写真は事実を忠実に伝えるか?演出を加えて撮るのか?

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究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、街はもうクリスマスムード一色ですね。クリスマスで飾られた夜の街の風景、なんだか子供の頃から好きなんですよね。子供の頃、家に飾ってあったクリスマスツリー、今みたいに光ファイバーではなく電球が点滅するだけでしたが、部屋を暗くしてずっと見ていた記憶があります。クリスマスは外国からの文化ですが日本に定着して何十年も経っていると思うと日本文化と言っても良さそうですよね。冬の日本を演出するクリスマス…良いではありませんか。

さて今回はツーリング写真、バイク写真の撮り方などの具体的な解説ではなく写真の演出について触れてみたいと思います。

演出と聞くとドラマや映画などの映像作品、または舞台などを連想する人が多いと思いますが、写真における演出とは一体何でしょうか?

構図を巧妙に組み立てる事、望遠や広角レンズを使うこと、モデルを笑顔にすること、バイクの角度を変えること、前景に花を置いたこと、ストロボを発光させること、シャッター速度を遅らせて流し撮りすること、絞りを開いて背景をボカすこと…まだまだ沢山ありますが、写真を魅力的にするために何らかの手法を用いれば、それが演出だと思います。

演出の反対はナチュラルです。肉眼と同じと言われる画角50mmで撮り、事実をストレートに表現するため、ありのままの被写体、情景を切り取った写真…とでも言いましょうか。

しかしどこまでがナチュラルでどこから演出となるのか定義することは難しいです。

蜃気楼かすむ 北海道ツーリング エサヌカ線

この写真は北海道ツーリングで撮った作品ですが、気が遠くなるような直線路であるエサヌカ線で600㎜の望遠レンズに×2エクステンダーを装着し1200mm相当の超望遠で撮った写真です。なぜこのような撮り方をしたか?というとユラユラと蜃気楼にかすむツーリングライダーを抽象的な表現で作品化したかったからです。




このような現実の様子とはかけ離れた表現方法は明らかな演出を加えた作品と言えます。演出を加えた撮り方はキャリアを重ねていくと「こうゆうのは邪道なのかな?」と悩む時がきます。または発表したときにナチュラルではない表現手法に苦言する人が現れるかもしれません。「こんなスゴい望遠で撮ってインチキじゃないの?」とストレートに言う人はいませんが遠回しにそういった内容をコメントする人はいます。

では演出は果たしていけないことなのでしょうか?

リコー GR APS-C

この写真はS字曲線を持つ被写体を利用して、画面の角から導線を進入させ最終的に被写体(R1200GS-ADVENTURE)に接続するという手法を取り入れました。バイクの位置、境界線、右上の倉庫の面などを3分割構図に準じて構図しました。これも複数の手法を使って写真に演出を加えたものです。当ブログで何度も解説してきた「主題へ導く写真デザイン」「被写体を魅力的にする魅せ方」といった類のものです。

一見、こういった撮り方、魅せ方による演出は「えっ?なにが悪いの?」と思いますが、写真とは事実を忠実に伝えるものこそが正義である!というナチュラル派の考え方も存在するものです。ナチュラル派から見れば望遠レンズを使ったり、導線効果を利用したりといった手法は邪道であり、真の写真ではない!という事らしいです。

もちろん、こういった考え方を否定するつもりは毛頭ありません。多くの先人写真家が拘りぬくナチュラル写真は素晴らしい写真ばかりです。私もいつかナチュラルな写真を撮ってみたいと憧れを抱きます。ただ1つだけ確かなことは写真ビギナーがいきなりナチュラル写真を目指すとおかしな事になる…という事です。

ナチュラル派とは特にスナップ写真の世界では事実を元に瞬間として切り取った作品は素晴らしいと思います。有名な話なのですがフランスの写真家ロベール・ドアノーの作品に「パリ市庁舎前のキス」という作品があります。当初、偶然の瞬間を切り取ったスナップ写真として、これこそが真のナチュラル写真である!とナチュラル写真派から高く評価されたそうです。ところがドアノーはパリ市庁舎前のキスを発表した何十年も後にこの作品のモデルと裁判沙汰になり「写真を撮りたいのでもう一度キスをしてください」と注文をつけた事が世に知れてしまったのです。つまりパリ市庁舎前のキスはナチュラル写真ではなく演出だったのですね。

多くの評論家はこれを受けて動揺したそうです。ナチュラル写真を支持している偉大な人たちが演出とナチュラルの見分けがつきませんでした、という事が明るみに出た訳ですからね。

この事から完全なナチュラル写真を追求するのは、そもそも無理があると言えると思います。




RICOH GR APS-C

その昔、ヘタウマ写真というのが流行したときがありました。意図的に構図やバランスを崩したり、ブレや甘いピントで撮る写真です。リアル感だけでなく見る側に「これなら私にも撮れそうだから」と思わせて親近感を誘う写真とも言えます。むかしはキレイに撮ること自体がハードルが高く、キレイに撮れればプロ級という時代がありました。故にキレイに撮られた写真作品は雲の上のような存在と思われていました。そこでヘタウマの登場は新鮮だったのですね。

しかしヘタウマ写真は「ヘタっぽく撮る」という撮り方の1つとしてあっと言う間に定着したため、短期間で廃れてしまった写真ジャンルです。

写真というのはカメラという機器で事実を元に生み出すのですから事実をどう魅せるか?を自身の中でしっかり考え方を持っておく必要があると思います。事実の中に存在するコト、モノを感情に響くよう表現する手段として撮り方やレンズの選択などが存在します。「自分の場合はこうだ!」「これが私流です!」という確固たるスタイルを確立させておきましょう。




そうすればナチュラル派のコメントを受けても動揺することはありません。またそのスタイルはキャリアとともに変化していくものです。ある時期はナチュラルを追求しても良いですし、またある時期は望遠レンズに凝ってみるのも良いと思います。

スタイルは写真を愛して写真に対する見識を深めていけば自然と身に付いていくものだと思います。

今回はこの辺で!!

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