最新のカメラや高価なレンズは必要なのか?

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、つい先日、千葉のとある場所でこんな光景を見かけました。カメラを持った多くの人がレンタカーや観光バスで押し寄せて何やら風景の写真を撮っているのです。

そこは川回しのトンネルの手前が小さな滝となっているのですが、トンネルに太陽光が入る事で光線がハートマークになると話題になった場所です。最初にその事に気が付いて写真を撮った人は素晴らしい感性の持ち主ですよね。しかしSNSでバズってしまうと皆で同じような写真を撮ろうと大勢が押し寄せてしまう風潮には閉口です。

これでは柳の下の二匹目のドジョウで最初に写真を撮った人にも失礼ですね。その場所で最初の写真とは全く違う作品を生みたいのなら理解できますが、多くの人は構図もアングルも全く同じコピー写真を撮っているようです。規律正しい日本人はお手本が大好きでソレを見つけてしまえば飛びついてしまうと誰か偉い方が言っていたのを思い出します。

さて今回はたまにはカメラやレンズの話を書いてみたいと思います。私はカメラやレンズの最新のトレンドなどには疎いのですが、写真文化とカメラの関係でしたら少しは考えを持っております。

SIGMA fp

「そろそろ新しいカメラを買おうかな」「やっぱり今のカメラでは限界かしら」といったお話はよく聞きます。デジタルカメラの歴史は意外と古いのですが一般に普及してからは20年くらいでしょうか。私が最初に触れたデジタルカメラは1997年のSONYマビカという3.5インチフロッピーディスクを挿入するユニークなカメラでした。その場で画像が確認できること、フィルム代がかからない事に喜んだのを覚えています。

初期のデジタルカメラは画素数が100万画素にも満たず、貼り絵のような粗さでした。そしてデジタルカメラが普及モデルとして爆発的に売れた2000年代の前半に、光学ノウハウのない家電系メーカーまでもが、こぞってデジタルカメラを製品化したものです。当時の家電系メーカーのデジカメはとにかく発色が派手だった記憶があります。

こういったデジタルカメラ黎明期を通過したカメラ達は、いまとなってはハッキリ言ってゴミです。あと数十年もすればデジタルカメラもコレクター趣味の人々から支持されるのかもしれませんが、それは相当先の話で想像しがたいです。

もしこの時代のカメラ(95年~2005年くらい)のデジタルカメラを今でも使っている方がおられましたら買い替えを推奨します。現代のデジタルカメラ(2000年代後半くらいから)は大きくプリントしても美しく高精細で、フィルムよりも劣ると言われていた階調表現も問題ありません。

そんなに古いデジカメではなく5年、10年前のカメラをお使いの方は買い替える理由は何なのか?もう一度ご自身で考えてみましょう。いい写真が撮れないから?調子が悪い?バッテリーの持ちが悪い?

調子が悪い場合はメーカーに点検に出せばOKです。その見積もりを見て高いようでしたら買い替えを検討しましょう。バッテリーが劣化している場合、純正ではなくロワのようなジェネリック製のバッテリーでしたら割と安価ですので、新しいバッテリーを購入すれば解決です。

問題は「いい写真が撮れないから新しいカメラにしようかな…」という方。「いい写真」に対する具体性がないと、きっと新しいカメラを買ったとしても憧れのいい写真は撮れません。




2006年 北海道 多和平キャンプ場  EOS30D

いい写真に対する具体性とは例えば星空の写真を撮りたい、子供の運動会やスポーツシーンを撮りたい、バイクツーリングで感動の風景を撮りたい、といった具合です。星空の写真を撮りたい場合はバルブ機能があり高感度でも低ノイズなカメラ、スポーツシーンなら素早く動く被写体の瞳を追従するAIオートフォーカスのカメラ、バイクツーリングで感動の風景を撮るなら…特に必要な機能は思い浮かびませんね。強いて言えばバイクで出かけるのですから軽量で壊れにくいカメラでしょうか。

高級なレンズも同様です。例えば一般的な標準ズームレンズであれば3万円くらいの普及モデルから30万円クラスの高級レンズがあります。すごい価格差ですね。しかし全ての人がその価格差に見合うメリットを写真に出せるか?と言ったら微妙です。

私もかつては所有しているレンズの全てがキャノンのLレンズだった時がありました。LレンズはLuxuryのLだそうで明るい解放値(大口径)、蛍石ガラス材、コーティング、精度、ISなどの機能が充実している等々のレンズです。Luxuryという名前の付け方は「金持ちがターゲット」みたいで些かセンスに欠けると思うのは私だけでしょうか?For professionalとかpremiumで良いと思うのですが。

で、Lレンズを使っていた時代と普通のレンズを使っている今。比べてみてどうか?と聞かれれば「いい写真」とレンズの価格はさして関係していません、という結論です。全く関係ないと言えばウソになりますが「さして関係はない」です。

例えばいま愛用しているSIGMA12-24㎜F4.5-5.6(中古で2万円)という超ワイドレンズ、以前はキャノン純正EF14㎜F2.8L(定価30万円)を使用していました。SIGMAの方は型もⅡ型ではなくⅠ型なので古いというのもありますが、逆光や斜光でレンズに強い光が入った時に目も当てられないハレーションが発生します。キャノンEF14mmF2.8Lはそのようなことは少なかったので、確かにキャノンの光学技術とLレンズは素晴らしいのだなと改めて感じた瞬間です。

しかし派手に入ったSIGMAのハレーションも少しアングルを変えて出方を調整し、あとは露出でなんとかしてやると、気にならなくなります…いや、むしろハレーションやフレアといった一般には歓迎されない現象が演出の一つとして役立っていることもあるくらいです。

CASIO エクシリム EX-10

最新のカメラも高級なレンズも「こんな写真が撮りたい」という構想の中に、カメラやレンズに要求するしかない具体的なことを洗い出し、そこに投資しても良いかを慎重に検討しましょう。決して世間で話題になっているからという安直な理由や、これからの時代のカメラはこうだ!といった風潮に惑わされることのないように。

一方で新しいカメラや高級なレンズを手にしたことで写真へのモチベーションが上がる…というのも確かに否定できない部分です。良い物を手にすると心躍りますし、今すぐ出かけて写真を撮ってみたくなりますね。新しいものに限らずライカやハッセルブラッドといった舶来物カメラも同様です。人と違ったものを所有するステータスもあるかもしれません。

Hasselblad Stellar

ライカは使ったことがないので実際にどうなのか偉そうなことは何も書けませんが、聞いた話によるとMシリーズを除いてデジタルカメラはPanasonicのOEM商品が多いように感じます。上の写真はハッセルブラッドのStellaというカメラですがモノはSONYのRX100無印です。これもPanasonicとライカの関係と同様で提携した企業同士のOEM商品です。

しかしStellaとRX100の値段は中古相場で見ても倍以上は違います。それでもStellaを手にすれば不思議と写真への意欲が沸いてくるのだ!という人にとって、このカメラの価値は投資に値するものがあると言えます。実際、私もStellaは欲しいです。




リコーGR APS-C

それと自分と相性のいいカメラ、好きになっちゃったカメラというのもあります。私の場合はRICOH GRがそうです。最初は興味本位で買ってみたRICOH GRでしたが、実際に手にしてみて日常的にスナップ写真を撮り始めたら、その楽しさの虜になってしまいました。

まず写真とは瞬間を切り取るARTであり、その中に自分が感じた感情や美の断片が散りばめられているような写真が撮れる。そんな世界をカメラが教えてくれたような気がします。それまでツーリング写真という風景写真しか知らなかった自分にとって、写真に対する視野が激的に広がりました。単に28㎜単焦点とかシャープに写る特性とか、そういったスペック的なものではなく、カメラが持っている不思議な魅力と私の個性が一致したようにも感じます。それはまるで私と空冷R1200GSの関係にも似ています。

 

これから写真をはじめたい、ただ写真をやるのではなく「ライフワークとしてやっていきたい」本当に自分らしいいい写真を撮って充実した時間を過ごしたい…そんな方は上のようなタイプのカメラをお使いでしたら、そろそろ買い替えてみましょう。このタイプはひと昔前に売れに売れたデジカメの普及モデルです。

シャッター、再生、ストロボ発光、マクロくらいの最低限のボタン操作で完結する簡易的なデジタルカメラです。こういったカメラは旅行の記念写真や催事の記録などに使用する一般人用カメラであり、写真にとって肝心な露出やピント位置などを撮影者が直感的にマニュアル操作できないカメラです。例えるなら伊豆スカやビーナスラインを性能の悪いAT車で走るようなストレスがあります。

それにこういったカメラは現在では市場をまるごとスマホカメラ機能に持って行かれてしまい絶滅の一途です。

EOS6D Mark2 + EF35mmF2IS

この写真はキャノン純正レンズではありますが「L」ではないEF35mmF2 ISです。EF35mmF2 ISはスペックを考えると定価83000円と決して安いレンズではありません。しかし同じキャノンでもEF35mmF1.4LⅡUSMの定価は285000円とその差は20万円以上です。解放値はちがいますがどちらも同じ35mm単焦点レンズです。このパイに当てたサードパティであるSIGMA35mmF1.4ARTでさえ定価118000円。そう考えると私が今使っているEF35mmF2 ISはコスパの良いレンズと言えます。

実はこの写真を撮る少し前まではSIGMA35mmF1.4ARTを愛用していました。しかし35mm単焦点レンズと考えると大きく重いためにキャノンEF35mmF2ISに買い替えたのです。この写真を撮った時に「やっぱりSIGMA35mmF1.4ARTの方が良かったな…」と感じたか?と言われればNO!それより668gのレンズが335gとなり加えて4段分のIS(手ブレ補正機能)が付いたメリットの方が私にとっては大きかったです。




我々バイク乗りにとってカメラ、レンズは万一の破損や盗難なども悩みどころですよね。高価な撮影機材に万一のことがあったら…と考えると恐ろしいです。自動車保険の付加サービスで所有品の保障があるものも最近は聞きますが、高価な撮影機材を全額保障してくれる保険はないと思います。

最新のカメラや高級なレンズを高いと感じるかどうかは個人の経済事情と価値観によりますが、私の場合はそれほど費用をかけられない実情です。最新のカメラや高級なレンズに投資するお金があれば、その分は旅の資金へ当てたいですね。

今回はこの辺で!!

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