春のツーリング写真☆撮影小物と写真演出について

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究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、間もなく3月も終わりですがいかがお過ごしでしょうか。私はスギ花粉のアレルギーなので桜の開花を過ぎてしまえば症状はもうありません。3月前半は目のかゆみが辛かったですが、これから一か月くらいはベストシーズンを満喫したいと思います。

さて春のツーリングといえば桜や菜の花の風景と愛車を一緒に撮りたいものですよね。SNSなどでも満開の桜やお花畑で撮ったバイク写真をよく見かけます。以前にも何度か解説しましたが、風景とバイクを撮るときは・バイクが主役で花は背景とする ・花のある風景を主体としその中に溶け込むようにバイクを置く のどちらかをハッキリさせましょうね。バイクが主役なのか風景が主役なのか曖昧にしないように。迷ったら両方撮っておけばOKです。

さて今回は写真の演出に関わる話題でございます。南房総、小湊鉄道のツーリング写真を作例に解説してみます。

究極のツーリング写真ではお馴染みの小湊鉄道の風景でございます。場所は月崎駅でこの季節は菜の花がたくさん咲いております。この場所でR1200GSをおいて気動車【キハ200】が来たところを写真にするという場面です。

まずは現場の様子をスマホで撮ってみたのですが、菜の花がたくさん咲いている場所を前景とし、バイクの向こう側が列車となるよう構図を練ります。




列車が登場するまでタップリ時間があるので落ち着いて試行錯誤です。まずは試し撮りの一枚がこれです。ちょうど菜の花のピークだったので傷んでいる花もなく手前の花の様子を表現しても悪くはないですね。しかし手前の緑の部分がゴチャゴチャしてお世辞にも美しいとは言えません。背景に駅の看板がありますが、あれはきっと列車が来たら隠れると思われます。

ここで撮影小物の登場です。これ、ダイソーで売っている菜の花の造花です。本物を摘み取ってしまうのはお花が可哀そうですからね。右の白いアームはホムセンの店舗用品コーナーでよく売っているヤツですね。




はい、こんな風に使います。三脚のエレベーターにアームを固定し、もう一方に菜の花の造花を付けてあげます。レンズの直前に花がくるようセットするのです。

少し絞りん混んで試し撮りしてみました。ゴチャゴチャしていた緑の部分をレンズの直前に置いた菜の花の造花で隠し、1レイヤー追加した奥行のある構図です。しかしまだ釈然としません…見る人には分からないかもしれませんが、本物と造花の違いも微妙に出ている気がします。

それに緑の部分のゴチャゴチャ感も完全に消えた訳ではなく、このままではイメージに届かないのでここは大胆に絞り開放でいくことに決めました。




EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

はい、絞り開放でF2でございます。インターバルタイマー1秒毎で枚数無制限。小湊鉄道も日本の鉄道ですのでダイヤ通りぴったりに列車がやってきます。Lightroomでの仕上げはシャドウを上げて全体を明るい印象に、明瞭度を下げてフォギーに仕上げてみました。ふんわりと春の温かみを感じる風景写真といった感じですかね。

ところで本題の【写真の演出】のお話ですが、こういった写真に加える演出については本当に人それぞれ考え方が違うものです。今回の造花を使った方法なんて悪い言葉で言えばインチキですからね。写真は現実を正直に伝えるのが正義であり、演出を加えるのは嘘と同じ!観賞者を騙す行為だ!とおっしゃるナチュラル派の権威も存在します。

しかし写真に演出を加えるのは果たして本当に悪なのでしょうか?もし見たままの現実こそが正義だ!ということであれば、例えばシャッター速度を落として流し撮りすることや、望遠レンズを使うことだって見たままではないのでNGとなる訳です。これらは古典的な手法で一般に浸透しているからOKだ…と言えばそれでは矛盾が生じます。昔から知られている演出は良いけどそうでないものは駄目という事ですからね。

突き詰めていけば完全ナチュラルを追求するほど無理が生じるものです。綺麗な風景を前に写真を撮るにあたって、地面にゴミが落ちていれば拾いますよね。しかしそれを「ゴミが落ちていた風景に手を加えた演出」となればいよいよおかなしな話です。

今、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムであのロベール・ドアノーの作品展をやっていますが、ドアノーの代表作である「パリ市庁舎前のキス」をご存じでしょうか?あれは発表当初は偶然にもカップルがキスをしている瞬間をドアノーが撮ったものとされていました。ナチュラル写真の権威からは「これぞ演出のない本物のスナップだ!」と称賛されましたが、何十年もあとにドアノーがカップルにキスのやり直しを依頼して撮った…とカミングアウトし、実は作品が演出だったことが公になったのです。当然、作品を称賛したナチュラル派達は面を食らったそうですね。その道のプロが演出を見抜くことが出来なかったのですから。

このように写真の歴史に名を遺す偉大な写真家でさえ演出をしているのです。そして専門家でさえ演出を見抜くのは難しいのです。大切なことは自分の中で写真に加える演出についてしっかり考えを持っておくことだと思います。私の場合はイメージの写真を実現するにあたり、今回のような小物を使うことに躊躇いはありません。前景が欲しくて咲いている花を摘み取ってしまう人よりうんとマシだと思います。

ただ一つ確かなのは今回の私のように撮影裏を公開するようなことはしない方が良いと思います。私はこのブログの運営に写真解説という目的があってやっていますが、皆さまは「実はこうやって撮りました」などという種明かしはどうかしないでくださいね。

今回はこの辺で!!

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