
2020年12月31日 早朝
館山市のキャンプ場から満月をながめる。
沈みゆく月の先には富士山。
ここは家から遠い場所ではないけれど
それでもこんな風景を見ると旅をしていると感じる。
そしてこの瞬間を一枚の写真として残したい。
いい作品になるか分からない。誰かに見せて感動してもらえるような
立派な写真になるか分からないけど。
自分のこの手でシャッターを切ることに何か意味があるのだと感じる。

背後の太陽はのぼり辺りは明るくなってきた。
すると富士山の峰は息をのむほど美しく紅に染まった。
手の感覚が無くなるほど冷たい風が吹き荒れ
海は激しく白波を立てていたけれど。
テントに戻って暖をとる気はまったくなかった。
この様子をずっと見ていたい。

ショータイムは僅かな時間で終わったけれど一生心に残る風景を記憶に刻むことに成功した。
一生心に残る・・・とは写真を撮ったからこその「私だけの記憶風景」のことだ。
いつもバイク旅で思うこと。なぜバイクに乗って旅をし風景を写真にするのか?
それは…
あの日、あの時、写真を撮ったからこそ記憶に刻まれる心象風景
いつか人生の終末を迎えたとき、一枚の写真が人生の旅路を回想させてくれること。
あの時こうだった、と。
忘れてしまっては寂しいから 記憶風景をいつまでも美しく保ちたいから
美しい写真が欲しいのだ。