究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、YouTubeは見られていますか?むかしYouTubeといえば音楽アーティストのPVやライブ映像、スポーツやレースの名シーンを見るものでしたが、最近は個人の動画が何かと話題ですよね。小学生の将来なりたい職業としてユーチューバーが人気というのだから驚きです。私が子供の頃は男の子はパイロットやプロ野球選手、女の子はお花屋さんだったのですけどね。
そんなYouTubeを先日見ていた時。R1200GSで検索してみると今はもう大半が水冷ヘッドモデルのR1200GSの動画ばかりがヒットするようですね。水冷ヘッドのR1200GS(現行はR1250GS)は確か2012年のデビューでしたから、もう8年近く経ったので当然といえば当然ですね。私の愛車である空冷時代のR1200GSはすっかり前の時代のバイクという感じになりました。
それと非常に興味深かったのはBMWやアドベンチャーバイクのカテゴリーは10年くらい前はおじさん達の趣味でしたが、最近は若いライダーも興味を抱かれているようですね。若いライダーの間でR1200GSが話題になっているのは何か嬉しいものがあります。あっ8月に入れ墨の若者集団にR1200GSが囲まれて何故か大人気だった出来事は、もしかして若い人の間で密かにGSブームなのかも…いやそれはないと思いますが。
しかしR1200GSのような優れたツーリング性能、スポーツ走行性能、道を選ばぬ走破性、キャンプ道具を満載できる積載能力、先進の装備を備えたバイクがおじさん達だけの趣味なのは考えてみるとおかしな話です。私がR1200GSを購入したのは34歳の時で自分ではおじさんとは思っていなかったのですが、このバイクのどこがおじさん向けなのだろう?と疑問に思ったのを思い出しました。
今日はそんなR1200GSについて久しぶりに綴ってみたいと思います。
改めて書いてみますが私の愛車は2008年モデルのR1200GSと2013年モデル(2014登録)のR1200GS-ADVENTUREの2台。写真は2008年R1200GSの方でカラーはオリジナルペイントです。
BMWのGSシリーズとは簡単に言ってしまうとオフロードツーリングモデルを意味していて歴史は古くR80G/S、R100GS、R1100GS、R1150GSと進化し、今年でGSシリーズは誕生40周年だそうです。OHVヘッド世代と呼ばれるR100GSまではオフロード走破性やラリーを意識した純粋なオフモデルでしたがR1100GSの世代からコンセプトごと刷新された感じでオンロード性能とツーリング性能を従来のGSに加えた現在のGSの形に進化しました。
そしてR1150GSにビッグタンクを搭載した派生モデルR1150GS-ADVENTUREが登場した時が、最初に【ADVENTURE】の名前が付いたモデルだと思います。ここから日本でもBMWのGSはじわじわ人気になり、重さがネックだったR1150GSは実に30㎏もの軽量化を果たしてR1200GSへとモデルチェンジ。これが2004年にデビューした最初のR1200GSです。

R1200GSは大まかに3タイプあり、サーボブレーキを搭載した初代モデル、電子サスペンションESAをはじめて搭載した中期型、ヘッドがDOHC化された後期型があります。私の2008年モデルは中期型で2013年のアドベンチャーの方は後期型です。
そして2012年にR1200GSは空冷エンジン(オイルクーラーに冷却を依存しているので空油冷エンジンとも言われる)を捨ててヘッドを水冷化した現在のモデルへ進化。別室だったギアボックスもエンジンと一体になり乾式単盤クラッチも普通の多板クラッチに変わりました。
この頃、バイク界はアドベンチャーカテゴリーという従来のビッグオフローダーとは違った新たなカテゴリーに沸いていて各社がR1200GSのライバルとなる車種を売り出しました。BMWもせっかく新たに切り拓いた市場を他社に持って行かれる訳にいくまいとR1200GSの派生とも呼べるモデルでバリエーションを出して応戦。やがてアドベンチャーカテゴリーはビジネス用語で言うレッドオーシャン化。最初のブームから10年以上が経過した現在でもアドベンチャーカテゴリーはバイク界の花型のように存在し続けています。
今、アドベンチャーバイクを買うぞ、となるとR1200GS(R1250GS)の他にもいろいろな選択肢があります。どれもそれぞれに魅力的ですし最新のR1250GSも良いなと思います。予算関係なく今、新車でアドベンチャーバイクを購入するなら…私だったらやはりR1250GSになると思います。
しかし12年以上乗っている現在の愛車、空冷R1200GSが他のなにより魅力的なアドベンチャーバイクだと最近になってつくづく感じるようになりました。もちろん自分の愛車であるという贔屓も入るかとは思いますが、その分を差し引いても他社のアドベンチャーモデルや最新のGSより良いバイクだと思います。
やはり空冷ヘッドのモデルはエンジンの存在感が格別ですし、乾式単盤クラッチも大きなフライホイールの恩恵でジャイロ効果の安定が体感できます。メーターも針ですしハイテクの介入はそこそこ。そこそことは具体的に言うとABSやグリップヒーターはあるけどクルーズコントロールやスマホとリンクするTFTオンボード等は無い…という感じ。適度にアナログを残した現代のバイクとでも言いましょうか。
私にはこれがちょうど良いんです。特に2008年モデルのR1200GS中期型はアクセルを開けると穏やかにトルクカーブを描いて風景が柔らかく流れていく感じ。アイドリングは車体を横に振動させてボクサーツインが存在をアピールしますが、クルーズ速度になれば嘘のように静かになり風の音に集中できる。コーナーも舗装林道も軽くヒラヒラと自在に走り、それでいてどっしり安定している妙。ほんと不思議なバイクなんです。
カメラ選びも同じですが「自分にとってこれがちょうど良い」は必ずしもメーカーがその時にリリースしている最新モデルや業界でブームになっているホットモデルとは限らないものです。
いま私のバイクと同じ空冷R1200GSは少し影を潜めていますので中古市場が落ち着いていてお買い得です。売れに売れた車種なので選び放題ですし中古パーツも増えてきました。
今だからこそ本当の意味でツーリングがお好きなライダーにお勧めです。
空冷R1200GS