バイクキャリア回想☆私とキャンプツーリングの出会い

2005年 大分県佐伯市 波当津海岸キャンプ場

バイクは16から乗っているのでバイクキャリアは30年以上になりますが、最初の10年くらいは峠やサーキット、バイクカスタムや林道走行などに夢中でした。本格的にツーリングをするようになったのは2000年にジェベル250GPSを購入した辺りからです。なので北海道ミツバチ族ではなかったし日本一周を経験した若者でもなかったのですね。

そして2003年にはじめてのBMW、F650GS Dakarを購入したのをきっかけに「とにかく遠くへ行きたい」「行ったことのない場所へ行きたい」という欲望が湧きたってきたのです。

F650GS Dakarはそれまでに乗り次いできた国産メーカーバイクと違い、とにかく長距離が楽しいと感じるバイクでした。見た目はフロントに21インチホイール、カラーはパリダカールのBMWワークスのレプリカなのでラリーマシン見えますが、想像をはるかに超越したツーリング性能に感銘したのを覚えています。

F650GS Dakarを購入し裏磐梯や信州の林道など日帰りで行けるところは弾丸で走りまくり、1年で3万キロくらい走ったと記憶しています。そして翌年には「北海道ツーリング、行ってみたい!」と思うようになりました。

2005年 北海道 礼文島

しかし北海道へツーリングとなると最低でも5日間くらいの予定を立てる必要があります。泊まるところはどうしようか…?普段、仕事で安いビジネスホテルをよく使っていたので同じようなホテルが北海道の各所にあるだろうからそうするか?とも考えましたが、それでは面白くないし経済的にも負担が大きい・・・と思い「やっぱり北海道ツーリングするなら絶対キャンプだな」となったのです。この時はまだユースホステルとか旅人宿といったものは存在自体知りませんでした。

「キャンプツーリング…大丈夫だろうか?」

実のところ、それまでの私は子供の頃も含めてただの一度もテントで泊まったことなどないキャンプ未経験者だったのです。

それでテント、寝袋、マット…と必要と思える道具を一通り揃え、8月のお盆休みに有給休暇を足して大洗から苫小牧へと旅立ったのです。今になって振り返ると初めてのキャンプ、初めての北海道ツーリング、どうして友達を誘わず一人で行こうと思ったのか?よく覚えていませんが根っからの単独行動派なのか、特に不安を抱くこともなく一人旅を決意しました。




それとせっかく北海道にツーリングに行くのだから、カメラくらいちゃんとした物を持って行こうと思い当時はまだ草創期だったデジタルカメラ、その中でも立派なカメラであるFujiのFinePix S602というカメラを買いました。出かける前に勉強したのは取扱説明書だけで、露出補正くらいは使えるように操作を覚えておきました。

何事も「初体験」とは特別なものですよね。北海道をバイクで走ること、キャンプすること、景色の写真を撮ること。もう若者とは呼べない年齢でしたが青春の残り香をF650GS Dakarの排ガスにまぜて北の大地を走ったのです。今になって回想すると私の人生の中で「特別な旅」と呼べる経験になりました。

渡道して2日目でいきなり試練が待っていました。雨です。8月とは思えない寒さに冷たい雨。雨の中をバイクで走ったことは何度もあったけど、あまりツーリングをしなかった自分にとって長時間の雨天走行はこの時が初めてでした。朝から夕方までずっと雨を走り、やがて下着まで湿っぽくなった頃、もう帰りたい…惨めな気持ちで心が折れかけました。たまらず駆け込んだ道の駅のような場所でトイレに石油ストーブが焚かれていたのをよく覚えています。

「8月なのにストーブ…」

美深をぬけ天塩川沿いに北西に走ると日本海が見えてきてオロロンラインへ。そこで急に晴れてきて強烈な夕陽に冷えた体温が一気に上昇するようでした。

今日、テントでちゃんと寝れるだろうか?と心配はしましたが長時間走行による疲労で缶ビール一本を開けたら失神したように朝まで眠りについたのを覚えています。はじめてテントで寝るのにあんなに熟睡するなんて…とても奇妙でした。

ずっと憧れを抱いていた日本海オロロンライン。あいにくの曇天でしたが気のすむまで走ってから、オホーツク海を目指して東へ走りました。その後、道北スーパー林道や風烈布林道などオフロード走行を楽しんで次々とキャンプ地へ移動。そして道東エリアへ移動する頃には夏休みにバイクツーリングにきたサラリーマンからバイクで旅をする一人の旅人になったと思います。




北海道の雄大な大地、表情豊かな空、千葉とは全然違う見たこともない海岸風景、鹿やエゾリス、錆びたトラクター、ボンネットのある大型トラック・・・目にうつる何もかもが新鮮で感じたコトのない何かが心の中で騒いでいました。

カムイコタン、ポンポロト、ヌプントムラウシ、チッポマナイ・・・アイヌ由来の地名も特別な場所に来たのだという気分にさせてくれました。それは今になって考えれば異文化に触れた刹那に潜在的な旅心が反応を示したのだと思います。

人との出会いも格別でした。スタンドやお店などで会う地元の人との何気ない会話などに、日常では感じない人の温かみを感じ、同じ道の先を目指す旅人達との出会いは絆のようなものを感じました。全てが楽しかったし嬉しかった。

そして気に入った風景を見つけては無心でシャッターを切って「忘れまい」と写真にしました。そう、私の原点はこの素晴らしい旅を忘れまいという記録から始まったのです。

恐らく多くの人も同じだと思います。忘れてしまっては寂しいから、だから写真に撮っておく。ブログではただの記録写真じゃつまらない…なんて言ってきましたが、やっぱり写真の根っこは記録なんだと思います。

2006年 北海道富良野

キャンプは当初は経済的な意味で選んでいた宿泊手段でしたが、雨や予想外の寒さなど快適ではないところに本当の「旅」を教わったと思います。野外で夜を明かす行為とは人類にとって原始的であり、旅と共に文化を反映させた人類の本質はキャンプという行為に凝縮されている気さえします。

美味しい食べ物も名湯と呼ばれる温泉も、たまたまあれば頂きますが、この当時から私の最大の目的はそれではありませんでした。移動をすること、キャンプをすること、風景を切り取ること。これが私にとっての旅であり、私らしい私の旅を最大限に楽しむのが唯一の目的です。

今でこそキャンプ場でまったりキャンパーをしけこむ時がありますが、そもそもキャンプツーリングは旅らしい旅をするためのシンプルで身軽な宿泊手段だったのですね。

2006年 北海道 昆布森 来臥止キャンプ場




北海道の旅から帰った私はもう別の人間になっていました。見慣れた職場も通勤路も不思議と別の風景に感じました。何だか自分の居場所はもう此処ではないような気がしたのです。その時は気が付きませんでしたが、もう旅の魅力に憑りつかれていたのですね。

北海道で撮ってきた写真は思いのほか良く撮れていて、プカプカと白い雲浮かぶ青空、牧草の香りがしてきそうな緑の写真がたくさん撮れていました。中でも知床で撮ったキャンプ場の夕日の写真がお気に入りで、それを試しに雑誌アウトライダーのツーリング写真コンテストに応募したら、大きく掲載されて高評価だったのです。これが今の自分を形成している全ての始まりです。

その翌年も、そのまた次の年も、夏になれば北海道へ走りに行きました。北海道以外にも東北、信州、四国、九州も走り、ついには会社を辞めてしまい、沖縄の石垣島までF650GS Dakarを走らせました。経験を積むほど旅の内容は充実し、キャンプも写真も進化を遂げました。やがて自分なりのこだわりが芽生えただのサラリーマンだったくせに旅人風をふかせるようになったのです。

2006年 高知県四万十川キャンプ場

そこから20年近く経ちますが、今の私は大きくは変わっていません。いや…むしろバイク、キャンプ、写真というキャリアについては何らかの進化はあるかもしれませんが、肝心の旅心はすっかり青春の残り香を燃やし尽くし、純粋さのカケラすら無いようです。そう、失ったのは青春とか純粋さといった心の時めき。旅に対する憧れや人との出会いなども気が付くと意識していない自分がここにいます。

時めきを取り戻す唯一の手段は知っています。それはまだ撮ったことの無い傑作ツーリング写真を撮ることです。もし願いが叶うなら自分の人生の中で一枚でいいから、最高傑作とよべる一枚のツーリング写真を撮ってみたいです。ただの幻想に終わる可能性は高いです… しかし、それがあれば自分がこの世界にいた意味が生まれる気がします。そしていつまでも旅心に時めきを抱いて生き抜くことができるのです。

だからまた旅に出たいです。

一枚のツーリング写真を求めて。

2018年 北海道 宗谷丘陵 白い貝殻の道

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