究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、食欲の秋なのでツーリング先でもつい美味しい物を食べ過ぎてしまう季節ですね。
私も健康のために少しは減量したいのですが、こう涼しくなってくるとツーリング先でつい美味しい物を食べ過ぎてしまうものです。そこで何とか楽をして対策できないものか?と調べていたところ、難消化性デキストリンなるものを発見しました。これは特保のお茶などに入っているそうなのですが、食事による糖の吸収を穏やかにしてくれるのだとか…。
薬品ではなくトウモロコシ等から作ったデンプン成分なので、無味無臭で副作用などなく、食事のときに飲み物に溶かして飲むだけで良いそうです。バランスの良い食事に適度な運動…が一番良いのは分かってはいるのですが、それがなかなか長続きできないので、難消化性デキストリンをしばらく試してみたいと思います。
さて今回の<上級ツーリング写真解説>では今まで当ブログで何度か解説してきました、比率のお話をさらに掘り下げてマニアックに解説してみたいと思います。ビギナーの方はサラッと読んでご参考までに。

比率と言うと例えば画面に海と空といった具合にスペースが2つ発生したとき、あるいはバイクと鉄道といった具合に2つの被写体が存在するときなど、両者の大きさや面積、存在感などの比率を撮影者の意図で作る比率のことですよね。
比率を意識しないで撮れば意図なき2等分を作って陳腐な構図に陥ったりと何かと写真の世界では重要と言われる比率です。
比率はエラい順に並べると黄金比(1:1.618)、白銀比(1:1.1414)、1:1.5、青銅比1:2.303といった具合になります。有名な三分割構図も黄金比で割った三分割線「ファイグリッド」があったり、ダビンチの絵画のようにフィボナッチ数列のスパイラル曲線で作られた「黄金螺旋構図」なんてのもあります。
こういった黄金比や比率の知識は写真をやっていく上で重要なことですが、撮影地で精密に1:1.618を測定する術はありませんよね?ではどうしたら良いでしょう?
私の出した答えは極めて単純です。「だいたいこんなもんかな」という勘でOKだと思います。もし心配なら比率の微妙に異なるカットを数枚撮っておいて、帰宅してからどれが理想的な比率なのかを選別すれば良いと思います。

先日、館山市の天の川のスポットで再び写真を撮ってみました。8月も後半になると天の川の位置がだいぶ北よりになってしまい、このポイントでは道路とからめて構図するのが苦しくなってきました。これが7月の初旬くらいですとS字の先にちょうど天の川が位置するのですが。
この時、暗闇の中で肉眼ではよく見えない景色を相手に構図を作るのに苦戦しました。とはいえ美しい天の川と満天の星空に興奮をおさえきれず夢中になって撮っていたのですが。
まずS字を描く道路と組み合わせるのに選んだのは縦構図で斜めにしてしまう方法でした。斜め構図は通常は避けたい撮り方ですが異空間という演出には効果的ですし、斜め構図によって失われた安定感はS字の導線効果が補ってくれます。
それから水平線と天の川の中心線の位置関係ですが、私はこの撮影地で三角構図に当てはまらないかとイメージしていました。しかし出来あがった写真をLightroomのガイドオーバーレイで三角構図を表示して照らし合わせてみましたが、三角構図とは少し違っていたようです。
実際に線をトレースするとこんな感じです。水平線と天の川が90度であるのは三角構図に近いですが、何とも不思議な構図です。ポイントは測る術はありませんが①と②のエリアが黄金比1:1.618なのでは?という事です。
①と②のエリアの比率は正直、現場では全く意識していませんでした。ただ1つ覚えているのは試し撮りの画面をプレビューしたときに「よく分からんけど、何となくしっくりくるな」と感じたことです。
結論を言ってしまえば有名な〇〇構図には当てはまりませんが、成功した構図と言えそうです。地上部にはS字導線で視線誘導と安定を、夜空には天の川の右と左のエリアで黄金比を。空と地上の割合も白銀比に近い…?くらいにはなっていると思います。
黄金比1:1.618はDNAやオウムガイの断面構造など自然界に数多く存在する神秘の比率です。DNAにも通ずる比率なのであれば人間の直感に任せてしまっても強ち間違いとは言えません。端的に言ってしまえば黄金比は直感的に良いと思った比率ということです。
比率やグリッド線といった知識は確かに大切ですが、スケールのような物を当てがって景色を測定することはできません(近い将来は出てきそうですが)。知識は知識として脳内のどこかに置いておいて、撮影地では自分の直感を信じて比率を作ることも上級者には求められる能力なのかもしれませんね。