
ツーリング写真とはバイク旅の記憶風景であるべきだと思う。
バイクツーリングという「旅」をテーマにした写真であるからには
記憶に残る風景、記憶色に染まった風景を写真にしたい。
いや、あえて荒唐無稽な言い方をするとツーリング写真は時間を逆に流すこと。
現実には旅で見た風景は記憶に刻まれ、後にその記憶の中の風景を回想する。
「あの時、海に沈んだ夕陽が格別に美しかったな…」
時が経つにつれて記憶風景は曖昧になり、そして美化される。
その時にイメージに描く記憶色の絶景こそが真のツーリング写真。
つまり時間を逆に流すとは何年も後に回想するであろう旅の記憶風景を
いま作り上げること。
記憶になるであろう風景を記録するのだ。
むずかしいのは現実の風景とのギャップだ。
写真機は現実を写す機械だから原則として偽りが許されない。
しかし見たままのRealが必ずしも記憶風景になる訳ではないのだ。
20年も30年も前に見たツーリングの風景は写真にしていないけど
記憶の中で儚く輝いている。
そんな記憶風景を事前にイメージして持てる力を発揮して撮るんだけど
これが言うほど簡単ではない。
でもそうやって撮りたい。
記憶になるであろう風景を記録するのだ。
