究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、前回、前々回と缶スプレーを使ってバイクの外装を全塗装する方法について解説をしております。今回はその続きでクリアーコートと最終仕上げについて書いてみたいと思います。
・前々回の投稿 缶スプレーで全塗装する際の準備、下地処理など
塗装はとにかく手間と時間をかけること。準備するものや耐水ペーパーでの足付け作業、プラサフの吹き付けなどを解説しました。
・前回の投稿 缶スプレーで本塗する工程
缶スプレーにより本塗のポイント。缶スプレーをお風呂くらいの温度にお湯で温める。スプレーする距離とスピード。重ね塗りのポイントなどを書きました。
では続きです・・・
本塗を終えたら1~2日程度乾燥させて耐水ペーパーで水研ぎをします。手で触ってみてザラザラが粗い部分を重点的に1500番で優しくペーパーかけします。ゴシゴシやり過ぎると角になっている部分が下地が見えてきてしまうので気を付けましょう。
水研ぎが終わったら本塗前と同様に中性洗剤で脱脂洗浄します。綺麗になったら清潔な場所で十分に乾燥させます。
本塗の時と同様に缶スプレーを40℃のお湯に入れて温めておきます。今回、ウレタンクリアコートは2本使用しました。
2液タイプのスプレー缶ですので最初に青いキャップを外して突起を地面に押し付けて押し込んでやります。これで内部の2種類の液が混ざり始めるのですね。
よく缶を振ってから逆さまにして放置。この辺の使用法は缶に取り扱い説明が書いてあるので詳細は割愛します。
スプレー方法は本塗の時と同様です。最初にモノに埃などが付着していないか目を皿のようにしてチェックしましょう。吹き付ける直前に軽くフロンダスターで表面を吹き飛ばしておきます。
缶スプレーを30回程度よく振って新聞紙などに試し吹きしてから1回目の吹き付け。1回目は薄く軽くです。25~30cmの一定距離を保ち、タンクであれば端から端まで1.5~2秒程度のスピードで缶を振ります。モノの上で缶を折り返したり止めたりしないこと。
クリアーは今回は3回の重ね塗りとしました。間隔は本塗と同様に10分程度で大丈夫です。缶スプレーが冷えてきたらお湯に入れて置いたもう一本とローテーションで使っていきます。こまめに缶スプレーを振って軽快なカラカラ音を維持させたまま使用します。
1回目、2回目は「ゆず肌」と呼ばれる少し凸凹した感じになってしまうのは仕方ありません。焦って最初から厚塗りしないよう落ち着いていきましょう。ウレタンクリアーの場合、厚塗りでミスってしまうと垂れるだけでなく泡になってしまう場合もあるそうです。
本塗の時も書きましたがウレタンクリアコートの場合でも缶を全て使い切るのではなく10%程度は残すように使います。どうしても最後の方はガスが減って噴射力が不安定になりますので。
10分放置して最後の3回目。スプレーする距離を20cm程度まで近づけて、振るスピードも先ほどが1.5~2秒程度だったのに対して2~2.5秒程度と少し遅くします。怖いですが3回目はそう簡単に垂れないので大胆に厚さを意識して吹いてみましょう。この工程でテカテカの艶が作れるかが決まるのです。
この写真では右のほうは十分な厚さで塗れて凸凹も最小限ですが左の方はザラザラした感じです。こういった部分を残さないよう良く見て最後の吹き付けを行います。
ウレタンクリアコートが終わったら塗装作業は完了です。この状態で数日は乾燥させましょう。本塗と違ってウレタンクリアコートは少々硬化が遅いようです。
充分に乾燥させたら再び水研ぎです。手で触ってみてザラザラした部分は1500番、その他の部分と最終仕上げは2000番で優しくペーパー掛けします。
ゴシゴシやり過ぎないように気を付けてくださいね…。前回も書きましたが特に角になっている部分が削れやすいので面に意識して優しくかけてあげます。写真のようにペーパーを小さく切ると作業しやすいのですが、ペーパーの角で逆に傷を付けてしまいました…。耐水ペーパーを小さく切るのはお勧めしません。
水研ぎが終わったら細目コンパウンド、極細コンパウンドの順で磨き上げます。不要なTシャツなど軟らかい布を用意しましょう。
マスキングテープを使ってステッカーの位置決めをします。この切り文字ステッカー、純正ではありませんがタンクに貼るには丁度良い大きさでした。メルカリで1200円で入手しました。
ステッカーを貼った上からウレタンクリアコートを吹くべきか悩みましたが、もしステッカーがクリアーコートの成分で縮んでしまったら…と考えると恐ろしかったので、念のためステッカーはクリアーを吹いた後にしました。
最後にワックスをかけて完成です。気になる完成度ですが…自家塗装として考えれば私としては十分に合格点だと思います。もちろんプロに依頼した場合と比較してしまえば劣りますが材料代だけで1.5万円くらい(特注色でなければ1万円くらいで済むと思います)で経済的ですし、自分で作業したことで愛着もひとしおですしね。
3回にわたって詳細に解説してみました。興味のある方はぜひバイクのカウル、外装の缶スプレー自家塗装にチャレンジしてみてくださいね。
~今回使ったもの全て~ ・中古外装部品 クチバシ、タンクカバーの2点 ・ホルツ MINIMIX タンタシオンヴィオレ缶スプレー 4本 ・ホルツ グレー プラサフスプレー 2本 ・ホルツ ウレタンクリアコート 2本 ・ホルツ 細目コンパウンド、極細コンパウンド 各1本 ・耐水ペーパー 320番、600番、1000番、1500番、2000番 各1枚 ・タンク用のR1200GSのステッカー 2枚 ・その他、フロンダスター、中性洗剤、ワックス、段ボール、ウエス等
実際にR1200GS-ADVENTUREに装着する様子はまた後日にご紹介いたします。
今回はこの辺で。