究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今回は<初級>ツーリング写真解説として基礎的なことを解説してみたいと思います。…と本題に入る前にこの写真を見てください。
これ、串刺し構図といいます。被写体の中心に直線状の物が矢のように突き刺さっている構図です。一般的に最悪の構図と言われる悪い構図の代表選手です。
上の写真はまだバイクなので良いですが、これが人物だと縁起でもない写真の出来あがりです。撮られたモデルさんも決して嬉しくはないと思います。
SNSなどで標識のポールや樹木などがバイクの真ん中を射抜いている構図は割と見かけます。垂直に立つ棒状のものに限らず建物の境界など写真になったときに「線」になるものは串刺し構図の材料になるので気を付けましょうね。
もしどうしても垂直線を避けられない場合はせめて中心を抜かないよう1/3単位の位置でずらすと被害は劇的に軽減されます。

これは千葉市のランドマークである千葉ポートタワーです。左はポートタワーが見事にR1200GSに突き刺さっています。これはマズいと思ってアングルを高くし、刺さっていた物を抜いたのが右側です。しかし写真全体として考えると左の方がバイクがカッコよく見えるアングルですし、地面に入った影も魅力的ですね。両者とも問題をかかえた写真でフィニッシュに至っていません。この撮影シーンでの完成写真は後日ご紹介します。

一方でこんな写真もあります。先日も書きましたが私はこの1年でRoad trip photo なるジャンルをバイク写真の中に定義して、新しい写真に挑戦するつもりです。それを試した1枚がこれです。構図やら露出やら写真の構造を感じさせないシンプルな1枚で何かを訴える…そんな写真です。しかしこの写真、よく見るとR1200GSに電柱が突き刺さった串刺し構図です。
しかしこの場合は「撮り方なんて〇〇くらえだ!」という”撮り方”なので敢えての串刺し構図を放置です。このように作風に合わせて何をやろうが作者の自由。写真に絶対といえるルールなんてないものです。面白いですね。
さて、前置きの方が長くなってしまいましたが今回は<初級>ツーリング写真の解説としてコントラストについて優しく解説してみたいと思います。

コントラストとは本当によく聞く単語ですよね。簡単に言ってしまうと写真の中で明るい部分と暗い部分の差の大きさという意味です。ツーリング写真のような屋外での風景写真の場合は主な光源は太陽光な訳ですが、太陽がしっかりと出ている時に撮る写真でコントラストを得ることができます。
上の作品のように夕陽に向かって逆光で撮ることで、強烈な太陽光の部分と、それが当たった被写体の影の部分で明暗差が大きく、結果ドラマチックで印象的な写真が仕上がります。
こういった場合でカメラの評価測光は多くの場合で正しく機能しません(撮影者がこう撮りたい、というイメージとは違った露出になる)。露出補正やマニュアル露出でイメージに近づけるようコントロールしましょう。

コントラストは無いよりはあったほうがいい…と一般に言われているようですが、そのように覚えるのは間違いです。この作品は先ほどとは逆にコントラスに乏しい写真、フラットな写真といいます。曇天や雨天時など天気の悪い時に撮れる写真ですね。フラットな表現は明暗差がない代わりに中間階調が豊かになりふんわりとソフトな印象の写真になります。
一面に咲くコスモスのお花を女性的に表現したり、霧多布岬のように霧に包まれたツーリングシーンなどでよく似合うのがフラットな表現です。
こちらも同様にカメラの評価測光ではイメージ通りの露出が得られないことが多いので積極的に露出補正をしてみましょう。
カメラの設定やレタッチのソフトでもコントラストの調整機能がありますが、コントラストが強すぎてドギつい場合やフラットすぎて印象に欠ける場合などに微調整してみましょう。やり過ぎると中間階調など失われるものも多いので慎重に。
ツーリング写真の基礎的な知識として「コントラスト」覚えておきましょうね。
今回はこの辺で!!