絞りをマスターして被写界深度を極めよう

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、承認欲求という言葉をご存じでしょうか?承認欲求とは他者から認めてもらいたい、立派な人、価値ある人であると思われたい…という欲求だそうです。承認欲求は誰にでも潜在している割と根深い人間の欲望なのだそうです。

お金持ちは社会に貢献している立派な人の象徴的なイメージなので、お金持ちに見せかけることで立派な人を装うことができます。だからお金持ちではないのに無理をして高級なものを身に付けたり見栄を張ったりする人は多いものです。最近は見かけなくなりましたがSNSを見ていると高級なレストランや海外旅行の様子をアップしてセレブレーションを気取っている人…いましたよね。あれも承認欲求に支配されてしまった人だと思います。

写真にも承認欲求はあります。上手な写真、すごい写真を撮ることで他者に立派な人だと思われたい。SNSで目立って「いいね」をたくさんもらい、有名グループでシェアされることで注目されたい。こういった欲望を写真で達成しようとする人がいます。承認欲求に支配された人の撮る写真は特徴があります。それはどう撮ったらウケるか?すごい写真で皆を驚かせよう、見栄えの良い「映え被写体」を追求するなど、写真は万人ウケが全てである!となるものです。こうなると誰が撮ったか分からない、みんな似通ったSNS時代の盛り盛りの流行写真、といったら聞こえはいいですが、お世辞にもART的な写真とは言えないものになります。

もちろん承認欲求が悪であると言いたい訳ではありません。私にも承認欲求はしっかりあります。人間は誰かに認めてもらいたいと誰しも思っています。ただ承認欲求をコントロールできず承認欲求に飲まれてしまった人は、永久に万人ウケ写真を追求する羽目になり、やがて疲弊して写真をやめてしまうでしょう

立派な写真を撮って認めてもらいたい、この気持ちは写真ビギナーの最初のモチベーション維持において良く機能しますが、どこかのタイミングで承認欲求と決別すべき日がやってきます。それは早い方が良いですよ…と私は言いたいです。




房総フラワーライン

さて前置きが長かったですが今回は写真ビギナー、または何年もやっているけど上達できない方を対象に絞りのお話をさらっと書いてみたいと思います。

究極のツーリング写真では今まで絞りに関するあらゆる事を解説してきましたが、おさらいの意味で基礎的なことと、絞りの知識を応用するにはどうしたら良いのか?という具体的なことを今までとはアプローチを変えて解説してみます。

絞りとはレンズの中にある穴ポコのことです。穴ポコは大きくしたり小さくしたり調整できるもので大きいとレンズの外の光がたくさんカメラ内に取り込まれ、小さくすると僅かになります。カメラ内に取り込む光の量、つまり露出を調整するのが主たる役割です。一方で露出を調整する仕事はシャッター速度でも可能です。目の前の景色の光をどれだけカメラ内に取り込むのか?は絞りとシャッター速度の両者で話し合って折り合いをつけるものなのですね。

ここまでは大丈夫でしょうか?

写真の明るさ、つまり露出を決めるのはカメラの測光機能(AE)が自動でもやってくれます。だから絞りがいくつでシャッター速度がいくつと撮影者が必ずしも決める必要はありません。テクノロジーの進化は実に有難いです。ただ全てお任せで貴方の個人的なART作品が生まれるでしょうか?答えはNOです。

多くのカメラでAまたはAVとある撮影モードにすることで絞りだけは撮影者が決める「絞り優先モード」を使いこなしてみましょう。F値で表される絞りを撮影者の意図でコントロールすることで表現の幅が一気に広がります。

EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L IS

よし、じゃあ絞り優先モードに挑戦してみよう!となったらまず1つだけ重要な知識をつけておきましょう。それは被写界深度といって少々専門的な単語ですが簡単に言ってしまえばピントの合う範囲という意味です。

絞りを調整することで被写界深度を変えることができます。F値は数値が小さいほどに穴ポコは大きくなり被写界深度は浅くなります。逆にF値の数値が大きくなるほど穴ポコは小さくなって被写界深度は深くなります。

被写界深度が浅ければ手前の物や背景はボヤけ、シャッター速度は早くなります。逆に絞り込んで被写界深度が深くなれば全体にピントが合うような写真となり、光の量が減った分、シャッター速度が遅くなることで補ってくれます。

…と、この辺までは多くの方が既にご存知の知識だと思います。では応用について解説してみましょう。




EOS6D Mark2

じゃ、ツーリング写真でどんな時にどんな絞りにするのだね??ここからが本題です。まず被写界深度を繊細にコントロールしたい場合。前景、バイク、その他の被写体、背景、遠景など奥行方向に複数のレイヤーが存在したとき、どんな風に魅せたいか?と意図を決めた後に絞りを調整します。上の写真では前景がいきなりバイクで背景がコンテナ船、遠景が富士山、その他の被写体が鳶という構成です。こういった構図ができたときに絞りを調整!です。

この作品の場合、魅せたい主役は東京湾にうかぶ冬の富士山(が当初の意図でしたが思わぬ珍客で主役は鳶がもっていきました)、でありバイクは脇役。そこへバイクでやってきたライダーが見ている風景なのだな、という事実が誰の目にも十分に伝わる程度にそれら脇役をボカして、主題をより魅力的に演出しているのです。

一方がボケることで重要な方が浮き立つ。これが絞りを開いたり、ボケ具合や深度の微調整で魅せる基本的な考え方です。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

この作品はテント越しにみた富士山の見えるキャンプサイトです。テント、バイク、ライダー、本栖湖、富士山と大まかに5レイヤーある構図ですが、この場合は近景であるテントや寝袋の様子を十分に伝えたいという意図があるので、絞り込んで近景からピントを合わせました。

絞りを開こうか?それとも絞り込んで調整しようか?

まずは構図として複数レイヤー存在していること、それからそれら近景や遠景をどう魅せたいか?を最初に決めるのですね。どう魅せたいか?そうイメージです。撮る前につくる空想の写真「イメージ写真」がここでも重要なわけですね。

EOS6D Mark2 + SIGMA12-24mmF4.5-5.6DG

もう1つ、重要な知識として被写界深度は望遠の画角ほど狭くなる傾向があります。正しくは望遠で近くの被写体を撮る場合ですね。逆に広角ほど被写界深度は深くなる傾向なので上の作品のような超ワイドレンズを使う場合はボケ具合で表現するのではなく、全体にピントが合った写真(パンフォーカスとも呼びます)で魅せます。

少々高度な話になってしまいますが深い被写界深度が発生するとき、そのピント位置のピークはどの部分にもってくるのか?という問題もあります。ここでは深く触れませんがそういった時にマニュアルフォーカスが活躍するものです。

広角レンズを使用するときや景色に複数レイヤー存在していないシーン、それは絞り値をいくつに設定しても出来あがる写真に大きな違いは出ません。ではそういった時は絞りはいくつに設定するの?という疑問があると思います。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

こんな時ですね。カメラの近くには被写体が何もなくて景色全体を撮る時です。こういったシーンで絞り値をF2.8にしようとF18にしようとシャッター速度が変わっていくだけで出来上がる写真に大きな変化はありません。

こんな時は古くから写真界で言われているセオリー通りで「風景写真はF11」の法則です。詳しくはF8からF11の間が良いと言われます。これはもうレンズという光学製品の特性によるものですが、レンズの前玉などは球面レンズになっていて外周付近はどうしても精度が落ちてしまい、中心付近が良好な特性なのです。F8からF11の間はその一番精度の良い中心をつらぬく絞り値となるので、解像度や収差などが最小限で美しく撮れる絞りである、と言えるのですね。

えっ?もっと絞るのはいけないのか?さらに絞り込むのは例えばレンズの数センチ前にある被写体から遠景までシャープにしたいとか、あるいはシャッター速度の観点でブレを表現したいときなどに、さらに絞るのですが極端な小絞りは回折現象(別名:小絞りボケ)という画質低下を招くので、特に逆光のときは注意が必要となります。




EOS6 mark2 + EF35mmF2 IS

もちろん風景写真はF8からF11が良いと言ってもそれは十分に明るい場所の話です。この作品のように星景写真や夜景写真など、絶対的に暗い場所では少しでも光を多く取り入れたいので迷わず絞りは解放を選びましょう。ただ最近のカメラはISO感度を高感度に設定してもノイズが低いので、これからはF8あたりで撮って露出は高感度で補うのが一般的になるかもしれませんね。星景写真は点光源の集合なので、きっと解放よりもF8あたりで撮った方が光学的な意味では綺麗に撮れるのだと思います。

 ~絞りをマスターして被写界深度を極めよう まとめ~

・絞りを変えることは前景や背景のなどのボケ具合の調整

・ボカすことは作品の意図や主題を浮き立たせて魅せる表現である

・ボケ具合、被写界深度の調整とは構図に複数レイヤーを作ったとき

・望遠レンズほどよくボケて広角レンズはあまりボケない

・風景写真をひいて撮るときはパンフォーカス

・近景や複数レイヤーないシーンではF8からF11の間が美しく撮れる絞り

と…今までと違った感じで解説してみましたが如何でしたか?知識とは持っているだけではほぼ無意味で、実際にそれを実践し失敗と成功を幾度か繰り返さないと「習得」とはならないものです。習得に結び付けることのできなかった知識は恐ろしいことにあっというまに忘れてしまうもの。ぜひ次の撮影で意識して実践してみてくださいね。

今回はこの辺で!!!

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写真ビギナーとベテランの違い☆平凡写真やマンネリの脱し方

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、関東圏以南ではそろそろ春の景色が期待できるようになりましたね。ツーリング先ではもちろん、近所の公園や日常風景でも小さな春を見つけることが出来ると思います。

小さな春…そう、うっかりすると見過ごしてしまうような小さな発見に心が反応できるようにしたいものですね。趣味で写真をやるとなると話題の絶景スポットや満開の桜を撮るものと思われがちですが、日常風景にある小さな存在に心が反応をしめしたとき、それを表現できれば個性ある素敵な写真ができると思います。

よく気が付く目と豊かな感受性を大切に写真活動をしてみましょう。




さて、今回は少し初心に戻って写真ビギナーとベテランの違いと題して、写真を撮るにあたり撮影地でまず何をするのか?ということをハートサイドからアプローチして解説してみます。

よく見かける平凡なツーリング写真

ツーリングに行って写真を撮って帰るけど、いつもこんなフツーの写真ばかりを撮ってしまう。景色がきれいな場所を背景にして愛車をパチリ。その時は「うまくいった」と思えるけど帰って見返すと何か平凡でものたりない。気が付くと自分が撮る写真はいつもこんな感じ…そんなお悩みはありませんか?

写真ビギナー、または何年もやっているのに上達しない人と写真のベテランが撮る写真は一体何が違うのでしょうか?一言で言ってしまえば何もかも違うのですが、それでは薄情なのでヒントのようなものを書いてみたいと思います。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS F11 1/125

この写真は1枚目にご紹介した陳腐な作例のすぐ近くで同じ日に撮影しました。北海道の美瑛の丘です。違いは山ほどあるのですが時間帯を選んで逆光を利用している、1つの被写体(この場合はポプラ)を明確に主題にした、比率や配置などを考慮して構図を組み立てた、ライダーを登場させてツーリングシーンを演出した、ホワイトバランスや露出をイメージに合わせて慎重に選択した・・・まだまだありますが、とにかく撮影者の意図のもと、画面内のすべてに配慮が行きわたっています。

写真ビギナーの方や一般カメラユーザーは景色を前にして、まず目に見える様子をそのまま撮ろうとするものです。




「綺麗な景色なんだからいい写真になるに決まっているではないか」…それ、本当でしょうか???まずこれを考え直してみましょう。

綺麗な景色にカメラを向ければいい写真になるはず、だからカメラに要求するのは「見た通りに撮りたい」とビギナーの方は思うものです。目の前の現実をカメラで記録することで良い写真が生まれる…これ間違いではありませんが、これでは表現ではなく記録です。多くの場合で現実の様子というのはさして美しくはないものなのです。

目に見えるものだけを信じるのをやめて想像の世界で本当に撮りたい写真をイメージしてみましょう。よく写真イメージと言いますがベテランや写真家というのはシャッターを切る前に脳内で作品の完成予想図といえる想像の写真「イメージ写真」をつくるものです。人間が想像する世界は本当に美しいものです。

撮影者がそこで写真を撮ろうと思った理由をひもとき、数ある表現の引き出しから「いまはこれ」とchoiceをし、きっとこんな風に撮れるだろう、こんな風に撮るぞ、という空想の写真です。写真ビギナーの方の多くはこのイメージを作らずに惰性的にシャッターを切っているのが最大の敗因です。

EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L

この作品は空き地に咲いていた花を主題にしたツーリング写真です。場所は北海道ですが話題の撮影スポットでもなければ有名な景勝地でもありません。誰も気にも留めないような雑草の花が咲いている空き地です。

実際にはこのように沢山の花が一面に咲いていた訳ではなく局所的でした。そこで「花がたくさん咲いている場所」というイメージを作ります。実際に咲いているのは局所的なのですから咲いていない場所は画面内に入れたくありません。なおかつ「たくさんの」を表現したいので花同士の密度を上げたいです。となれば画角は望遠を使おう!となりEOS6D Mark2のボディにセットしたレンズはEF70-200mmF2.8という望遠レンズとなりました。

そしてライダー+R1200GSを浮き立たせるように魅せる演出をイメージし、絞りをコントロールして深度をR1200GSの位置とその少し手前にMFでかけてみました。

花の密度を上げたいから望遠レンズを選んだ、主題を浮き立たせるように演出したいから被写界深度をコントロールした、といった具合に「〇〇だから△△した」というイメージからの根拠によって選択する表現手法。そこで景色や被写体の特徴から受けた感情の動きが全ての始まりです。感動せず、イメージを作らず、現実の様子に向けてシャッターを惰性的に切ってしまわないことです。

順をおっていくと1.おっここは良い、ここで撮ろう 2.景色や被写体、その周囲をよく見よう 3.その特徴から貴方はどう感動した?自分の心に聞いてみよう 4.感動したら何がどう感動したのか考えよう 5.それがよく伝わる写真をイメージしよう 6.そのイメージを再現するにはどうしたら良いか考えよう 7.何をしたら良いか分かったら撮影を開始しよう といった具合ですね。写真ビギナーの方が平凡な写真を撮ってしまう時とは1の次にイキナリ7…しかも何をして良いのか分からないのにとりあえず撮ってみる、といった具合だと思います。




EOS6D Mark2

最近は見かけなくなりましたが「見た通りに撮るのが正義である!」と主張されるカメラマンさんもおられます。そういった方にイメージをもとに表現した写真を否定される場合があるかもしれません。これは完全に無視で大丈夫です。写真は見た通りに…を妄信されている方に付ける薬はありませんので、お気の毒ですが寛容に見守ってあげる以外にありません。上の写真は実際の様子よりも、うんと露出をアンダー(暗く)に撮る事で光のある部分を表現しています。撮るときにこういったイメージを脳内に描いて撮るのですね。

不思議なもので人間の想像の世界って美しいのだと思います。むかし好きだった人は記憶の中でも尊く美しい存在ですが、ある時どこかでばったり再会すると、その記憶の中のあの人とあまりにかけ離れた現実にがっかりした経験はありませんか?それは経過した年月で年老いたから…という事実よりももっと大きな原因があって記憶というイメージの中で勝手に自分がその人を美化していたからなのですね。マスクをしていると美人だと思ってしまうのもマスクの下の様子はどうであるか?勝手に美しいものを想像するからだと思います。想像の世界は美しい、だからこそ写真を撮る前のイメージは大切なのですね。

少々ややこしいお話でしたが次回の撮影から少し意識してみてくださいね。

今回はこの辺で!!

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ツーリング写真☆構図とデザインを理解する

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、いい写真、素敵なツーリング写真を撮っていますか?いい写真って人それぞれ違うものですが私が考えるいい写真とは「常に見る側が主観的に決めるものであり撮る側としては永遠のテーマ」と考えます。そしてそれを生み出す時点で「自分がいい写真だと思える一枚であること」といった感じですね。

写真ってよく考えると不思議なものでカメラを使って写真を撮る文化には幾つかの種類があります。大きく3つに分類すると1つ目は一般需要、これは普通の人が記念写真や趣味で撮る写真。2つ目は業務需要、こちらはプロカメラマンが撮る職業写真で雑誌、写真集、カレンダー、ポスター、ブライダル、製品カタログ、広告などなど。そして意外と知られていない3つ目はARTを目指す個人的な表現としての写真。日本ではあまり写真が芸術として認知されていませんが、ARTな写真というのは素晴らしいものです。私はツーリング写真をART写真の領域にもっていくのが夢です。

1つ目の一般需要はほとんどスマホで済んでしまう昨今、カメラが売れない時代になってしまいましたね。ですが「写真が趣味です」というカメラユーザーは決して少ない訳ではなく、多くの方が高級なアマチュア機を購入して写真を楽しまれています。しかし私が個人的に思うのはこうしたユーザーの多くは「一般需要」の枠から出ることができず、普通に写真を撮る人々の枠内で「上手」「綺麗」「すごい」という画一化されたお手本写真を追いかけていると思います。




なかなか普通の人は写真を通してARTを意識するのは難しい、というのもあるかもしれません。フランスやイタリアのように芸術大国な訳ではありませんしね。しかしちょっとしたきっかけでARTに目覚めるのは決して珍しいことではありません。ARTは秩序ある社会システムの中での小さな自治区のような存在です。普段は公園や道路標識にART作品を書いたり、街中の人をスナップ写真で撮ったりすれば、たちまち社会から叩かれますが、いざ世の中がコロナ渦のように窮地に追い込まれると逆に強くなるのがART。ルネサンスでも分かるように最後はARTが強いのです。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2 IS

さて今回は写真の構図、デザインについて簡単なお話を書いてみたいと思います。いい写真を撮るにあたって一番大切なことは何でしょうね?イキナリ深い話ですけど例えば作者が伝えたかった意図がシンプルに伝わるもの、作者なりの美が確かに存在しているもの、あるいは作者の生き様、追いかけているテーマ、社会問題提起など写真活動自体に意味があるドキュメンタリータッチなもの、いろいろあって一概にこれとは言い切れないですね。




よく聞くのが「構図が大事」とか「ピントが完璧」といったものは写真の構造や撮影技術などによる写真クオリティに関わることで、いい写真を実現するための核心ではないと私は感じます。構図、ピント、露出、フレーミング…こういったものはあくまで基礎工事のようなもの。写真を見る人がパっと見た瞬間の印象や安定に関係することですね。確かに大事だけど最重要ではない。極端なことを言ってしまえばクオリティが低くても「いい写真」は成立するのです。

構図とは作品の主題に導くための案内図のような役割で被写体の大きさや位置関係、またはボケ具合や露出なども構図として使われることがあります。デザインとは主に色、線、図形、連続するリズム、立体感、質感、規則的なパターンといった具合に主にデザインの観点となります。とりわけ色と線は写真の観賞者の目を楽しませ印象が強いものとなります。

さて、そんな写真の構造である【構図】と【デザイン】ですが作例をもとに解説してみましょう。上の作品は小湊鉄道の駅で撮影したツーリング写真ですが、桜の木の幹に注目して構図を作りました。この木はうねるような曲線を描いて三方向に枝が分かれています。これを長方形の画面の中心にどっしりと配置させました。デザイン要素では枝の曲線、木の皮にある質感、などがありこれらを意識して撮影しています。

では構図は何?と聞かれるとR1200GS-ADVENTURE+ライダーの位置を三分割構図の右上交点の位置にぴったり配置させたこと、小湊鉄道の車両は小さく構成したこと、絞り込んで深い深度を確保していること、などです。

デザインも構図も魅せるための手段です。魅せるって何を?それが写真の核心であり、作者が表現したい一つのことという事になります。この作品の場合、桜の木にはいい仕事をしてもらいましたが主題はあくまでローカル鉄道の走る郷愁感ある風景です。美しさはどこにあるか?といえば逆光の光で演出した【輝き感】であり、これらは全て後々のレタッチも含めて撮影時に作ったイメージとなります。




EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L

今回は少々ややこしい解説でしたが、ご理解いただきたかったのは構図とデザインの違い、これらは写真の構造に過ぎず大切な核心ではないこと、ということです。

大切なことは撮影者である貴方がその場所で感動したことの表現ですからね。…いつも偉そうにすいません。

今回はこの辺で!!

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写真は考え抜いて工夫を凝らし納得いくまで撮り切る

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、コロナ渦の自粛生活、いかがお過ごしでしょうか?去年の5月、新型コロナウイルスのことがまだよく分かっていなかった時、最初の緊急事態宣言が発令されましたね。あの時は街中も人がまばらで通勤電車も空いていました。私はJR京葉線を使うのですが日曜日なのに東京ディズニーランドのある舞浜駅に人がいなかったのが衝撃的でしたね。社会人になってずっとこの路線を使ってきましたが、あんな光景ははじめてでした。

あまりテレビや新聞では取り沙汰されることはありませんが、去年のあの自粛期間は自然環境には良かったようですね。航空機が減便され工場の稼働も下がり、排出されるCo2や汚染物質が極端に下がったのでしょうか。大気が澄んでいてすごく星空がきれいでした。やっぱり人間の活動と自然破壊は完全には切り離せないのかもしれませんね。

さて、今回のツーリング写真解説では実際の撮影現場ではどんなプロセスで作品をつくるのか?撮影現場で何をしていいか分からない、納得のいく写真が撮れないというビギナーの方向けに書いてみたいと思います。

なお解説に使う作例は前回の構図の解説に使った場所と同じです。

前回の投稿は こちら

左 F9.0  右 F2.0

私の住む千葉県は房総半島。その中でもトップクラスに海が美しい守谷海岸。千葉県とは思えないほどキレイですよね?この場所で撮ったツーリング写真を使って作品のプロセスをご説明します。

まず「ここで写真を撮ろう」と決めたら、そこは何かしら自分が良いと思った特徴のある場所なので、それを明らかにしておきましょう。海が綺麗、空の雲が良い、道に魅力を感じる…といった具合に自分で一つのことを決めます。この写真の場合は海の青さ、海岸の雰囲気ですので高い場所から撮って俯瞰的な風景写真としました。

上の2枚は試し撮りです。まずは試し撮りから色々なことを読み取りましょう。最初に気になったのが堤防のコンクリ壁で、この影がこの写真内でかなり存在の強い分断線を作ることになります。これは配置に注意が必要で1/3または1/5単位といった奇数の比率で配置させます。それでもアクが強すぎると感じたので、後でLightroomで堤防の部分を少しシャドウアップさせることにしました。

次に前景として入れた草地です。冬であることを伝える茶色の草地は左のF9.0だと粗目でうるさく感じてしまい、デザイン上で本題との相性が悪いです。そこでせっかくのキャノンEF35㎜F2ISです。道具の利点はフルに発揮させるべしと解放F2.0で撮ったのが右の写真。粗目だった草地は見事にボケてくれました。これによりデザイン上の問題をクリアしただけでなく、主題となる風景の演出に役立たせることができました。しかし解放を風景で使う時に気を付けないといけないのは周辺光量落ちです。比較すると分かりますがF2.0の方は画面の四隅が暗くなってしまいました。

周辺光量落ちは必ずダメという訳ではありませんが、この写真の場合は無垢の青空があるので気になります。これは後でLightroomで周辺光量補正を入れることにしましょう。




高い場所からのハイアングルを選んだことにより、美しい海の面積を確保することに成功しましたが、砂浜も同時に広く入ってしまいました。青い海が主題なのに砂浜の割合が広すぎます。砂浜には美しい砂紋でもあれば演出として最高のキャストですが、この場合は無数の足跡があるだけで特段魅力的とは言えません。無駄なスペースになってしまいそうです。さあ、どうしましょうか…

ここで私が考えた解決策はライダーの歩く導線で海とバイクを結ぶことです。ライダーが海に向かって歩くことで作品にStory性を加えることができますし、これによって無駄だった砂浜の存在も意味を持つことができます。

左側は堤防の上に立った写真、右側は砂浜を海に向かって歩く様子、砂浜の存在を有効活用したのは後者であるとお分かり頂けるでしょうか?




EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

最終的に採用カットとなったのはこの写真です。インターバルタイマー機能を枚数無制限に設定して撮影しているので、同じ撮影シーンで何枚ものカットがあるのですが波の表情や自然に歩くポーズなどを意識して慎重にセレクトしました。先ほどの写真と違いライダーの向きがこちら側へ向かう方向となりましたが、原則として人物が写る場合は「顔」があった方がベターであると覚えましょう。もちろん背中で魅せる場合やフレームでカットして想像を誘う手法など、意図がある場合はその限りではありません。

Lightroomのレタッチも撮影現場で作ったイメージの通り、周辺光量落ちの補正、堤防のシャドウリフト、それに加えて守谷海岸の青い海のイメージの再現でHSLでアクアの彩度を上げています。

今回の解説でビギナーの皆さまに知ってほしかったことは試し撮りの中から足りないもの、もっと良くできる部分、なんとなく釈然としない違和感を見つけ、自分で考えて解決策へ導く力を持ちましょう…ということです。

そして、少なくとも撮影現場では納得のいくカットが撮れるまでしっかり撮り切ることです。その為には途方もない労力が必要かもしれません。その原動力となるのはいつでも「いい写真が撮りたい」といpassionに他ならないです。




ほんと毎度偉そうな話になってしまい読者の皆さまには失礼なのですが、最終的には自分で考えるしかないということです。いろんなことをネットで調べる便利な時代・・しかし自身で考えて決めるしかないこともたくさんあり、写真もまた然りです。そして正解のないARTなのですから自分の好き、自分の場合はこう、自分独自の好みや考えを自身で把握しないと撮影現場で途方に暮れてしまうものです。

最初は分からなくてOK。その時、納得のいくまで出来なかったとしても考えて苦しんだことが貴方を成長させてくれます。

今回はこの辺で!!

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写真ビギナーはよく見て美的バランスを考えよう

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、もうすぐ1月も終わってしまいますが早いものですね。今年…オリンピックやるのでしょうかね。私の職場の周りには競技場や選手村などオリンピックに関わる新たな施設がたくさんありますが、今は人の気配もなく寂しい限りです。

さて今回はSNSでよく見かける構図があまりにアンバランスな写真。そうならないために写真内において被写体A、Bと2つのものがあったとき、それを画面内でどう配置するのか?という構図のお話をさらっと書いてみたいと思います。

はい、こんな写真です。海岸で撮ったツーリング写真ですが1つ目はR1200GS-ADVENTURE、2つ目は遠景の断崖の風景。これを見て何か変だなと思った方はなかなか良いセンスだと思います。




2つある要素が画面内で右側に寄っているため画面の左側に手薄感が出来てしまいました。写真の画面とは長方形の四角なのですから、特別な意図がなく片側に寄ってしまえばバランスの悪い構図になるのです。もちろん左側も何か理由があって「作った空間」であればOKですが、この場合はどうみても「無駄な空間ができちゃった」としか見えません。

これを解決する方法は簡単です。

2つある要素は右上と左下となるよう配置します。えっ?「バイクを後ろに下げたのか?面倒くさい」って・・・いいえ、違います。バイクは動かしていません。撮影する立ち位置を変えたことで画面内の両者の配置関係を調整しました。

さらに…

海の部分、コンクリの堤防、砂地の地面が三分割構図になるようフレーミングを調整しました。これで画面内の両者の配置関係もきれいに右上と左下で対角になりました。




写真構図はデザインに対するわずかな配慮で平凡な写真が激変するものです。このように被写体の大きさや位置関係を「画面」という長方形の四角の中にどのようなデザイン上の秩序で組み立てていくか?という事を意識してみましょう。

ところでこの撮影地において、この写真でフィニッシュで良いでしょうかね。海岸の雰囲気は十分に伝わってきますが、私はこれでいい写真とはとても思えません。他に何か良い撮り方がないか考えてみました。

先ほどまで写真を撮っていた場所の背後を見ると3~4mほど登れそうな高台がありました。ここは駐車場になっている場所なので入れるかもしれません。次回、この上から撮影した写真で別のツーリング写真解説をいたします。

お楽しみに!!




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壁にあたった時は?写真の楽しさを追求するべし

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、関東圏は少しだけ寒さが和らぎましたが如何お過ごしでしょうか?この冬は降雨量が少なかったのですが今週は雨マークのある予報ですね。水不足が深刻な南房総市には恵みの雨となるといいですね。

ところでコロナが収束してバイクシーズンがきたらロングツーリングに行きたいと思っているのですが、今年は北海道にするか別の場所にするか悩んでおります。特に長崎に行ってみたくて色々と模索中です。北海道はライダーにとって特別な場所ですが行ったことのない地域を旅するのも格別です。長崎、佐賀…できれば鹿児島、熊本まで走って九州地方を楽しみたいですね。その為にはコロナ渦が収束していないといけないのですが…

自分にできることは全てして祈るしかありませんね。




さて今回はツーリング写真の具体的な撮影技法やノウハウではなく、壁にあたったときはどうしようか?というお話をさらっと書いてみたいと思います。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

私は写真歴15年以上を数えますが途中で何度もマンネリを感じたり面白くないからやめようと思ったことがありました。今になって振り返れば小さなことで躓いていたな…と思えます。しかし遠回りは決して無駄ではないのが人生である、と同じように写真道も近道なんてないものです。誰だってうまくいかなくてやめたくなる時があるものです。

いい写真が撮れないからおもしろくない…いや、おもしろくないと感じているからいい写真が撮れないのかもしれません。

上手になりたい、立派な写真が撮りたい、人によく思われる綺麗な写真を、お手本はどこだ?・・・こんな感じで写真をやるのはビギナーの頃は良いですが、何年も経験を積んだベテランがこの調子では面白くなくて当然だと思います。これらは全て【画一化されたいい写真】を追いかける行為にすぎず、個性を表現できないので表現のよろこびを味わうことができないのです。

本当はシャッターを切って目の前の様子が一枚の写真になること自体がすごくエキサイティングで楽しいことなのですが、カメラで写真を撮るという文化は現代ではあまりに当たり前すぎて、ここに新鮮さを感じる人はかなり少数だと思います。




もしこの世界から何もかもが消滅したら何が残るでしょうか?地球上にあるもの全て、宇宙にある星々や粒子や原子なども、みんな消滅したらそこに残るのは【時空】・・・つまり時間と空間ですよね。時空にものが存在しているのがこの世界だとすると、それに向かってシャッターを切れば時空からは時間の流れが取り除かれ、空間は範囲の限られた二次元に切り取られます。その中にものが写っている。これが写真です。

とすると写真に欲しいものはこの世界に自分が存在していた証ではないでしょうか?この時と空間に自分が存在し、自分が見た光景があり、それに意味を持たせて一枚の写真にすればきっと素敵な作品になると思います。

上の写真は小湊鉄道の駅舎で撮った一枚ですが立派な写真を撮ろうなんて気持ちは一切なくて、子供のイタズラのような感覚でカメラで遊んだ写真です。遊んでいる私自身の様子がばっちり写っていて奇妙であり愉快な一枚です。別にこの写真を発表して人にどう思われようと関係ないです。

たまには良いではないですか。写真で遊んだって。何が起こるか分からないし何が写るか分からない…そんな非予定調和の作品も時としてあるものです。




もし写真がつまらない、いい写真が撮れないからやめよう…そんな風に思っている方がおられましたら、騙されたと思ってイタズラ感覚で写真で遊んでみてください。実はそれが貴方らしい個性作になるかもしれませんし、また次もカメラを持って出かけようと思えるはずです。

今回はこの辺で!!

AGFA トイカメラにて

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写真ビギナーの失敗例☆7つの定番ミス

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、突然ですが断捨離はお好きですか?私は今年になってから運気の流れが変わるらしく、環境を変えることで良い方向にいくと聞き、部屋の模様替えやライフスタイルの断捨離をやっております。

ライフスタイルの断捨離とはコレクションやら熱帯魚やら、色々あったのですが中でも古くからやっていたスノーボードを完全引退したことが最も大きなトピックです。90年代からやっていたのでそこそこのキャリアですが、バックカントリーに本格的に挑む訳でもなく、ゲレンデをただ滑るだけの繰り返しに疑問を抱くようになり、そうこうしている間に所帯持ちとなったので経済的に厳しくなって気が付くと7~8シーズンは雪山から足が遠ざかっていました。

何でも本格的にやってしまう自分は道具も立派な物が多かったので、この冬でヤフオクで全て現金化してしまいました。これで部屋の中も少しはさっぱりして、何か素敵なことが起こりそうな予感がしてきました。

さて今回は普段のツーリング写真解説とは少し趣向を変えて、写真ビギナーの方がよくやってしまう失敗写真の事例とその予防策を7つ書いてみようと思います。

1.手ブレしている

撮った画像を拡大表示し微細なブレもないかしっかりチェック!

手ブレは誰もが知っている失敗写真の代表選手ですよね。手ブレが発生する原因は主に2つあってシャッターボタンの押し方が悪い、構え方が悪くカメラホールドが甘い、とった技術的な問題が1つ目。2つ目はそもそもカメラを手持ちで撮影することに無理があるほど、シャッター速度が遅い(暗い場所、または絞り込んだ)場合です。

シャッターボタンは人差し指の第一関節の腹でゆっくり押し込むように押す、カメラホールドは脇をしめて下半身は安定させ、体の軸を意識してその軸を地面と垂直とすること。これを習得すれば技術的なエラーとしての手ブレはかなり少なくなります。

あとはシャッター速度の低下ですがシャッターボタンを半押しした時にカメラが測光してくれた露出値が表示されますよね。あれをしっかり読んでシャッター速度の下限値を意識しましょう。遅いほど手ブレするので自分なりに限界点を把握するのがポイントです。ちなみに私の場合は例えば35mmレンズであればIS(手ブレ補正機能)をONにしても1/30くらいを限度としています。

絞り込んだり暗い場所でカメラを手持ち撮影するときはISO感度を上げるのも解決策のひとつです。表示された露出値を読んでシャッター速度が遅すぎると感じたらISO250、ISO400と感度を少しづつ上げて試すか、欲しい被写界深度と相談して絞りを開きましょう。あと望遠レンズほど手ブレにはシビアであることもお忘れなく。




2.お子様構図

お子様構図とは被写体を画面内に平面的に並べただけの子供のお絵かきのような写真のことです。上の写真ではシンプルな背景はOKですがバイク、テント、チェアが横一線で並んだため奥行き感がなく、加えて等分で並べたので3つの被写体が全て脇役キャストで主役キャストが行方不明になったような構図となりました。

こういった写真はSNSやブログなどで使用する説明的な写真なら何ら問題はありませんが、いい写真を志す人が撮るやり方ではありません。

カメラアングルを工夫するか、それでも解決しない場合は手間を惜しまずバイクを少し動かしてみるとかで手前、真ん中、奥側と複数レイヤーを構築するように構図を作ってみましょう。

EOS6D mark2 + SIGMA35mmF1.4ART F1.4 1/4000 ISO100

この作品の場合、手前に桜の木、その先にR1200GSとライダー、さらにその奥に小湊鉄道の気動車と3レイヤー作っているのがお分かり頂けると思います。

3.余計なものが写っている

これも写真ビギナーさんにとても多い失敗例です。ツーリング写真のような風景写真の場合、海岸に沈む夕日や北海道で見れる虹など、特別なシチュエーションを除いて、現実の様子とはさして美しくもないものです。

その原因たるものは主に電線やガードレール、お店の看板や標識、落ちているゴミや飛んでいるカラスなど。広角レンズを選ぶほど、こういった余計な物は画面内に入りやすいので、どうしても余計なものが…という場合は50mmや85mmあたりの画角を使ってみましょう。

4.どちらが主役か曖昧…

これもSNSなどを見ているとよく見かける撮り方です。被写体Aと被写体Bがあったとき、Aが主役でBが脇役、あるいはその逆であると、写真を見た人すべてが明確に分かるようハッキリと撮りましょう。上の写真の場合は船を魅せたいのか?R1200GSが主役なのか?存在感が等分されて曖昧です。加えて向きも両者が同じ左方向を向いていて美しさに欠けます。

ツーリングに行くとフォトジェニックな何かを見つける場合ってありますよね。宗谷岬にあるような碑だとか、ローカル鉄道とか、お花畑とか… 自分のバイクとそれら被写体の両方を画面内に入れてパチリ。それで満足してしまわないことです。「両方撮れればOK」ではなく「両方を入れたら一方が主役でもう一方は引き立て役」となるよう工夫するのです。

EOS6D mark2 + EF35mmF2 IS

この写真は被写体となる廃船が主役でバイク、ライダーは小さく構図して副題となっているのが分かると思います。えぇ~俺は自分のバイクが大好きだから愛車をカッコよく撮りたいよ!という貴方。バイクが主役で風景や被写体は背景、という写真も別で撮っておきましょう。風景主体のツーリング写真が1つ、愛車が主役のバイク写真が1つで2作品撮ればOKです。ツーリングの風景と愛しい愛車…この二つの想いを1枚の写真にしないことです。




5.串刺し構図

これはたまに見かけますが標識などの支柱、樹木、それから風車発電など、とにかく細長い柱状のものが被写体を射抜いている構図です。写真を見た人に不快感を与える悪夢の構図で他はともかくコレだけは絶対に避けましょう。

特に上の写真のようにど真ん中を射抜いてしまうと最もタチが悪いです。仕方なく避けられない場合はアングルやバイクの位置を調整して1/3単位の位置となるようにしましょう。

重要な被写体には他のものが背景として重ならないよう配慮すること。もちろんダイヤモンド富士のように他の意図があって「重ねた」なら話は別ですが。少し立ち位置を変えるかバイクを動かしてあげれば簡単に解決する問題です。

6.比率が二等分

なぜなのか理由は説明できませんが多くの美術分野において等分とは美しくなく、少しずらした1/3が良しとされています。もちろん写真にもこれは当てはまります。

きっと写真ビギナーの方もご存じだと思いますが画面を3等分のグリッド線で区切った3分割構図は写真の基本であると言いますよね。

あれは本当によく出来ていて、それでいて知られている割に3分割構図を巧みに使った写真というのはあまり見かけないものです。上の写真はR1200GSを置いた位置と割合が2等分の1マスに合ってしまい、水平線の位置は2等分の中央線に合っている2分割構図です。これは最高にダサい構図ですのでこのようにならないよう気を付けましょう。

同じシチュエーションを3分割構図で撮るとこうなります。R1200GSの位置を三分割線の右下の交点に置きました。

3分割構図は縦または横の線に風景の境界を合わせる、線の交点に被写体の位置を置く、3分割のマス目を使って被写体を配置する、これらを複数組み合わせる、など様々なバリエーションがあります。意識してそういった写真を撮っていかないと「習得」にはならず、ただの知識になってしまうので意識して実践してくださいね。




7.無駄なスペースが多い

これは写真ビギナーの方にとっては少々高度なお話になってしまいますが、構図内においてデザイン上機能していない部分は無駄なスペースです。スペースで魅せるやり方というのもありますが「無地のスペースを作った」と「無駄なスペースが出来ちゃった」とは意味合いが天と地ほど違うものです。

上の写真の場合、S字に延びる道と遠景に富士山…そこまでは良いのですが左上のエリアに何も機能していない無地の青空があり、ここは雲で表情があればこれでOKでしたが、快晴のこの場合はアングルを調整して空の割合をもう少し削った方がベターです。

この写真の場合、大胆に斜めに構図した写真なのですが傾ける方向を逆にして空の割合を減らして道の割合を増やしました。これはやり方の一例に過ぎず他にも画角を望遠よりにしてみるとか、登れるような場所があれば高い位置から撮ってみるとか、解決策は状況をみて考えてみましょう。

・・・まとめ

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS 意図的にスペースを作った魅せ方

いかがでしたか?写真ビギナーの方がつい撮ってしまう失敗写真7つの作例集でした。手ブレ、ピンボケ、余計な物が写っている…これらはそもそもチェックが甘いのも原因の1つです。その昔、カメラがフィルムしかなかった時代は撮影現場で撮った写真にミスがないか確認する手段はありませんでした。しかしデジタルカメラが主流の現代では全てのデジタルカメラにはその場で撮った写真を表示する機能があるのです。ただパッと見るのではなく品質検査のように粗を探してチェックしましょう。特に写真ビギナーの方は入念に拡大表示してチェックする必要があります。

細かな部分への配慮が良作への道です。雑にならないよう丁寧に撮る気持ちが大切。

いやぁ~めんどくさくて、ついね…という人は、そもそも良い写真が撮りたい!というpassionが無いです。山登りに例えるなら「登るのは疲れそうで嫌だけど頂上からの景色は見たい」という我儘な願望です。険しい道を制して山頂から眺める景色はどんなに素晴らしい世界だろう…そう想像を馳せる人が強いpassionを持ち山登りに成功するのですよね。めんどくさいけど良い写真は撮りたい…では残念ながら憧れの良い写真は永遠に叶わないです。

まずは今一度、襟を正して丁寧に撮る!を心がけましょう。

今回はこの辺で!!

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今さら聞けない写真のイロハ コントラストって何?

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、写真を楽しまれていますか?写真は現代となっては誰もが撮る当たり前の文化ですが、ただの記録写真ではなくぜひARTを意識して楽しまれてください。自分が芸術家の一員になった気持ちでやるとそれだけで違った作品が撮れるかもしれませんよ。

そう作品・・・ただの写真ではなく作品です。どんなに稚拙だなと感じても自分がARTを意識して一生懸命に撮ったものなられっきとした作品です。なぜなら貴方の見た一瞬のツーリング風景…それを切り取った写真とは記憶風景と重なり人生の財産へと昇華するからです。…いつか人生を振り返る時がきたとき、一枚の写真からバイク旅で見た一期一会の風景に深い想いを馳せるでしょう。

【あの日あの時、写真を撮ったからこそ記憶に焼き付くツーリング風景】私はいつもこんな言葉を大切に写真活動をしています。忘れちゃったら寂しいですものね。

さて今回は写真ビギナー向けに写真の基礎的なこととしてコントラストについて書いてみたいと思います。コントラストと聞くと誰でも一度は聞いたことのある単語だと思います。写真にはいろいろな用語がありますが例えばラチチュードとか回折現象とか難しいのがいっぱいあります。

でもコントラストなら…ご存じですよね??

コントラストって何???

EOS6D Mark2

なに?知らない?・・・大丈夫です、そんな貴方は今回の究極のツーリング写真で覚えちゃいましょう。コントラストとは「コントラストのある写真」などよく言われますが、一般的に写真内で明るい部分と暗い部分の差が大きいことをいいます。

差が大きいことによってメリハリがあり見る人に印象を与える心理的な効果があります。これは明るさに限ったことではなく、鮮やかなものと無彩なもの、派手なものと地味なもの、大型バイクと原付バイク、雄大な大地にぽつねんと一つの人影…とか。これらもコントラストとして印象効果があります。

背の大きい人と小さい人が2人一緒になっていると印象的ですよね。むかし仕事で取引先と待ち合わせをしていた時にこんな出来事がありました。そのお相手はけっこうな大きい会社なのにやってきたのは社長さんと一般社員さんの2人だったのです。普通は直属の上司を連れてきますよね。あるいは重要な取引なら役員と部長クラスとか。このギャップがとても印象的だったので今でもよく覚えています。




コントラストとは別の言い方をするとギャップが激しいことです。闇と光があるからこそ感動を受ける心理です。その昔、北海道ツーリングで冷たい雨に長時間打たれながら走り続け心折れそうになったとき、夕方になって突然晴れて美しい夕陽が現れました。黄金に輝く空が路面の水たまりに反射して、その美しさが心にしみわたり涙が出そうな想いをしたものです。もし雨に打たれて走ってきた経緯がなければ、それほど大きく感動はしなかったかもしれませんね。

EOS6D Mark2

言葉の使い方にもコントラストのようにギャップを利用した方法があります。例えば異性に好意を告白するとき「あなたのことが好きです」と言うよりも「嫌いになれればよいのに好きという気持ちが打ち勝ってしまう」と伝えた方が相手の心に強く響きます。「嫌い」と「好き」の相反する両者が一文に入ったことでギャップ(コントラスト)が生まれたのですね。

このように人は心理的にギャップを受けた時に強い印象を受けるものなのですね。一枚目の写真は強い逆光を受けての夕日のシーンですが、この写真に何か感想をつけるのであれば…そう「ドラマチック」ですよね。ゴールデン洋画劇場のエンディングみたい、という感想の方も多くおられますが、多くの方がそう感じるのであればゴールデン洋画劇場といえばこのシーン、と皆に強く印象に残されているという事ですね。

写真を見る人に印象を与えたいときに有効な「コントラストのある写真」。ではそういった写真を撮るにはどうしたら良いのでしょうか?

EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L

この3枚の写真をみて勘の良い人は既にお気づきかと思いますが・・・そうです逆光で撮るのです。明るいところと暗いところ、写真用語ではハイライトとシャドウと言うのでこのワードは是非覚えてください。ハイライトとシャドウによる写真への演出、それを得るには太陽光の存在が欠かせません。

ツーリング写真は基本構造は風景写真です。コントラストのある風景写真を撮るには晴天時、しっかり太陽光が出ているとき、順光(太陽を背にした)を避けて逆光、斜光で撮ればコントラストは得られます。




EOS6D mark2 + EF35mmF2 IS

またはこの作品のように被写体などの影になっている部分を使う事でコントラストを得ることができます。太陽の向きと被写体の位置関係を意識すれば、このような写真はそれほど難しいものではありません。

逆光などの強い太陽光、あるいは日陰と日向の両方に向かって果敢にレンズを向けて撮るのですから、カメラの評価測光(AE)はイメージ通りに機能しない場合が多いです。その場合はイメージに合わせてしっかり露出補正を行いましょう。

コントラストのあるツーリング写真を撮る場合のポイント

ハイライトとシャドウ、この両者で演出するツーリング写真。以前に究極のツーリング写真ではカメラには写せる明るさの範囲があり、それをダイナミックレンジと呼びます、そしてその範囲には限りがあるものです・・・という解説をしました。

強烈な逆光ではハイライトかシャドウ側のどちらか一方(あるいは両方)はダイナミックレンジの範囲を超えて写せない(データでは0:真っ黒、255:真っ白)状況が発生しやすいです。黒ツブレ、白トビなどと呼びます。原則としてこういった現象が発生しないよう構図と露出をコントロールする必要があるのですが、これはビギナーの方には少々難しいので知識の片隅に置いておいてください。

簡単なポイントとしては画面内においてシャドウ部とハイライト部で構図にアンバランスがないか意識することです。上の倒れた漁船の作品を見て頂ければ分かりますが、シャドウ1:ハイライト2の比率で3分割されています。これが1:1だったり位置関係に秩序がなかったりすると、高コントラストの写真は例え露出補正しても、いとも簡単に失敗写真となります。

コントラストは必ず必要なの?

EOS6D Mark2 + SIGMA12-24mmF5.6-6.3DG

一般的に写真にコントラストはあった方が良いと言われますが、自由表現が許されたARTの世界なのですから絶対ではありません。そもそも天気が悪く曇天や雨天だったらコントラストのある写真が撮れません。

上の写真は低コントラストの作品で天気は曇天です。色付いたイチョウの様子を表現するのに作ったイメージはふんわりと柔らかさのある写真です。このように低コントラストで表現する写真の多くは力強さと相反する「やさしい」「やわらかい」という女性的な印象の写真です。

低コントラストの写真をイメージした場合、露出設定でハイキー(全体が明るめ)とし、レタッチでは明瞭度を下げてフォギーな仕上げにしてみましょう。




EOS6D Mark2 + SIGMA12-24mmF5.6-6.3DG

コントラストが低ければ「フラットな写真」などとも言いますが、ただフラットなだけでは印象が薄い写真になってしまいます。見る人に伝えるための演出の1つとしてフラットな場合は露出や色、明瞭度などを調整して表現しましょう。上の作品の場合は緑の仕上げ具合とホワイトバランスを慎重に調整した表現です。高コントラストもフラットもその景色、その被写体にぴったりな表現はどれであるか?を作者なりに考えて選択するのですね。

いかがでしたか?知っているようで知らない…写真のコントラスト。辞書で調べると並置されているものごと、近縁のものごとが大きく異なっていること。色、トーン、形などの差異。とあります。

私はよく裏磐梯にツーリングに行くのですが、ゴールドライン、レイクライン、白布峠とワインディングを堪能し、その興奮が冷めぬ直後に諸橋近代美術館でART鑑賞をするのが大好きです。バイクを降りた直後のドーパミン、アドレナリン分泌状態で静まり返った美術館でエンドルフィン、セロトニンを分泌し快楽の報酬物質の悦にひたるのです。同じことを箱根でもやったことがあります。芦ノ湖スカイライン、伊豆スカイラン、ターンパイクなどを走ってポーラ美術館に行くのです。このギャップが最高の快楽ですのでぜひ皆さまも試してみてください。

写真におけるコントラストのお話でした!!

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ツーリング写真 写真ビギナー向け構図のヒント

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、コロナ渦の日常を如何お過ごしでしょうか?仕方ないことですが今年のモーターサイクルショーも開催中止となってしまいましたね。せっかく盛況なバイク業界ですが「見て触れて」がコンセプトの同展示会なので安易に物に触れることのできないコロナ渦では止む得ませんね。

ところでカワサキがメグロブランドを復活させてメグロK3なるニューモデルを出しましたね。私のような年代のライダーにはかなり響くバイクです。

見たところ従来からあった人気モデルW800と同じバイクに見えます。簡単に調べてみましたがメグロK3とW800の相違点はタンクのペイントやメッキが特別仕様であること、往年の七宝焼きエンブレムをアルミ型押しで再現したところ、そしてアップハンドルなことでしょうか。あとはシートの表皮やメーター文字盤など主に意匠に関わる部分ですね。

このアップハンドルはかつて仕事で何度か乗ったことのあるW800のアップハンドル仕様(W800ストリート?)とよく似ています。バイクとは不思議なものでハンドルの高さひとつで乗っているときの景色が激変するものです。スポーティーなセパレートハンドルは道を中心に見る視点、アップハンドルは景色を見る視点、ローライダーにエイプハンガーなら空を見上げるような視点。ハーレーがプルバックやドラッグバーなど様々なハンドルを用意しているのはカッコ良さの他にライダーに見てほしい景色を意識しているのかもしれませんね。

ともあれメグロK3、バイク旅が似合う素敵なニューモデルですね。もしこれに乗ったら排気量を聞いてくる高齢紳士との会話もはずむことでしょう。「昔はメグロや陸王がのう~」「えっ、おじさん何をおっしゃいますか!メグロと言ったら最新バイクですよ!」と。




EOS6D Mark2 + EF35mmF2 IS

さて今回はツーリング写真の構図のヒントとして、ビギナー向けに簡単な内容を書いてみたいと思います。

上の写真は毎度、私のホームである南房総の漁港です。漁港には海、漁船だけでなく杭、ロープ、浮き、錆びたドラム缶など様々な物が存在します。構図を整理するのが難しい反面、トレーニングには最適ともいえます。

ここでは最初に空の表情が爽やかだったので少々引いたフレーミングで場所の雰囲気を優先してみました。よく「被写体にぐっと寄るのが基本」などと言われますが逆に少し引くことで「そこに存在していた」「その場所の雰囲気」が表現されるので覚えておきましょう。

しかし、この撮り方だと何か釈然としません。どうやら最初のイメージで空に注目したのが良くなかったようです。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2 IS

そこで2mほど前進して赤い舫綱に寄ってみました。いつも同じようなことを書いてしまいますが、イメージを作る際に風景や被写体をよくみて特長をとらえ、それが心の反応とどう関係するのかを考えてみましょう。

この撮影場所の場合、舫綱が赤色であることがユニークな特徴の1つです。赤とは特別な色で人に強い注意意識を持たせる力のある色です。これに寄って前景とすることで作品の舞台に屋台骨として支える構造を作りました。




よし、これだな!と納得できた瞬間、不思議なことに雲に隠れたいた太陽も出てきて、風景に適度なコントラストが入ってくれました。

15年以上もツーリング写真をやっていますが、いまでも撮影場所に着いた直後はどう撮っていいのか分からないものです。よく見てよく感じ取り、好きなものユニークだと感じたもの、あるいは「もの」ではなく「こと」に意識してみたり、光や影、空気などを見極めたりすると少しずつヒントが見えてきます。まずは写真家眼とハートサイドで景色から感動を受け取ります。そして表現の引き出しからsearchしてchoice。ベストなアングルは足で試行錯誤です。

今回は構図を作るためのプロセスとしてのほんの一例にすぎませんが、ビギナーの皆さんも良く見て試行錯誤をしてみてくださいね。きっといつかその写真に理由が持てるようになります。




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分かりやすい☆ツーリング写真 撮影現場でのプロセス

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、一都三県で緊急事態宣言が発令されていますが如何な日常を過ごされていますか?こんな時は新型コロナウイルスに対する感染予防はもちろんのこと、風邪や胃腸の調子、ストレスなどにも気を遣って健康に過ごすことを忘れてはいけませんね。

つい先日、とあるSNSで久しぶりに派手にレタッチした画像を見かけました。それを受けて「日本じゃないみたい」「どうやったらこんなに鮮やかな写真が!」という称賛のコメントもある一方で「こんなに彩度を上げたらもはや写真ではない」といったネガなコメントも見受けられました。

ほんの数年前まで特にSNS上でよく見かけた過度なレタッチ画像。ネオンブルーの空に蛍光グリーンの木々。どこにも階調や影がなくて良く見ると人の顔が宇宙人のような蒼白さ。パッと見ると確かに鮮やかで印象は悪くありませんがパソコンなどの大きな画面で見ると少々気色悪い…。

こういった過度のレタッチを現在でもやっておられる方はそれなりの信念があってやっていると存じますが、写真の権威から冷ややかな反応を受けるのは避けることができませんね。もはや「写真」から乖離して、そろそろ別のARTを宣言すべき時代だと思います。でないと見る方も混乱しますので。

さて、前置きが長かったですが今回は<初級>ツーリング写真解説として、いつもと趣向を変えて実際の撮影現場において試し撮りのプロセスから作例で解説してみたいと思います。

私の地元である千葉県は房総半島。その最南に近い館山市の周辺をツーリングしていた時のことです。海上自衛隊館山航空基地に2機のヘリコプターが役目を終えて眠りについていました。幼いころ家族でここにやってきて間近でヘリコプターを見て興奮したのを覚えています。もしかしてこのヘリコプターはあの時、私が見た機体なのかもしれません。そう思うと何だか特別な感情がこみあげてきました。

この様子がすっかり気に入った私はこの場所でツーリング写真を撮影することにしました。しかし鉄道や今回のようなヘリコプターなど、特定の被写体と組み合わせたツーリング写真は構図をしっかり練らないと「それがどうした写真」に容易に陥るので注意が必要です。

まずは望遠ズームレンズを使用して被写体の特徴を使って遊んでみました。コクピットのノーズ部分をR1200GS-ADVENTUREのクチバシの間に合わせてパチリ。実はヘリコプターの置いてある場所までフェンスがあるのですが、この絞りだとフェンスが完全に消えてくれません。これはこれで面白い写真かもしれませんが…到底フィニュッシュには至りません。まあ準備体操のようなものですね。




もう一度よく状況を見てみましょう。R1200GS-ADVENTUREとヘリコプターまでの距離は25mくらい。すぐ手前にフェンス。遠景に山と建物。太陽光は冬のトップライト。後ろに下がるスペースは15mくらいありますが、さらに下がりたい場合は堤防に登るので少々ハイポジションになります。

横構図にしてバイクの割合を増やし深度は先ほどと大きく変わらず。…これでは何か釈然としません。どうしましょうか?

バイクの向きを変えカメラポジションを調整しヘリコプターの機体を3分割線(横線)の上へ合わせ、R1200GS-ADVENTUREを3分割線(縦線)の右へ合わせてみました。水平をヘリコプターに合わせたらフェンスの支柱の垂直が出ませんが、ひとまずこれで本番を撮ってみましょう。

あれれっ?!何か変だな。ぜんぜんセッティングした構図とズレた写真が出来上がりました。ライダーの顔が切れていることより、意図して作った3分割がまるごと上にズレたことの方がダメージが大きいです。一体何が起きたのでしょう?




原因はこれです。カメラをセットした場所は岩を積み上げた堤防なのですが、構図を決めている時に自分の体重で岩が少し傾いていたのです。タイマーをセットしてこの場を離れたときに岩が動いてカメラの位置もずれたのですね。

気を取り直して岩が動かないよう構図を決めてから撮影してみました。・・・どうでしょう。やっぱり納得のいく一枚になりません。イメージはこの場所で出会った被写体との理想的な共演ですが叶わないとなれば「設計」つまりイメージがすでに良くないのかもしれません。

試しにピント位置をヘリコプターではなくR1200GS-ADVENTUREの方にしてみました。この場合、画面の左側に手薄感がでたのでライダーの立ち位置を左にして補ってみました。R1200GSの位置にピントを合わせたことでフェンスにも合焦してしまい、垂直が出せない支柱の存在も気になるようになりました。

やっぱり最初のイメージが良くないようです。そもそもこの構想では納得の一枚にはならないと判明しました。そこでもう一度被写体をよく見て最初からイメージを作り直してみましょう。

赤白オレンジの機体、部品が外されて放置されている様子、機体に書かれた海上自衛隊の文字、日の丸と66の数字…




EOS6D Mark2

日の丸マークと66の数字を主軸に三分割構図を作ってみました。ぐっと引き寄せることで部品が外されてパレットに乗せられた様子が明らかになり、「もう飛べない」という表現ができました。ここまで切ってしまうとヘリコプターなのか何なのか少々分かりにくいですが、少なくとも航空機っぽさは残っているので大丈夫かと思います。

バイクやヘルメットの各所に入ったハイライトは玉ボケとして演出に一役買っています。フェンスは完全には消えませんでしたが、十分に存在感を落とすことが出来たので見ようによっては1つのパターンとして捉えることができます。縦構図で画角を切り詰めたので気になっていたフェンスの支柱も画面外です。

いかがでしたか?当初はヘリコプターを見つけたことで「ヘリコプターと撮るぞ」という見つけた事実に引っ張られていましたが、写真家眼で被写体を見極めてハートサイドで表現のヒントを探し、持てる引き出しから適切な方法をsearchする。その結果、今回の答えは「ヘリコプターと撮るぞ」→「飛べなくなったヘリコプターに出会った」となりました。Story性があるのは断然後者なのはお分かりいただけますよね?

日の丸と66に注目して構図を作ったのはあくまで写真の構造です。引き寄せたことでヘリコプターがここで眠る様子が伝わったことの方が写真としての効果は大きいです。

今回はちょっといつもと変わった視点で解説してみました。自分には難しいかも…と思った貴方、大切なことは納得のいくまで撮り切ることです。悩み考え、被写体をよく見て粘ってみましょう。結果、いい写真にならなかったとしても、そのプロセスが貴方を成長させてくれますよ!

今回はこの辺で!

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