中央自動車道だろうか。
これといってビール工場や競馬場の風景が見えた訳ではないけど、中央自動車道は何となく雰囲気が独特だ。私は深夜の高速道路を淡々とR1200GSを走らせている。前にも後ろにも車はいない。そしてひどく寒い。
ふとミラーに目をやると懐かしいイエローバルブの1灯がかなりの速度で追い上げてくる。それは私のR1200GSの近くまで来ると減速して真横に並んだ。NSR250R-SPだ。しかし全体が昔のローリング族のような改造で原型をとどめていない。
乗っているライダーは革ツナギだがクシタニをコピったプリカーナ製で昔、上野のバイク街で売っていたヤツだ。…まてよ?この格好はどこかで見た覚えが。
そうだ、高校時代の同級生のSだ。もう20年以上は会っていない。いったいどうしてここに?しかし根拠はないが横に並んだNSR250R-SPが間違いなくSである確信はあった。
Sは私の方をじっとみたままAraiアストロのシールドをパカっと開いた。その瞬間、凍り付いた。顔が無い。いやヘルメット内がからっぽなのだ。
数秒の空白のあと、からっぽのヘルメットの中は突如「ボワン」と目が光り私はさらに恐怖に怯えた。その光る目はアメーバーのような形だった。
「あの時、俺はブレーキが効かなかったんだぞ!!」
からっぽのヘルメットからではなく耳元でささやかれた感じで背筋がゾワっとした。
あの時ってあのブレーキレバーが折れて赤信号の交差点に突っ込んだあの時??
※参考文献 こちら
「そんな今さら恨まれてもあの時は結果、事故にはならなかったし。そもそもあの時にオマエ何とも思ってなかったじゃねぇか。」
そう言い放ちたかったが声がまったく出ず、急に息が苦しくなったかと思うとアメーバーの目がフッと消えた。
嫌な予感がして進行方向に目をやると中央自動車道のはずなのに、とつぜん赤信号の交差点が現れた。行き交うトラックやタンクローリー、明らかに止まれない危機的な状況に再び凍り付いた。
次の瞬間、巨大な穴のようなものに私とR1200GSは真っ逆さまに落下した。その感じは昔、羽田発小松行の飛行機でエアポケットに落ちた時と同じだった。
何かに着地する前に左ももに激痛が走った。何かが突き刺さったようだ。見ると銀色のブレーキレバーが私の左ももに突き刺さっているではないか。
「ぎゃあぁぁぁぁ~」
「あれ…」
夢か。やっぱり夢か。
しかし左ももが痛いのは夢ではない。まさかブレーキレバーが…
いや・・・違いました。キャンプ場で昼寝をしていた間にヘリノックス ビーチチェアのフレームが折れてしまったようです。
脚の部分ではなく左もものフレームがベースとの付け根でボッキリと折れました。これは金属疲労ですね…。ヘリノックス ビーチチェアの耐荷重は145kgとされています。体重はある方ですがさすがに145kgに対してはかなりの余裕のはずですが。本物のヘリノックスなら折れないと安心して使っていたのが原因でしょうか…。
パチノックスと違って諦めて買い替える訳にもいかないのでヘリノックス ビーチチェアのフレームが折れた場合の修理手段を探してみました。
ヘリノックスの日本での正規代理店は主にA&Fです。私のビーチチェアーはパームリーブスという柄でこちらのモデルに限ってはモンベルが代理店。しかしA&Fもモンベルも家の近所にはありません。A&Fを扱っているSPORTゼビオが近所のショッピングモールにあったので電話で問い合わせてみましたが、はっきりしない返答だったので却下。
しかし職場の近くであればA&F本店という手があったので、ここに持ち込むことにしました。
東新宿なんて普段はまったく足を運ばない所ですが、大都会の真ん中にひっそりとした不思議な空間が存在していました。喧騒の無い新宿という感じです。そこにアウトドアギアのワンダーショップ・・・いや深い沼が存在していました。
店内に入りフレームの折れてしまった愛用のヘリノックス ビーチチェアをスタッフの方に渡すと快く修理を受けてくださり、お店に在庫してあった予備フレームで10分もかからず修理完了でした。
気になる修理費用ですがフレーム1本の交換で900円。今回は左側が折れましたが金属疲労であることを考えると、同条件で使われている右側も同様に折れる日が近いと判断して左右で交換してもらいました。計1800円です。
まだ折れていなかった右側はスペアとして持ち歩くことにします。出先で折れたら自分で交換できますからね。
それにしても流石にあのA&Fの本店です。
魅惑のアウトドアギアがずらり。
ミステリーランチやYETIなどのアイテムも豊富です。
う~ん、たかがバケツですがカッコいい。
独身時代に来ていたら散財間違いなし。
A&F店内でこんな素敵なものを発見しました。YETIのパンガサブマーシブルという防水ダッフルバッグです。一目みてカッコいい、これは信頼できるギアだ!と確信しました。キャンプツーリングでリアシート上に積載する防水バッグとして最高に良さそうです。
しかし…ベルトの金具は専用の金物だしHydrolokの防水ファスナー、分厚いTPUに底の部分はEVA成型で皿状になっている…嫌な予感はしましたが75Lサイズで本体価格54000円!!
…ふう、ここは危険な沼だ。
無事に自分のヘリノックス ビーチチェアが直ったので、それだけ手にして大人しく帰りました。
ちなみに私がキャンプツーリングで古くから愛用しているダンロップテントのフレームはDAC-7001Sというジュラルミンポール。このポールのDACとは実はヘリノックスなんです。ヘリノックスは古くから多くのテントメーカーに高精度なジュラルミンポールを提供していたのですね。現在でもMSRやNEMOなどの高級テントはDACのジュラポールだと思います。しかし、あの安価なダンロップRシリーズのフレームがヘリノックス製とは意外ですね。
ヘリノックス ビーチチェアのフレームが折れた場合の修理のお話でした!!!