モトグッチV7インプレッション MotoguzziV7specialインプレ

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さて、本ブログの更新にだいぶ間があいてしまいました。最近はYoutubeチャンネル【風の時代のバイクライフ】がお陰様で順調に成長しておりまして、動画の作成に時間を使っております。

脱サラができれば毎日のようにバイクに乗り、写真を撮り、彼の地へ旅をし、動画制作してブログを更新して、ライダーとして旅人として、写真家として発信者として、日々の時間を過ごしたいものです。

いや、その日が一日でも早く来るように「今」できることをやっていきます。




さて、今回は最近何かと話題となるモトグッチについて。この秋に2022年モデルのモトグッチV7specialを購入したのですが、だいぶ扱いに慣れてきて、なぞのイタリアンバイクの素性も見え始めたのでインプレッションを書いてみたいと思います。

2022’Motoguzzi V7special フォーマルブルー

あらためて自己紹介させていただきます。

私は今年でバイク歴34年目になりますが、10代の頃からカウントしてVFR400R、セロー225、スーパーシェルパ、ジェベル250GPS、F650GSダカール、R1200GS、マジェスティ250、R1200GS‐ADVENTUREと乗り継いできました。

約10年ほど前まではバイク用品メーカーで開発社員をやっており、ツーリングバッグやミラーなどを手掛け、その際に車両メーカーから新型車を色々と借りて調査や撮影などをしていたものです。

ということで…一応は元バイク業界人であり、そしてツーリングをこよなく愛する孤独なライダーであります。ツーリングは北は北海道の礼文島、南は沖縄県の石垣島まで日本列島の8割は走りつないだかな…と思えるツーリングの経験があります。

特に北海道は13回ほど経験していてBMWのGSで林道を楽しみながらキャンプ装備でロングツーリングを楽しんできました。何歳になっても飽きることなくバイクを乗り続けていて、気が付くと旅先で出会った写真を撮り続けた結果として現在は写真家となりました。

さてモトグッチのお話です。

R1200GSを15年、F650GSダカールから数えて20年もBMWのGS系で楽しんできた私が、ここにきてオフロードを捨てネオクラシック系のバイクに食指が向いたのは?エンジンという燃料で走る機関の時代が末期をむかえ、いまエンジンを楽しめるバイクは何だろう…とふと考えた瞬間に、偶然にも目に入ってきたバイクがV7specialだったのです。

実はずっと以前よりOHVヘッドの古いBMW、名車R100RSに憧れを抱いていたのですが、近年になって中古の相場が高騰してしまい、なかなか具体的に検討できない状況ではありました。そこでV7specialを見た瞬間、これなら今まで愛してきた空冷ツイン、縦置きエンジン、シャフトドライブといった機構は同じだし、クラシカルで純粋にバイクを楽しめる良いバイクなのでは?と思いました。




悩むこと数か月。今まで手元にあった2008’R1200GSと2013’R1200GS‐ADVENTUREの2台のうち、ADVENTUREの方を手放してモトグッチV7specialを購入することを決断しました。

決め手となったポイントは次の通り。2021年にモトグッチは創立100周年をむかえ、その節目として主力商品であるV7をフルモデルチェンジ、従来の750㏄からアドベンチャーバイクであるV85TTやV9シリーズなどに搭載されている850㏄エンジンへスープアップ。その他、フレームやサスペンション、タイヤサイズなども変わり現代のV7へと生まれ変わった【ブランニュー】であること。フォーマルブルーの車体に各所のメッキパーツがこれからバイク人生の後半戦に突入する自分の琴線に触れた…といったところ。

購入は県内にも正規ディーラー(ベスパ&モトグッチ 会社は今までお世話になったBMWディーラーと同じ会社)があったのですが、故障などのトラブルが不安でロードサービスに定評のあるレッドバロンで購入しました。

正直、手広くやっている大手には良い印象は無かったのですが、先入観は良くないですし何より店舗が近所にある、モトグッチの新車販売に注力している、全国の店舗でサービスが受けられる、そして最大の魅力は先ほども書きましたが全国無料のロードサービス。

今時は自動車保険にロードサービスは付帯するけど、運ぶ先となる工場がなければ意味がありません。モトグッチなんてその辺のバイク屋さんが見てくれる訳もなく、遠くまで旅をしている時にトラブルに見舞われて途方に暮れるのは避けたいものです。

以前に北海道の稚内のキャンプ場でバイクが故障してレッドバロン稚内に運んで修理してもらっているライダーを見かけ、レッドバロンで買うとこんな素晴らしいメリットがあるのか・・・と感じたものです。

ちなみにレッドバロン稚内にはライダー向けの宿泊施設や洗車場まであるそうです。

メッキリングのシンプルな二眼メーター オドメーター3キロ!

で、レッドバロンですが店員さんも懇切丁寧で納車までの流れの中では何も不満を感じる点はありませんでした。オイルをまとめ買いする【エンジンオイルリザーブシステム】はオイル交換くらい自分でやる派なので、当初はお断りしようと思いましたが、オイル単価があまりに安いので加入して日帰りツーリングの帰りに店舗に立ち寄って交換してもらうというのも悪くない、と思い加入しました。

乗ってみた感じはネット上の噂などと全く違い、クセはなく極めて乗りやすいフレンドリーなヤツ!という第一印象でした。ま、空冷ツイン、輸入車、縦置きでシャフト駆動・・・といった部分は15年の付き合いであるR1200GSとの共通項なので、違和感なくて当たり前ですが。

車格は大型バイクとしてはコンパクトでR1200GSに慣れた私にとっては小さいバイクです。重量は特別重いワケではなく、かといってR1200GSのように見た目を裏切る軽さもありません。




足つきは身長179㎝ 体重74キロの私が乗ると両足のかかとまでベッタリ着いて、膝も適度に曲がる余裕さ。視点はR1200GS(特にアドベンチャー)と比べると、一気に標高の低い風景となります。

意外だったのはシートが秀逸でシモンズ製か?と思うほどフッカフカのソファーみたいなシート。快適なのは容易に想像できるのですが、意外と長時間で疲れるか、あるいは操作性に悪影響があるのでは?と思いましたが、長距離もワインディング楽しみましたが見た目の良さも含めて100点満点のシートです。

850㏄のVツインエンジンは縦置きで空冷という意味でR1200GSとよく似ていますが、BMWが4バルブのDOHC(中期以前はシングルカム)に対してモトグッチV7は2バルブのOHV。ヘッドがBMWは先進的でモトグッチは伝統的。この相対関係はエンジンに限らずサスペンション、フレーム、ブレーキ、デザインまで全体に言えることです。

そもそもV型と水平対向は単純に両バンクの角度の違いではなく、ピストンがコンロッドを介してクランクのどのポイントを掴んでいるのか?で大きな違いがあります。

水平対向は180度違う異なるポイントを、対してV型は両者が手と手を取り合うように同じポイントを掴んでいます。もしV型を水平にしただけであれば、そのエンジンは180度V型と呼び、非常に珍しいのですが代表的なのはフェラーリのV12がそれです。

で、話が飛躍しましたが実際に走らせるとR1200GSは低回転からドスドスドス…と鼓動を打ち、回転を上げるごとにドドドド…ブィーンとなりエンジンの存在は影を潜めていきます。V7specialのV型は低回転はドルドルドル…回転をあげるごとにウィーンという独特のモーター音のようなうなりを上げますが、エンジンの存在が影を潜めるのはR1200GSのそれよりずっと高回転であり、高速道路を80キロ以上で走る場面。つまり下道を走っている限りは、いつもエンジンの鼓動が楽しめるのです。

850㏄世代となってストロークアップし逞しくなったリアサスペンションは日本のKYB製。といってもR1200GSをずっと乗ってきた私にとって、この進化を評価する基準は持ち合わせていません。何しろR1200GSはツーリング用として考えれば世界で最も優れた足だと私は思っています。先進的なアドベンチャーバイクと伝統的なネオクラシック、というジャンル違いなのですから比較するものではありません。そもそも二本サスですしね。

おそらく先代のV7から乗り換えた人にとっては素晴らしいサスペンションだと感じるはずです。私の感覚だと舗装の荒れた林道などでペースを上げると、連続するギャップを吸収しきれず上半身に強いシェイクを食らい、その不快感でペースダウンを余儀なくされます。しかし、それは飛ばしすぎの自分を気付かせてくれる気の利いた一面であると寛容的にとらえることが出来るのもV7specialの魅力。

これはサスペンションに限らずスピード感も同じ。V7specialはゆっくり走っても楽しいバイク。R1200GSもゆっくりでも楽しい…と思って乗っているのですが、ふとメーターを見ると結構なスピードが出てしまっているのです。一方でV7specialに乗っていると、今日はやけに周りの車がトバしているなぁ、と思ってメーターを見ると自分がゆっくりであることに気が付くのです。

といっても決してのろまなバイクではありません。意識してバイクらしく加速すれば本性が見えます。

最も意外な一面だったのは高速道路でアクセルをワイドオープンにしたときに強烈な加速力。

見た目の印象を見事に裏切る「力持ち」です。もちろん普段、普通に走らせている時も特に3000から4000回転あたりで非常にトルクが太く、グイグイと車体を前にすすめてくれます。そして2VのOHVヘッドの特徴か、とても扱いやすいトルクカーブを描く加速で、これは「楽しい!!」と思わせる絶妙な味付けとなっています。

このトルクの出方はのちにワインディングに持って行った時に、コーナーを気持ちよくアクセル開けて駆け抜けるための味付けだったのだ!と気づかされ二度感動するエンジンでした。

見た目よし、振動よし、音よし・・・そしてトルクが太く非常に扱いやすい。こんなバイク、果たして他にあるだろうか??

V7specialの素晴らしいのは美しい車体や存在感のあるエンジンだけではありません。あまり話題にならないのですがブレンボ製のこのブレーキ。

フロントはシングルディスクの対抗4ピストンキャリパー。これがコントロール幅がドラムブレーキ並みに深く、極めて扱いやすい秀逸なブレーキなのです。もちろんABSも装着されています。

バイクのキャラに合わせてこういった部分まで絶妙に仕上げるモトグッチにただ敬服するのみです。

燃料タンクはなんと21Lも入る大容量。燃費はツーリングの実測で23km/L程度。ワンタンク500キロ近く走ってしまう、ツアラー顔負けのロングディスタンスを誇る。ただしV7シリーズを象徴するこの独特な意匠のタンクは、出っ張っている部分が私の身長だと膝に当たってしまい、お世辞にもニーグリップしやすいとは言えません。

カッコ悪くなりますがニーパッドを装着すれば改善するかもしれません。何かカスタムをしたいときに、見た目の美しさを崩してしまわないか?と気を遣うのが美しいバイクのある意味で欠点ですね。

大好きな山道も走らせてみました。

ハンドリングは非常に素直で分かりやすく、あぁバイクはこうやって後輪がまず旋回をはじめ、追従するようにハンドルが切れるんだっけかな。とバイクが曲がるという物理法則の原点を思い出す感じです。

独創的な機構のサスをもつR1200GSが魔法のようなコーナリングで感動させてくれたのに対して、V7specialの場合は「自分が曲げた」というごく当たり前の操作感、乗りこなしたぞという実感を味わう感動があります。

また縦置きエンジン特有のトルクリアクション、乾式単盤クラッチの回転による遠心力の軸、シャフト駆動のモーメント、これらの物理的な力が作用する「進行方向の安定感」と「ジャイロのような傾きやすさ」が相まって、直進の安定と旋回の軽快さが高いレベルで両立しているのはR1200GSもV7specialも同じです。

いずれも横置きエンジン、チェーン駆動の【普通のバイク】にはない素晴らしい走りですので、まだ未体験だという方には強くお勧めしたいポイントです。縦置きのシャフト駆動、ほんとサイコーですよ!

あまり書き連ねてもキリがないので、さいごに重要なことを。

それはデザインですね。イタリアといえばデザイン、芸術、ファッションなどの国。自動車デザインでもピニンファリーナ、ジウジアーロ、ガンディーニなどの名前がすぐ思い浮かびますし、二輪四輪問わずイタリア車って美しいですよね。個人的にはマセラティが好きです。

私はデザインは専門ではありませんが、写真家として黄金比などの比率やカラーがもたらす印象などは少しは分かるつもりです。V7specialを眺めていると単純にメッキパーツがあると美しいとかではなく、細部まで洗練された魂的デザインというものが確かにあるのだな、と強く感じます。

それはパッと見では分からないのですが面の作り方、Rのとり方、ヘッドカバーのデザインやシボの粗さ、フォークの太さやホイールリムの光沢具合に至るまで、全体を一つとするデザイナーの卓越したセンスがぎゅっと一台に詰まっているようです。

ブランドの誇る伝統、クラフトマンの精神、デザイナーの才能が全体に及び、どこか日本的な奥ゆかしさで【控えめ】に存在する品格がV7specialの魅力であり、これから50代をむかえる私のハートを射抜いたのでは?と感じます。

ともあれ、私はバイク旅を愛する写真家としてV7specialに惚れました。

決してハイパフォーマンスではなく先進的な機構や電子デバイスも無いに等しいけど、伝統的でメカの魅力が満ち満ちて、美しいデザインを纏うこの一台を、これからの旅の相棒として選びました。

実はモトグッチを買う前の率直な思いとして「壊れるんだろうに、そんな恐ろしいバイクで遠くまでツーリングできるか」と考えていました。

しかし冷静に考えてみるとモトグッチが壊れる…なんて話はどこから来た?という疑問が沸いてきました。誰かが言っていた噂話、ネットで書かれている情報、これらが思い込みを作り自分の望む道を制限していないだろうか?

考えてみると、こういった噂話や社会的な通念、親が昔よく口にしていたこと…などに不要な思い込みを作っているのは珍しくありません。

大きい会社に入って立派になれ、みんなと一緒にしなさい、普通がいちばん、いつまでも遊んでいるな、会社はやめるな、我慢して努力を重ねろ、といったもの… T社の車は壊れない、アメ車は燃費が悪い・・・こういったものは自分で体験した結果であれば別ですが、たいていは何処かで聞いた他人の情報にすぎず、実際は自分はそうは感じないかもしれないのです。

思い込みが本来みるべき素晴らしい世界をみすみす逃していると考えると、モトグッチは壊れやすいそうだから買うのをやめよう…なんて馬鹿らしいと思えてきました。北海道を旅したいと願っているのに、誰かに「北海道はよく雨が降るよ、シカが飛び出して危ないよ…」と言われて「じゃあ行くのやめよう」なんて変ですよね。

今の時代、バイク選びに限った話ではありませんが他者の情報や社会的通念に翻弄されず、自分のアタマでよく考え、自分の直感を信じて決断をしたいですよね。

自分で決断したものは何があっても「楽しい」と思えるはずなのです。

私はモトグッチV7specialの言葉では説明できない魅力を直感で感じ、よしこれでいくぞ!と決断をしました。

これからこの不思議なイタリア娘とどんな旅が待っているのか?内燃機の末期時代にふさわしいツーリング写真を生み出すぞ!という意欲とともに、ワクワクしております。

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