組み合わせた写真。そうすることで写真の構造を暗号化して見る側に巧妙さを容易には感じさせないという効果もあります。

ちょっとマニアック過ぎたかな…

今回はこの辺で!!

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写真は完璧であってはならない理由<上級>ツーリング写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、芸術はお好きでしょうか?当ブログでは以前よりツーリング写真、バイク写真を芸術作品…つまりARTへ進化させバイク写真文化を成熟させていきましょう!と発信してきました。

しかしどうすればバイク写真という小さな写真文化をARTへ昇華させることができるでしょうか?そもそもARTって何でしょう。私も勉強不足なのでこの辺の深い話ができないのですが、観賞者サイドも作者サイドへ寄り添って共に思考して楽しむものがARTではないでしょうか?

美術館に行くと難解な作品を目にすることがあります。特に印象派の作品や現代アートなんかでよく感じます。「これは一体なんだろう???」「作者は何をうったえているのかな?」と作品の意図がパッと見た瞬間ではすぐには分からない作品です。このように観賞者が思考することが【観る側の楽しみ】です。ただ見るのではなく感じて思考すること。この意識がないと芸術を単純に視覚的な美しさやバランスだけで見てしまい面白くないものになります。

そして観賞者を楽しませてくれる芸術作品ほど曖昧さや不完全さがあるものだな…と私は感じます。あの岡本太郎さんも「芸術は美しくあってはならない」「芸術は心地よくあってはならない」と何かに書かれていました。不完全さや曖昧さからくる思考の渦を感じ取るもの…よく分かりませんがそんな感じがARTなのではないでしょうか。




さて今回はそんな観賞者を思考や想像で楽しませるツーリング写真をご紹介してみたいと思います。

これは撮影現場の様子をiphoneで撮った1枚です。漁船のキャビンだけが空き地に捨てられている様子ですが、私はこういった光景がいちいち心に刺さってしまうので、撮らずにはいられませんでした。

しかしこの朽ち果てた漁船のキャビンとバイクを合わせてどのようなツーリング写真を撮りましょうか?被写体の特徴をよく観察し、自身が動いた心の様子を自ら感じ取りながら思考します。

まず特徴的だと感じたのは連なる3つの窓です。ガラスは割れていますが枠を固定しているネジなどが面白いと感じました。ここを使って窓の向こう側へR1200GS-ADVENTUREを置いてこんな風に撮ってみました。この写真の説明範囲は漁船のキャビンのような物が横たわっているのだな…という事がかろうじて伝わる程度です。

「説明範囲」とは写真であるからには元は事実な訳ですが、それが何であるか見る側へ説明する作者の責任ようなものです。バイクを撮ったのに小さすぎたりボケすぎたりして、見た人に「ここに写っているのは自転車ですか?」となればバイク写真としての説明範囲が十分でなかったという事です。




ここではバイクはもちろんの事、メイン被写体である漁船もかろうじて漁船であることが多くの人に伝わるのではないかな、というつもりでこのように撮ってみました。

しかしこれだと見る側の思考の楽しみが少々もの足りないようにも感じます。説明範囲が広すぎて退屈なのです。せっかく変わったものを見つけたのですから、もっと観賞者の想像力をかき立てる工夫はできないでしょうか?

EOS6D mark2 + EF35mmF2 IS

そこで最終的にこんな風に撮ってみました。キャビンにぐっと寄って窓枠を主題にした写真にしたのです。寄ったことで枠の様子が明らかになりメイン被写体の質感が表現でき、わずかに残されたガラス片も写すことが出来ました。

しかし、これだとこの白いモノが何なのか?撮影現場を見ていない観賞者には得体の知れない物になってしまいます。説明範囲が狭く事実が伝わらない写真ですね。これが何であるかは観賞者が思考する取り分として意図的に残します。

「わけが分からない」と見向きもされないかもしれません。ここは「想像力が乏しい観賞者は残念ながらターゲット外にしよう」と大胆に割り切りましょう。たまには良いではありませんか。




このように写真とはいえ実際の様子の全てを明らかにせず、あえて観賞者の持ち分として想像範囲を残す手法のご紹介でした。写真は事実を元に生み出す芸術ですが実際の様子の何もかもを写す必要はなく【説明範囲】と【想像範囲】の割合を作者である貴方が裁量するのが面白いのではないでしょうか?というお話でした。

…完璧に説明した写真なんて退屈ではありませんか。

今回はこの辺で!!

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これが究極の黄金比☆フィボナッチ螺旋構図とバイク写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、河津桜の写真はもう撮られましたか?私は房総人なので南房総の河津桜「頼朝桜」の写真を今年も撮ってみました。

頼朝桜とはかつて石橋山の戦いに敗れた源頼朝が小舟に乗って房州の竜島(鋸南町)に流れ着き、そこで再起をはかったことに由来するものです。桜自体は河津桜と同じだと思いますが呼び名が房総では「頼朝桜」となり佐久間ダム親水公園や保田川で頼朝桜のお祭りも開催されるのです。

実は去年も保田川で写真を撮ったので今年は同じような写真を撮らないように、進化を確認するぞ!といった感じでハードルを自分で上げて撮影に挑んでみました。




EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L IS

桜に限らず「今日はお花のシーンで撮るかも」という時に迷わずに持っていくレンズはEF70-200mmF2.8L ISです。このレンズは開放F2.8が通しで得られるキャノンの大三元レンズですが、浅い被写界深度をコントロールしボケ具合で花のある風景をイメージ通りに表現できるのです。

で、今回の写真は究極の黄金比と言われるフィボナッチ螺旋構図、またはフィボナッチスパイラルと呼ばれる黄金螺旋構図を採用してみました。




フィボナッチ螺旋構図とはこのような構図です。黄金比(1:1.618)に基づいた比率の曲線です。少々アカデミックな話ですがフィボナッチ数列といい1から始まり前の数字を足していく数列(1.1.2.3.5.8.13.21・・・)があります。この数列を正方形として積み合わせていくと上の青点線のようになり、その交点を曲線でつなぐと何とも神秘的な渦巻き型の曲線ができあがります。

神秘的な…と形容したのは根拠があって、このフィボナッチスパイラルはオウム貝の断面、竜巻、花びら、DNAなど自然界や生物に存在している正に神秘の曲線なのです。

Lightroom

何だか難しく聞こえますが1:1.618だの数列だのを完全に理解する必要はありません。ポイントはフィボナッチスパイラルを何度も見て覚え、実際の撮影シーンで覚えたフィボナッチスパイラルを意識して構図を作るのです。

以前、私はこの構図を知ったばかりの頃「カメラにもグリッド線のようにフィボナッチスパイラルを表示できれば良いのに」と思っていました。しかしそのようなカメラは有るのかもしれませんが稀です。ここ、大事なポイントなのですがフィボナッチスパイラルはグリッド線のように合わせるものではなく、あくまで感覚でつかんでみましょう。人間のDNAにもある神秘の曲線な訳ですから、そういった意味で感覚が最も精度が高いと私は信じております。




実際には難しいです。まずは曲線の要素を探すよりも最初に渦巻の中心にバイクなどのメイン被写体を置いてみます。その上で曲線上に配置できるデザイン要素を見つけてアングルを探り当てていきましょう。

もしフィボナッチ螺旋構図が成功すれば、それはレオナルドダヴィンチなどの芸術作品に通ずる優れた構造を持った写真が実現できる訳です。

ステップアップの1つの目標として次の撮影で挑戦してみてくださいね。今回はこの辺で!!

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上級者の秘密テク☆深度のピークをコントロールする妙

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今回は久しぶりに<上級>ツーリング写真解説をいってみたいと思います。今から2年前、私はこのブログを立ち上げたばかりの頃にツーリング写真の撮り方の解説として<初級><中級><上級>と3つのカテゴリーに分けて解説を作り始めました。

写真の撮り方のノウハウなんて普通は秘密にするものですし、基本的なことであればマニュアル本にもネット上にも情報は溢れています。世に存在している写真の撮り方とは大半が初級者向けのカメラ操作方法ばかりです。ビギナーを卒業しているはずの人でも最初に教わった基礎に縛られてしまい、それ以上の知識を得る機会が少ないな…と感じてこのようにしました。そして写真を好きになるとは、写真を楽しむには、といった写真を中心としたビギナー向けの情報が乏しいとも感じたのでその辺も最近は書くようにしております。

私のような人間が上級者向けの内容を書くなどまことにおこがましい…という事は承知の上でやってみようと思いました。「ぜったい偉い人に怒られるな」と当初は予想していたのですが、幸いなことに今のところ誰にも怒られておりません。




さて前回と前々回でツーリング写真、バイク写真に使う三脚のお話、そして三脚をバイクに積載するにはどうしたら良いか、という投稿を書きました。

前回の投稿はこちら

前々回の投稿はこちら

この解説の時に撮った作品で今回は被写界深度とピントピークのコントロールについて書いてみたいと思います。

EOS6D Mark2

まずは完成した作品からご覧ください。この冬の季節、南房総からは東京湾ごしに富士山が美しく見えるものです。また海は紺碧色で空気は澄んでいて冬の房総の海岸線は本当にバイクで走ると気持ちいいなと、30年も千葉をツーリングしていますがいつもそう思います。

いちおう<上級>ツーリング写真解説とはいえ、いつも通りこの作品の基本的なプロセスを最初に解説しておきます。まずFactorの解明ですが、ここで撮ろうとバイクを停めた理由は美しい東京湾ごしに見える冬の富士山にアンテナが反応したこと。Real side分析では富士山まで遠い、海が青い、撮影スペースはかなり広い、タンカーやコンテナ船が頻繁に行き交っている、トビが飛んでいる、など作品に使えそうな素材をピックアップしました。heart side分析ではとにかく全体が青の印象として感覚に刺さったこと、日本の玄関口である東京湾の様子とトビの演出で何となくStory性を作れそうだと予感したことです。

左 F6.3                     右 F14

<上級>ツーリング写真なので基本的なことはサラっと解説します。この撮影シーンではR1200GS-ADVENTUREの各パーツに入ったハイライトを使って玉ボケで表現してみました。F14まで絞り込んだ右よりもこのレンズで解放となるF6.3の方がキラキラと抽象的で私好みだったのです。画面全体は望遠レンズによる強烈な圧縮効果で富士山も海面の青も見る側へ圧力的にアピールします。

いくら絞りを解放に設定しても、ある程度から遠くにある部分は被写界深度が深く発生することは上級者の方でしたらご存じだと思います。そして深度は奥行方向に山になっていてピークが存在がします。ピークは最もシャープになる合焦ポイントですが、解放と違って深度が深い場合についてはピークもある程度の奥行きが存在するものです。




☆ここでワンポイント なぜMFを使うのか?

ではそのピーク位置をどこに置きましょうか?もちろんAFではなくMFを使用します。AFはスポーツシーンなど動く被写体を追従する時などに必需ですが、こういった風景写真の場合は被写体との深度の兼ね合いを考慮してMFで精密にコントロールしてみましょう。

カメラのAF機能は深度と被写体の兼ね合いまで考えて動作する訳ではありません。あくまでピントピークを特定の被写体に合わせることしか出来ないのです。

この作品の場合はとにかくR1200GS-ADVENTUREの車体に入る玉ボケのハイライトを美しく表現したい一心でした。そのための手段として開放F6.3で発生した深度とそのピントピーク位置をこの写真の最も遠景となる被写体、富士山の頂に合わせてみました。ピークが思いっきり遠くになったことで、R1200GS-ADVENTUREの玉を大きくしたのです。

これがもしピークを対岸の久里浜や沖合の船に合わせたとしましょう。それでも富士山の頂はシャープに写りますが、F6.3程度ではこれほど大きな玉ボケは作れません。

例えば300mmの望遠レンズで50m先に被写体A、70m先に被写体Bがあったとします。AとBの両方にピントを合わせたいとき、最低必要な被写界深度を出すにはF11だとします。AとB以外の背景や前景はなるべくボカしたいとなったとき、ピントピークの位置はAとBの真ん中となります。AFを使ってしまうとAかBのどちらか一方にピークを合わせてしまうので、両者にピントを持ってきたい場合はF11では深度が足らなくなってしまい、さらに絞れば背景や前景のボケ具合が甘くなってしまいます。

深度のコントロールとピントピークの調整は必ずMFで行う理由はこれです。

絞り込みボタンを押し込みながらフォーカスリングを回す

ピントピークの位置調整は難しいのでお勧めのやり方をご紹介します。まずレンズをMFにしてライブビューさせます。そして絞り込みボタンを押し込んでみましょう。

絞り込みボタンを押し込んだままの状態でフォーカスリングを回し各被写体の合焦を確認しながら調整します。私のSIGMA150-600mmF5-6.3DGの場合はピントリングを左に回していくことで、合焦ポイントは遠景に向かっていきます。拡大表示させる部分はコントラストのはっきりしている部分を探してみましょう。もしR1200GS-ADVENTUREに合焦させるのであれば上の写真のようにBMWのエンブレムが分かりやすいです。皆さんもご自身のバイクでピント確認しやすい部分というのを見つけて決めておきましょう。




このようにピントをかけたい2つの被写体を狙い、絞り込みボタンを押しながらピント調整する一方で、通常の方法としては絞りは解放にしてピーク位置だけを確認するやり方もあります。一般にはこちらが正しいのかもしれません。カメラのファインダー像が通常時は解放で写っているのも、ピントピーク確認用としてそうなっているのかもしれません。ただ今回の作例のように被写体Aと被写体Bの真ん中に目印になる物が何もない場合は困ってしまいますが(上の作品だと海のだいぶ沖らへん)。

最後に作品の深度のお話以外の部分を補足しておきます。絞り値の比較写真ではヘルメットを置いている位置がR1200GS-ADVENTUREの足元ですが、完成写真では画面のちょうど左下の角に置きました。光沢のあるヘルメットであれば、これもハイライトが玉ボケになってくれると思い、画面の中で印象の弱かった左下をヘルメットに補ってもらったのです。そしてコンテナ船は明瞭に写っていませんが、これは冬の東京湾でよく見られる蜃気楼のような現象によるものです。その証拠としてずっと手前に存在している鳶には合焦しています。

今回の解説としては蛇足ですが以前に解説した7つのプロセスの最後【奇跡の待機】によってラッキーを授かりました。鳶が登場し鮮やかに作品の主役を奪っていった・・・その瞬間をとらえることに成功したのです。これが写っているのを確認した瞬間「やはり写真の神は私の味方だな」と勝手に膝を叩いて喜んだものです。

どんなに静かに見える風景でも写真とは瞬間なのだ、という事を忘れずに撮影に挑みましょうね。

今回はこの辺で!!

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↓↓↓撮影地↓↓↓

ちなみにこの撮影ポイントから富士山の頂まで、直線距離で測定してちょうど100kmでしたよ。

ツーリング写真家が実践している7つのプロセス<後編>

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今年はオリンピックイヤーという事もあり、ついにキャノンからあのEOS1Dx mark3 が発表されましたね。広告のキャッチでは「光学ファインダーカメラの最高峰」とありましたがEVF搭載のミラーレスカメラが主流となりつつある昨今で、OVF搭載の従来型一眼レフを”光学ファインダーカメラ”と呼称するようにしたようですね。

EOS1といえば昔からキャノンのフラッグシップ一眼レフで別名オリンピックカメラと呼ばれているプロのスポーツ写真家のカメラでした。

大きく重厚なボディに空間を切り裂くようなシャッター音。高速連写に優れたAIAF性能。今回はオリンピックの開催に合わせて満を持して登場といったところでしょうか。常用ISO感度102400だそうですよ…いつもEOS1は何かがケタ外れです。

しかし今はスポーツシーンのような素早く動く被写体を精度よく追従するAF性能についてはミラーレスカメラが主流となりました。前回のオリンピックでは多くのプロカメラマンがEOS1Dx mark2を使用していましたが今年はどうでしょうか?その勢力図の変化に注目です。




さて今回は前回、前々回とシリーズで”ツーリング写真家が撮影現場で実践している7つのプロセス”としてツーリング写真に関わる総合的なことを書いてきました。今回はその最終回でございます。

ツーリング写真家が実践している7つのプロセス 1~3は こちら

ツーリング写真家が実践している7つのプロセス 4~5は こちら

6.フィニッシュ前の最終inspection

カメラはかつてのフィルム時代からデジタル時代へと変貌し20年くらいは経過したのでしょうか。あのキャノンが最後のフィルムカメラであるEOS1Nを生産終了にした、というニュースも何年も前の事だと記憶します。

しかしカメラやフィルムの入手が難しくなったとはいえ今後もフィルムカメラのアナログ的魅力は不滅と思われます。レコードや真空管アンプ、あるいはキャブレター搭載の旧車のように、一部のマニアの趣味として今後も細々と生き残っていくでしょう。一方で実用カメラとしてのデジタルカメラのメリットは数え切れないほどあります。フィルム代+現像代がかからない。その場で画像を確認できる(練習に適している)、感度の変更が自在、ホワイトバランスの調整が容易、データとしてすぐにネット上にアップしたり他者へ送ることが可能。一般の人でも写真レタッチができるようになった…まだまだあります。

EOS6D Mark2

この6番目のプロセスでは撮った画像を再生してミスや問題点がないか詳細にinspection(検査)しましょう、というお話をしてみます。フィルムカメラでは撮影現場でできない作業です。デジタルの恩恵をしっかり活用させ、貴方ご自身が寸分も見逃さない厳格な検査官となって撮った画像をチェックしてみましょう。

バイクの新車工場で例えてみましょう。製造ラインから仕上がってきたピカピカのマシーン。それはまだオーナーによって魂が入る前の無機質な機械です。この時点で機能や美観に問題点がないか、メーカーの責任において厳しい検査が行われますよね。もし問題が確認されれば、その工程に戻って正しい状態へと手直しされるのです。検査が甘く傷の入ったバイクや機能に問題があるバイクが出荷されてしまえば、ユーザーを失望させメーカーの信頼を失う訳です。

あなたが今撮ったその写真も、まだ撮り直しのきく撮影現場で問題点を発見できれば、帰宅してガッカリすることも無くなるはずです。主なチェックポイントはたくさんありますが代表的なものは・レンズや撮像素子に付着したゴミ ・手ブレなどの肉体的エラー ・ピントが甘い、ピント位置が的確でない ・感度の設定ミス、許容できないノイズ ・地面に落ちている吸い殻などの小さなゴミ ・水平を出すべきシーンなのに水平が甘い ・画面の四隅などに歓迎しがたい物が入っている ・メッキパーツや光沢部分に余計なモノが写り込んでいる ・シートの上にグローブなどがだらしなく置かれている ・・・まだまだありますがパッと思い付くだけでもこれくらいあります。

上の写真は曇天の日の夕刻に撮ったキャンプツーリングのシーンです。とても露出設定のシビアなシーンでしたが、私はこのとき何度も再生ボタンを押して画像をチェックし暗部が潰れていないか?レタッチで無理なく調整できる範囲に入っているか?局所的に拡大したりして何度も確認しました。




以前、知人が私に写真を見てほしいと言うので拝見したところ、写真の空の部分に無数のセンサーに付着したと思われるゴミが確認され、それがすごく気になりました。ご本人に指摘したところ「自分は大雑把なのでそこまで細かな部分は気にしないんですよ」とのこと。それ以上は何も言えませんでしたがコレはいけません。誰かに1000円やるから風景写真を撮ってこい、と言われた写真ならいざ知らず。自身の作品にこういった姿勢で望むのであれば永久に憧れの1枚は実現しないと思います。

自分が大好きな被写体、心打たれた情景、そのときの感動を自分なりに表現した特別な写真、そんな写真に憧れて写真を撮っているのではないでしょうか?であれば1ミリも1ミクロンでさえも妥協は許されないのです。その為の厳格な検査機関がこのプロセスなのです。

間違ってもセンサーのゴミが写っているような写真を発表したりしないようにしましょう。写真を見ていただける人を裏切ってしまわないように…。

7.奇跡を待機

1から6までのプロセスで一通りの撮影を終え、心の底から納得いくまで撮り切ったな!と達成感を感じたら、カメラを仕舞ってバイクのエンジンをかける前に最後に次の2つのことを実践してみましょう。

まず1つ目は撮り終えた余韻を楽しんでください。これはかなり余裕のある旅ライダーにしか成しえない玄人のやる行為なので秘密でお願いします。撮り終えてその場所にしばらく佇んで余韻を味わう。お子様には分からない大人のライダーの世界です。

そもそも全身全霊で撮影に挑んだのであれば、エネルギーを吸い取られた後の屍のように、達成感と共に脱力感が襲ってくるはずです。少し休憩しましょう。コーヒーでも飲むか今どきではありませんが愛煙家なら一本つけてみましょう。

EOS6D Mark2

2つ目は奇跡の待機です。撮影の余韻を楽しむ穏やかな時間…もう少し待っていれば何かが起きないかな…それが具体的に何を?と期待する訳ではないけれど、素敵な何かが起きればいいな。そんな淡い想いが奇跡や偶然を呼ぶものです。この写真では漁港で一通りの写真を撮り終わったあと、珍客が現れたのでこの場所で撮る写真の最後のキャストとしました。

この時はとにかくこの猫の顔が気に入ってしまいました。特に可愛い訳でもなく人に媚びるような様子もない。かといって憎めない顔といいますか、とにかく望遠ズームを装着したEOS6D Mark2のファインダーを覗きながら「人間にもこんな感じの人いるよな!」とつぶやいてしまいました。

こんな風に撮影現場で当初のイメージした写真を撮り終えた後に、そそくさ退散するのではなく余韻を楽しみながら奇跡の待機をすると野良猫のような珍客、地元の漁師さん、空の雲間から天使のはしご、日ごろの行いが良ければ虹が出現するかもしれないのです。




 ~ツーリング写真家が撮影現場で実践している7つのプロセス~

1.Factorの解明

2.Real side分析

3.Heart sideを感じ取る

4.撮り方の引き出しからsearch&choice

5.uniqueさをプラスオン

6.フィニッシュ前の最終Inspection

7.奇跡を待機

いかがでしたでしょうか?ツーリング写真家が撮影現場でしている7つのプロセス。今回はあくまで撮影現場でのプロセスをご紹介しましたが、撮影現場ではない場所でも作品が最終的にプリントとしてフィニッシュするまでのプロセスはあります。例えば採用カットのselectがあります。その撮影シーンで撮った何カットもある中からBESTと呼べる1枚を選ぶ作業です。

よく作品とは2度シャッターを切られていると言われます。1度目は撮影現場でカメラのシャッターを、2度目は何カットもあるそのシーンのフィルムストリップから1枚をselectする瞬間です。これがベスト1枚だと納得できる採用カットを選ぶselect能力についてはまた別の機会に解説したいと思います。

ところで今回の解説で4.の項目でsearch&choiceと書きました。選ぶことを英単語ではselect、choice、choose、pick、などがあります。selectはその中での最良の1つを選ぶこと、choiceは自由意志の判断による選択という意味らしいです。なので4.撮り方の引き出しからのsearch&・・・の項目では「あなたの好きなのを選んでくださいね」という意味を込めてchoiceとしました。必ずしも最良を選ぶことはありませんよという意味です。

おっと、3500文字も書いてしまったので今回はこの辺で!!

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ツーリング写真家が実践している7つのプロセス<中編>

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、気が付くともう1月も終わってしまいますね。暖冬とはいえバイクにはまだまだ寒いですが、早くバイクの季節がくるといいですね。

さて前回よりバイク写真家が実践している7つのプロセスとして、ツーリング写真に関わる総合的なことを書いております。今回はその続きでございます。

・前回の投稿ツーリング写真家7つのプロセス 1~3はこちら

4.リストからのsearch&choice

写真は撮り方が大事…と多くの方がご存じだと思います。しかし撮り方は確かに大事ですが最重要ではなく、あくまで今回ご紹介するプロセスの中の1つに過ぎません。撮り方の引き出しはベテランほど豊富に在庫しているものです。その中からいま目の前にある情景や被写体に対して、自分が感動したことを魅力的に表現する手段として自身の「撮り方の引き出し在庫リスト」からsearch(検索)をかけてchoice(選択)するのです。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

撮り方の引き出しは例えば三分割構図で撮るとか、絞りを解放して背景をボカすといったものが一般的に知られていますが、そういったメジャーなものに限らずマニアックな手法からオーバーヘッドキックのような飛び道具的な引き出しまで、豊富なバリエーションで持っておくのがおススメです。引き出しの数は2つ3つでは全く話にならず100でも1000でも多ければ多いほど作品の可能性は広がると思います。

そして豊富な「撮り方の引き出しリスト」から目の前にある情景や被写体に対して、どれをchoice(選択)するかが重要な見せどころであり、貴方らしさを発揮するポイントでもあります。choiceは2.のReal side分析から得た素材情報を元に使えそうな撮り方をリストから見つけます。それは被写体の特徴であったり線や色などのデザイン要素、光の様子といったことからヒントを得ます。

上の作品では南房総にこの時期に咲く頼朝桜(河津桜)のツーリングシーンですが、全体を桜の花で埋め尽くす構図を作り頼朝桜のピンク色を印象付けました。そしてわずかな隙間にR1200GS-ADVENTUREを配置する「のぞき窓構図」を採用しました。そして近景になる桜の様子がある程度明らかに表現できるよう絞りをF18まで絞り込みました。私の撮り方の引き出しリストを検索した結果・埋め尽くす構図・のぞき窓構図・近景から深い深度で魅せる などがヒットしてそれをchoiceしたのです。




EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

もう1つ作例をご紹介します。この作品は富士五湖の1つである精進湖で撮った1枚です。太陽を画面内に入れてしまう強烈な逆光のツーリング写真です。

このとき私は道路という限られた撮影スペースでいかに富士山を望む精進湖の雰囲気を表現しようか模索しました。Factorの解明、Real side分析、Heart sideを感じ取るプロセスで富士山や精進湖といった固有の被写体がどうこうではなく、この強烈な光が存在する空間に心が動かされたのだと思いました。そこで撮り方の引き出しリストに検索をかけて、そのイメージにぴったり合うものがないか探しました。

強烈な光が心に突き刺さったツーリングシーンなのですから、光が記憶に残った記憶色風景を演出してみようと思いつきました。記憶色風景であれば抽象的な表現の1つとしてレンズフレア、ゴーストを使ってみようとなったのです。逆光時に発生する光学的なレンズゴーストは一般には嫌われる傾向ですが、私は好きなので積極的に使うことが多いです。八角形のゴーストがR1200GS-ADVENTUREに向かって光の宝石を散りばめるように…あるいはキラキラと注ぎ込まれるようにカメラアングルを探ってみました。

これは事前に撮り方の引き出しリストの中に「ゴーストを被写体に散りばめるの術」を持っていたからに他なりません。忍法みたいですが分かりやすく言うとそうです。

撮り方はある種の演出なので賛否あるものです。中にはそういった手法はあえて使わない写真家や撮り方を感じさせない巧妙な構造の写真を好む写真家もいます。ドキュメンタリータッチなナチュラル写真を撮るベテランは星の数ほど持っている引き出しリストから「1つも使わない」をchoiceしているのです。




5.uniqueさをプラスオン

ここまでのプロセスで試し撮りをした画像を確認し次のように自問してみましょう。本当にこれでいいか?普通すぎやしないか?意外性、驚き、おもしろさ、珍しさなど最後のひとひねりを加えることはできないだろうか?と。

RICOH GR

美しい景色を撮るべきだ!とかカッコいい写真を撮らねばいけない!と執着心のようなものがあると柔軟な発想は出てこないものです。ユニークさはいつも楽しんでいる心から生まれるものでツーリングを、写真を撮ることを、心から楽しむことを忘れずにいましょう。

ユニークな被写体を見つけたら擬人化してみて「ここで何をしているんだい?」と話しかけてみたり、カメラを持って遊んでいる自分の影を撮ってみたりアイデアは無限大です。いつも美しい景色やカッコいいバイク写真ばかりを求めていた自分が馬鹿らしく感じるほど楽しいですよ。




EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

そんなユニークな発想力を日常的に鍛えていれば、ある日突然としてツーリング写真の中にユニークをブレンドして目からウロコの写真を撮ってしまうものです。それはかつて誰も撮ったことのないような写真を斬新な表現として誕生させます。

さらに愉快なのはそんな写真を撮ってしまった”未知の自分”の発見です。自分で撮っておきながら「なんだこの写真!」と笑いがこみあげてくるでしょう。そうなると発想力はさらに柔軟になりuniqueとinspirationの無限ループは成立します。

inspiration、つまりひらめきとは考え抜いても気張っても出てくるものではありません。IPS細胞の研究で有名な京都大学の山中教授も「ひらめきは脳のリラックス状態から生まれる」と言っていました。まずは撮影地で少し散歩するような気分で歩き回ってみましょう。奇想天外な何かを授かるかもしれませんよ。

それをキャッチしたら作品にプラスオンするのみです!

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次回、ツーリング写真家の撮影現場7つのプロセスの最終回でございます。お楽しみに!!