オートモードおじさんを卒業して「写真家宣言」をしちゃおう

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究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、冬のボーナスは何か買われましたか?むかしから今の季節になると年末商戦なんて言って家電やらカメラをよく買ったものですよね。

ボーナスで何か良い物を買うなんて最近はあまり流行らないのかもしれませんが、何となくこの時期になると1年間のご褒美として何かが欲しくなるのは私だけではないはずです。

そして今の時期によく私がいただく質問は「カメラを買い替えようと思うんだけど・・・」といった新型のカメラや高級なレンズに関わる事です。新しいカメラやレンズ、欲しいですよね。そのお気持ち私もよく分かります。

SNSのタイムラインに度々登場する新製品の広告やメーカーと契約した写真家のコラムなどを見ると物欲が刺激されるものです。しかし物欲が反応したというきっかけで新型のカメラを手に入れても撮る写真には何の変化もありません。いいカメラやレンズを手に入れれば自分もいい写真が撮れるようになる!というのは完全に幻想です。




その昔、リサイクル品を販売するECサイトで写真撮影をする仕事をしていました。ブランド品、時計、古酒、カメラ、スポーツ用品、コレクションなどなど、いろんな物が全国の買取店から集まって、ひたすらネット出品用に写真を撮っていくという仕事です。その中で印象に残っている買取品は1人の方から買い取った40台くらいのカメラのセットです。古い順にニコンのF、懐かしいPENTAXやミノルタ、キャノンオートボーイ、静音シャッターのEOS-QD、何台ものレンジファインダー、初代キスデジ、初期のCOOLPIXやサイバーショット、サンヨーのデジカメなどなど。特にこだわりなくメーカー、年代が混在の大量のカメラです。

こういった品は大抵は遺品です。四十九日をすぎてご家族が故人の所有品を処分しにリサイクル買取店に持ち込むのですね。これだけのカメラを買い替え続けて果たしてこの方は良い写真が撮れたのでしょうか?撮れたのであれば安心ですが、そうでなかったら寂しいですね。日本は世界に誇るカメラメーカーがいくつも存在しますが、写真文化はお世辞にも良いとは言えません。カメラさえ新型に買い替えれば良い写真が撮れますよ!というプロパガンダを何十年と続けて消費者は自身がカメラ好きなのか写真好きなのかもハッキリ答えられないまま、何台ものカメラを買わされてきたのです。

自分の使い方に合ったカメラ、撮りたい写真を実現するための道具としてカメラやレンズ選びは大変重要ですが、常に最新である必要はないと思います。旧型は画質や機能が見劣りするかもしれませんが、案外とそういったものは出来あがった写真に大して影響なかったりするものです。もしカメラが旧式ではダメだという事であれば昔に撮影されたロバートキャパやアンセルアダムスなどが撮った歴史に残る傑作は現代に見れば駄作になるでしょう。そんな事は絶対にないですよね?

こういった事を分かりやすく一言で表現するのに「カメラなんて何だっていいんだ」的なことをよく耳にします。しかし私の個人的な意見としては「何だっていい」はちょっと言いすぎだと思います。

例えばこんなカメラ。最近はスマホカメラ機能の進化により需要がすっかり細くなりましたが、15~20年くらい前に売れに売れた普及型のデジカメです。もし今でもこういったタイプのデジカメを愛用されているのでしたら、そろそろ別のカメラに買い替えた方が良いかもしれません。

こういった普及型のデジカメは露出もISO感度もホワイトバランスも…全てにおいて平準に無難に撮るカメラです。画質の観点で大失敗こそないものの、これといって表現の世界で有効となる長所をもっていません。光学系や撮像素子などは極端に悪い訳ではありませんが、何より直感的にマニュアル操作できないので撮り手が「こうしたい」といったシーンで即座にコントロールできないものです。

もちろん写真のIXYを悪く言っている訳ではありません。カメラで写真を撮るとは人類にとって実に多岐にわたる行為で必ずしも芸術やドキュメンタリーといった表現者のツールではありませんから。例えば公園や公共施設を管理している会社でアルバイトの人に「巡回時に不審物や落書き、設備の破損や変わったことがあった場合は写真を撮ってきてください」とお願いするのに、会社から貸与するカメラとしては最高のカメラだと思います。スマホを持っていない年配の方にも旅行や行事の記念写真用として簡単に操作できて良いと思います。




ではどんなカメラが良いかと言うとコンデジであればこのようにマニュアル露出できるタイプのカメラです。絞りやシャッター速度をコントロールできる、露出補正が直感的に操作できる、ピント位置をマニュアルで容易に調整できる。中級機種以上であれば古い新しい関係なく、多くのカメラに当たり前のようについている機能です。

キャノンの場合はシリーズ名で分かりやすく分類されています。IXYシリーズは卒業してPowerShotシリーズにしてみましょうという事です。もちろん一眼レフのEOSでも大丈夫です。ちなみにEOSとはオートフォーカス機能が搭載されたカメラを意味していた…と記憶しております。

EOS6D Mark2

しかしマニュアル露出できるカメラを手に入れても、いつもPモード(プログラムオート)でシフトや露出補正を全くしないのでは、普及型コンデジを使っていた頃と写真に変わり映えはありません。

オートモードとは誰でも知っている単語ですが、主に露出やホワイトバランスをカメラのコンピューターに丸投げしたモードのことです。オートモードは画質の観点で大失敗こそないものの、あなたが憧れる傑作写真など決して撮れないモードと覚えておきましょう。

上の作品はカメラが決めた露出値に対して1段もマイナス(暗い)の露出値です。倒れた廃船の傷んだ船体の様子を表現するためにこのような露出で魅せています。晴天の日中であるにも関わらず青空や海がやたら暗くなってしまいましたが、重要な1つを表現するためこれで良しとしています。

こういった感じで写真についての見識を深めていくと、自然とカメラやレンズに対して「こうしたい」という要求が発生します。その時に直感的に操作できるカメラが必要なのです。




EOS1Dx + SIGMA35mmF1.4ART F9 1/200 ISO100

もう1つ作例を。同じく廃船を被写体にしたツーリング写真ですが、こちらは縦構図で前景に船首を入れて奥行きをつくった構図です。朽ち果てた船首の様子を表現するのに手前からピントを合わせたパンフォーカスに近い深度です。このように撮るためにF9まで絞り込みました。

どんなに最新のカメラでもどんなに高級なカメラでも、その撮影シーンであなたが感動したこと、それを表現したいと描いたイメージを自動で写真にするコンピューターはカメラの中にはありません。アップルのSiriやIBMのWatsonのようなAIが進化し将来的にこのようなメーカーが本格的なカメラを作るようになったら分かりませんが、少なくともこれを書いている2019年現在では、そのようなカメラはないです。

まるで何かに洗脳されたように「いや~私はオートモードで十分」と口にする方は今でも多く見受けますが、これから写真をやっていきたい、いい写真が撮りたいという願望があるのであればオートモードおじさんは卒業しましょう。

そしてこれを読んでいる今日を記念日に写真家をちゃっかり名乗ってしまいましょう。普通にサラリーマンをしている方も定年退職して穏やかな日々を過ごしている方も「私は写真家です」と名乗ってしまえば、間違ってもオートモードはもう使わないはずです。

  ~まとめ~

・オートモードで撮るのは今日でやめる

・新型のカメラ、高級なレンズは必要になったときに買おう

・普及型コンデジは買い替えてマニュアル露出できるカメラを使おう

・写真への見識が深まれば自然とマニュアル操作するようになる

・今日から写真家を名乗って生きていこう

今回はこの辺で!!!

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