ツーリング写真家が実践している7つのプロセス<中編>

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、気が付くともう1月も終わってしまいますね。暖冬とはいえバイクにはまだまだ寒いですが、早くバイクの季節がくるといいですね。

さて前回よりバイク写真家が実践している7つのプロセスとして、ツーリング写真に関わる総合的なことを書いております。今回はその続きでございます。

・前回の投稿ツーリング写真家7つのプロセス 1~3はこちら

4.リストからのsearch&choice

写真は撮り方が大事…と多くの方がご存じだと思います。しかし撮り方は確かに大事ですが最重要ではなく、あくまで今回ご紹介するプロセスの中の1つに過ぎません。撮り方の引き出しはベテランほど豊富に在庫しているものです。その中からいま目の前にある情景や被写体に対して、自分が感動したことを魅力的に表現する手段として自身の「撮り方の引き出し在庫リスト」からsearch(検索)をかけてchoice(選択)するのです。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

撮り方の引き出しは例えば三分割構図で撮るとか、絞りを解放して背景をボカすといったものが一般的に知られていますが、そういったメジャーなものに限らずマニアックな手法からオーバーヘッドキックのような飛び道具的な引き出しまで、豊富なバリエーションで持っておくのがおススメです。引き出しの数は2つ3つでは全く話にならず100でも1000でも多ければ多いほど作品の可能性は広がると思います。

そして豊富な「撮り方の引き出しリスト」から目の前にある情景や被写体に対して、どれをchoice(選択)するかが重要な見せどころであり、貴方らしさを発揮するポイントでもあります。choiceは2.のReal side分析から得た素材情報を元に使えそうな撮り方をリストから見つけます。それは被写体の特徴であったり線や色などのデザイン要素、光の様子といったことからヒントを得ます。

上の作品では南房総にこの時期に咲く頼朝桜(河津桜)のツーリングシーンですが、全体を桜の花で埋め尽くす構図を作り頼朝桜のピンク色を印象付けました。そしてわずかな隙間にR1200GS-ADVENTUREを配置する「のぞき窓構図」を採用しました。そして近景になる桜の様子がある程度明らかに表現できるよう絞りをF18まで絞り込みました。私の撮り方の引き出しリストを検索した結果・埋め尽くす構図・のぞき窓構図・近景から深い深度で魅せる などがヒットしてそれをchoiceしたのです。




EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

もう1つ作例をご紹介します。この作品は富士五湖の1つである精進湖で撮った1枚です。太陽を画面内に入れてしまう強烈な逆光のツーリング写真です。

このとき私は道路という限られた撮影スペースでいかに富士山を望む精進湖の雰囲気を表現しようか模索しました。Factorの解明、Real side分析、Heart sideを感じ取るプロセスで富士山や精進湖といった固有の被写体がどうこうではなく、この強烈な光が存在する空間に心が動かされたのだと思いました。そこで撮り方の引き出しリストに検索をかけて、そのイメージにぴったり合うものがないか探しました。

強烈な光が心に突き刺さったツーリングシーンなのですから、光が記憶に残った記憶色風景を演出してみようと思いつきました。記憶色風景であれば抽象的な表現の1つとしてレンズフレア、ゴーストを使ってみようとなったのです。逆光時に発生する光学的なレンズゴーストは一般には嫌われる傾向ですが、私は好きなので積極的に使うことが多いです。八角形のゴーストがR1200GS-ADVENTUREに向かって光の宝石を散りばめるように…あるいはキラキラと注ぎ込まれるようにカメラアングルを探ってみました。

これは事前に撮り方の引き出しリストの中に「ゴーストを被写体に散りばめるの術」を持っていたからに他なりません。忍法みたいですが分かりやすく言うとそうです。

撮り方はある種の演出なので賛否あるものです。中にはそういった手法はあえて使わない写真家や撮り方を感じさせない巧妙な構造の写真を好む写真家もいます。ドキュメンタリータッチなナチュラル写真を撮るベテランは星の数ほど持っている引き出しリストから「1つも使わない」をchoiceしているのです。




5.uniqueさをプラスオン

ここまでのプロセスで試し撮りをした画像を確認し次のように自問してみましょう。本当にこれでいいか?普通すぎやしないか?意外性、驚き、おもしろさ、珍しさなど最後のひとひねりを加えることはできないだろうか?と。

RICOH GR

美しい景色を撮るべきだ!とかカッコいい写真を撮らねばいけない!と執着心のようなものがあると柔軟な発想は出てこないものです。ユニークさはいつも楽しんでいる心から生まれるものでツーリングを、写真を撮ることを、心から楽しむことを忘れずにいましょう。

ユニークな被写体を見つけたら擬人化してみて「ここで何をしているんだい?」と話しかけてみたり、カメラを持って遊んでいる自分の影を撮ってみたりアイデアは無限大です。いつも美しい景色やカッコいいバイク写真ばかりを求めていた自分が馬鹿らしく感じるほど楽しいですよ。




EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

そんなユニークな発想力を日常的に鍛えていれば、ある日突然としてツーリング写真の中にユニークをブレンドして目からウロコの写真を撮ってしまうものです。それはかつて誰も撮ったことのないような写真を斬新な表現として誕生させます。

さらに愉快なのはそんな写真を撮ってしまった”未知の自分”の発見です。自分で撮っておきながら「なんだこの写真!」と笑いがこみあげてくるでしょう。そうなると発想力はさらに柔軟になりuniqueとinspirationの無限ループは成立します。

inspiration、つまりひらめきとは考え抜いても気張っても出てくるものではありません。IPS細胞の研究で有名な京都大学の山中教授も「ひらめきは脳のリラックス状態から生まれる」と言っていました。まずは撮影地で少し散歩するような気分で歩き回ってみましょう。奇想天外な何かを授かるかもしれませんよ。

それをキャッチしたら作品にプラスオンするのみです!

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次回、ツーリング写真家の撮影現場7つのプロセスの最終回でございます。お楽しみに!!

永久保存版☆ツーリング写真家が作品を生み出す7つのプロセス<前編>

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、皆さまはSNSなどのコミュニティーでいい写真を撮る人、この人が撮る写真が好きだ、という方に「お会いしてみたいな」と思ったことはありませんか?

以前に写真はセンスよりも人柄で撮りましょう…という記事を書いたことがあります。写真に限った話ではありませんが多くの芸術はその作品に惹かれるだけに留まらず作者はどんな人なのだろう?と思いを抱くものですよね。ラジオでかかった曲が「この曲いいな!好きだなこうゆうの」と思えばどんな歌手か気になりますよね?

私もよくFacebookやInstagramで私が大好きな感じの写真を撮る人に「いちどお会いしてみたいものだな」と思う時があります。写真って自分という人間の発表であり、見る人へのメッセージやプレゼントのようなものだな…なんて最近考えます。写真を見る側として「こんな素敵な写真を見せてくれて元気や勇気をもらったな」と作者へ感謝の気持ちを抱くのはごく自然なことだと思います。

そして私のような者でもたまにSNS等で「いちどお会いしたいです」「どこかでご一緒に走りましょう」と言っていただけるのですが、それが本当に嬉しいです。これからもそんな風に言って頂けるような写真活動をしていきたいですね。




EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L IS

さて今回はツーリング写真解説に関わる総合的なお話としてバイク写真、ツーリング写真の「作品」が誕生するまでのプロセスを7つの項目でご紹介してみたいと思います。当ブログをこの投稿で初めて訪れた方が驚かれないよう最初に書いておきますが、バイクでツーリングに行ったついでにせっかくだから記念写真を…という方向けの内容ではありません。ツーリングと写真が融合した写真芸術の魅力に憑りつかれ、ツーリングに行く時は必ずカメラを持って出かける熱いpassionを持ったツーリング写真家(またはそれを目指す人、憧れている人)向けの内容でございます。

1.Factor(理由)の解明

Factorの解明とはツーリング写真のクリエイティブタイムで最も初期段階で行う謎解きのプロセスです。風光明媚な海岸線でも、美しい光が差し込む林道でも、素朴な漁村でも、貴方がバイクを走らせて日常の雑念から解放されている時、旅人として写真家としてのセンサーが何かに反応を示します。「おっ、この辺に何かあるな」「あの小径の先が私を呼んでいるわ」といった具合に、センサーに従順になり少しの勇気と冒険心があれば撮影地を発見するはずです。

しかし!ここだ、と思ってバイクを停めてもすぐには撮り始めることは出来ません。まずはFactor(理由)を探しましょう。写真を撮りたいと思った理由とは多くの場合で最初は見えにくく具体性がないものです。

キーを左に回し愛機のエンジンを停止させれば辺り一帯は静寂に包まれます。まずはここでなぜここで写真を撮ろうと思ったのか?なぜここが良いと思ったのか?をしっかりと説明できるよう明らかにしておきましょう。これをやらないと次のプロセスで具体的な作業に落とし込めないのです。

まず最初に言葉で説明できるのは「ここイイ感じだから」です。ここが謎解きのスタート地点。そして目の前に景色や被写体をよく見て走りぬいてきたライダーの鼓動を落ち着かせる意味で深呼吸でもしてみましょう。見るだけでなく空気の香り、草が風でゆらぐ音、肌に感じる空気など五感をフル動員します。

心が落ち着いて静寂した空間に馴染んでくると、当初は見えなかったものが見えてきます。湖がいいと思ったんだけど実は空を写し込んだ湖がキレイだったんだな、緑の木々がいいと思ったんだけど一番の魅力は差し込む光だったんだな、桜が満開で心が高揚していたが実は幹が堂々としていたんだな、といった具合です。

上の作品では遠景に見える十勝岳連峰を撮ろうと当初は思ったのですが、Factorの解明の結果、大空の空間に何か惹かれて自分はここでR1200GSを停めたのだと確信しました。

このように1つのFactorを決めたら小さな声で言葉にしてみましょう。




2.Real side分析

Real Side分析に欠かせない重要アイテムは写真家眼です。写真家眼は被写体の特徴や細かな部分まで逃さず分析する感性の眼です。そして目の前の空間がいまどのようになっているのか?工事現場で言う測量のような仕事もします。写真家眼は豊富な経験によって養われていくもので決して視力のことではありません。

被写体の大きさ、位置関係、遠景と近景の確認、色や図形といったデザイン要素を見つける、そして重要なのが光と影の様子を把握することです。

7つのステップの中で最も退屈な作業と言えるかもしれませんが、これをしっかりやらないと基礎工事の無い建物を作ってしまうのです。それに写真を撮る上で重要なある決め事を決定付けることができません。それは焦点距離の選択です。

EOS6D Mark2 + SIGMA150-600mmF5-6.3DG

この作例では遠景となる利尻富士とR1200GSのある場所までの距離を考慮しその結果として望遠レンズを選択しました。近景として赤い船を置いたこと、デザイン要素として船体の赤とロープの黄色を意識したこと、そして利尻富士の峰が雲に覆われる直前のタイミングである事に気が付いたことです。

出来あがった写真を見れば誰でも分かることですが、いざ撮影地で目の前の光景からこれらの特徴や空間構造を洗い出すのは簡単なことではありません。写真家眼、審美眼を鍛え上げた人だから見えること、確認できることなのですね。

Real side分析は街中のスナップ写真のようにアッと思った瞬間にパッと撮る写真や、ドキュメンタリータッチな表現では必ずしも重要ではありません。しかしビギナーの方は時間をかけて習得しておきたいのが写真家眼、または審美眼です。

Real(現実の様子)Side分析は写真の測量と材料収集と覚えてくださいね。

3.Heart sideを感じ取る

Heart sideを感じ取るのに欠かせないのは写真家の豊かな感受性、感性です。よく見かけるような普通の夕陽でもジーンと感動してしまう繊細なheart、雑草のお花に「わあ、可愛いお花!」と無邪気に喜んでしまう人、そうゆう人でないと撮れない写真があるものです。

宗谷丘陵 白い貝殻の道

感受性は誰でも幼いころは豊かだったはずですが、時と共に世の中の雑踏ですり減って輝きを失うのでしょうか?感度を落とさないと傷つくことばかりだから自己防御で鈍感にしてしまったのでしょうか?それはそれで仕方のない事かもしれませんが、少なくとも写真を撮るときは幼い子供のように小さな事でも声に出して、表情にして感動するよう、自分の心に働きかけてみましょう。

恥ずかしいですか?お気持ちは分かりますが残念ながら恥ずかしくて無理!という事ですと憧れの一枚は永久に叶わないと思います。




逆にこう考えてもいいと思います。写真をライフワークとして生きていくことで失いかけた感受性を取り戻してみましょう。写真にはそんな素敵な力があると思います。もしどうしても難しいようでしたらロマンチストという事でもいいと思います。

この作品では宗谷丘陵の白い貝殻の道に夕陽が当たってキラキラと輝いていました。あまりの美しさに心打たれ危うく心の何かが崩壊しそうでしたが、感動が大きすぎる場合はある程度はコントロールしないといけません。感情が押しつぶされてしまえば冷静にカメラも操作できないですからね。これは写真家の悲しい運命です。

そしてオススメの手法は感動したことを小説や詩に出てくるような日常ではあまり使わない言葉で形容してみましょう。上の作品では「夕陽の光が貝殻の道に宝石を散りばめていた」といった具合です。そしてこれを次のステップで作品に埋め込むのです。宝石を散りばめたように写すにはどうしたら良いのか?と。

1枚の写真の中に作者の感動したことをメッセージとして埋め込むこのプロセスは今回ご紹介する7つのプロセスの中で最重要であると断言できます。けっこう見かけるのが構図やら露出やら撮り方は上手なのですが作者の感動が入っていない空っぽの写真です。

そういった写真にならないよう感受性、感性を意識して何にでも純粋に感動できる心を育みましょう。

ちょっと長くなってしまったので続きはまた明日の投稿で!!!

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構図を作る前に露出を先に決める!その訳は?

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、素敵なバイクライフと素敵なツーリング写真で日々を充実させていますでしょうか?自分らしい自由なツーリング、自分の好きなものを好きなように写真にすること、これだけで日々が充実するものですよね。




さて今回は少し前のツーリング写真解説で「構図を作る前に最初に露出を決めよう」という解説をしたのですが、難しくて意味が良くわからなかった…というご意見をいただきましたので、通勤中に撮ったスマホ画像で改めて解説してみたいと思います。

解説用に簡単に撮った写真ですが例えばこんな場合です。カメラは画面全体に対して平均で測光し露出を決めるのものです(平均以外にも測光方法はありますが)。日向と日陰が混在する景色ではどちらか一方を優先したのではなく平準的に決められるのでこのような感じとなります。しかし、これでは普通すぎますよね?それはなぜでしょう?その理由は特段光が美しいとは思えない写真だからです。

まずそこにある光が最も美しく見える露出を目指しましょう。この場合では日向の部分に露出を合わせてみましょう。露出を最初の写真よりもアンダーにふることで日陰はだいぶ暗くなってしまいましたが日向の部分に存在する光が魅力的に変貌しました。しかしコレだと今度は構図のバランスが崩れてしまいました。

日向に露出を合わせて光を表現すると決めたなら、その部分がバランスよく画面という長方形の四角の中に配置されるよう構図し直します。日向の部分が中心になるよう少しカメラを左上に向けてみました。これで日向の部分が中心に安定し、日陰部分はその良き引き立て役として額縁状に配置されました。

構図をつくる前に露出を先に決める理由がこれでお分かり頂けたでしょうか?




では実際のツーリング写真で解説いたします。

EOS6D Mark2 + SIGMA12-24mmF4.5-5.6DG

鬱蒼とした森の中のキャンプ場です。日中の高い太陽光が木々のわずかな隙間から入っています。私はこのときリアルサイド分析から捻じれた表情を持つ木、それに絡まる葉の存在に強く惹かれました。木の茶色、絡まる葉の緑色は色相環で補色関係に近いです。デザインの分野で度々耳にする色相環図で補色(または反対色)関係となるものは抜群に組み合わせの良い両者という事です。

1、特徴的な木は茶色 2、絡まる葉は緑色 この2者からおりなす雰囲気が最も魅力的に見えるよう、わずかな光を使ってこの2者に露出を切り詰めてみました。

画面の多くの割合が暗くなってしまい、全体が暗い雰囲気の写真になりましたが木と葉の2者が画面と言う長方形の中にどっしりと鎮座し、魅力的な色を出すよう構成した結果です。もしこのシーンで評価測光で露出を決めれば全く違う印象の写真になると思います。

これは撮影現場を説明的にスマホで撮った1枚です。これも大幅に露出補正しましたが、ここで言いたいのは撮影地は実際にはさほど美しいロケーションでもなく、きわめて日常的なキャンプ場の風景という事です。白い軽バンは後からやってきた車ですが、それが無かったとしても「素敵な雰囲気のキャンプシーン!」とは思えないですよね?




写さなくていいものをカメラアングルやフレーミングで画面外へ除外するのは勿論のこと、露出でも同様に特別魅力的ではない要素はシャドウに包んでしまう、という考え方ですね。もちろん最も魅力的なものが最も魅力的に見える露出を選択した結果ではありますが。

暗い部分から明るいところまで、カメラが写せる範囲のことをダイナミックレンジなんて呼びますが、このように範囲が限られていることを上手に利用して、構図との関係をとっていきましょう。

あれっ・・・やっぱり分かりにくい説明だったかな。

今回はこの辺で!!!

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Dogmaに囚われない☆常識を疑い目を覚ませば…

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、いきなり訳の分からないタイトルで失礼いたしました。Dogmaとは直訳すると教義、教理など少々宗教っぽいニュアンスの意味なのですが、ここでは写真文化における既成観念という意味で書いてみました。

私たちは先人たちが生み出してくれた撮影技法や写真に関わるあらゆることに準じて写真を撮っていますよね。しかし、ここで冷静になって次のように再考してみましょう…既成観念に囚われすぎではないだろうか?…と。

写真のことを最初に学んだとき、それを何も疑うことなく受け入れてきましたが、最初に教わることというのはビギナー向けの内容です。これをいつまでも引きずっていると写真の可能性を限定してしまう要因にならないでしょうか?例えば適正露出で撮りましょう、手ブレに気を付けましょう、ピントは必ず被写体に合わせましょう…もちろんこれらは正しいコトなのでしょうけど…これに経験を積んだいいベテランが縛られるのもどうかと思います。

他にもあります。バイク写真を撮るときのレンズは標準50mmから中望遠85mmくらいが歪みがなくてお勧めですよ…それも本当??14mmや600mmで撮っちゃダメなの?

風景写真でいい写真を撮るには早朝か夕方で、日の高い日中はいい写真が撮れない…それも本当でしょうか?

最初に教わった何かに縛られていないでしょうか?胸に手を当てて考えてみましょう。

EOS6D Mark2

この写真を撮った時に私はある事に気が付いてハッとしました。これは私がよくやる走行中のコクピット風景を再現した写真なのですが、いつもならシャッター速度優先モードに設定しシャッター速度を1/60あたりに設定して撮るのですが、この時はなぜか絞り優先モードのままF11まで絞って走り始めました。どうしてそうしたのかは今でも覚えていません…。




帰宅してこのシーンで撮った100カット前後の走行シーンを選別している時です。あれっ???なんだ今回のは?絞りを固定して撮ったせいで様々なスローシャッターのバリエーションが混在していたのです。木陰を通過したときの測光であれば1/8、日向で測光したタイミングであれば1/30、ヘアピンコーナーを立ち上がって太陽の向きが変われば1/125といった具合です。さらに測光ポイントとシャッターを切ったポイントの明るさが変わってしまった場合など、とんでもないオーバーやアンダーで撮れてしまい、一見するとフィルムストリップ内は失敗カットだらけなのですが、その中に「おやっこれは…」とハッとする写真があったのです。それがこの上の写真です。

動きのある被写体を追って背景を流したい時や、作品に動感を与えたい時はシャッター速度優先モード、あるいはマニュアル露出モードにして任意のシャッター速度に設定しますよね?カメラのイロハを学ぶときに最初に教わりますよね。私もそうだった記憶があります。しかし、それって本当でしょうか???

脳内で描いたイメージの写真が「これくらい流したい」とイメージすれば、ベテランであれば時速40km/hくらいなら1/60程度であろう、と瞬時に露出値が出てきます。しかしベテラン故に1/60と決めた数値を疑うことなく、他のエキサイティングな選択肢を試すことはしないと思います。

RICOH GR APS-C

この出来事に味を占めた私は以降は同様の撮影シーンでは意図的に絞り優先モードに設定し、悪戯にスローシャッターの世界を冒険しました。この写真はシャッター速度1/6です。今まででは発想すら浮かんでこなかったエキサイティングな設定と言えます。もちろん従来よりも失敗を大量に生み出すことになりますが、そんなことはどうでも良いです。それよりも「走行シーンでは路面の段差などで縦ブレしないように」なんて決めつけていましたが、1/6でシャッターを切ったこの写真は縦ブレによって被写体に躍動感が出ました。まさに目からウロコです。




「あぁ!今までなんて馬鹿なことをしてきたんだ」と心底後悔するほど、シャッター速度を固定して撮っていたことが愚かな事であったと感じました。流し撮りや動感を表現したいときはシャッター速度優先モードに…カメラの説明書にも書いてある写真の基本的なことですが、そんなビギナー向けの教科書に自分が無意識下に囚われていたなんて。

むかし4輪で草レースをしていた頃にこんな事がありました。走りなれたサーキットで10週のレースをしていた終盤、私と同じFC3S型のRX-7に乗る外国人のドライバーに追いつきました。ゴールまでに彼をオーバーテイクできれば表彰台が待っています。しかし3速で旋回するコーナーを立ち上がった直後、彼のFC3Sに一瞬追突しそうなほど接近してしまい、その後はストレートエンドでトップスピードの伸びで離されてしまいました。結局、私はポジションを上げることができず鳴かず飛ばずのポジションでフィニッシュとなりました。

レース終了後、もしや…と彼に「ストレート手前のコーナーは4速だった?」と聞いたところ「そうだよ!よく分かったね」と返されました。常識的に考えて3速以外のギアを選択するのは有りえませんが、彼は柔軟な発想でやってのけました。コーナリングを終わって立ち上がりの加速で前の車を抜くなんて、よほどのパワー差がないと無理ですし、少々モタついてもギアチェンジしないで次のコーナーまで全開なのですからターボのブーストも安定します。対して後方にいた私は追突回避で一瞬アクセルを緩めたので、加圧中だったターボの圧は一瞬でブローオフバルブから排出されてしまい、再び最初からブーストし直し、さらに3から4速へのシフトチェンジと2回もターボラグを発生させたのですから、ストレートエンドで差が出たのは当然です。

セオリーに縛られた走りしか出来なかった自分と、柔軟な発想で見事に敵を欺いた外国人のドライバー。同じ車、同じタービンを搭載した両者でしたが相手の方が一枚上手でした。




そんな風に既成観念、常識、セオリー、みんなが真面目に守っている手法、などに囚われて、ワクにはまっていないか今一度見直してみましょう。写真はアマチュアでやっている限り「こうしなければいけない」は原則としてありませんからね!

今回はこの辺で!!!

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バイク写真とライダー自撮りはポージングと視線が命

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、いつもツーリング先で写真を撮るけど写真を撮るのに適した場所を探すのがどうも苦手だ…という方はおられませんか?

ツーリング写真がお好きな方であれば、いつかこんな写真を撮ってみたい、あの時にみたあの凄い写真と同じような感じで撮ってみたい、といった具合に心の中での憧れの写真というのを誰でもお持ちだと思います。

しかし、その憧れの1枚を実現するのにピッタリと言えるような撮影地など、そうそう簡単に巡り合うものではありません。憧れの1枚を今日撮るぞ!という願いは実は現実的ではないのです。憧れは憧れとして「幻想のツーリング風景」として心の奥に密かに抱いておくくらいで丁度良いのかもしれません。

では、どうやったらツーリング写真に適した撮影地を探し当てることができるのでしょうか?ごく当たり前のことですが「ツーリング写真」なのですからツーリングの内容が重要なのはお分かりいただけますよね?まず写真のことだけを第一に考えてしまい、ツーリングの内容を疎かにしていないでしょうか?




もしドキッとされた方はいちど写真の事を忘れて心に響く一期一会のツーリング風景を想像してみてください。それは商業化された観光スポットでもなくSNSで映えスポットとして話題の場所でもありません。ひそかに貴方の事を待っている貴方だけのツーリング風景です。国道から外れて名もない生活道路や広域農道を走りつなぎ、鄙びた街並みや集落などを抜けていけば、やがて静かな自然風景や素朴な人々の暮らしの風景を目撃します。そんな時は先を急がずバイクを停めて少し歩いてみましょう。

きっと出会えるはずですよ。

EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L2 IS

さて今回は<中級>ツーリング写真解説として久しぶりにツーリング写真、バイク写真におけるライダーの自撮りのお話をいってみたいと思います。

「自撮り」というと今風のワードですが、ここではソロツーリングで写真を撮る場合、作品にライダーを登場させたいのであれば自分しかいないので自ずと自撮りになります、という意味の自撮りです。別にソロでなければお友達やパートナーを撮ればライダーの登場するツーリング写真は撮れますし、見知らぬライダーでも許可をもらえればOKですよね。なので一般に言われる今風の「自撮り」とは少しニュアンスが違いますが・・・他に適切な呼び方がないので自撮りと書いてしまいます。




風景の中にバイクだけという写真でも立派なツーリング写真になりますが、ライダーの存在を見る側に予感させるようにヘルメットやグローブなどの小物を使ったりと、それなりの工夫が必要なものです。もし何の配慮もなく風景の中のバイクだけを撮ればバイクのオブジェ化は避けられないでしょう。バイクのオブジェ化はバイク写真(愛車を主役にした記念写真など)の延長のようになってしまい、風景主体の愛車写真という何とも矛盾を作ってしまうものです。見る人によっては主に捨てられたバイクが風景の中に置き去りにされているように見えるかもしれません。ツーリングはライダーの旅なのですから、やはりライダーの存在とは重要だと覚えましょう。

バイクのオブジェ化を回避する確実な方法はライダーの姿を入れてしまう自撮りなのです。三脚が必要となるので少し荷物が増えてしまいますが、自撮り専用という事であれば特別立派な三脚が必要な訳ではありません。ノーブランドの安価な三脚でも自撮りの為だけであれば機能します。「シャッターはどうするの?」というのが最も多く受ける質問なのですが、シャッターは望遠域であればインターバルタイマー機能、広角や標準などカメラが遠くならない場合はカメラとスマホをBluetoothやWifiで接続してリモート撮影します。セルフタイマーでダッシュは不自然になるのでやめましょう。もちろんダッシュしている様子を主題としたユニーク作品という事であればその限りではありませんが。

ライダーが登場するツーリング写真、つまり自撮りをする場合にいくつかのポイントがあります。まず1つめは美しい姿勢を意識すること。猫背になっていたり寒いからと着ぶくれした装備のまま撮ったり、美しい姿勢を意識せず棒立ちだったり…。自撮りは演出ですので割り切って少々大げさなくらいに背筋を伸ばして美しさを意識しましょう。そして撮り始める前に自身が映画監督や演出家になるようなイメージで、主演俳優にどのような演出をさせるのか決めておくことです。あなたの大切な作品に大根役者はいらないですよね??




上の作品の場合は樹里木高原の爽快な道を走りぬき、バイクを停車させて後方の雄大な富士山を振り返って見ているシーン、といった具合です。原則としてその作品の主題となるものにライダーは視線を送っているべきと覚えましょう。

私が愛用しているSHOEI ホーネットADVや、他にもAraiのツアークロスなどバイザーの付いたオフロード系のヘルメットであれば小さく写しても視線がどの方向に向いているのか分かりやすくて良いですね。そうでない場合は主題風景に向かって手をかざしてみるなど工夫を凝らしてみてください。

   まとめ

・ツーリング写真とはライダーの旅なのでライダーの存在が大切

・ライダー無しで撮る場合はバイクのオブジェ化にならないよう小物で工夫

・大根役者にならないよう事前に演出のイメージを固めておく

・美しい姿勢を意識する

・ライダーの視線は作品の主題へ向けること
・セルフタイマーでダッシュはやらない

今回はこの辺で!!

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企業秘密☆どこにも書いていない三分割構図の応用例

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今回は久しぶりに秘密シリーズとして、このブログを見た読者の方以外には他言無用の写真ノウハウをいってみたいと思います。といっても大した内容ではありません。誰でも知っているアレです…「三分割構図」でございます。

三分割構図は写真に限らず絵画や彫刻など多くの芸術分野で使われている比率の基本ですよね。比率は芸術に限らず建築やデザインやロゴなどにも多く使われ黄金比や白銀比(別名大和比)などが存在します。そういった比率の中でオーソドックスに1:1:1を元に画面を縦横に三等分にグリッド線をひいたものが三分割構図なのは皆さま既にご存知ですよね?

少々話が脱線しますが奇数とは不思議な魅力を秘めているもので、3分割構図、3等分、3つ(あるいは5つ)の主役といった具合であれば歓迎されるのですが、これが2等分構図とか主役が2つある写真となると、たちまち美的バランスが崩壊し、特別な意図なくこのような構造の写真を生み出すと駄作に陥るものです。

「いやぁ~三分割構図?今さら勘弁してよ、初心者じゃないし」…という貴方。本当に大丈夫でしょうか???

こんな構図だけが三分割構図の全てだと思っていませんか??




SNSやブログで他の方が撮った多くのツーリング写真、バイク写真を拝見しますが「これは三分割構図を巧みに使った構図だな」とうなるような作品は意外と見かけないものです。これは何故でしょう?

三分割構図は誰でも知っている基礎的なこと故に「もう教わったからできている」という出来てるつもりになってしまうのが落とし穴です。今回は三分割構図の応用的な使い方とその効果などについて、いつも通りツーリング写真の作例で解説してみたいと思いますので、これを機会にもう一度三分割構図の良さを見直してみましょう。

1.線で使う

まずはオーソドックスに三分割線に水平線や建物の境界など線の要素を合わせたやり方です。きっと多くの方が想像する三分割構図の撮り方とはコレではないでしょうか?

三分割構図を意識する際に線などにぴったり精度よく合わせるのが正しいと思い込んでいる人も多いようですが、必ずしもぴったりにする必要はありません。上の作品でも地平線部分が少し線からズレているのがお分かり頂けると思います。

後述する交点でも同様ですが合わせる部分は被写体そのものではなく被写体の魅力的な部分、あるいはボリューム感のある部分などに合わせます。上の作品の場合は左側へ存在する山の線と右側に存在する日向となる部分の境界線を吟味し、これらのボリューム感を総合的にみて感覚的にこの位置で撮っています。

以前も似たような話を書きましたが撮影時に考え込んで精度よくやる必要はありません。自分の感覚を信じて「しっくりくる」三分割でいいのです。写真とは計測するのではなくいつでも自分の感覚を信じることです。

2.交点で使う

これも多くの方が思い描く三分割構図の使い方ではないでしょうか。グリッド線の交わる交点にバイクやライダーといった被写体を置くやり方ですね。

多くのカメラにはファインダー(またはモニター)に三分割グリッド線を表示する機能が付いているものです。ビギナーの方はまずはこの機能を使って三分割構図を交点を使って練習してみましょう。慣れてくるとグリッド線を表示しなくても脳内に描いた「こう撮りたい」という写真イメージの時点で三分割構図が作れるようになります。

上の写真のようにツーリング写真としてはしっかりとバイクの存在を見せる撮り方の場合、交点の位置は安定のでるポイント、重心であろう位置に決めてみましょう。この場合はF650GSダカールのクランクケースに合わせています。これが人物であれば瞳(できれば左目)、山の風景であれば頂だったりします。

3.面で使う

意外と知られていないのがマス単位で使うやり方です。この作例ではフレームカットしたR1200GSを右下の面に合わせてみました。私のストレージを探しても見当たらなかったのですが、このマス面を中央に配置した日の丸三分割構図もお勧めです。後述でこれに似たことをご紹介しますが、ここではあくまで面単位で使う場合の話です。三分割線の中央の面を使えば主題を強調し、作品の意図を明確化できる安定三分割構図が作れると思います。




4.複合させて使う

1から3でご紹介したような使い方を複数あわせて使う方法です。巧妙にこれを完成させるには知恵の輪やルービックキューブを攻略するように、目の前の被写体や情景のあらゆる要素を組み上げては崩してを繰り返して完成させます。

上の作例では船の船体、船のマスト、R1200GSを止めているコンクリの堤防の3辺で線の部分に合わせています。加えてR1200GSの場所は左上の交点にぴったり合わせているのがお分かり頂けると思います。

複合的に魅せる三分割構図の効果は写真を見る側に「おっ三分割構図だな」と気が付かせない、写真の構造を隠した巧妙な構図が完成することです。例えば1.の写真のようにシンプルに地平線と空の境界だと、恐らく見た人の多くが三分割構図であると認識すると思います。

いい写真とは見た人が専門家でない限り、極力は構造を感じさせないのがベターだと思うのです。どのような手法で撮ったか?を連想させるのは重要な作品の意図、主題をボヤけさせてしまうでしょう。複合的に見せるこの方法はあからさま三分割構図を回避できるのです。

5.貫通ポイントで使う

よく写真の「この撮り方はダメですよ」と言われるタブー構図に串刺し構図というのがありますね。バイク関係のSNSなどで見かけるのは道路標識などの前にバイクを停めてパチリと撮った1枚。標識の縦のパイプがバイクのド真ん中を貫いているような写真です。それはさすがにダメですが、一概に貫通や串刺しを敬遠するのもどうかと思います。

上の作例は小舟の船首に舫を固定する杭がありますが、杭はクギ型であるのも手伝ってデザイン上では船に突き刺さっているように見えます。こういった「突き刺さっている感」は印象として強烈です。この刺さっているポイントを利用しない手はない…というのが私の個人的な考えですが。

とにかく突き刺さっていると感じたデザインを発見したら、そのポイントを三分割線の交点に配置してみましょう。

6.日の丸とのハイブリッド

これも複合的な見せ方ですが三分割構図の中に日の丸構図を入れて安定を狙った構図です。左右の木立と横たわるカヤックで三分割線で囲い、主題となるバイク、テント、タープといったキャンプシーンのアイテムを小さく一か所、つまり中央のマス目内に集めました。さらに黄色で囲んだ木を日の丸構図として配置することで、画面の中央へ視線を吸い込む効果を期待したものです。

ちなみにこの構図、いま偉そうに解説に使っていますが実のところ撮影の時点では三分割と日の丸構図のハイブリッドいこう!なんて考えもしないで撮っていました。つまり意識して撮っていません。無意識にこうしたのか、ただの偶然なのかは撮った私でも分かりませんが、私は最近になってこのような無意識と偶然を彷徨う曖昧さに何か惹かれるものを感じます。

おっと…また話がマニアックな方向に飛躍するのでやめておきましょう。マニアックな話はまた別の機会に書きます。




いかがでしたか?誰でも知っている構図の基本、三分割構図ですが私が説明できる応用例だけでもコレだけあるものです。もちろんこの他にも三分割構図の応用はまだまだあると思います。

写真に限ったことではありませんがキャリアを積むうえで、どこかのポイントで基礎を見直すって大事なことですよね。

今回はこの辺で!!!

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秘密の撮り方☆キラキラに輝く海岸シーンとバイク写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、この美しい景色をどうして写真にできないのだろう…と悩んだことはありませんか??どうして見えている通りに写らないのだろう?どうして画像を確認すると、いつもガッカリしちゃうのだろうか?と。

しかしカメラは無機質な機械なので間違いなく目の前の風景を忠実に画像化しています。あなたに意地悪をしようとデータに何か細工をしている訳ではありませんし、逆にあなたを喜ばせようと頑張ってもくれません(i phoneのカメラ機能は気が利いていますが)。

ダイナミックレンジという光の観点での「写せる範囲」という意味では確かに見た通りに写らない場合が多々あります。この問題については私は範囲が限られているからこそ写真は面白いと常々感じるのですが、ここにジレンマを感じている人は多くおられるようです。何しろ人間の目はピント合わせにしろ明るさの調整にしろ実に良くできていますからね。




しかしこういった光の範囲の問題とは別に、うまく写真にできないという悩みは多く存在します。これは私の個人的な考えですが人間の目は心が反応してから見える様子と、心が何も反応していないまま見える様子では全く印象の異なるイメージだからなのではないでしょうか?

異性に例えると分かりやすいです。「あんな彼のどこがいいの?」と友達に言われても、いちど惚れてしまったら太い眉毛も四角い顔も、その人の特徴の何もかもが素敵に見えてしまうものです。せっかく期待して撮ってもガッカリした写真とは彼と出会う以前の赤の他人だった頃の彼といったところでしょうか。

つまり写真が見た通りに撮れない…と言うのは正確に言うと「見て感じた通りに撮れない」なのではないでしょうか?だとしたら「どう感じたか」を自分自身で分析できない限り、永久に望む写真を手に入れるのは難しいのかもしれません。本当なら理屈抜きでpassionだけでシャッター切りたいですよね。私もそうです。しかし実際にはpassionだけでなく時にCoolに分析しなければいけない…この少しだけもどかしい所が写真という芸術なのかもしれません。

EOS6D Mark2 + EF135mmF2

さて、熱く語った前置きがやたらウザいなと思った皆さま、本題の写真解説をしてみたいと思います。上の作品は強烈な逆光の海岸をドラマチックな表現として演出したツーリング写真です。強いコントラストに黄金のキラキラはきっと多くの方にインパクトを与える印象写真ではないでしょうか。

しかしこういった写真をイメージに抱いて、いざツーリング先で同じようなシチュエーションに出会った時、普通にシャッターを切っただけでは冒頭の話と同様にガッカリすること間違いありません。先ほど「ドラマチックな表現として演出した…」と書きましたが、この作品は正真正銘の演出をしていますのでその仕組みを解説いたします。




実際にこの撮影シーンでは空を直視するのも困難なほど強烈な太陽光が降り注いでいました。キラキラ系を実現するには、それくらい強烈に眩しくないと無しえません。露出は評価測光は役に立たないのでマニュアル露出モードに切り替えて、まずはF11辺りに絞り込んで1/1000くらいで試し撮りしてみましょう。そして撮影時間は午後3時頃です… って、ええ?夕方じゃないのか?と驚かれたと思います。夕方ではありません。

実際に夕焼けになるほど陽が落ちてしまうと、光は地表付近の塵や水分に屈折、分散、吸収されて昼間ほど強烈ではなくなります。それでは海面にキラキラのハイライトが豪快には入ってくれないのです。

空を直視できないほど強烈な太陽光は瞼を細めて手をかざし、その上でなお脳内に強烈に入り込んできた光だけが撮影者の心に刺さったはずです。夕方の赤というよりは心に刺さったときの黄金色をイメージしてホワイトバランスを調整したのです。

はぁ~・・・そういうカラクリだったのね~。と複雑な心境の貴方。写真ってこういったシーンに限らず、案外とカラクリだらけなものですよ。ただそのカラクリをどのように使うかは撮影者の人柄や愛に関わっています。インチキな人物ではカラクリをインチキにしか使えませんし、相手に少しでも喜んでもらえる為にプレゼントを丁寧にラッピングし手紙とサプライズまで加える…そんな愛のある人はカラクリを素敵に使えると思います。




そして最後に…こういった撮影裏を聞かされて夢が壊されてしまう…というのもあると思います。せっかく太い眉毛や四角い顔も愛せるほど好きだったのに、それを聞いて100年の恋も冷める瞬間だわ…と。だから皆さまは私が今やっているように撮影裏を公開するなんて愚かな行為はしないでくださいね。

今回はこの辺で!!

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カメラは光を入れる魔法の箱☆この冬、林道で一滴の光を手に入れよ

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、いい写真を撮ってライフワークを充実させていますか?写真をライフワークとして生きていく事って単なる趣味と違って、日々幸福を実感できる素敵なことだと思います。年齢とともに低下している感受性や感性も豊かさを維持できますからね。

究極のツーリング写真の読者の皆さまはきっと写真がお好きな方が多いと思いますが、写真は趣味ではなくライフワークとして楽しんでいきましょう!

先日、ある方に「やっぱり写真は背景が大事だよね」という話をいただきました。ポートレートでも何でもまずは背景選びから、って昔からよく聞きますよね。これってもちろん正しいのですが、今回はもう少し掘り下げて考えてみましょう。




背景と一言で言ってしまうと被写体の背後に存在する遠景や建物などの風景となり、それを写真にしてしまうと極めて平面的なイメージです。究極のツーリング写真の解説ではあまり「背景」という単語を使ってきませんでしたが、被写体以外の部分をなるべく平面的にしないように…という理由で背景という解説はしませんでした。

では背景ではなく何と呼んだらいいでしょう。被写体とそれ以外の全て。と…仮に呼んでみましょう。被写体とそれ以外??どうゆうことでしょうか。

EOS6D Mark2

背景というと遠景や建物や植物といった具合にそれ自体が副題となる被写体(つまりモノ)です。被写体以外の全てと言えば例えば空気や粒子や光、あるいは感情なども被写体以外の全てと言えます。

上の作品は千葉県市原市にある月崎林道という舗装林道で撮った1枚です。冬の午前の太陽光を逆光でとらえるシーンで、木々が鬱蒼としている山中ではたびたびこのような光景に出会うものです。




以前も何度か逆光で撮ってはいけない…は間違いですよ、むしろ逆光こそがドラマチックな作品を演出できる最高のシチュエーションです、という解説をしてきました。

そうです、逆光はいい!言い方を変えれば光に向かって撮るのです。カメラは光を集める不思議な箱だと考えましょう。このように光に向かって臆せずレンズを向けると、不思議なものがたくさん写ります。空気中の水分や粒子に光が反射して、その場所の空気が写真になります。一般に歓迎されないレンズフレアやゴーストといった画質低下の要素ですら作品に花を添えてくれます(出方にもよりますし賛否分かれます)。

背景を意識する…は初心者以前のシロウトさんの基本撮影です。写真をライフワークに生きる究極のツーリング写真の読者の皆さまであれば、背景が…ではなく被写体を包み込む空間と覚えてみましょう。

そしてそれを写真にするには光が必要なのです。カメラという不思議な箱にたくさんの光を入れてやれば空間に存在するあらゆるものを写真にできます。よく聞く空気感とか冷たい、暖かい写真といった類は豊富な光を取り入れた写真が多いです。




イイ光を見つけやすいシーンは木々が鬱蒼とした普段は暗い印象の林道がいいです。光をみつけて積極的に光を取りにいくイメージで次の撮影でやってみてくださいね。

今回はこの辺で!!

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画面の4辺を意識して細部のクオリティを高めたツーリング写真

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、素敵なツーリングライフと写真を楽しまれていますか?写真って一般的にはプロ、アマチュア、趣味といった具合に分類されるかと思いますが、私個人としては趣味より少し先にある【ライフスタイル】という事でいきたいと思います。

お金をもらって仕事で写真を撮っている訳ではありませんのでプロではないですし、趣味というと少し何かが足りない感じです。写真をライフスタイルにしている写真家です。私はこれでいってみようと思います。




ところで日本文化のあらゆるものには「道」がつきますよね。柔道、剣道、書道、華道、茶道、弓道・・・相撲や将棋はなぜ日本文化なのに道がつかないのでしょうね。もし写真も日本の芸術文化として認められ【写真道】という言葉が生まれたら、きっと今の日本の写真文化のようにはならなかったと想像します。信じがたい話ですが国際的にみると日本はカメラ先進国、写真文化後進国と言われるそうですよ。

写真道って言葉、あるといいですね。襟を正してその道に入門する覚悟、決意、…心構えが違うというか。きっと写真道を志す者は己の至らぬ部分をカメラやレンズの性能に頼ったりはしないでしょう。

さて、前置きが長かったですが今回は<中級>ツーリング写真解説として画面の4辺を意識で作品のクオリティを高めるお話をサラっといってみたいと思います。

EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L IS

こちらの作品をご覧ください。先日の東北ツーリングで焼き走りから雫石方面へ向かう高原道路で撮った1枚です。白樺並木(ダケカンバかな…)が美しく朝の光が差し込んで爽やかな道路でした。

この美しい道の雰囲気が気に入ってすぐにここで写真を撮ろうとR1200GSアドベンチャーを停めました。しかしリアルサイドの状況を分析すると本当なら道の両サイドにあってほしい白樺ですが片側しかありません。さて…どう撮りましょうか。

片側にしかない白樺並木を魔法を使って両サイドにすることは出来ません。ここでは今一度、写真家の目を使ってリアルサイドを読み解いてみましょう。まず並木に朝の太陽光が斜めから差し込むことで、道に木の影が縞模様にあります。これに注目してみましょう。




道を主題に構成して白樺並木や紅葉した木々の様子は潔く脇役に徹してもらう作戦でいきましょう。そうと決まればどう魅せるか?自分の撮り方のスキル在庫の中から良さそうな撮り方を検索をかけてみます。

木々の影が縞模様になって道路に写っている、その様子を分かりやすく、つまり強調するには??そうです間隔を圧縮してみましょう。空間を圧縮した場合は望遠レンズを選択します。

道を大胆に切り取る構図を大まかに完成させたら画面の四隅または四辺のチェックでクオリティを高める作業をしてみましょう。

この場合、画面の下の辺に注目です。路面に連続していた光と影の縞模様を影の部分でフィニッシュさせました。それも少し多めに影の面積をとっています。




これは前回も似たような解説をしましたが、写真の観賞者は写真をパッと見た瞬間に画面内で視線を走らせます。その視線を泳がせないために導線や図形などの写真デザインが役立つ訳ですが、この作品の例では底辺を黒で締めることで視線の囲い込みと安定を狙っています。額縁効果にも少し似た効果ですね。

すごく地味なことですけど良作へのカギはこういった細部に宿るものです。

今回はこの辺で!!

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最強の導線【S字曲線】でツーリング写真に視線誘導を作ってみよう

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、だいぶ冷え込んできましたがツーリングに行かれていますか?寒いと朝がしんどいですが、寒い日ならではの美しい景色が待っているので、頑張って早起きしてツーリングに出かけてみましょう。

それと寒いと空冷エンジンの調子もいいですしね。しかし北国では積雪の便りも聞こえてきますので、シーズンアウトの準備も忙しいかと思います。鉄タンクのバイクの人はタンク内が錆びないようガソリンを満タンにして、バッテリーのマイナスケーブルを外して…来年の春まで準備万端に。

以前、10年ほどのキャリアですがスノーボードをしていたので雪国は憧れますが住むのは本当に大変だなと思います。




さて今回は<中級>ツーリング写真解説として写真デザインの1つである【線】について、作例を元に詳細な解説をしてみたいと思います。

EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L

この作品は先日、岩手の安比高原まで走った時に林道で撮った1枚です。砂利ダートの先にバイク+ライダー、そして遠景には紅葉した山といった構成です。使用したレンズはキャノンの大三元の1つEF70-200mmF2.8L ISで焦点距離はテレ端の200mm、望遠レンズの圧縮効果を利用し印象を狙った構図です。

絞りは画面の下側1/3のエリアのボケ具合を調整してF4を選択。この辺は中級者以上の方でしたら説明不要ですよね。バイクの存在感を落とし過ぎないようハザードランプと補助ライトを点灯させてみました。ライダーのポージングは後方を振り返るポーズでミラーに写った美しい紅葉の様子を、バイクを停めて振り返って見るというSTORY性を演出してみました。SHOEIホーネットADVやAraiのツアークロスなどバイザーの付いたオフ系ヘルメットだと、ライダーの視線の方向を強調してくれる効果があります。

写真におけるデザイン要素とは線、色、図形、質感、立体感、規則的なパターン、ディティール、シェイプ、リズミカルな連続、光と影などありますが、中でも印象として効果が大きいのは線と色です。線には直線、曲線、ジグザグ線などがあり写真を見た観賞者が最初に画面内で走らせる視線を誘導する効果があります。中でもS字曲線は最も視線を楽しませる最強の導線効果をもっています。




この作品の場合はこのように画面の角から導線を進入させ、S字曲線の中間に被写体(バイク+ライダー)を通過して遠景にのびていきます。このように線を使った導線効果は画面の四隅角から入れると最も効果が大きくなります。

写真の観賞者は写真をパッと見た瞬間に無意識下に写真内で視線を上下左右と動かし、まずは目で写真を楽しみます。視線誘導は必ず必要という訳ではありませんが、視線を安定させる何かしらの要素が写真中に無いと観賞者の視線は不安定に泳いでしまい「この作品には自分の関心の対象は写っていない」と判断されてしまいます。

では実際の撮影シーンで導線効果を写真に盛り込むにはどうしたら良いでしょうか?最も簡単な見つけ方は道、遠景や空との境界、木や建物といった垂直線です。まずはこういった使えそうな素材を見つけ、意識してアングルを探ってみましょう。肉眼で見た感じではS字を見つけられなくても望遠や広角レンズを使用することでS字が成立する場合もあります。




こういった線や導線といった写真のデザイン要素は重要ではありますが、あくまで写真の骨格というか基礎工事のようなものです。本当に大切なものは撮影者が感動したこと、目撃した事実などを撮影者なりに表現することですが、しっかりした基礎の中にソレが入っていればさらに良作になりえるのではないでしょうか…というのが写真デザインです。

写真デザインにおける線の効果、S字曲線の解説でした。

今回はこの辺で!!

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