壁にあたった時は?写真の楽しさを追求するべし

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、関東圏は少しだけ寒さが和らぎましたが如何お過ごしでしょうか?この冬は降雨量が少なかったのですが今週は雨マークのある予報ですね。水不足が深刻な南房総市には恵みの雨となるといいですね。

ところでコロナが収束してバイクシーズンがきたらロングツーリングに行きたいと思っているのですが、今年は北海道にするか別の場所にするか悩んでおります。特に長崎に行ってみたくて色々と模索中です。北海道はライダーにとって特別な場所ですが行ったことのない地域を旅するのも格別です。長崎、佐賀…できれば鹿児島、熊本まで走って九州地方を楽しみたいですね。その為にはコロナ渦が収束していないといけないのですが…

自分にできることは全てして祈るしかありませんね。




さて今回はツーリング写真の具体的な撮影技法やノウハウではなく、壁にあたったときはどうしようか?というお話をさらっと書いてみたいと思います。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

私は写真歴15年以上を数えますが途中で何度もマンネリを感じたり面白くないからやめようと思ったことがありました。今になって振り返れば小さなことで躓いていたな…と思えます。しかし遠回りは決して無駄ではないのが人生である、と同じように写真道も近道なんてないものです。誰だってうまくいかなくてやめたくなる時があるものです。

いい写真が撮れないからおもしろくない…いや、おもしろくないと感じているからいい写真が撮れないのかもしれません。

上手になりたい、立派な写真が撮りたい、人によく思われる綺麗な写真を、お手本はどこだ?・・・こんな感じで写真をやるのはビギナーの頃は良いですが、何年も経験を積んだベテランがこの調子では面白くなくて当然だと思います。これらは全て【画一化されたいい写真】を追いかける行為にすぎず、個性を表現できないので表現のよろこびを味わうことができないのです。

本当はシャッターを切って目の前の様子が一枚の写真になること自体がすごくエキサイティングで楽しいことなのですが、カメラで写真を撮るという文化は現代ではあまりに当たり前すぎて、ここに新鮮さを感じる人はかなり少数だと思います。




もしこの世界から何もかもが消滅したら何が残るでしょうか?地球上にあるもの全て、宇宙にある星々や粒子や原子なども、みんな消滅したらそこに残るのは【時空】・・・つまり時間と空間ですよね。時空にものが存在しているのがこの世界だとすると、それに向かってシャッターを切れば時空からは時間の流れが取り除かれ、空間は範囲の限られた二次元に切り取られます。その中にものが写っている。これが写真です。

とすると写真に欲しいものはこの世界に自分が存在していた証ではないでしょうか?この時と空間に自分が存在し、自分が見た光景があり、それに意味を持たせて一枚の写真にすればきっと素敵な作品になると思います。

上の写真は小湊鉄道の駅舎で撮った一枚ですが立派な写真を撮ろうなんて気持ちは一切なくて、子供のイタズラのような感覚でカメラで遊んだ写真です。遊んでいる私自身の様子がばっちり写っていて奇妙であり愉快な一枚です。別にこの写真を発表して人にどう思われようと関係ないです。

たまには良いではないですか。写真で遊んだって。何が起こるか分からないし何が写るか分からない…そんな非予定調和の作品も時としてあるものです。




もし写真がつまらない、いい写真が撮れないからやめよう…そんな風に思っている方がおられましたら、騙されたと思ってイタズラ感覚で写真で遊んでみてください。実はそれが貴方らしい個性作になるかもしれませんし、また次もカメラを持って出かけようと思えるはずです。

今回はこの辺で!!

AGFA トイカメラにて

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好きなことを好きなように表現するツーリング写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、いかがなお正月をお過ごしでしょうか?もう初詣は行かれましたか?今年は新型コロナウイルスの影響もあって分散して参拝するよう呼びかけられていますね。

私はまだ初詣に出ていませんが、近くに蘇我比咩(そがひめ)神社という小さな社があり、まずはそこに初詣しようと思います。この神社には日本武尊(ヤマトタケルノミコト)に関わる言い伝えがあります。昔、日本武尊が東国統一の勅命を受け、弟橘姫(オトタチバナヒメ)を連れて軍船に乗って千葉沖にきました。その時に激しい嵐に遭遇し「龍神の怒りに触れた」と察した弟橘姫5人は海に身を投じて荒れ狂う嵐を鎮めたとか。そして5人のうちの一人である蘇我大臣の娘が現在の蘇我の海岸に流れ着いたそうです。

海に身を投じた5人の姫。そのおかげで日本武尊は東国に無事に上陸できたのですね。失った弟橘姫を悲しみその地を離れる(去る)ことのできない尊(君)、から「君、去らず」で「木更津」という地名になりました。ちなみに袖ケ浦は姫たちの衣(袖)が流れ着いた海岸であることからその地名がついたそうです。ヤンキーのイメージが少しは中和されたでしょうか…。




さて今回のツーリング写真解説では具体的な撮影ノウハウではなく、前回の投稿で「好きなものを好きなように撮る」と書いたので、そのことについて作例をもとに説明したいと思います。

EOS6D mark2 + EF35mmF2 IS

「好きなものを好きなように撮る」誰が??自分が好きなものです。

よくいい写真を撮るにはどうすべきか?という議論で構図とか露出とか、フレーミングとか比率とか言われますが、そういったものの多くは写真の構造に関わることだと思います。

写真の構造とは見る人がパッと見た瞬間の印象や安定、あるいは表現したい一つのための手法であったり、案内図のように機能させることです。写真という表現において構造はあくまで構造にすぎず核心ではないのですね。

では核心は何か?というとそれを言葉で説明するのは極めて曖昧で、この場で私がこうであろうと言っても多くの方はピンとこないと思います。しかしそれをできる限り言葉にするのであれば、撮影者の好きなモノ、コト、風景であり、その特徴を受けて心が何らかの反応を示した瞬間を一枚にすることです。…よく分からないですよね。

上の作品は私が房総半島をツーリングするときに好んで立ち寄る漁港の風景です。海、漁村、岩場、廃船、港、ハマダイコンの花、漁港の野良猫…これらが好きなんです。この作品の被写体となっている廃船は、昨年の台風15号で倒れてしまいこのような状態になっていました。船主もこの世を去り役目を終えた船体が静かにこの地に眠っている…といった具合に一つの物語に想像を馳せます。

日本じゃないみたい!といった絶景、映えするフォトジェスポット、珍しいものや美しいものを強欲に追いかけるのではありません。それとは対極に誰も見向きもしないようなもの寂しげなものや特段美しくもないが心の琴線に触れるような自然風景。素朴な郷愁感とでも言いますか、とにかく私が個人的にバイク旅に抱いている感情を象徴するような風景や被写体たち。それらに出会うと「撮りたい」という写欲が湧きたちpassionとなり撮影が開始されます。




35mmというレンズは本当にツーリングで出会った被写体を撮るのにぴったりな画角だと思います。メイン被写体となる船体にぐっと寄っても背景の範囲は適度に広角なので、そこが田舎の漁港である雰囲気がよく伝わると思います。この時は太陽の向きに注視し斜光を生かした構図を作ってみました。日向と日陰部分で1/3に区切られているのがお分かり頂けるでしょうか。ここで大切なのは船体の質感で、これが決して爽やかな白にならないよう、露出を慎重に決めています。おそらく評価測光よりも1/3か2/3程度はマイナスになると思います。

このローポジションからのアングルは「横たわっている感」がポイントです。その様子を見守るライダーと、小さく構成したR1200GSはディスクローターにハイライトを入れて存在感を確保。電線&電柱が悪さをしない位置にカメラ位置を微調整しています。ラッキーなアクセントは電柱から飛び立つ瞬間の鳶の存在です。

どうしてそんなゴミのようなものを真剣になって写真を撮るの?…道行く人は不思議そうに私を見ていきますが、これが私の好きなことなのです。本当に美しいのは現実の風景よりも心の風景であると知っているので・・・

 

iphone7

~自分の好きなものを好きなように撮る~

これはいい、そう思った被写体や風景に出会い「〇〇のようだからこう撮ろう」と頭の中で想像する一枚。混沌とした感情の中で「心動かされた一つ」を探し、それをアウトプットしたい願望。

もの言わぬ被写体が旅人に何かを語りかけてくるような刹那を切り取る。そういった心象風景を自分なりに表現することの素晴らしさ。まずは一般に美しいとされているものを追うのをやめて、自身が美しいと感じるものの追求をはじめてみましょう。

その写真を発表したとき称賛もあれば冷ややかな反応もあると思います。これは個人的な表現なので賛否あって当然なのです。反応が薄かった時の寂しさを考えると、どうしても写真を良く見せようと盛ってしまう方向になりますが、勇気を出して「自分の場合はこうです!」という個性を貫いてみませんか?

きっと唯一無二の秀作が撮れると思いますよ。

今回はこの辺で!!




iphone7  上の漁船の場所にて「本当にオマエの写真は個性的なのかニャ?」と問いかけてきた。

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とびきりドラマチックな夕陽ツーリング写真の撮り方

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、季節の変わり目ですがご体調を崩されていませんでしょうか?この投稿を書いている2020年11月末現在、東京都や北海道などで連日で新型コロナウイルスの感染者数が過去最多と報道されております…。私の住んでいる千葉県も過去最多の100人超えとなったようです。

緊急事態宣言のないまま行楽シーズンの連休となりましたが心配ですね。かといって観光業や飲食店の経済を止めるわけにもいきませんし…皆がどこへ向かってよいのか分からない状況が一番困りますね。このコロナ騒動を受けて感染の影響の少ないバイクが人気のようですが、それと同時にバイク事故も急増しています。従来よりも慎重になってツーリングに行きましょう。




さて今回のツーリング写真解説は夕陽の撮影シーンにおいて印象深い、ドラマチックな雰囲気の写真の撮り方を作例を元に解説してみたいと思います。

EOS6D mark2

こちらの作品をご覧ください。金曜ロードショーみたいだな!と思った方は40代以上。実はこのように海面のギラギラに重ねて撮る手法は相当な昔ですけど流行ったのです。あまり古いものは一巡して新しくなるの法則で、そろそろ使っても面白いかな?と思える時代になりました。

きっと20代くらいの方でしたら新鮮な写真に感じるのではないでしょうか?こういった見た人の心に振動を与えるようなエネルギーのある表現をドラマチックなどと言いますが、実際にドラマや映画のエンディングなどに似合う雰囲気がありますよね。

実際には何がドラマチックなのか?と言えばとにかく高コントラストであることです。明るい部分と暗い部分の差が大きくバイクやライダーはシルエットになっています。夕方の傾いた太陽に向かって大胆にレンズを向ければ自ずとこのような写真になります。




ポイントは肉眼では直視できないほどハイライトは眩しいので、まずはカメラで絞り込んでマイナス2段程度の暗い画像を一枚撮ってみます。その様子をプレビューして海面や空の表情を把握しましょう。目では分からなかった雲の様子や海面の潮目なども見えてくると思います。

あとは海面のハイライトに被写体が重なるよう立ち位置とカメラポジションを調整するだけです。スペースの広い場所で有れば簡単だと思います。

この作品のポイントは中望遠の画角を使って広域をフレーミングしている所にあります。通常、中望遠といえばバイクやライダーなど、特定の被写体を大きく構図するときに使いますが、ここでは広角レンズで撮る写真のように空も大きく入れて景色全体を撮っています。この意図は海面と被写体の距離感にあって、作品の主題は【輝く海に辿り着いたライダー】なのですから、その部分を魅力的に演出することにあります。

つまり作品としては広角で撮ったような景色全体で構成したいけど、海を引き寄せたかったので中望遠を選んだ、という事ですね。




それと太陽はあまり低い位置になると光量が不足して海面のギラギラはここまでになりません。かといって高い位置だと焼け具合が不足しますよね。ここはイメージに合わせてホワイトバランスをアンバーに調整して対応しましょう。

ドラマチックな夕景ツーリング写真の撮り方でした。

今回はこの辺で!!

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曇りの風景写真の撮り方☆曇りのツーリング写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、当ブログはこの11月で開設から3年となりました。いつも見ていただいている読者の皆さま、たまたま検索で見つけた方、見ていただき感謝です。

バイク写真というジャンルにおいてツーリングの魅力をARTとして発信できる真の「ツーリング写真」。それを多くの人が撮れるよう立ち上げた特化型ブログが究極のツーリング写真です。

このブログの写真解説を【初級ツーリング写真 カテゴリー】から見ていただければ、写真ビギナーの方でも魅せるツーリング写真が撮れるようになります。ツーリングに行って写真を撮るという行為は誰でもやることですが、見かける多くの写真は事実を記録しただけの記念写真の範疇です。

【上手に撮れた綺麗な画像】で満足していたら勿体ないですよ。ライダーが旅で見ている風景・・・心の針が動いた瞬間をとらえ、あなたのバイク旅に対する想いを一枚の写真に投影してみましょう。それが究極のツーリング写真です。




さて前置きが長かったですが今回は曇天下でのツーリング写真の撮り方について解説してみようと思います。

EOS6D Mark2 + SIGMA12-24mmF4.5-5.6DG

写真において撮影場所の光がどうであるか?風景写真であれば天候や時間帯による太陽光の様子など、とにかく光が重要なのは読者の皆さまでしたらご存じですよね。順光なら鮮やかな色彩、斜光なら立体感、逆光ならドラマチックなコントラストを得ることができます。

しかし光の量がそもそも乏しい曇天はどうしましょうか?光が大事なのだから太陽が出ていない曇りでは撮れない??いいえそんなことはありません。

ツーリング写真は旅で出会った風景を写真にすることです。美しい夕陽や満天の星空だけを狙って出かける訳ではありませんので、出会う風景は必ずしも期待通りとは限りません。そんなとき現実の様子を受け入れる寛容さと今ある条件でベストな写真が撮れる力が問われるものです。

さて曇天での風景写真ですが、よくお花の写真は曇りがいいと言われますよね?お花の写真はカリッとしたコントラストの男性的な表現よりも、その花の持つ色や可憐さを柔らかく表現したいものです。つまり曇天は光の当たる部分とその影がない低コントラストの写真が撮れる条件なのでお花に向いているのですね。

上の作品を見て頂ければ分かると思いますが、撮影時のイメージ(シャッターを切る前に脳内で描く空想の写真)から既に低コントラストをイメージしてふんわりとした女性的な写真を表現してみました。露出で背景をトバしたことでフォギーなイメージにもなっています。




この時の撮影現場の様子をスマホで撮っておきました。もう究極のツーリング写真も3年目なので撮影現場の写真を撮っておくのも定着しました。撮り忘れることはありません。

この写真を見て「えっ?これが上の作品と同じ時なの?」と驚いた方も多いかもしれません。まず第一にメイン被写体のイチョウが青いように見えますね。それと全体の雰囲気が作品の方とは対極的に幻滅するほど現実的です。

ここでビギナーの方は大切なことなので、ぜひ改めて考えていただきたことがあります。いい写真を撮るにあたり、風景や被写体の現実の様子とは多くの場合でさして美しくもないものです。それが現実なのです。しかし作者は豊かな感受性をもってその中に何かを感じとり、心の針が動いた瞬間を独自の表現で写真にするべきなのです。

一方、現実の通りに撮るべきだ!演出は邪道だ!という考え方も確かにあります。都会のスナップや社会問題などを記録する戦場写真などはそうです。これらはドキュメンタリータッチな表現と呼び原則として写真に演出はなるべく加えないのが一般的のようです。

今回の私が撮った小湊鉄道の駅舎にあった大銀杏の作品はドキュメンタリー云々ではなくアーティーな表現です。アーティーな表現は「作者の感じたことを独自の手法で表現」なので現実の様子をそのまま写真にする必要はなく、独自の裁量で演出を加えるのです。よって自分の場合はこうだ、という演出についての考え方も確固として持っておく必要があります。

あなただったらドキュメンタリータッチかアーティーな表現かどちらがお好きですか?もし後者であれば「現実の様子を見たままに写そう」という考えは今日から捨てて下さい。「感じたままに表現しよう」に改めることを推奨します。




…で何をしてイチョウを黄色にしたのか?と聞かれればマニュアル露出でオーバー気味にしてハイキーに仕上げたのです。それだけで別に色は何もいじっておりません。スマホ写真の方で現実的に見えた要素は背景の民家ですが、これは小湊鉄道のキハ200が登場することで隠れました。あとは最大の悪人である「どんよりした暗い空」ですが、これはハイキーな仕上げにすることでトバしてしまいました。

美しくもない要素は隠してしまえ!という考え方の演出方法でベテランの常套手段ですね。

以前に何度も同じ話を解説してきましたが露出は最も重要な1つが最も魅力的に見えるよう、イメージを作ってから選択するものです。イチョウの黄色い葉が魅力的に見えるように露出を選んで、その露出で構図を作っていきます。露出と構図はセットと考えましょう。

それと曇天下の撮影のお話と関係ありませんが、被写体の各々の存在感の調整という意味で小湊鉄道のキハ200はスローシャッターでブラし、ライダーの存在は小さく構図を作っています。こうすることで主役であるイチョウの木に絶対的な存在感を持たせています。それと木を撮る時のコツは幹をよく見て安定構図を作ることです。

あっまた書きすぎてしまいそうなので、今回はこの辺で!!!

↓↓↓撮影地↓↓↓

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ツーリング写真の基本テクニック☆バイクの存在感を落とすコツ

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、前回までの投稿でツーリング写真はバイクが主役ではないツーリングの魅力をARTで伝える写真である…ということを作例を元に解説してきました。

そこである方から次のようなご質問をいただきました。

「どうしてもバイクの存在感が強くなってしまいツーリング写真なのか愛車写真なのか曖昧になってしまう」

…よく分かります。実際、SNSなどでは風景の割合に対してバイクの存在感が強すぎる写真はよく見かけます。「ああ、きっと風景を意識して撮ったんだろうけどな…」と少し残念な想いでいつも見ています。ツーリング写真は必ずしもバイクが主役ではいけない…という訳ではありませんがバイクの存在感をきちんと裁量できないと作品の主題がボケやすいことを覚えておきましょう。

今回はそんなツーリング写真で難しいバイクの存在感の調整方法を具体的にご紹介してみたいと思います。

点景バイク手法

EOS6D Mark2 + SIGMA12-24mmF4.5-5.6DG

まずは一番単純なやり方をご紹介します。バイク(+ライダー)を画面の中で米粒のように小さく構図するのです。究極のツーリング写真では今までこの構図を「バイク米粒構図」などと呼んできましたが、重要なことなので今回からこの手法を「点景バイク構図」と呼ぶことにしました。

森鴎外の青年の作中で「風景画の中の点景人物…」とあったのを参考にしました。広角レンズを使って風景の雄大さを表現したり、スペースを作って印象を狙ったりするときに有効です。北海道のような開けた風景や空を主題にするときに適しています。

ポイントは広角レンズ(またはお持ちのズームレンズのワイ端)で極端にバイクを小さくすること。中途半端はかえって失敗を招くので思い切って小さくします。

注意点はバイクを小さくしてしまうので見た人がそれが何か分からなくならないよう工夫することです。バイクの写真は多くの場合で7:3の割合の斜めからバイクを撮るのが基本ですが、この場合はそれがバイクであることが伝わりやすいよう真横から撮ります。その他、バイクをハイライトと重ねてディティールを強調したり三分割交点にぴったり合わせたりと手法は色々あります。




絞りを開いてボカす

EOS6D Mark2

これもオーソドックスな手法の1つです。一眼レフの人は絞り優先モードで解放(または画質と相談して解放付近)を使ってバイクをボカしてしまうのです。これによって主題がはっきりしてバイクは引き立て役(バイクでそこに来たことを伝えるにとどめる)に徹することができます。

コンデジの人はボケにくいので望遠側の画角を使うとボケ味が得られます。またボケ具合がイメージに届かない…という方は高価なレンズに買い替える必要はありません。マニュアルフォーカスに切り替えてピントピーク少しだけ遠景側にリングを回してみましょう。きっとイメージに近いボケが出ると思います。

上の作品ではR1200GSの各パーツに入ったハイライトが美しい玉ボケ(レモンボケなどとも呼びます)となって作品に演出を加えることができました。

フレーミングで切り落とす

フレーミングとは一般的には景色のどの範囲までを写真とするか?をフレーミングと呼びます。しかしフレーミングの役割はそれだけではありません。構図をからめて考えると枠で被写体を切り落としたり枠ギリギリに確信犯で被写体を配置したりして表現の手段として機能するものです。

上の作品は北海道のオトンルイ風力発電所ですが望遠で風力発電の連立するプロペラを圧縮しました。R1200GS-ADVENTUREはフロント部の1/3を枠内とし、加えてボカすことで存在感を落としています。ポイントは左フレームすれすれに存在するバイクです。小さな主役としてアクセント被写体となり、これで作品に「オトンルイ風力発電所を訪れるライダー達」というStory性が加わりました。この走りゆく見知らぬライダーも点景バイクですがピントが合焦していること、ヘッドライトが点灯していることで小さいながらも存在感を感じます。

フレーミングでバイクを切り落とす際の注意点は1つだけ。真っ二つに等分しないことです。必ず1/3単位で切り落としましょう。これはヘルメットやタイヤなど図形要素で円となるものでも重要です。




端っこに配置する

EOSD mark + EF35mmF2 IS

これもフレーミングによる存在感の裁量ですが、この場合は切り落としたのではなく「どいてもらった」表現方法です。切通トンネルへ抜ける道、それを邪魔しないようR1200GSには画面の端っこにどいてもらいました。

この手法のポイントはフロントタイヤの向きとサイドスタンドによる車体の傾きにあります。ハンドルを右ロックまで切ることで【避けてる感】を持たせています。バイク写真専門の写真家を自負するのであれば車体の姿勢でも写真の表現ができることを覚えておきましょう。




EOS6D Mark2 + SIGMA12-24mmF5.6-6.3DG

いかがでしたか?ツーリング写真におけるバイクの存在感の落とし方を作例を元にご紹介させていただきました。そもそもバイクは誰が見てもカッコいいものです。カッコいいものはつい目が行ってしまうのが見る人の心理です。写真の中でやたらバイクの存在感が出過ぎてしまうのはこの辺に原因があるのだと思います。

先ほども書きましたが中途半端が陳腐な写真になってしまう原因です。作品の主題【感動した1つのこと】をしっかり明確に持っていれば、バイクは潔く存在感を落とせるはず。だから逆に言ってしまうと作品の主題に対してさほど感動していないのがバイクの存在感を落とせない原因とも言えると思います。

注意点は1つだけ、誰が見てもそれがオートバイと分かるようにとどめることです。例えば点景バイク構図で何らかの理由でバイクを真横に出来ず、真正面になってしまった場合。ヘッドライトやハザードランプなどを点灯させれば、それだけでバイクだと分かりやすく伝わると思います。ちょっとの工夫でだいぶ変わってくるのが写真というものです。

ツーリング写真におけるバイクの存在感の落とし方でした。

今回はこの辺で!!

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ツーリング写真の魅せ方シリーズ第13回<なにもしないで魅せる>

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、いま気になるバイクはありますか?私はまだ当分は現在の愛車であるR1200GSとR1200GS-ADVENTUREの2台でいくつもりですが、ちょっとだけ気になるバイクはYAMAHAのTenere700ですね。この夏に発売されたばかりでホットな1台です。

フロントに21インチを装着した本格的なオフロードモデル。スクリーンの内部に収められたロボットのような4灯ヘッドライト。かっこいいですね!特にこの写真にあるブルーイッシュホワイトパールが私好みです。ちなみにTenereとは「何もないところ」という意味だそうです。




さて、ツーリング写真の魅せ方シリーズの第13回。今回はちょっと変わった内容かもしれませんが<なにもしないで魅せる>を書いてみたいと思います。

EOS30D + EF28-70mmF2.8L

いままでツーリング写真の魅せ方シリーズとして露出、構図、被写界深度、シャッター速度、フレーミング、デザイン、光と影、比率・・・いろいろな魅せ方をご紹介してきました。魅せ方は言い換えれば写真に加える演出です。演出と聞くとなんだか事実を歪曲したインチキのようにも聞こえてしまいますが、そうではなく作者の心の景色を表現するための手法なのですね。

魅せ方、撮り方、演出…どうするかは作者の自由です。しかし自由を与えられると何をしていいか分からないのが現代における日本人の悲しい性。すると心理的に皆はどうしているのか?が気になり「正しい撮り方」「うまい人の作例」を調べてしまうものです。もちろん写真ビギナーはそれでも良いと思います。私もそうでした。しかしある程度のキャリアを積んだらどこかのポイントでそれは卒業しなくてはいけません。

写真における演出・・・。魅せ方をどうするか?複雑かつ巧妙に使うか?定番の手法をシンプルに使うか?自分独自の魅せ方を考えるか?

その使い方も匙加減も全て自由ですが究極の魅せ方が<なにもしないで魅せる>です。凝った構図や比率も作らない、望遠レンズや広角レンズも使わない。露出も評価測光と大きく違わない。そんな「普通」の表現で作品の中に意味を持たせて表現する手法です。

上の作品は北海道の襟裳岬へ向かう通称「黄金道路」ですが、画角もほぼ50mmですしこれといって何をした訳でもありません。言ってみれば自然な写真です。しかし普通がゆえに見た通りの景色とも言えるので臨場感や記憶の世界を再現しているとも言えます。そしてそんな「自然な魅せ方」の中には多くの場合で写真からうったえる何かを感じるものです。




EOS6D Mark2 + SIGMA50mmF1.4ART

写真の撮り方・・・。

撮り方を上手に駆使できないと良い写真は撮れない…そんな風に思われるかもしれません。実際にはそんなことはなく作者が被写体と向き合って理解し、うったえたい一つが表現できるのであれば「撮り方」自体はそれほど重要ではないとも言えます。

重要だけど最重要ではない。核心ではなくあくまで構造なのです。

写真ビギナーの方が撮り方など学ぶ必要はありません・・・と言いたいのではありませんが。撮り方のイロハは知識として理解している、やったこともある、習得している…しかし今は使わない。自分の表現の考えがあるから…言ってみればこんな境地でしょうか。

写真家としてのスタイルや追っているテーマなどによっても「なにもしない」撮り方はあると思います。例えば都会のスナップとかはそうですね。

RICOH GR APS-C

スナップは「あっ」と思った瞬間にぱっと撮る「瞬間」が大切です。あれこれ構図とか考えている時間的猶予がそもそもありませんしね。被写体自体に意味がある場合などは特に敢えて何もしない方が分かりやすい写真とも言えます。そんな写真は多くの場合で観賞者に想像や感動を誘うものではなく、それ自体が詩のような存在を放っているものです。




スナップと言えば最近、私がハマっているのがこんな写真です。ライダーの視線を再現した言ってみればツーリングスナップですね。これも構図や露出など撮り方を特に意識することなく瞬間でパッと撮っているという意味では「なにもしないで魅せる」の仲間に入ると思います。

なにもしない方がいい場合・・・。何もしなくて良いなら簡単!と感じるかもしれませんが「何もできない」と「何もしなかった」は似て非なる世界です。写真ビギナーの方には少々難解だったかもしれませんが、いつかこんな考えを持つ時がくるのかも…といった程度に知っておいて頂ければ十分だと思います。

次回はツーリング写真の魅せ方シリーズ 写真レタッチについて書いてみたいと思います。

お楽しみに!

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どんな時にマニュアルフォーカスを使うのか

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、写真をライフワークにされている方、写真の方は上達されていますでしょうか?どんなに写真のことが好きでも上達、進化が実感できないとモチベーションが下がってしまうのでベテランであっても常に上達、進化したいところですね。

しかし何事もキャリアを積めば積むほど上達は容易ではなくなり、少しでも停滞すれば上達はおろか退化する場合もあるから恐ろしいものです。

もし壁に当たったときやマンネリを感じた時は、いつもと違ったものを対象に撮ってみましょう。風景写真専門だった人は家族にモデルになってもらいポートレートに挑戦するとか、バイク写真専門だった人は海岸で拾ってきた貝殻を自宅に置いて窓からの自然光を当てて撮ってみるとか。きっと何か得るものがあると思いますよ。




さて、今回は<中級>ツーリング写真解説としてカメラのマニュアルフォーカスとはどんな時に使うのか?という解説を書いてみたいと思います。

EOS6D mark2 + EF35mmF2 IS

こちらの作例をご覧ください。焦点距離は35mm。R1200GS-ADVENTUREまでのカメラディスタンスは約15m、手前の漁船までは1mくらいです。

EOS6D Mark2+EF35mmF2ISを絞りをF14まで絞り込んで撮った(ほぼ)パンフォーカスの表現です。

マニュアルフォーカスはこの作例のように主要な被写体が2つ以上存在するとき、その両者が奥行方向に異なる位置関係となったときに使用します。たっぷり深度を確保したときに、そのピークをどのポイントにもってくるかは撮影者にしか分からないことなのです。この場合、前景となる廃船とR1200GS-ADVENTUREの中間にピントピークがくるようにピント位置を調整しました。

オートフォーカスは被写体A、被写体Bとなったとき、どちらか一方にピントピークを合わせることしか出来ないのですね。




EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L

先ほどの作例が絞り込んだ写真だったのに対して、こちらはレンズの解放を使った作例です。これは200mmの焦点距離で撮ったものですが絞りは解放F2.8です。R1200GS-ADVENTUREまでのカメラディスタンスは約50m。この場合の被写界深度はおよそ10mとなります。この作品ではR1200GS-ADVENTUREのすぐ後ろからボカす、という地味な表現を使っています。これによって解放らしい遠景のボケ具合を出しているのですが、これもマニュアルフォーカスです。

もしこのシーンでオートフォーカスを使ってR1200GS-ADVENTUREに合焦させると、10mある被写界深度のピーク位置がR1200GS-ADVENTUREとなるので、その前後5mにピントが合うことになります。車体のすぐ後ろからボカすのは難しいですね。

バイクの手前に咲いている花は全てピントを合わせて、バイクのすぐ後ろからはボカしたい、そういった要求をマニュアルフォーカスを使用して実現させました。




ところで今日もまた職場の人にカメラのことについて相談を受けました。またしても「カメラを買わなくてもスマホで十分ですか?」という内容のものでした。カメラを買うかスマホでも十分か?はその人がどんな写真を撮りたいかによってYesにもNoにもなります。

今回の解説のように絞り込んで被写界深度で魅せたり、ピントピークを意図に合わせて精密にコントロールしたり、といった表現をしたい人は「スマホでもいいですか?」の問いには当然「No」となります。

今日も地味な話だったなぁ。今回はこの辺で!

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超ワイドレンズで魅せる☆ツーリング写真(その2)

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、前回の投稿で超広角レンズを使ったツーリング写真について解説してみましたが如何でしたでしょうか。

超広角レンズと言うと目の前の景色の何もかもを小さくトバしてしまい、強烈なレンズ歪みが発生したり、少しでもカメラアングルを下げると自分の影が写ってしまったりと何かと難しい印象ですが、ツボを押さえてしまえば使えるレンズであることはご理解いただけたと思います。

今回は前回の超広角レンズの解説の補足として強烈なレンズ歪みの対処について書いてみたいと思います。

こちらの作例をご覧ください。SIGMA12-24㎜F4.5-5.6DGで撮影したサンプルです。超広角レンズとは特に画面の四隅に樽型(レンズによっては糸巻き型)の歪みが発生するものです。この歪みが強く出てしまう部分にバイクなどの人工物を入れてしまうと、バイクの造形が歪んでしまい場合によっては許容しがたい写真になってしまいます。




前回のビーナスライン白樺林の作例ではバイクを画面内で小さく構図することで歪みの問題を解決させました。今回の写真はそれほどバイクを小さく写したくないケースですので、その場合の対処方法を書いてみたいと思います。

まず上の写真ですがR1200GS-ADVENTUREが上下に間延びしたように歪んでいるのがお分かり頂けると思います。本来、タイヤは正円のはずですが上下に長い楕円になっていますね。このように広角レンズの歪みがバイクに影響してしまうと、特に縦方向に延びた場合にバイクがカッコ悪くなってしまいます。

この場合は縦構図なので上下方向に歪みましたが横構図でこの位置にバイクを置くと左右方向に間延びしたようになります。ちなみにライダーを置く場合は縦構図でこの位置に立つと足が長くスリムに見え横構図でこの位置に立てば足が短く太って見えます。

はい、こんな感じで対処してみました。地面の砂利にぐっと寄って遠近感を出しバイクは画面の中央に寄せてみました。R1200GS-ADVENTUREの歪み具合がぜんぜん違うのがお分かり頂けると思います。




ちょっとしたアングル、ポジションの違いが写真になると激変するのは広角でも望遠でも一緒です。大切なことは「少しでも大きく変わる」ことを意識して試行錯誤することです。この場合、アングルが変わったことで当初、画面の左下にあったレンズゴーストも消すことができました。

バイクだけを見るとちょっと露出がアンダーかな…という気もしますが空のハイライトが飛ばないように意識した結果です。ちなみに撮影場所は志賀草津道路の長野側にあるスキー場で撮りました。標高の高い高原に行くと空が美しいですよね。

今回はこの辺で!!




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ツーリング写真☆視覚と認識のタイムラグ

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、いい写真を撮ってライフワークを充実させていますでしょうか?

ライフワークとは生涯の仕事として人生をささげる「その人のテーマ…」と辞書にあります。これは職業に限ったことではなく趣味とも少し違った意味合いです。「趣味は写真です」とか「仕事はカメラマンです」ではなく「写真をライフワークに生きています」と言えるよう私はツーリング写真の活動をしております。

さて今回は久しぶりにマニアックな写真解説をしてみたいと思います。バイクでツーリングしていて「おおっここは良いかも」と思ってバイクを停めた場所。これがツーリング写真の最初のフェイズですが、この時に「おおっ」と感じた中で多くの情報を直感が反応を示して「ここは撮影スポットだぞアラート」が発令された状態と言えます。




しかし「ここは撮影スポットだぞアラート」が出ただけの状態では、その場所の何がどう良いのかは詳細が明らかにされていません。

先日、とある漁港でこんな写真を撮ってみました。漁船の下から覗き込むようなアングルでR1200GSアドベンチャーの置いてある場所を切り取ったツーリング写真です。船体の造形や影を利用して構図を作り、文字などによる印象効果も取り入れています。

その場所の特徴と最も良いと感じた「ひとつの物、コト」を決め、それを打ち出す構図を作りましょう…という解説を過去に何度もしてきましたが、この場合は漁船です。

しかし上の写真はセッションをはじめた前半のカットなのですが、まだこの場所の魅力を十分に表現し切れていません。状況を視覚し認識するプロセスが未完成です。自分でも撮っていて「何かまだ釈然としないな」と感じていました。

そういった時はイメージ(事前に脳内に描く空想の写真)の解像度を上げると共に、目の前の景色を再度、詳細にスキャンしてみましょう。




やはり甘かったのは状況のスキャンでした。再度、詳細にスキャンした結果、遠景に神社の屋根がありそこに光が当たっていること、右手にあった鉄パイプの格子、電柱などは不要であったとこ…の2つか解明されました。

神社のお堂の屋根が良いキャストであることは再スキャンによって明らかにされましたが、実は当初に「おっここはいい感じだ」と思った時も無意識に視界に入っていたはずです。こういった無意識下に見えていたものを正確に洗い出すためには少々の時間が必要だと覚えておきましょう。

情景を正確に視覚&認識するのはタイムラグがあるものです。

ごく当たり前のことですが数枚撮ったからといって満足して撤収しないこと。その場所で常に「これで本当に良いか?」と自問し納得のいくまで(少なくとも撮影現場では)撮り切る事が大切です。

時間はかかるものです。最初の一枚が納得のいくもの…というのも稀にありますが、多くの場合で被写体とセッションしている後半で謎は解明され、納得の1枚は成立するものです。




ところで今回の作品、漁船の下にペットボトルのゴミがあるのをお気づきになったでしょうか?これ、撮影現場ですごく悩みました。少し前の私でしたら拾っていたと思います。ゴミを拾えばその場所は美しくなりますが一方で手を加えた情景になります。

写真はありのままの事実を芸術に…という考えでは演出は悪ですが、全くの演出をなしに完全なナチュラル写真というのも難しいのが事実です。この場合、さんざん悩んだ挙句、漁港でこういったゴミはよくみかける光景だし、漁船と何か関係ある被写体と言えなくもないと思いました。そこで敢えて手を加えず「ありのまま」で撮ってみましたが見る側の皆さまにはどう感じたでしょうか?

情景を理解する「視覚と認識」にはタイムラグがあるものです、というお話でした。

今回はこの辺で!!

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バイク写真☆ドラマチックな夕陽の撮り方と作例集

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今年の梅雨はよく雨が降りましたね。地域によっては記録的な大雨により甚大な被害が出てしまいましたが被災された方々におかれましては1日も早い復興を願っております。

それにしてもコロナ渦、経済悪化、大雨に加え地震や火山の噴火などもささやかれる昨今、いったい世界はどうなってしまうのでしょうね。バイクに乗って旅に出たいですが今はじっと平常な時が戻ってくるのを待つしかありません。

さて今回は過去の写真を使ってツーリング写真解説を書いてみたいと思います。題して「ドラマチックな夕陽のツーリング写真の撮り方」でございます。

 

EOS40D 2008年 北海道

ツーリング先で夕陽の風景を撮る!となれば、それはもうツーリング写真の王道であり最も印象的な良作を狙える最高のシーンであるのは疑う余地がありません。多くのライダーは旅のハイライトで美しい夕陽を拝むことに憧れを抱いているはずです。

しかし美しい夕陽のシーンを目の前に、それをバイクと合わせて写真にしたい!となったとき写真ビギナーの方にとっていくつかの壁があります。スマホやデジカメに撮影の設定をお任せしてしまえばイメージとはかけ離れた露出になるし、頑張って露出補正をしても地上にあるバイクが真っ黒に潰れたりと上手くいきません。

ポイントは夕空がメインかバイクの在る地上サイドがメインかをハッキリさせることです。それによって空とバイクのどちらに露出を合わせれば良いかを決められます。上の写真のような構図にしてしまうと地上サイドと夕空サイドで露出の折り合いがつかず、バイクが写るように撮ると空は真っ白、空に合わせればバイクが真っ黒になります。この写真では後からLightroomというソフトで明るすぎる空の露出を下げたのですが、これはあまり関心できる手法ではありません。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

2つ目のポイントはホワイトバランスです。ホワイトバランスは白い物を正しく白として写すための調整…というのが教本に載っている事です。しかしツーリング先で貴方が感動した風景を作品にしたい!という要望があるとき、必ずしもホワイトバランスは白を正しく白に調整すべきとは限らないのです。

夕陽のシーンでホワイトバランスを意識することは大切です。自分が思い描いたイメージの通りに調整をしてみましょう。K(ケルビン)単位で調整するのが難しいと感じるビギナーの方は簡単なプリセット・曇りモード ・日陰モードの2つを試すことをお勧めします。この両者は日陰や曇りの場合は青味をおびた写真になってしまうのでそれを戻すモード…つまり暖色(アンバー)に調整できるホワイトバランスです。

しかし注意したいポイントは実際の夕陽が本当に真っ赤に焼けているとき、さらにアンバーにホワイトバランスをふるのは絶対にやめましょう。真っ赤に焼けているときはオートや太陽光モードを試してドギツい写真にならないよう慎重にホワイトバランスを選びましょう。




ここから先は夕陽のシーンにおける逆光の特性を生かした作例や夕陽写真のバリエーションについてご紹介してみます。

・逆光を利用して地上を輝かせる手法

宗谷丘陵 白い貝殻の道

夕陽の風景を写真にする…すなわち太陽に向かって写真を撮るのですから逆光で撮ることになります。写真ビギナーの方は逆光で撮ってはいけない…と誤解されている方が多いようですが、それは間違いですので正してください。逆光はドラマチックな演出や郷愁感、旅情などを表現するのに最高のシチュエーションです。

逆光の特徴として1つ目はカメラの評価測光が正しく機能しないこと・・・というより撮影者のイメージ通りの露出にはならない!と言った方が適切ですが、とにかく撮影者に露出コントロールする技術が要求されるものです。多くの場合、評価測光ではイメージに対して露出オーバーとなるので、露出補正機能を使ってマイナスに調整してみましょう。

逆光の2つ目の特徴は被写体のエッジや地面を輝かせることです。上の作品は北海道の宗谷岬の近くある「白い貝殻のみち」ですが、貝殻のみちにある1つ1つの貝殻をキラキラと夕陽に輝くように撮ってみました。この撮影地では「まるで宝石を散りばめたように道が輝いている」といちど言語化し動いた感情を具体化させてセッションをはじめました。

・悪天候前後の爆焼けシーン

EOS30D + SIGMA14mmF2.5EXDG

数週間というロングツーリングをしていると出会うことのある爆焼けの夕空です。この写真は2005年に撮影した四万十川キャンプ場ですが翌日は大雨の天気になりました。北海道や沖縄でよく見かける現象ですが関東でも年に数度くらいは見れるように思えます。

美しさというよりは崇高さ、不気味さが勝っているように感じますが印象的であるのは間違いありませんね。この写真もバイクとテントの在る地上サイドはLightroomで露出を調整しています。

・海面のハイライトを利用したツーリング写真

EOS1Dx + SIGMA150-600mmF5-6.3DG

冒頭で夕陽のツーリング写真では空に露出を合わせると地上のバイクが黒くつぶれる・・・と書きましたが、海岸のシーンではこの問題を解決する良い方法があるのでご紹介します。上の作品のように海面に入った夕陽のハイライトとバイクを重ねてローアングルで撮ってしまうのです。こうすることで地上サイドが真っ黒につぶれても、それがオートバイであることが分かりやすくシルエットで表現できます。

ポイントは地面と海の境界線となる部分がバイクを貫いてしまわないよう超ローアングルで挑むこと(もしくは一段高くなっている場所でギリギリの場所にバイクを停める)。そしてハイライトと重ねるにはどうしたら良いか??・・・そうです自分が左右に動けば良いのですね。




・露出で海面の表情をとらえる

この写真を撮った時、海を直視するのが眩しいと思うほど、まだ太陽の位置は高く強烈な明るさでした。しかしそんな実際の様子とはかけ離れた露出を選択することで、肉眼では見えなかった風景が見えてきます。

反射がまぶしくて海面の様子が良く見えない…、それをローキーに表現することで海面を銅板のように表現してみました。海面以外の部分は完全に黒つぶれを起こすので、そうなっても変にならないよう三分割構図で上下の二辺をブラックで締めました。

・日没直後のマジックアワー

マジックアワーとは日没直後に起こる現象です。雲があるときしか発生しませんが沈んだ太陽が低い位置の雲をマゼンタに染める現象です。私はこれを「夕陽の焼け残り」と呼んでいます。

マジックアワーは本当に手品のようで一瞬でそのショータイムは終わります。この写真を撮った時も、空がこのようになった時間は3~4分程度でピークだけで言えば30秒くらいの短い時間でした。

海の青、焼け残りの部分、高い位置にある夕焼け、この3パートを三分割構図で構成するカメラポジションをセッティングし、さらに焼け残りは局所的だったので望遠レンズで下がれるだけ下がって切り取りました。これだけの作業を瞬間的に判断して動かなければいけないので実際はスポーツに近い忙しさです。

・逆光を使った【ふんわり暖色系】で魅せる

東京湾の夕景

画面内にもろ太陽を入れてしまう大胆な撮り方です。当然ですがAE(露出をカメラ任せ)ではイメージ通りにいきませんのでマニュアルで撮るか露出補正を行います。望遠レンズを使って夕陽を画面内にとらえると、盛大にハレーション、フレア、ゴーストが発生します。本来であればそれらは画質低下の要素として歓迎されるものではありませんが、ここでは逆手にとって演出に使ってしまおうという事です。

この写真の場合、露出はR1200GS-ADVENTUREに合わせてみました。ADVENTUREの大型スクリーンが夕陽の光をうまいことキャッチして車体にハイライトが入りました。私の勝手な持論なのですが逆光を望遠レンズでとらえると前述のハレーション等の他にも空気中の水分や粒子なども輝いて、このような幻想を思わせる雰囲気になるのだと思います。

 ~夕陽のツーリング写真 まとめ~

・夕空と地上サイド どちらに露出を合わせるのか先に決めて構図を作ろう

・AEはイメージ通りに機能しないので露出補正を積極的に使おう

・曇りモードなどのホワイトバランス使ってアンバーに調整してみよう

・太陽が沈んだ後の表情も見逃さないで




いかがでしたか?バイク写真、ツーリング写真における、最高のシチュエーションである夕陽の撮影を解説してみました。夕陽の写真を撮るぞ!となると、当然ですがそれを撮影してから帰るのでは帰路は夜になってしまいます。通常では日帰りツーリングでは暗くなる前に帰るものですが、絶景とはみんながいない時間帯に出会えるものです。早朝の朝焼け、スコールの後の虹、満天の星の天の川…これらはみんながツーリングしていない時間に見れるものばかりです。

これからの季節、夕立が過ぎた後の夕陽など綺麗に焼ける時がありますので、不安定な天気の日こそ果敢に挑戦してみてくださいね。

今回はこの辺で!!

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