トップケースにカメラを積んで壊れないのか?

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、ここ最近になって少し日も伸びて、近所では梅の花なども見かけるようになりましたね。まだ寒い日はありますが少しずつ春の足音が聞こえてきました。

同時に春になると花粉症の人にはつらい季節ですね。私は重度ではありませんが毎年3月になると症状が出ます。今年は新型コロナウイルスの問題もあるので、花粉症の人はむやみに目や鼻に触れてはいけないと聞きましたが、痒いのに触れないという二重苦ですね。

さて今回は当サイトへクエリ(検索からの問い合わせ)の多いバイクへのカメラの積み方について書いてみたいと思います。カメラを持ってバイクで出かける…。精密機器である【カメラ】にとって過酷な移動手段であるバイク。何も気を遣わず持ち歩いたら壊してしまいそうですよね。

きっと多くの方が「どうやってカメラを持って行こうか」と悩まれていると思います。私の場合は主にトップケースに積載なのですが、よく「トップケースにカメラを入れて壊れない?」と聞かれます。結論を言ってしまえば壊れたことはありません。しかしいくつかの注意点があるので、今回はそれを書いてみたいと思います。




使用しているトップケースはヘプコ&ベッカーのALU EXCLUSIVE 30 で本体があのRIMOWAで出来たアルミ製ケースです。

内部にはカメラ用品として売られているスポンジ製のインナーボックスを組み合わせて置いています。これで仕切りを構成しカメラボディ、標準レンズ、望遠ズームレンズ、ミニ三脚や予備バッテリーなどの小物を収納しています。

トップケースを使用するメリットは中身の取り出しが容易、大雨でも安心の防水性、衝撃に強く強固であること、施錠できることです。

バックパックやスリングバッグなど、身に付けるカメラバッグはコンデジ一つ程度ならOKですが、一眼レフに交換レンズを複数となると重さで疲れてしまい、ライディングの妨げにもなります。雨天時の防水や万一の転倒時のダメージも心配です。

このヘプコ&ベッカー ALU EXCLUSIVE 30は何が良いか?というととにかくRIMOWAのアルミケースは軽量で頑丈、見た目もカッコイイ…と、とにかくRIMOWA製であることに尽きます。逆に言うとヘプコの仕事してマウントへのアタッチメントや金具類などについては、特に褒めるべきポイントは無いように思います。

ALU EXCLUSIVE の場合はケースの内装が黒い発泡スチロール製なので、これが衝撃吸収だけでなく結露も防いでくれます。

トップケースのデメリットとして装着しているとカッコ悪いので嫌だ…という方も多いと思います。R1200GSのようなアドベンチャー系バイクでしたら、装着していてもさほど違和感ありませんが、スポーツ系やクラシック系のバイクだと気になりますよね。ヘプコのケースの場合はキー1つで簡単に着脱できるので、私は写真を撮るときは外してしまう場合も多いです。

そして気になる振動や衝撃ですがトップケースは車体の振動源となるエンジン(主にクランクシャフト周辺)、路面からの凸凹(サスペンション部)といった場所から離れています。振動は振動源から離れると振幅が増幅されるので好条件とは言えません。

その昔、バイク用ミラーの設計をしていたころに振動試験をよくやったものです。ミラーは振動源から離れているので振幅が大きく、それが鏡面のブレとなって後方視界を悪くさせます。振動の周波数や振幅は車種によって大きく異なるため、汎用ミラーを作るというのは難しいものでした。




先日、千葉のとある道の駅でとっても美味しそうな苺、紅ほっぺが売っていました。ちょっと高かったのですが、あまりに美味しそうなので誘惑に負けて買ってしまいました。しかし…これトップケースに入れて帰っても大丈夫なのだろうか?と買ってから思ったのですが…もう後の祭りです。とりあえず少しくらい大丈夫だろう…と思いトップケースに収納して1時間半ほどの走行で帰路につきました。

どころが家に買ってトップケースを開けてみると高級イチゴは無残な姿に…。振動によって容器の中で暴れていたようで、イチゴジャムになりかけていました。悲しかったですが味には影響ありませんでした。美味しかったです。

このようにバイクのトップケースには高周波の振動とランダムな衝撃波が二重に伝わる事で過酷な振動環境だと分かります。加えてマフラーからの排気音が爆音の場合はトップケース内に音が反響しスピーカーで言うエンクロージャーと同じ状態で音による振動も発生するものです。

以前の仕事でよく関わったのですが自動車、オートバイにおけるJIS規格の振動試験にはSOR(sign on random)試験といってエンジンなどの正弦波の振動に路面ギャップ通過などのランダム波を加えたダブル振動をかけるというのがありました。

エンジンからの振動である正弦波は回転数や負荷状況によって周波数が変化するもので、特定の条件が揃う事で締結されていたネジやボルトを緩めたり、樹脂部品や薄いアルミプレス部品などに亀裂を発生させたりします。一方、路面ギャップを通過したときのような瞬間的なインパクトであるランダム波は積載している荷物がズレる、物を破損させるといった特性があります。

カメラ、レンズに多く使われている小さなネジは高周波振動で緩みやすい

トップケースにカメラ、レンズを収納する場合、まずは正弦波振動による対策をします。特に4気筒のオートバイや高速道路の長時間走行が多い場合など、高周波な振動が持続して発生する場合、レンズキャップ、ボディキャップ、レンズフードなどをしっかり締めておくこと。締めが甘いと振動で徐々に緩み、カタカタと共振しはじめ、ヤスリをかけたように粉をふきはじめます。

ランダム波の衝撃については前述のカメラ用品のスポンジ製のボックスである程度は吸収してくれます。なるべく厚みがあって柔らかい物を選びましょう。

それと収納時に固い物同士が触れ合うことがないように、しっかり区別して収納することも大切です。例えばミニ三脚の雲台がレンズに触れた状態で走行すると、高周波な振動により両者を削り合います。そうならないために100円ショップで売っているようなミニポーチに小物を入れるのも良い対策となります。




このようにアドベンチャーの方にキャンプ道具フル積載のときも、トップケースの中身は撮影機材専用となっています。

話は本題から少々脱線しますが大きなトップケースを装着し、そこに多くの荷物を詰め込むと重さでウォブル現象が発生する場合があります。ウォブル現象とは直進しているのにハンドルが左右にブルブル振れてしまう現象です。設計の古いバイクで過度なスピードを出したり、同じく古いバイクでタイヤが偏摩耗していたりすると発生します。R1200GSは大きな車格で積載キャパシティが大きいので大きなトップケースに荷物を詰め込んでもウォブルは発生しませんが、たとえば流行の250ccクラスのアドベンチャー系バイクに、大きなトップケースを装着して重い荷物を詰め込めばウォブル現象は出ると思います。

上の写真を見てこんな大きなバイクならもう少し大きいトップケースの方が良いのでは?と感じた方もおられるかもしれませんが、前述の理由で私の場合はトップケースは小さめのサイズをあえて選んでおります。積載は走りをスポイルしないよう最大限に配慮したいのです。

先ほどトップケースにカメラを積んでツーリングして壊れたことなどない…と書きましたが、私の場合は愛用してきたカメラが歴代キャノンEOSシリーズであります。光学ファインダー搭載の一眼レフカメラに限って振動に強いというのもあるかもしれません。これがもしコンデジやミラーレス機だったら話は別かもしれません。とにかく私の中では光学ファインダー搭載の普通のデジイチはバイクに積んでも壊れない、という印象です。なかなかミラーレス機に買い替える気になれないのはこの辺も理由のひとつであります。

蛇足ですが先ほどマフラーが爆音の場合はトップケース内がエンクロージャーになる…と書きましたがメーカー時代にこんな出来事がありました。タンデムライダーと会話できるヘルメットインカムを製品化していたのですが、タンデムライダーからの声が雑音が酷いというクレームがありました。エンジンを停止して試すと問題がないとのことだったので当初はバイクのジェネレーターかハイテンションコードの劣化による電気的ノイズか?と疑いましたが、原因を突き詰めていくとマフラーからの爆音がタンデムライダーのヘルメット内で反響しマイクに伝わっていると判明しました。そう説明してもお金を払ったお客さんの気持ちは収まらず「じゃあどうしたらいいんじゃい!」と怒るいっぽう。私は内心「ノーマルマフラーに戻せば?…彼女もうるさくて気の毒だし」とつぶやいていました。

バイクのトップケースにカメラを積んで壊れないのか?…でした。

今回はこの辺で!!

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