バイク写真に適したレンズの選び方

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、前回の投稿でツーリング写真、バイク写真におけるはじめてのカメラ選びについて書いてみました。

今回は「よし、では一眼レフでいくぞ!」と決めた方向けに使用するレンズはどのようなものを選べば良いのか?を書いてみたいと思います。

前回もこの投稿も写真のビギナーの方を対象に書いていますので、カメラとレンズの話によく出てくる焦点距離(画角)、あるいはズーム機能のことについて最初に触れておきたいと思います。

望遠レンズで撮った作例

カメラの構造は人間の目によく例えられます。人間の目にもカメラと同様の光学的なレンズがあり、明るさを調整するための絞りもあります。しかしカメラとの決定的な相違点の1つとして目は望遠にしたり視野をワイドにする機能がありません。

そのため写真のビギナーは望遠やワイドで撮った場合、目の前の景色がどのように写真になるのかを感覚的にイメージできないものです。多くの人は望遠は遠くの物を大きくする、ワイドとは撮れる範囲が広がるもの、と知ってはいますがそれをツーリング写真で応用する術を知りません。

望遠や広角をツーリング写真でどう使うのか?これを理解しないとレンズ選びも自分がどの範囲までの画角を必要としているのか決めることができないのです。

1枚目と同じ場所で広角レンズで撮った作例

そこで大まかにツーリング写真でのそれぞれの画角の使い方を解説してみたいと思います。広角、標準、望遠レンズ、それぞれの特徴を生かしたツーリング写真の作例をご紹介しますので、それを見て好みの焦点距離を探ってみてください。

※ここから先の解説では焦点距離を数値で表記していきますがフルサイズ機での表記となります。一般的なAPS-Cセンサーの一眼レフは35mm換算(約1.5倍)として計算してください。

例:EOS KISS、EOS80Dなどに50mmレンズを装着すると81mmになる。

EOS5D、EOS6Dなどに50mmレンズを付ける場合はそのまま50mm。




・広角レンズ

EOS1Dx + SIGMA35mmF1.4ART

24から35mmくらいまでが一般的に広角と呼ばれる画角でそれより小さいと超広角または魚眼レンズとなります。ツーリング写真では風景が主体となるツーリングシーンの作画に活躍するレンズです。

空一面にひろがるウロコ雲、巨大な被写体を画面内に収めたいシーン、砂紋、広がり感、雄大さなどの表現に使います。画面内でバイクを小さく写して景色の雄大さ、偉大さを表現しましょう。

画面の四隅周辺に歪みが出るのでバイクや建物などの人工物を大きく撮ると不自然な写真になります。人物も大きく撮ると太って見えたり美人が台無しになったりします。バイクを美しく、大きく撮りたい人は35mmくらいを広角の限度としてみましょう。

出来あがった作品の印象としては観賞者が写真の世界に吸い込まれるような雰囲気になります。

・標準レンズ

EOS6D Mark2 + EF50mmF1.8STM

標準レンズは50mm前後の焦点距離で人間の肉眼の様子に近い画角です。広角や望遠レンズのように空間に変化を与えないので自然に見えるのが利点です。よって写真を見る人がその場所にいるような臨場感ある写真が撮れます。

上の写真では観賞者がライダーの数メートル後ろで本当にその場所に居るように感じる写真が出来上がります。標準レンズの「自然な感じ」とはこの事です。

またバイクを大きめに撮るツーリング写真でも、歪みはほとんど気にしなくていいので、愛車カットもたくさん撮りたい人にお勧めできます。

一般的に写真の世界では50mmにはじまり50mmに終わると言われるほど、標準レンズは基本のレンズと言われています。何を撮るにも万能でもし何かの理由で1つのレンズしか持って行けない…となった場合は迷わず50mmとなります。

・望遠レンズ

EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L

85から135mmくらいが中望遠、200mm前後が一般的な望遠レンズ。それ以上は超望遠レンズです。望遠レンズと言えば遠くの小さなものを大きく写せるという事はビギナーの方でも知っていると思います。さらに詳しく付け加えると写せる範囲を狭くする、空間を圧縮する(密度を上げる)、背景や前景をボケやすくする、といった特徴もあります。

取り扱いの上では手ブレしやすく手持ち撮影に限度がある、僅かに向きを動かしただけでも画面が大きく変わるのでアングルの調整がシビア、大きくて重いなどが挙げられます。しかしコンデジやスマホでは無しえない作画が可能なので一眼レフならではの写真を撮ることができます。

ツーリング写真では特定の被写体に存在感をもたせたり、ライダー+バイクを主題とする作品に活躍します。上の作例ではオオハンゴンソウの密度を上げて背景をボカしています。こういった表現は望遠レンズならではと言えます。

その他、空間をぎゅっと圧縮して被写体にドーンという存在感を持たせるインパクトある写真が撮れます。

望遠レンズを使って被写体を寄せたい!という要求が発生したとき、まず最初に発生する課題は撮影スペースです。後ろに大きく下がれる広い場所でないと無理なのです。これ大事なポイントなので覚えておきましょう。

そして望遠レンズで解放値も明るいレンズとなると大きく重く、そして高価なものが多いです。バイクで持ち歩くには積載方法を工夫しないと少々厳しいです。




・ズームレンズについて

ズームとは画角を自由に調整できる機能のことです。逆に調整できず画角が固定されているレンズを単焦点レンズといいます。現代の多くのカメラ、レンズはズームレンズが主流であり、単焦点レンズの方が何らかの理由に拘る玄人向けであると一般には解釈されています。

ズームレンズと一言でいっても例えば14-35mmなら広角ズームレンズ、24-70mmなら標準ズーム、70-200mmなら望遠ズーム、14-300mmといったら高倍率ズームといった具合に種類があります。

昔は単焦点よりもズームレンズは描写力に劣る、なんて言われていましたが現代ではその差はかなり少なくなりました。出来上がった写真だけを見て単焦点レンズで撮ったかズームレンズで撮ったかを言い当てるのは実際に難しいです。

ツーリング写真では極力、持っていく撮影機材のボリュームを抑えたいのでズームレンズの選択が賢明であることは疑う余地がありません。ビギナーの方の最初の投資という意味でも、何本もレンズを買うよりはズームレンズで済ませた方が経済的です。

私の個人的なお勧めはある程度のキャリアを積むと自分の得意な(好きな)画角というのが決まってきます。私の場合は35mmです。そういった得意な画角ができたら、その画角だけは単焦点を使用するといいでしょう。単焦点は解放が明るく軽量コンパクトで独特の描写があるのは確かです。

最初は24-70mm標準ズーム、または少し広角よりのズームレンズで大丈夫です。例えばキャノンのAPS-C一眼レフでしたらEF-S18-55㎜F4-5.6IS STM なんか軽量ですし最初のツーリング写真用レンズとして良いのではないでしょうか。

・軽量なレンズを選ぼう

50mm標準単焦点レンズ 左:SIGMA50mmF1.4DG ART 右:キャノンEF50mmF1.8STM

解放F値が明るく高級なレンズほど大きくて重量のあるものです。写真は左がSIGMAの50mmレンズで解放1.4のARTシリーズ、右はキャノンの通称撒き餌さレンズで同じく50mmで解放はF1.8です。しかしご覧のように大きさも重量もSIGMAの素晴らしき芸術レンズと比べて撒き餌君は半分以下です。

撮影機材のボリュームは実際にバイクで持って行けるか否かではなく、写真に対するモチベーションの問題です。どんなに重く大きい撮影機材でもその気になればバイクに積めない事はないです。バズーカ砲のような巨大なレンズだって、どうしてもそれでないと撮れない写真がイメージにあって、それを実現させようという火のような情熱があれば持って行くことが出来るでしょう。

しかし人間の心とは不安定なもので「写真をやるぞ!」と決意したときと、ある程度の期間が経ったときでは情熱の温度に変化があって当然です。たまには身軽にバイクに乗りたいと思う時があるものです。そんな時に重いカメラ、レンズを見てうんざりしてしまうなら最初から軽量な装備で整えておくのがおススメなのです。

ちなみに私がいま愛用している50mmはキャノンの撒き餌君でございます。

・で、結局おすすめは?

はい、お勧めはズバリこうです。

・パターン1<ズームレンズ1本で軽量装備> 24-105mmF4あたりの高倍率ズームを1本で勝負。実はF4だとそこそこ高価で軽量とも呼び難いのですが、1本で済ませるという意味で軽量であり経済的でもあります。この場合24mmで風景主体のツーリング写真、50mmや85mmあたりで愛車カット、105mmでライダーポートレート、道を主題にしたツーリング写真が撮れます。

・パターン2<ズームレンズ2本でバリエーション> 24-70mmと70-200mmの2本のズームレンズで勝負。もし予算があればF2.8通しのレンズを選んでみましょう。高価ですが一眼レフらしい写真が撮れます。200mmの望遠域は迫力の愛車カットや美しいボケ具合で表現するツーリングシーンにぴったり。純正にこだわらずTAMRON、SIGMAでもよければ現実的な予算になってきます。バイクへの積載方法はカメラバッグをリアに積載、トップケースなどを検討しましょう。

タムロンで型遅れなら価格も現実的




・パターン3<望遠ズーム1本、広角or標準単焦点1本> 70-200mmの望遠レンズを1本、28、35、50mmあたりの広角~標準の単焦点レンズを1本チョイスします。望遠は「それ以上は下がれない…」というスペースの問題が多々発生するので、最終的な微調整でズームがあると便利です。一方で広角や標準はバイクなどの被写体に足で寄ればOKなので単焦点を選択してみましょう。単焦点は明るい解放値、美しい描写、軽量コンパクトさを生かしたツーリング写真に活躍します。

・パターン4 <単焦点1本で楽しむツーリングスナップ> 35mmまたは50mmの単焦点1本だけで出かけてみましょう。これは身軽さ気軽さが最大のメリットです。出かける時に気負わず「何かを発見したら楽しいだろうな」という旅での出会い、発見をテーマにスナップ的に撮るツーリング写真です。私もこのパターンでよく出かけますが純粋に「写真は楽しいな」と思える1日になります。ほんとに不思議なんですけど持って行く機材が身軽なだけで何か楽しいんです。そんな日に撮れる写真に限って素晴らしい1枚があったりします。

いかがでしたか?今回ご紹介したことはあくまで目安として参考にして頂ければと思います。広角レンズでバイクを大きく撮っても何か理由があってやるのであればOKですし、望遠レンズで雄大を表現することも不可能ではありません。写真をやっていくとキャリアと共にご自身のスタイルというものが決まってきますので、その時にレンズバリエーションをいちど見直してみると良いと思います。私なんかはかなり極端ですけどね。

それとレンズは高価ですので万一の故障や紛失などを考えると、あまり高いものはおススメできません。高級なレンズは多くの場合で重量もありバイクツーリング向きのレンズとは言えません。低予算で揃える秘訣はSIGMAやタムロンの型落ち、中古を狙うことです。そこである程度やってみて、もし必要になったらその時に高級なレンズを検討してみましょう。

今回はこの辺で!!

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