【重要】ツーリング写真のバックボーン☆写真デザインの知識

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、暗いニュースばかりの日々が続いていますが気分がネガティブにならないよう気を付けましょう。少し外に出歩いて近所の公園でも行けば地域によっては桜が見事に咲いていると思います。美しい桜を見るだけで日本人なら心がぱっと明るくなるはずです。

人生も折り返し地点をとうに過ぎて感じることですが桜って本当にいいですね。見た通りの美しさ、立派さだけでなく「すぐ散ってしまう」「年に一度だけ咲いてくれる」この尊さがあるからこそ心に染み入ると思います。長く寒い季節から蕾をつけて咲き始め、見事なピークが人々を魅了し。そして風で散りゆく美しさ。その儚い流れがまるで人間の生命と重なるようにも感じます。





さて今回はツーリング写真の基礎的なお話の一つとして写真デザインの話題を書いてみたいと思います。写真デザインとは構図や比率といった撮り方の一つです。知識として覚え応用できるまでになると、写真のバックボーンがしっかりしてクオリティの高い一枚が実現できます。

EOS6D mark2

写真デザインの要素は大まかに言うと・線 ・色 ・図形 ・質感 ・立体感 ・規則的なパターン ・連続するリズム ・シェイプ などがあります。

写真デザインの効果は写真の観賞者がパッと見た瞬間の視線の動かし方や安定感、印象などに関わっています。とりわけ最初の3つ、線、色、図形は効果が大きく多くの傑作写真、絵画、イラスト、ポスターなどにも使われています。

上の作例は海岸の駐車場から一段下がった砂浜へ降りてブロック壁超しにR1200GSを撮った1枚です。ここで使われているデザイン要素は幾何学模様のブロックが織りなす規則的なパターン、同じくブロックの風化した質感、トップ光なので立体感も出ています。空とR1200GSのブルーとブロックのグレーは爽やかさ、寒さ、冷たさを感じさせます。

色は本来ですと色相環での補色(反対色)関係にある両者で作る物ですが、ブロックのようなグレーは無彩色(黒と白の中間色)なので補色相手が存在しません。補色関係とは例えば紺色のTシャツに黄色いロゴマークとか、ブラウンの生地に水色のラインといった具合に簡単に言ってしまえば相性のいい組み合わせのことです。ツーリング写真であれば桜の景色の中にNinjaのライムグリーンなどがそれに当たります。





この写真は1枚目の写真の180度違う方向の景色です。被写体は漂流物として流れ着いた漁の浮きです。浮きは球体ですが写真にすると図形要素の円で観賞者の視線をその場に留めます。鮮やかな黄色は進出色で背景の多くは後退色の青系、これによって浮きは強烈に飛び出してくるような存在感を放ちます。

こういった写真デザインに関わる知識は実際の撮影シーンでどのように使えばよいでしょうか?ポイントは見つけたものに対して知識と関連付けて構成していくことです。いくら知識を持っていても黄色を赤にしたり直線を曲線に変えることはできません。できるのはアングルや画角で位置関係や各々の大きさ、フレーミングで画面外に切り落としたり全て除外したり…といった具合に限られます。




最初のうちは意識しても難しいのでまずはデザイン要素として使える素材を見つけることから始めましょう。そして偶然でも良いので既に出来上がっている写真からデザイン要素を分析し「あの時、ここが良かった」「こう撮れば良かった」とデザインの観点で再検証してみましょう。

少しづつですが理解を深めて応用力につながっていきます。

今回はこの辺で!

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えっ?望遠レンズを使ってバイクを小さくした?

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、読書はお好きですか?私は最近、小説を読むのが好きでキャンプ場なんかでもひたすら読書をしています。先日、ある小説家さんのファンになってしまい最近はその方の書いた本ばかりを読んでおります。画家を題材にしたものや沖縄を舞台にした恋愛小説など色んなジャンルの作品があるのですが面白いのです。

ある時、その作家さんの書いた作品で北海道を舞台とした女性ライダーが主役の小説を見つけたので「これは面白そうだ!」と思い購入しました。しかし読み終えてみるとチョットだけ期待外れ…。十分に取材をしたのでしょうけどソレを陵駕するほど読む側の私がバイクツーリングや北海道のことに詳しすぎるのが敗因でした。

これと同じようなことが自分が撮る写真にもいえないだろうか…。ふとそう思って考えてみました。写真を見てくれた人がバイクに乗らない人、またはツーリングをしたことのない人が見る場合。一方、ツーリングのベテランが見る場合とで印象がだいぶ違うのではないだろうか?と。そう考えると1枚の写真にツーリングの魅力を伝える役割と、既にベテランのライダー向けに共感をさそう役割との両者があるのかな?そんなことを考えてしまいました。




さて今回は<中級>ツーリング写真解説として望遠レンズのあまり知られない活用方法をご紹介いたします。

つい先日、走りなれた千葉の田舎道を走っていたときです。国道からの脇道に走りやすそうな林道の入り口を見つけたので入ってみました。その道は最終的に行き止まりだったのですが、その場所に開けた空間と立派な杉の大木が2本存在していました。この不思議な雰囲気に足を止めずにはいられませんでした。

しばらく情景を眺め、センサーを炭鉱のカナリヤのように敏感にして感じ取ってみました。この静寂さと独特の雰囲気の正体は何なのだろうか…?と。

結論は当初に惹かれた二本の杉から得体の知れない神々しいエネルギーを放っているのだ…と理解しました。実際はどうなのか分かりませんがそう思う事で作品の方向性をしっかり決める、という意味です。




左:35mm   右:200mm

こちらの比較画像をご覧ください。左側は35mmレンズ、右側は200mmの望遠レンズです。バイクを停めている場所は変わりません。しかし両者は全く印象の違う写真であることがお分かり頂けると思います。

35mmの方はカメラディスタンス(カメラからR1200GSまでの距離)約5m。一方、200mmの方は80mくらいです。どちらの構図も木を画面の中央に堂々と配置した縦構図ですが決定的な違いはバイクの大きさと背景の範囲です。

望遠レンズを選択し約80mも離れることで、バイクを小さく見せて対比的に木の巨大さを表現、35mmでは余計な要素だった空を除外し地層がむき出しの岩壁だけを背景にしました。このように背景をシンプルにすると被写体の存在感が際立つのを覚えておきましょう。

面白いのは望遠レンズを選択したのにバイクは小さくなったことです。巨大な杉を35mmの時と同様に画面いっぱいに配置したければ、うんと後ろに下がる必要があります。その結果、R1200GSは米粒のように小さくなりました。これ、あまり知られていない望遠レンズの使い方です。ツーリング写真では使える手法なので覚えておいても悪くないと思います。




このように撮影地では被写体の特徴と自分が心動かされた要因を具体的にすることで、レンズの選択やアングルの模索といった作業に落とし込めるものです。その為の有効なやり方は表現の言語化です。「二本の巨大な杉が一際存在感を放っていた空間」と言語化すれば巨大さを表現するのに対比手法を使う、空間を表現するのに空をそぎ落とす、といった具合に撮り方の引き出しから選択が明快にできるのですね。

「あの木がイイ感じだから」で撮り始めてしまうと、何をしていいか悩んでしまうものです。

望遠レンズの意外な使い方のご紹介でした!

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縦構図で使える☆ツーリング写真構図 S字スペース

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、100円ショップは活用していますでしょうか?私は最近100円ショップ、ワークマン、釣り具屋さんにハマっております。キャンプツーリングで使えそうなモノ、ツーリング重宝するアイテムなどお店で見ていると楽しいんですよね。ついネット通販ばかりの昨今ですが、やっぱり実店舗は買い物が楽しいです。

そんな100円ショップで先日こんな物を見つけました。

ダイソーの製品ですが車のヘッドレストのパイプに装着し、後席の人のカップホルダーになるものです。このパイプにかける部分の穴の大きさがナポレオンGSミラーのステーにぴったりでした。

私なんかはツーリング先でコンビニで昼食をとることが多くて、そんな時に飲み物を置いておく場所に困るんですよね。R1200GSはサイドスタンドで立てるとかなり傾斜していますし、そもそも平らな部分がありません。これならちょっとミラーにかけるだけなので簡単です。

もちろんこの状態で走るわけじゃないですよ。カッコ悪いですしハンドルが切れません…。カップホルダーは普段はトップケースなどに仕舞っておいて、コンビニ休憩の時に出す感じです。




さて前置きはこれくらいにして今回は「縦構図で使えるS字スペース」と題してこんな構図の作り方をご紹介したいと思います。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

極めてシンプルなことですが二者ある要素、この場合はR1200GS-ADVENTUREと漁船ですが右下と左上(もちろん逆も可)に配置して空いたスペースをS字にする構図です。




この写真の場合だと逆S字ですね。曲線ではなく直線的にZ字でも大丈夫です。以前に究極のツーリング写真では写真における導線効果というお話をしました。その時に写真の観賞者の視線を誘導する誘導線として特にS字線は効果が大きいですよ…という解説をしました。今回は導線ではありませんが写真の構造的なデザインの一部としてS字を取り入れる手法です。

被写体が2つある場合、その存在感を等分してしまうと美的バランスが崩れてしまい陳腐な写真に陥るので気を付けましょう…という解説は過去に何度もしていますが、このSスペースを作る構図に限っては2つある被写体の存在感が2等分されてもバランスは成立します。

ポイントはフレーミングにあって両者をどの部分で切り落とすかです。バイク側が重要であると感じたら車体全体(またはホイール)を1/3単位で切り落としましょう。上の写真の場合は車体をおよそ1/3フレーム外へ切り落としました。




念のため写真全体の解説を付け加えておきますが、この写真を撮ったときは太陽が高い時間帯の逆光下です。このような強い太陽光の逆光で期待できる効果は車体の上面などに入る輝きです。ヘルメット、タンク、シートの上面にハイライトが入っているのがお分かり頂けると思います。逆に期待できないのは爽やかな青空や鮮やかな緑の風景などです。これらの知識を元にその状況に合わせた撮り方を選択しましょうね。

縦構図で使えるS字スペース構図でした!

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ツーリング写真に適正露出なんてものはない

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、突然ですが芸術はお好きでしょうか?いい写真、いいツーリング写真を実現するにあたり”芸術”というワードは決して無視はできないと思います。

私は今後の写真活動で今まで以上に美や芸術について見識を深めて、人々の心に響く写真芸術としての美を学んでみたいと思っております。

そもそも美しいものはそこら辺に存在していてもすぐに気が付くものではなく、作者の繊細な感受性、豊かな感性によって発見されるものだと思います。心惹かれる何かを見つけたら想像と創造、技法、知識、そして苦しみの末に生み出されるのが作品なのだと思います。

芸術作品を観賞する側も作者の苦しみや想像の領域に想いを及ばせて、作品の意図やメッセージ、被写体のもつ美の核心を心の目で感じ取るのが大切なのかな…最近はそんな風に思うようになりました。そう考えるとSNSのタイムライン上でチラッと見られるだけの発表の場に、どのような反応があったところで、ある意味どうでも良いのかも、と思ってしまいます。




さて今回は写真をやる人なら誰もが聞いたことがある「適正露出」のお話をいってみたいと思います。

EOS6D Mark2 + SIGMA12-24mmF4.5-5.6DG

こちらの作品をご覧ください。千葉県館山市の海岸で撮ったツーリングシーンですが強烈な逆光下の日中にも関わらず、昼間なのか夜なのか良く分からない露出で撮ってみました。これは奇をてらってこのような露出にしたのではなく、太陽周辺に発生したレンズゴーストが魅力的に見えるような露出を選んだ結果です。

当然ですが一般に言われる適正露出とはほど遠いほどアンダーです。適正露出のお話の前に少々ややこしい話なのですが標準露出の話に触れてみたいと思います。




適正露出と標準露出の違いって何じゃい?

標準露出とは反射率18%のグレー色が正しく18%として写真にできれば標準露出で撮れましたよ、という意味です。世の中にある多くの被写体となりえる物は反射率18%前後であり、人間の肌も18%と言われます。つまり見た通りの明るさとして写真にする基準、それが標準露出です。

例えば製品のカタログとして説明的に撮る写真や、図鑑や研究などに使われる記録写真として撮る場合は18%反射板などを使って標準露出を正確に出して撮影します。

一方で適正露出というのは作者のイメージの明るさのことです。目で見ている明るさの再現ではありません。つまり「好きなように設定してくれ!それがアンタの適正露出じゃよ」という表現の自由が与えられた明るさです。

EOS6D Mark2 + EF14mmF2.8L

そうと決まれば昼間を夜のように撮ろうが、夜を昼間のように撮ろうが撮影地であなたが描いた写真イメージがそうであれば、それが適正露出ということです。他の誰かに「この写真は適正露出ではないですぞ」と言われる筋合いはない訳です。




露出設定も表現の手段の1つです。必ずしも標準露出として撮らねば、と縛られてしまうと表現の幅は一気に限定されてしまいます。せっかくカメラは自由にマニュアル露出できるのですからね。カメラの評価測光は画面全体に対して平均的な明るさを得るために露出を設定しますので(平均以外にもスポットやマルチなどありますが)、作者のイメージ写真がどのような露出を希望しているのか?などと知る由もないのです。

見たままの明るさの再現に縛られず、ひとつ上のギアを使うように露出の魅せ方をシフトしてみてくださいね。

今回はこの辺で!!

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RICOH GR APS-C

この写真は水銀灯に照らされる夜の桜ですが、実際の様子よりも明るくなるよう高感度で撮ってみました。

 

ツーリング写真家が実践している7つのプロセス<後編>

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今年はオリンピックイヤーという事もあり、ついにキャノンからあのEOS1Dx mark3 が発表されましたね。広告のキャッチでは「光学ファインダーカメラの最高峰」とありましたがEVF搭載のミラーレスカメラが主流となりつつある昨今で、OVF搭載の従来型一眼レフを”光学ファインダーカメラ”と呼称するようにしたようですね。

EOS1といえば昔からキャノンのフラッグシップ一眼レフで別名オリンピックカメラと呼ばれているプロのスポーツ写真家のカメラでした。

大きく重厚なボディに空間を切り裂くようなシャッター音。高速連写に優れたAIAF性能。今回はオリンピックの開催に合わせて満を持して登場といったところでしょうか。常用ISO感度102400だそうですよ…いつもEOS1は何かがケタ外れです。

しかし今はスポーツシーンのような素早く動く被写体を精度よく追従するAF性能についてはミラーレスカメラが主流となりました。前回のオリンピックでは多くのプロカメラマンがEOS1Dx mark2を使用していましたが今年はどうでしょうか?その勢力図の変化に注目です。




さて今回は前回、前々回とシリーズで”ツーリング写真家が撮影現場で実践している7つのプロセス”としてツーリング写真に関わる総合的なことを書いてきました。今回はその最終回でございます。

ツーリング写真家が実践している7つのプロセス 1~3は こちら

ツーリング写真家が実践している7つのプロセス 4~5は こちら

6.フィニッシュ前の最終inspection

カメラはかつてのフィルム時代からデジタル時代へと変貌し20年くらいは経過したのでしょうか。あのキャノンが最後のフィルムカメラであるEOS1Nを生産終了にした、というニュースも何年も前の事だと記憶します。

しかしカメラやフィルムの入手が難しくなったとはいえ今後もフィルムカメラのアナログ的魅力は不滅と思われます。レコードや真空管アンプ、あるいはキャブレター搭載の旧車のように、一部のマニアの趣味として今後も細々と生き残っていくでしょう。一方で実用カメラとしてのデジタルカメラのメリットは数え切れないほどあります。フィルム代+現像代がかからない。その場で画像を確認できる(練習に適している)、感度の変更が自在、ホワイトバランスの調整が容易、データとしてすぐにネット上にアップしたり他者へ送ることが可能。一般の人でも写真レタッチができるようになった…まだまだあります。

EOS6D Mark2

この6番目のプロセスでは撮った画像を再生してミスや問題点がないか詳細にinspection(検査)しましょう、というお話をしてみます。フィルムカメラでは撮影現場でできない作業です。デジタルの恩恵をしっかり活用させ、貴方ご自身が寸分も見逃さない厳格な検査官となって撮った画像をチェックしてみましょう。

バイクの新車工場で例えてみましょう。製造ラインから仕上がってきたピカピカのマシーン。それはまだオーナーによって魂が入る前の無機質な機械です。この時点で機能や美観に問題点がないか、メーカーの責任において厳しい検査が行われますよね。もし問題が確認されれば、その工程に戻って正しい状態へと手直しされるのです。検査が甘く傷の入ったバイクや機能に問題があるバイクが出荷されてしまえば、ユーザーを失望させメーカーの信頼を失う訳です。

あなたが今撮ったその写真も、まだ撮り直しのきく撮影現場で問題点を発見できれば、帰宅してガッカリすることも無くなるはずです。主なチェックポイントはたくさんありますが代表的なものは・レンズや撮像素子に付着したゴミ ・手ブレなどの肉体的エラー ・ピントが甘い、ピント位置が的確でない ・感度の設定ミス、許容できないノイズ ・地面に落ちている吸い殻などの小さなゴミ ・水平を出すべきシーンなのに水平が甘い ・画面の四隅などに歓迎しがたい物が入っている ・メッキパーツや光沢部分に余計なモノが写り込んでいる ・シートの上にグローブなどがだらしなく置かれている ・・・まだまだありますがパッと思い付くだけでもこれくらいあります。

上の写真は曇天の日の夕刻に撮ったキャンプツーリングのシーンです。とても露出設定のシビアなシーンでしたが、私はこのとき何度も再生ボタンを押して画像をチェックし暗部が潰れていないか?レタッチで無理なく調整できる範囲に入っているか?局所的に拡大したりして何度も確認しました。




以前、知人が私に写真を見てほしいと言うので拝見したところ、写真の空の部分に無数のセンサーに付着したと思われるゴミが確認され、それがすごく気になりました。ご本人に指摘したところ「自分は大雑把なのでそこまで細かな部分は気にしないんですよ」とのこと。それ以上は何も言えませんでしたがコレはいけません。誰かに1000円やるから風景写真を撮ってこい、と言われた写真ならいざ知らず。自身の作品にこういった姿勢で望むのであれば永久に憧れの1枚は実現しないと思います。

自分が大好きな被写体、心打たれた情景、そのときの感動を自分なりに表現した特別な写真、そんな写真に憧れて写真を撮っているのではないでしょうか?であれば1ミリも1ミクロンでさえも妥協は許されないのです。その為の厳格な検査機関がこのプロセスなのです。

間違ってもセンサーのゴミが写っているような写真を発表したりしないようにしましょう。写真を見ていただける人を裏切ってしまわないように…。

7.奇跡を待機

1から6までのプロセスで一通りの撮影を終え、心の底から納得いくまで撮り切ったな!と達成感を感じたら、カメラを仕舞ってバイクのエンジンをかける前に最後に次の2つのことを実践してみましょう。

まず1つ目は撮り終えた余韻を楽しんでください。これはかなり余裕のある旅ライダーにしか成しえない玄人のやる行為なので秘密でお願いします。撮り終えてその場所にしばらく佇んで余韻を味わう。お子様には分からない大人のライダーの世界です。

そもそも全身全霊で撮影に挑んだのであれば、エネルギーを吸い取られた後の屍のように、達成感と共に脱力感が襲ってくるはずです。少し休憩しましょう。コーヒーでも飲むか今どきではありませんが愛煙家なら一本つけてみましょう。

EOS6D Mark2

2つ目は奇跡の待機です。撮影の余韻を楽しむ穏やかな時間…もう少し待っていれば何かが起きないかな…それが具体的に何を?と期待する訳ではないけれど、素敵な何かが起きればいいな。そんな淡い想いが奇跡や偶然を呼ぶものです。この写真では漁港で一通りの写真を撮り終わったあと、珍客が現れたのでこの場所で撮る写真の最後のキャストとしました。

この時はとにかくこの猫の顔が気に入ってしまいました。特に可愛い訳でもなく人に媚びるような様子もない。かといって憎めない顔といいますか、とにかく望遠ズームを装着したEOS6D Mark2のファインダーを覗きながら「人間にもこんな感じの人いるよな!」とつぶやいてしまいました。

こんな風に撮影現場で当初のイメージした写真を撮り終えた後に、そそくさ退散するのではなく余韻を楽しみながら奇跡の待機をすると野良猫のような珍客、地元の漁師さん、空の雲間から天使のはしご、日ごろの行いが良ければ虹が出現するかもしれないのです。




 ~ツーリング写真家が撮影現場で実践している7つのプロセス~

1.Factorの解明

2.Real side分析

3.Heart sideを感じ取る

4.撮り方の引き出しからsearch&choice

5.uniqueさをプラスオン

6.フィニッシュ前の最終Inspection

7.奇跡を待機

いかがでしたでしょうか?ツーリング写真家が撮影現場でしている7つのプロセス。今回はあくまで撮影現場でのプロセスをご紹介しましたが、撮影現場ではない場所でも作品が最終的にプリントとしてフィニッシュするまでのプロセスはあります。例えば採用カットのselectがあります。その撮影シーンで撮った何カットもある中からBESTと呼べる1枚を選ぶ作業です。

よく作品とは2度シャッターを切られていると言われます。1度目は撮影現場でカメラのシャッターを、2度目は何カットもあるそのシーンのフィルムストリップから1枚をselectする瞬間です。これがベスト1枚だと納得できる採用カットを選ぶselect能力についてはまた別の機会に解説したいと思います。

ところで今回の解説で4.の項目でsearch&choiceと書きました。選ぶことを英単語ではselect、choice、choose、pick、などがあります。selectはその中での最良の1つを選ぶこと、choiceは自由意志の判断による選択という意味らしいです。なので4.撮り方の引き出しからのsearch&・・・の項目では「あなたの好きなのを選んでくださいね」という意味を込めてchoiceとしました。必ずしも最良を選ぶことはありませんよという意味です。

おっと、3500文字も書いてしまったので今回はこの辺で!!

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ツーリング写真家が実践している7つのプロセス<中編>

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、気が付くともう1月も終わってしまいますね。暖冬とはいえバイクにはまだまだ寒いですが、早くバイクの季節がくるといいですね。

さて前回よりバイク写真家が実践している7つのプロセスとして、ツーリング写真に関わる総合的なことを書いております。今回はその続きでございます。

・前回の投稿ツーリング写真家7つのプロセス 1~3はこちら

4.リストからのsearch&choice

写真は撮り方が大事…と多くの方がご存じだと思います。しかし撮り方は確かに大事ですが最重要ではなく、あくまで今回ご紹介するプロセスの中の1つに過ぎません。撮り方の引き出しはベテランほど豊富に在庫しているものです。その中からいま目の前にある情景や被写体に対して、自分が感動したことを魅力的に表現する手段として自身の「撮り方の引き出し在庫リスト」からsearch(検索)をかけてchoice(選択)するのです。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

撮り方の引き出しは例えば三分割構図で撮るとか、絞りを解放して背景をボカすといったものが一般的に知られていますが、そういったメジャーなものに限らずマニアックな手法からオーバーヘッドキックのような飛び道具的な引き出しまで、豊富なバリエーションで持っておくのがおススメです。引き出しの数は2つ3つでは全く話にならず100でも1000でも多ければ多いほど作品の可能性は広がると思います。

そして豊富な「撮り方の引き出しリスト」から目の前にある情景や被写体に対して、どれをchoice(選択)するかが重要な見せどころであり、貴方らしさを発揮するポイントでもあります。choiceは2.のReal side分析から得た素材情報を元に使えそうな撮り方をリストから見つけます。それは被写体の特徴であったり線や色などのデザイン要素、光の様子といったことからヒントを得ます。

上の作品では南房総にこの時期に咲く頼朝桜(河津桜)のツーリングシーンですが、全体を桜の花で埋め尽くす構図を作り頼朝桜のピンク色を印象付けました。そしてわずかな隙間にR1200GS-ADVENTUREを配置する「のぞき窓構図」を採用しました。そして近景になる桜の様子がある程度明らかに表現できるよう絞りをF18まで絞り込みました。私の撮り方の引き出しリストを検索した結果・埋め尽くす構図・のぞき窓構図・近景から深い深度で魅せる などがヒットしてそれをchoiceしたのです。




EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

もう1つ作例をご紹介します。この作品は富士五湖の1つである精進湖で撮った1枚です。太陽を画面内に入れてしまう強烈な逆光のツーリング写真です。

このとき私は道路という限られた撮影スペースでいかに富士山を望む精進湖の雰囲気を表現しようか模索しました。Factorの解明、Real side分析、Heart sideを感じ取るプロセスで富士山や精進湖といった固有の被写体がどうこうではなく、この強烈な光が存在する空間に心が動かされたのだと思いました。そこで撮り方の引き出しリストに検索をかけて、そのイメージにぴったり合うものがないか探しました。

強烈な光が心に突き刺さったツーリングシーンなのですから、光が記憶に残った記憶色風景を演出してみようと思いつきました。記憶色風景であれば抽象的な表現の1つとしてレンズフレア、ゴーストを使ってみようとなったのです。逆光時に発生する光学的なレンズゴーストは一般には嫌われる傾向ですが、私は好きなので積極的に使うことが多いです。八角形のゴーストがR1200GS-ADVENTUREに向かって光の宝石を散りばめるように…あるいはキラキラと注ぎ込まれるようにカメラアングルを探ってみました。

これは事前に撮り方の引き出しリストの中に「ゴーストを被写体に散りばめるの術」を持っていたからに他なりません。忍法みたいですが分かりやすく言うとそうです。

撮り方はある種の演出なので賛否あるものです。中にはそういった手法はあえて使わない写真家や撮り方を感じさせない巧妙な構造の写真を好む写真家もいます。ドキュメンタリータッチなナチュラル写真を撮るベテランは星の数ほど持っている引き出しリストから「1つも使わない」をchoiceしているのです。




5.uniqueさをプラスオン

ここまでのプロセスで試し撮りをした画像を確認し次のように自問してみましょう。本当にこれでいいか?普通すぎやしないか?意外性、驚き、おもしろさ、珍しさなど最後のひとひねりを加えることはできないだろうか?と。

RICOH GR

美しい景色を撮るべきだ!とかカッコいい写真を撮らねばいけない!と執着心のようなものがあると柔軟な発想は出てこないものです。ユニークさはいつも楽しんでいる心から生まれるものでツーリングを、写真を撮ることを、心から楽しむことを忘れずにいましょう。

ユニークな被写体を見つけたら擬人化してみて「ここで何をしているんだい?」と話しかけてみたり、カメラを持って遊んでいる自分の影を撮ってみたりアイデアは無限大です。いつも美しい景色やカッコいいバイク写真ばかりを求めていた自分が馬鹿らしく感じるほど楽しいですよ。




EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

そんなユニークな発想力を日常的に鍛えていれば、ある日突然としてツーリング写真の中にユニークをブレンドして目からウロコの写真を撮ってしまうものです。それはかつて誰も撮ったことのないような写真を斬新な表現として誕生させます。

さらに愉快なのはそんな写真を撮ってしまった”未知の自分”の発見です。自分で撮っておきながら「なんだこの写真!」と笑いがこみあげてくるでしょう。そうなると発想力はさらに柔軟になりuniqueとinspirationの無限ループは成立します。

inspiration、つまりひらめきとは考え抜いても気張っても出てくるものではありません。IPS細胞の研究で有名な京都大学の山中教授も「ひらめきは脳のリラックス状態から生まれる」と言っていました。まずは撮影地で少し散歩するような気分で歩き回ってみましょう。奇想天外な何かを授かるかもしれませんよ。

それをキャッチしたら作品にプラスオンするのみです!

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次回、ツーリング写真家の撮影現場7つのプロセスの最終回でございます。お楽しみに!!

永久保存版☆ツーリング写真家が作品を生み出す7つのプロセス<前編>

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、皆さまはSNSなどのコミュニティーでいい写真を撮る人、この人が撮る写真が好きだ、という方に「お会いしてみたいな」と思ったことはありませんか?

以前に写真はセンスよりも人柄で撮りましょう…という記事を書いたことがあります。写真に限った話ではありませんが多くの芸術はその作品に惹かれるだけに留まらず作者はどんな人なのだろう?と思いを抱くものですよね。ラジオでかかった曲が「この曲いいな!好きだなこうゆうの」と思えばどんな歌手か気になりますよね?

私もよくFacebookやInstagramで私が大好きな感じの写真を撮る人に「いちどお会いしてみたいものだな」と思う時があります。写真って自分という人間の発表であり、見る人へのメッセージやプレゼントのようなものだな…なんて最近考えます。写真を見る側として「こんな素敵な写真を見せてくれて元気や勇気をもらったな」と作者へ感謝の気持ちを抱くのはごく自然なことだと思います。

そして私のような者でもたまにSNS等で「いちどお会いしたいです」「どこかでご一緒に走りましょう」と言っていただけるのですが、それが本当に嬉しいです。これからもそんな風に言って頂けるような写真活動をしていきたいですね。




EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L IS

さて今回はツーリング写真解説に関わる総合的なお話としてバイク写真、ツーリング写真の「作品」が誕生するまでのプロセスを7つの項目でご紹介してみたいと思います。当ブログをこの投稿で初めて訪れた方が驚かれないよう最初に書いておきますが、バイクでツーリングに行ったついでにせっかくだから記念写真を…という方向けの内容ではありません。ツーリングと写真が融合した写真芸術の魅力に憑りつかれ、ツーリングに行く時は必ずカメラを持って出かける熱いpassionを持ったツーリング写真家(またはそれを目指す人、憧れている人)向けの内容でございます。

1.Factor(理由)の解明

Factorの解明とはツーリング写真のクリエイティブタイムで最も初期段階で行う謎解きのプロセスです。風光明媚な海岸線でも、美しい光が差し込む林道でも、素朴な漁村でも、貴方がバイクを走らせて日常の雑念から解放されている時、旅人として写真家としてのセンサーが何かに反応を示します。「おっ、この辺に何かあるな」「あの小径の先が私を呼んでいるわ」といった具合に、センサーに従順になり少しの勇気と冒険心があれば撮影地を発見するはずです。

しかし!ここだ、と思ってバイクを停めてもすぐには撮り始めることは出来ません。まずはFactor(理由)を探しましょう。写真を撮りたいと思った理由とは多くの場合で最初は見えにくく具体性がないものです。

キーを左に回し愛機のエンジンを停止させれば辺り一帯は静寂に包まれます。まずはここでなぜここで写真を撮ろうと思ったのか?なぜここが良いと思ったのか?をしっかりと説明できるよう明らかにしておきましょう。これをやらないと次のプロセスで具体的な作業に落とし込めないのです。

まず最初に言葉で説明できるのは「ここイイ感じだから」です。ここが謎解きのスタート地点。そして目の前に景色や被写体をよく見て走りぬいてきたライダーの鼓動を落ち着かせる意味で深呼吸でもしてみましょう。見るだけでなく空気の香り、草が風でゆらぐ音、肌に感じる空気など五感をフル動員します。

心が落ち着いて静寂した空間に馴染んでくると、当初は見えなかったものが見えてきます。湖がいいと思ったんだけど実は空を写し込んだ湖がキレイだったんだな、緑の木々がいいと思ったんだけど一番の魅力は差し込む光だったんだな、桜が満開で心が高揚していたが実は幹が堂々としていたんだな、といった具合です。

上の作品では遠景に見える十勝岳連峰を撮ろうと当初は思ったのですが、Factorの解明の結果、大空の空間に何か惹かれて自分はここでR1200GSを停めたのだと確信しました。

このように1つのFactorを決めたら小さな声で言葉にしてみましょう。




2.Real side分析

Real Side分析に欠かせない重要アイテムは写真家眼です。写真家眼は被写体の特徴や細かな部分まで逃さず分析する感性の眼です。そして目の前の空間がいまどのようになっているのか?工事現場で言う測量のような仕事もします。写真家眼は豊富な経験によって養われていくもので決して視力のことではありません。

被写体の大きさ、位置関係、遠景と近景の確認、色や図形といったデザイン要素を見つける、そして重要なのが光と影の様子を把握することです。

7つのステップの中で最も退屈な作業と言えるかもしれませんが、これをしっかりやらないと基礎工事の無い建物を作ってしまうのです。それに写真を撮る上で重要なある決め事を決定付けることができません。それは焦点距離の選択です。

EOS6D Mark2 + SIGMA150-600mmF5-6.3DG

この作例では遠景となる利尻富士とR1200GSのある場所までの距離を考慮しその結果として望遠レンズを選択しました。近景として赤い船を置いたこと、デザイン要素として船体の赤とロープの黄色を意識したこと、そして利尻富士の峰が雲に覆われる直前のタイミングである事に気が付いたことです。

出来あがった写真を見れば誰でも分かることですが、いざ撮影地で目の前の光景からこれらの特徴や空間構造を洗い出すのは簡単なことではありません。写真家眼、審美眼を鍛え上げた人だから見えること、確認できることなのですね。

Real side分析は街中のスナップ写真のようにアッと思った瞬間にパッと撮る写真や、ドキュメンタリータッチな表現では必ずしも重要ではありません。しかしビギナーの方は時間をかけて習得しておきたいのが写真家眼、または審美眼です。

Real(現実の様子)Side分析は写真の測量と材料収集と覚えてくださいね。

3.Heart sideを感じ取る

Heart sideを感じ取るのに欠かせないのは写真家の豊かな感受性、感性です。よく見かけるような普通の夕陽でもジーンと感動してしまう繊細なheart、雑草のお花に「わあ、可愛いお花!」と無邪気に喜んでしまう人、そうゆう人でないと撮れない写真があるものです。

宗谷丘陵 白い貝殻の道

感受性は誰でも幼いころは豊かだったはずですが、時と共に世の中の雑踏ですり減って輝きを失うのでしょうか?感度を落とさないと傷つくことばかりだから自己防御で鈍感にしてしまったのでしょうか?それはそれで仕方のない事かもしれませんが、少なくとも写真を撮るときは幼い子供のように小さな事でも声に出して、表情にして感動するよう、自分の心に働きかけてみましょう。

恥ずかしいですか?お気持ちは分かりますが残念ながら恥ずかしくて無理!という事ですと憧れの一枚は永久に叶わないと思います。




逆にこう考えてもいいと思います。写真をライフワークとして生きていくことで失いかけた感受性を取り戻してみましょう。写真にはそんな素敵な力があると思います。もしどうしても難しいようでしたらロマンチストという事でもいいと思います。

この作品では宗谷丘陵の白い貝殻の道に夕陽が当たってキラキラと輝いていました。あまりの美しさに心打たれ危うく心の何かが崩壊しそうでしたが、感動が大きすぎる場合はある程度はコントロールしないといけません。感情が押しつぶされてしまえば冷静にカメラも操作できないですからね。これは写真家の悲しい運命です。

そしてオススメの手法は感動したことを小説や詩に出てくるような日常ではあまり使わない言葉で形容してみましょう。上の作品では「夕陽の光が貝殻の道に宝石を散りばめていた」といった具合です。そしてこれを次のステップで作品に埋め込むのです。宝石を散りばめたように写すにはどうしたら良いのか?と。

1枚の写真の中に作者の感動したことをメッセージとして埋め込むこのプロセスは今回ご紹介する7つのプロセスの中で最重要であると断言できます。けっこう見かけるのが構図やら露出やら撮り方は上手なのですが作者の感動が入っていない空っぽの写真です。

そういった写真にならないよう感受性、感性を意識して何にでも純粋に感動できる心を育みましょう。

ちょっと長くなってしまったので続きはまた明日の投稿で!!!

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構図を作る前に露出を先に決める!その訳は?

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、素敵なバイクライフと素敵なツーリング写真で日々を充実させていますでしょうか?自分らしい自由なツーリング、自分の好きなものを好きなように写真にすること、これだけで日々が充実するものですよね。




さて今回は少し前のツーリング写真解説で「構図を作る前に最初に露出を決めよう」という解説をしたのですが、難しくて意味が良くわからなかった…というご意見をいただきましたので、通勤中に撮ったスマホ画像で改めて解説してみたいと思います。

解説用に簡単に撮った写真ですが例えばこんな場合です。カメラは画面全体に対して平均で測光し露出を決めるのものです(平均以外にも測光方法はありますが)。日向と日陰が混在する景色ではどちらか一方を優先したのではなく平準的に決められるのでこのような感じとなります。しかし、これでは普通すぎますよね?それはなぜでしょう?その理由は特段光が美しいとは思えない写真だからです。

まずそこにある光が最も美しく見える露出を目指しましょう。この場合では日向の部分に露出を合わせてみましょう。露出を最初の写真よりもアンダーにふることで日陰はだいぶ暗くなってしまいましたが日向の部分に存在する光が魅力的に変貌しました。しかしコレだと今度は構図のバランスが崩れてしまいました。

日向に露出を合わせて光を表現すると決めたなら、その部分がバランスよく画面という長方形の四角の中に配置されるよう構図し直します。日向の部分が中心になるよう少しカメラを左上に向けてみました。これで日向の部分が中心に安定し、日陰部分はその良き引き立て役として額縁状に配置されました。

構図をつくる前に露出を先に決める理由がこれでお分かり頂けたでしょうか?




では実際のツーリング写真で解説いたします。

EOS6D Mark2 + SIGMA12-24mmF4.5-5.6DG

鬱蒼とした森の中のキャンプ場です。日中の高い太陽光が木々のわずかな隙間から入っています。私はこのときリアルサイド分析から捻じれた表情を持つ木、それに絡まる葉の存在に強く惹かれました。木の茶色、絡まる葉の緑色は色相環で補色関係に近いです。デザインの分野で度々耳にする色相環図で補色(または反対色)関係となるものは抜群に組み合わせの良い両者という事です。

1、特徴的な木は茶色 2、絡まる葉は緑色 この2者からおりなす雰囲気が最も魅力的に見えるよう、わずかな光を使ってこの2者に露出を切り詰めてみました。

画面の多くの割合が暗くなってしまい、全体が暗い雰囲気の写真になりましたが木と葉の2者が画面と言う長方形の中にどっしりと鎮座し、魅力的な色を出すよう構成した結果です。もしこのシーンで評価測光で露出を決めれば全く違う印象の写真になると思います。

これは撮影現場を説明的にスマホで撮った1枚です。これも大幅に露出補正しましたが、ここで言いたいのは撮影地は実際にはさほど美しいロケーションでもなく、きわめて日常的なキャンプ場の風景という事です。白い軽バンは後からやってきた車ですが、それが無かったとしても「素敵な雰囲気のキャンプシーン!」とは思えないですよね?




写さなくていいものをカメラアングルやフレーミングで画面外へ除外するのは勿論のこと、露出でも同様に特別魅力的ではない要素はシャドウに包んでしまう、という考え方ですね。もちろん最も魅力的なものが最も魅力的に見える露出を選択した結果ではありますが。

暗い部分から明るいところまで、カメラが写せる範囲のことをダイナミックレンジなんて呼びますが、このように範囲が限られていることを上手に利用して、構図との関係をとっていきましょう。

あれっ・・・やっぱり分かりにくい説明だったかな。

今回はこの辺で!!!

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Dogmaに囚われない☆常識を疑い目を覚ませば…

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、いきなり訳の分からないタイトルで失礼いたしました。Dogmaとは直訳すると教義、教理など少々宗教っぽいニュアンスの意味なのですが、ここでは写真文化における既成観念という意味で書いてみました。

私たちは先人たちが生み出してくれた撮影技法や写真に関わるあらゆることに準じて写真を撮っていますよね。しかし、ここで冷静になって次のように再考してみましょう…既成観念に囚われすぎではないだろうか?…と。

写真のことを最初に学んだとき、それを何も疑うことなく受け入れてきましたが、最初に教わることというのはビギナー向けの内容です。これをいつまでも引きずっていると写真の可能性を限定してしまう要因にならないでしょうか?例えば適正露出で撮りましょう、手ブレに気を付けましょう、ピントは必ず被写体に合わせましょう…もちろんこれらは正しいコトなのでしょうけど…これに経験を積んだいいベテランが縛られるのもどうかと思います。

他にもあります。バイク写真を撮るときのレンズは標準50mmから中望遠85mmくらいが歪みがなくてお勧めですよ…それも本当??14mmや600mmで撮っちゃダメなの?

風景写真でいい写真を撮るには早朝か夕方で、日の高い日中はいい写真が撮れない…それも本当でしょうか?

最初に教わった何かに縛られていないでしょうか?胸に手を当てて考えてみましょう。

EOS6D Mark2

この写真を撮った時に私はある事に気が付いてハッとしました。これは私がよくやる走行中のコクピット風景を再現した写真なのですが、いつもならシャッター速度優先モードに設定しシャッター速度を1/60あたりに設定して撮るのですが、この時はなぜか絞り優先モードのままF11まで絞って走り始めました。どうしてそうしたのかは今でも覚えていません…。




帰宅してこのシーンで撮った100カット前後の走行シーンを選別している時です。あれっ???なんだ今回のは?絞りを固定して撮ったせいで様々なスローシャッターのバリエーションが混在していたのです。木陰を通過したときの測光であれば1/8、日向で測光したタイミングであれば1/30、ヘアピンコーナーを立ち上がって太陽の向きが変われば1/125といった具合です。さらに測光ポイントとシャッターを切ったポイントの明るさが変わってしまった場合など、とんでもないオーバーやアンダーで撮れてしまい、一見するとフィルムストリップ内は失敗カットだらけなのですが、その中に「おやっこれは…」とハッとする写真があったのです。それがこの上の写真です。

動きのある被写体を追って背景を流したい時や、作品に動感を与えたい時はシャッター速度優先モード、あるいはマニュアル露出モードにして任意のシャッター速度に設定しますよね?カメラのイロハを学ぶときに最初に教わりますよね。私もそうだった記憶があります。しかし、それって本当でしょうか???

脳内で描いたイメージの写真が「これくらい流したい」とイメージすれば、ベテランであれば時速40km/hくらいなら1/60程度であろう、と瞬時に露出値が出てきます。しかしベテラン故に1/60と決めた数値を疑うことなく、他のエキサイティングな選択肢を試すことはしないと思います。

RICOH GR APS-C

この出来事に味を占めた私は以降は同様の撮影シーンでは意図的に絞り優先モードに設定し、悪戯にスローシャッターの世界を冒険しました。この写真はシャッター速度1/6です。今まででは発想すら浮かんでこなかったエキサイティングな設定と言えます。もちろん従来よりも失敗を大量に生み出すことになりますが、そんなことはどうでも良いです。それよりも「走行シーンでは路面の段差などで縦ブレしないように」なんて決めつけていましたが、1/6でシャッターを切ったこの写真は縦ブレによって被写体に躍動感が出ました。まさに目からウロコです。




「あぁ!今までなんて馬鹿なことをしてきたんだ」と心底後悔するほど、シャッター速度を固定して撮っていたことが愚かな事であったと感じました。流し撮りや動感を表現したいときはシャッター速度優先モードに…カメラの説明書にも書いてある写真の基本的なことですが、そんなビギナー向けの教科書に自分が無意識下に囚われていたなんて。

むかし4輪で草レースをしていた頃にこんな事がありました。走りなれたサーキットで10週のレースをしていた終盤、私と同じFC3S型のRX-7に乗る外国人のドライバーに追いつきました。ゴールまでに彼をオーバーテイクできれば表彰台が待っています。しかし3速で旋回するコーナーを立ち上がった直後、彼のFC3Sに一瞬追突しそうなほど接近してしまい、その後はストレートエンドでトップスピードの伸びで離されてしまいました。結局、私はポジションを上げることができず鳴かず飛ばずのポジションでフィニッシュとなりました。

レース終了後、もしや…と彼に「ストレート手前のコーナーは4速だった?」と聞いたところ「そうだよ!よく分かったね」と返されました。常識的に考えて3速以外のギアを選択するのは有りえませんが、彼は柔軟な発想でやってのけました。コーナリングを終わって立ち上がりの加速で前の車を抜くなんて、よほどのパワー差がないと無理ですし、少々モタついてもギアチェンジしないで次のコーナーまで全開なのですからターボのブーストも安定します。対して後方にいた私は追突回避で一瞬アクセルを緩めたので、加圧中だったターボの圧は一瞬でブローオフバルブから排出されてしまい、再び最初からブーストし直し、さらに3から4速へのシフトチェンジと2回もターボラグを発生させたのですから、ストレートエンドで差が出たのは当然です。

セオリーに縛られた走りしか出来なかった自分と、柔軟な発想で見事に敵を欺いた外国人のドライバー。同じ車、同じタービンを搭載した両者でしたが相手の方が一枚上手でした。




そんな風に既成観念、常識、セオリー、みんなが真面目に守っている手法、などに囚われて、ワクにはまっていないか今一度見直してみましょう。写真はアマチュアでやっている限り「こうしなければいけない」は原則としてありませんからね!

今回はこの辺で!!!

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バイク写真とライダー自撮りはポージングと視線が命

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、いつもツーリング先で写真を撮るけど写真を撮るのに適した場所を探すのがどうも苦手だ…という方はおられませんか?

ツーリング写真がお好きな方であれば、いつかこんな写真を撮ってみたい、あの時にみたあの凄い写真と同じような感じで撮ってみたい、といった具合に心の中での憧れの写真というのを誰でもお持ちだと思います。

しかし、その憧れの1枚を実現するのにピッタリと言えるような撮影地など、そうそう簡単に巡り合うものではありません。憧れの1枚を今日撮るぞ!という願いは実は現実的ではないのです。憧れは憧れとして「幻想のツーリング風景」として心の奥に密かに抱いておくくらいで丁度良いのかもしれません。

では、どうやったらツーリング写真に適した撮影地を探し当てることができるのでしょうか?ごく当たり前のことですが「ツーリング写真」なのですからツーリングの内容が重要なのはお分かりいただけますよね?まず写真のことだけを第一に考えてしまい、ツーリングの内容を疎かにしていないでしょうか?




もしドキッとされた方はいちど写真の事を忘れて心に響く一期一会のツーリング風景を想像してみてください。それは商業化された観光スポットでもなくSNSで映えスポットとして話題の場所でもありません。ひそかに貴方の事を待っている貴方だけのツーリング風景です。国道から外れて名もない生活道路や広域農道を走りつなぎ、鄙びた街並みや集落などを抜けていけば、やがて静かな自然風景や素朴な人々の暮らしの風景を目撃します。そんな時は先を急がずバイクを停めて少し歩いてみましょう。

きっと出会えるはずですよ。

EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L2 IS

さて今回は<中級>ツーリング写真解説として久しぶりにツーリング写真、バイク写真におけるライダーの自撮りのお話をいってみたいと思います。

「自撮り」というと今風のワードですが、ここではソロツーリングで写真を撮る場合、作品にライダーを登場させたいのであれば自分しかいないので自ずと自撮りになります、という意味の自撮りです。別にソロでなければお友達やパートナーを撮ればライダーの登場するツーリング写真は撮れますし、見知らぬライダーでも許可をもらえればOKですよね。なので一般に言われる今風の「自撮り」とは少しニュアンスが違いますが・・・他に適切な呼び方がないので自撮りと書いてしまいます。




風景の中にバイクだけという写真でも立派なツーリング写真になりますが、ライダーの存在を見る側に予感させるようにヘルメットやグローブなどの小物を使ったりと、それなりの工夫が必要なものです。もし何の配慮もなく風景の中のバイクだけを撮ればバイクのオブジェ化は避けられないでしょう。バイクのオブジェ化はバイク写真(愛車を主役にした記念写真など)の延長のようになってしまい、風景主体の愛車写真という何とも矛盾を作ってしまうものです。見る人によっては主に捨てられたバイクが風景の中に置き去りにされているように見えるかもしれません。ツーリングはライダーの旅なのですから、やはりライダーの存在とは重要だと覚えましょう。

バイクのオブジェ化を回避する確実な方法はライダーの姿を入れてしまう自撮りなのです。三脚が必要となるので少し荷物が増えてしまいますが、自撮り専用という事であれば特別立派な三脚が必要な訳ではありません。ノーブランドの安価な三脚でも自撮りの為だけであれば機能します。「シャッターはどうするの?」というのが最も多く受ける質問なのですが、シャッターは望遠域であればインターバルタイマー機能、広角や標準などカメラが遠くならない場合はカメラとスマホをBluetoothやWifiで接続してリモート撮影します。セルフタイマーでダッシュは不自然になるのでやめましょう。もちろんダッシュしている様子を主題としたユニーク作品という事であればその限りではありませんが。

ライダーが登場するツーリング写真、つまり自撮りをする場合にいくつかのポイントがあります。まず1つめは美しい姿勢を意識すること。猫背になっていたり寒いからと着ぶくれした装備のまま撮ったり、美しい姿勢を意識せず棒立ちだったり…。自撮りは演出ですので割り切って少々大げさなくらいに背筋を伸ばして美しさを意識しましょう。そして撮り始める前に自身が映画監督や演出家になるようなイメージで、主演俳優にどのような演出をさせるのか決めておくことです。あなたの大切な作品に大根役者はいらないですよね??




上の作品の場合は樹里木高原の爽快な道を走りぬき、バイクを停車させて後方の雄大な富士山を振り返って見ているシーン、といった具合です。原則としてその作品の主題となるものにライダーは視線を送っているべきと覚えましょう。

私が愛用しているSHOEI ホーネットADVや、他にもAraiのツアークロスなどバイザーの付いたオフロード系のヘルメットであれば小さく写しても視線がどの方向に向いているのか分かりやすくて良いですね。そうでない場合は主題風景に向かって手をかざしてみるなど工夫を凝らしてみてください。

   まとめ

・ツーリング写真とはライダーの旅なのでライダーの存在が大切

・ライダー無しで撮る場合はバイクのオブジェ化にならないよう小物で工夫

・大根役者にならないよう事前に演出のイメージを固めておく

・美しい姿勢を意識する

・ライダーの視線は作品の主題へ向けること
・セルフタイマーでダッシュはやらない

今回はこの辺で!!

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