写真にSTORY性を加える方法

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、少し前に大賀蓮というお花の写真で写真解説をしましたが、今回も大賀蓮を使って解説を書いてみたいと思います。当ブログはバイク写真、ツーリング写真がメインですが最近はコロナ自粛と悪天候の関係で全くバイクに乗れていませんので、解説に使うツーリング写真も在庫不足なもので…。

さて今回は「写真にSTORY性を加える方法」と題して、1枚の写真の中に被写体や情景から感じ取れるSTORY性を表現するにはどうしたら良いか?を書いてみたいと思います。

と、その前にまずはこちらをご覧ください。

二輪の大賀蓮の様子を撮ったものですが手前側は蕾が開き始めたところ、奥側は満開です。この構図は蕾から間もない花と満開の花の両者を写すことで「時間」を表現した作品として構図しています。よって両者の大きさを等しく対角に配置しました。しかし両者に意味を持たせたのでピントは両者共にしっかり合焦させたいですよね。左側では手前の大賀蓮にしかピントが合っていません。被写界深度が浅いのです。




この時、前回の早朝の池と違って晴れていたので十分に明るい状況でした。「明るいから絞れる」ビギナーの方はこれを是非覚えてください。

二輪の大賀蓮の距離は80cmくらい離れていました。焦点距離は350㎜の望遠、カメラディスタンス(カメラから被写体までの距離)は約3mです。ところでこのコロナ騒動のお陰で「ディスタンス」という言葉がすっかり浸透しましたね。これを機に写真ビギナーの方もカメラディスタンスという言葉を覚えてくださいね。

この場合、二輪の花の両者にピントを合わせたい場合の絞り値はF22になります。しかし曇っていたり光量が足りないとF22まで絞ればシャッター速度が落ちます。いくらカメラを三脚にしっかり固定しても、蓮は水に浮いているので無風でも微妙に揺れています。もちろんISO感度を上げればシャッター速度を落とさずに済みますが、この雰囲気の写真で感度を上げるのは躊躇われます。明るいからこそ絞れるという好機だったのですね。

さて本題ですがこういった静かなる被写体にSTORY性を加えるにはどうしたら良いでしょうか?ここからは作者の想像力の領域です。目の前にある情景から様々な情報を視覚し、それを認識して動いた感情に見合う表現手法をsearchします。

花は花びらの図形要素と蕊によってフィボナッチスパイラル(黄金螺旋構図)が使いやすいです。このように撮れば最強の黄金比を使った訳ですから誰の目にも「しっくり」くる写真が出来上がります。しかし悪くはないですが自分なりに大賀蓮の魅力を伝えきった作品が成立したか?と聞かれれば微妙です。私としてはこれでは釈然としません。

1:1.618の比率に基づいた黄金螺旋構図(フォボナッチスパイラル)




もっと想像力を働かせて比率やデザインなどのセオリーに縛られないイメージを作ってみましょう。池を見渡して別の花を探してみます。いちど「完璧な写真」を忘れて感動の受け皿を自分のお気に入りのお皿に交換してみる感じです(よく分かりませんが)。一つも傷んでいない完璧なお花にこだわる必要はありませんよ・・・という意味です。

そこで終わりを予感させるこんな一輪を見つけてみました。半分以上の花びらが散っていますが、それでも残っている花びらの美しさ、そこに咲き続けようとする生命力に勇気をもらえるような花でした。面白いと思ったのは下の葉が風で裏返っている様子です。この部分をうまく重ね合わせて乱れている中に秩序とユニークさを加えてみました。

ここまで変化させれば、きっと多くの人に図鑑写真とART写真の違いが理解できると思います(たぶん…)。




最終的にSTORY性を表現という意味で納得のいく1枚(その撮影現場で)にしたのがこちらです。落ちた花びらが緑の葉の中心に落ちている様子に儚くも美しい感動がありました。花の様子は先ほどの1枚と違って少し悲しげにも見えますが、終わりは必ず訪れること、誰も止めることの出来ない時間の流れ…その儚さを一枚に収めてみました。

ところで今回撮影したこの大賀蓮の咲く池ですが、池の前は道路になっていて撮影時間は朝の通勤ラッシュで渋滞していました。多くのドライバーは写真を撮っている私の様子を不思議そうに見ていたと思います。カメラマンがわざわざ撮りに来るほど価値のある花なのか…と興味を示す人、装着しているレンズに「あの望遠レンズは幾らするのだ?」と機材に興味を持つ人、スマホに夢中の人。

中には私が写真を撮っている様子を見て、車を停めて私の近くにやってきて蓮をスマホで撮っていく人もいました。私以外に望遠レンズを持ったカメラマンは数名いましたが、彼らに話を聞くと「蓮自体はどうでもいいんだよ、蓮にとまるカワセミ狙いなんだ!」とのこと。私も600mmの望遠を持っていたので「あなたもカワセミを狙ったほうがいいよ!」と言われました。私は「狙う」ではなく「受け皿」タイプなのでご遠慮させていただきましたが。

多くの人々の日常空間の中に咲いていた大賀蓮。時間の流れと幸福と美の関係について再考させられる撮影時間でした。それとともに写真をやっていて自分は本当に良かったなと感じた1日でしたね。

今回はこの辺で!!

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