分かりやすい☆ツーリング写真 撮影現場でのプロセス

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究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、一都三県で緊急事態宣言が発令されていますが如何な日常を過ごされていますか?こんな時は新型コロナウイルスに対する感染予防はもちろんのこと、風邪や胃腸の調子、ストレスなどにも気を遣って健康に過ごすことを忘れてはいけませんね。

つい先日、とあるSNSで久しぶりに派手にレタッチした画像を見かけました。それを受けて「日本じゃないみたい」「どうやったらこんなに鮮やかな写真が!」という称賛のコメントもある一方で「こんなに彩度を上げたらもはや写真ではない」といったネガなコメントも見受けられました。

ほんの数年前まで特にSNS上でよく見かけた過度なレタッチ画像。ネオンブルーの空に蛍光グリーンの木々。どこにも階調や影がなくて良く見ると人の顔が宇宙人のような蒼白さ。パッと見ると確かに鮮やかで印象は悪くありませんがパソコンなどの大きな画面で見ると少々気色悪い…。

こういった過度のレタッチを現在でもやっておられる方はそれなりの信念があってやっていると存じますが、写真の権威から冷ややかな反応を受けるのは避けることができませんね。もはや「写真」から乖離して、そろそろ別のARTを宣言すべき時代だと思います。でないと見る方も混乱しますので。

さて、前置きが長かったですが今回は<初級>ツーリング写真解説として、いつもと趣向を変えて実際の撮影現場において試し撮りのプロセスから作例で解説してみたいと思います。

私の地元である千葉県は房総半島。その最南に近い館山市の周辺をツーリングしていた時のことです。海上自衛隊館山航空基地に2機のヘリコプターが役目を終えて眠りについていました。幼いころ家族でここにやってきて間近でヘリコプターを見て興奮したのを覚えています。もしかしてこのヘリコプターはあの時、私が見た機体なのかもしれません。そう思うと何だか特別な感情がこみあげてきました。

この様子がすっかり気に入った私はこの場所でツーリング写真を撮影することにしました。しかし鉄道や今回のようなヘリコプターなど、特定の被写体と組み合わせたツーリング写真は構図をしっかり練らないと「それがどうした写真」に容易に陥るので注意が必要です。

まずは望遠ズームレンズを使用して被写体の特徴を使って遊んでみました。コクピットのノーズ部分をR1200GS-ADVENTUREのクチバシの間に合わせてパチリ。実はヘリコプターの置いてある場所までフェンスがあるのですが、この絞りだとフェンスが完全に消えてくれません。これはこれで面白い写真かもしれませんが…到底フィニュッシュには至りません。まあ準備体操のようなものですね。




もう一度よく状況を見てみましょう。R1200GS-ADVENTUREとヘリコプターまでの距離は25mくらい。すぐ手前にフェンス。遠景に山と建物。太陽光は冬のトップライト。後ろに下がるスペースは15mくらいありますが、さらに下がりたい場合は堤防に登るので少々ハイポジションになります。

横構図にしてバイクの割合を増やし深度は先ほどと大きく変わらず。…これでは何か釈然としません。どうしましょうか?

バイクの向きを変えカメラポジションを調整しヘリコプターの機体を3分割線(横線)の上へ合わせ、R1200GS-ADVENTUREを3分割線(縦線)の右へ合わせてみました。水平をヘリコプターに合わせたらフェンスの支柱の垂直が出ませんが、ひとまずこれで本番を撮ってみましょう。

あれれっ?!何か変だな。ぜんぜんセッティングした構図とズレた写真が出来上がりました。ライダーの顔が切れていることより、意図して作った3分割がまるごと上にズレたことの方がダメージが大きいです。一体何が起きたのでしょう?




原因はこれです。カメラをセットした場所は岩を積み上げた堤防なのですが、構図を決めている時に自分の体重で岩が少し傾いていたのです。タイマーをセットしてこの場を離れたときに岩が動いてカメラの位置もずれたのですね。

気を取り直して岩が動かないよう構図を決めてから撮影してみました。・・・どうでしょう。やっぱり納得のいく一枚になりません。イメージはこの場所で出会った被写体との理想的な共演ですが叶わないとなれば「設計」つまりイメージがすでに良くないのかもしれません。

試しにピント位置をヘリコプターではなくR1200GS-ADVENTUREの方にしてみました。この場合、画面の左側に手薄感がでたのでライダーの立ち位置を左にして補ってみました。R1200GSの位置にピントを合わせたことでフェンスにも合焦してしまい、垂直が出せない支柱の存在も気になるようになりました。

やっぱり最初のイメージが良くないようです。そもそもこの構想では納得の一枚にはならないと判明しました。そこでもう一度被写体をよく見て最初からイメージを作り直してみましょう。

赤白オレンジの機体、部品が外されて放置されている様子、機体に書かれた海上自衛隊の文字、日の丸と66の数字…




EOS6D Mark2

日の丸マークと66の数字を主軸に三分割構図を作ってみました。ぐっと引き寄せることで部品が外されてパレットに乗せられた様子が明らかになり、「もう飛べない」という表現ができました。ここまで切ってしまうとヘリコプターなのか何なのか少々分かりにくいですが、少なくとも航空機っぽさは残っているので大丈夫かと思います。

バイクやヘルメットの各所に入ったハイライトは玉ボケとして演出に一役買っています。フェンスは完全には消えませんでしたが、十分に存在感を落とすことが出来たので見ようによっては1つのパターンとして捉えることができます。縦構図で画角を切り詰めたので気になっていたフェンスの支柱も画面外です。

いかがでしたか?当初はヘリコプターを見つけたことで「ヘリコプターと撮るぞ」という見つけた事実に引っ張られていましたが、写真家眼で被写体を見極めてハートサイドで表現のヒントを探し、持てる引き出しから適切な方法をsearchする。その結果、今回の答えは「ヘリコプターと撮るぞ」→「飛べなくなったヘリコプターに出会った」となりました。Story性があるのは断然後者なのはお分かりいただけますよね?

日の丸と66に注目して構図を作ったのはあくまで写真の構造です。引き寄せたことでヘリコプターがここで眠る様子が伝わったことの方が写真としての効果は大きいです。

今回はちょっといつもと変わった視点で解説してみました。自分には難しいかも…と思った貴方、大切なことは納得のいくまで撮り切ることです。悩み考え、被写体をよく見て粘ってみましょう。結果、いい写真にならなかったとしても、そのプロセスが貴方を成長させてくれますよ!

今回はこの辺で!

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