レンズを使いこなして脱☆ビギナー!望遠レンズ、超広角レンズの使い方

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前回からバイク写真、ツーリング写真における広角レンズや望遠レンズといった焦点距離の異なるレンズの使い分け、実践的な応用方法を解説しております。今回はその続きでございます。

前回までの解説はこちら

・望遠レンズ 150~300mm

望遠レンズは言うまでもありませんが遠くのものを大きく引き寄せるレンズです。写せる範囲は狭く奥行方向もギュッと圧縮されるので遠近感が薄れて平面的な写真が出来上がります。

バイクやライダーといった特定の被写体を主題に撮る場合、空間が圧縮された勢いがそのまま写真から「これをみろ~」という感じが出て圧力感があります。50mmレンズがナチュラルな印象になるのとは対照的です。

EOS6D Mark2 + EF70-200mmF2.8L

まずは遠景に存在感を持たせたい時の使用例です。

この作品では夕陽に染まりゆく富良野岳を200mmで引き寄せて撮りました。撮影場所はかみふらの八景であるパノラマロード江花なので通常は道をメインに撮りますが、富良野岳が夕陽に染まりゆく様子が美しかったので、こちらをメインにする目的で望遠を選択しました。こういったシーンを標準や広角で撮ってしまうと画面内の割合の多くは山でも道でもなく両サイドの樹木や空も多く入ってしまい、主題を明確化しにくいものです。

望遠レンズを使用してバイクと景色を撮るにはバイクと距離がとれるスペースが必要になってきます。この時のカメラディスタンス(カメラからバイクまでの距離)は100m前後だっと思います。望遠レンズとは下がれるスペースが必要になることを覚えておきましょう。




EOS1Dx + EF70-200mmF2.8L IS

続いてこちらの作品はもう1つの望遠レンズの使い方です。

バイクやライダーといった特定の被写体を主題に撮った1枚です。黄色いお花オオハンゴウソウは写真の印象ほどたくさんは咲いていませんでした。200mmレンズという狭い画角を使用することで花が特に咲いている部分を限定的に切り取りました。また望遠レンズの圧縮効果を利用して花の密度を上げることにも成功しています。

それとバイクから後ろのボケ具合に注目です。望遠レンズのボケやすい特性を生かして主題が魅力的になるよう、深度で印象をコントロールできるのも望遠レンズの魅力です。やや高度な話ですがこの写真では意図的にピントピークをバイクより少し手前にしています。

☆ポイント☆狭い画角を利用して限定的なフレーミングを作る、密度を上げる、ボケやすい特性を生かしてボケ味、深度で表現できる、この3つを覚えて上手に望遠レンズを使ってみましょう。

・番外編☆超望遠レンズ 600mm

ここから先は良い子はマネしないで!!の世界である番外編です。私が個人的にやってる極端な画角のお話をご紹介したいと思います。誰もこんな極端なレンズはツーリングには持って行きませんからね…。オススメではありませんよ。あくまでネタ…ご参考程度に。

まずは超望遠レンズの600mmです。通常はこの焦点距離は野鳥などの動物写真に使うものです。メーカーからもキャノン純正では100万円以上するものしかラインナップに存在せず、いかに特殊用途か分かるかと思います。

しかしSIGMAとTAMRONが150-600mmズームを10万円代で製品化しており、それが好評なのを受けてキャノンも150-600mmズームを開発中なのでは?という噂話は聞こえてきます…(2019年9月の時点で)私が愛用しているのはSIGMA150-600mmF5-6.3DG OS HSM/Cで600mm超望遠であることを考えると軽量でバイクツーリングでも何とか持っていけてしまう優秀なレンズです。

EOS6D Mark2 + SIGMA150-600mmF5-6.3DG

で…その600mmクラスの超望遠レンズを使ってツーリングでどんな写真を撮るのか?ですがこんな写真です。主に北海道にあるような長い直線路で使います。前述の望遠レンズの解説で空間が圧縮されるので花などの密度を上げるのに効果的…と書きましたが、600mmといった長い望遠だと途方もない空間を圧縮してしまうのです。空間には微細なチリや水分などの粒子があり、それを数百メートルと集める訳なので写真は一気に異空間です。

上の作品では×2エクステンダーを装着して実質1200mmの焦点距離です。北海道の有名な直線路 エサヌカ線の中で逃げ水を泳ぐR1200GSアドベンチャーを切り取ってみました。空と地面の境界がなく現実とは思えない光景を斜め構図でさらに演出しました。カメラディスタンスは1000mくらいはあって、おそらくライダーからは三脚を立てて撮影している私が見えていないと思います。




・番外編☆超広角レンズ 14mm

次の番外編のレンズは超広角レンズです。究極のツーリング写真の熱心な読者の方でしたらもうお馴染みかもしれませんが、私が長きにわたって愛用しているキャノンの超広角単焦点EF14mmF2.8Lを使用しています。

超広角というと特殊用途の1つとして魚眼レンズがありますが、ここでは魚眼レンズではない超広角レンズです。

超広角レンズは前回に解説した広角レンズの特徴をさらに過大した特性です。歪みが強烈になるのでバイクを大きく撮れません。そして目の前の被写体の何もかもを小さくトバしてしまい、途方もない遠近感が生まれます。

順光でとればすぐに自分の影が画面に入ってしまいますし、被写体に寄ることも難しく何かと手ごわいレンズです。

主に星景写真やウロコ雲の広がる空などを撮るときに使います。雄大さ、解放感などを表現できるツーリング写真としては飛び道具的なレンズです。

左:キャノン EF70-200mmF2.8L IS 右:SIGMA150-600mmF5-6.3DG

 

いかがでしたでしょうか?2回の投稿にわたって広角、標準、望遠レンズと各焦点距離におけるツーリング写真、バイク写真としての使い方を解説してみました。これらはあくまで参考というか目安です。広角レンズでも臨場感のある写真は撮れますし、望遠レンズでも景色の雄大さは表現できると思います。今回はあくまでレンズの使い方がまったく分からないよ…とお悩みのビギナーの方を対象に書いてみました。

その撮影シーンでどういったレンズを選ぶのか?「どれが正解なのだろう?」と考えるのではなく「自分はどうしたいのか?」と考えてみると、少しずつ分かってくると思います。

各作例でも書きましたが「夕陽に染まる富良野岳が美しかったので望遠レンズを…」といった具合に情景や被写体に対して、作者が良いと思ったこと、感動したことを表現するための手段の選択なのです。正解探しではなく自分がどうしたいのかを考えてみましょうね。




だいぶ以前に構図が難しければまず望遠レンズを使ってみましょう、望遠レンズは余計なものを画面外に除外し、主題を明確化しやすいですよ…という解説をしました。しかしいつまでも望遠レンズばかりを使う訳にはいきません。前述した通り、望遠レンズで撮った写真は突き出るような迫力がありますが、そういった写真ばかりでは見る方も違和感を覚えます。

たくさんの経験を積んで焦点距離の感覚を養い、被写体の魅力を感じる心を磨いてみましょう。そうすればファインダーを見る前に「ここではこんな風に撮りたい」というイメージが頭の中に描けるはずです。

ネットで検索するとレンズの特徴やボケを楽しもう、といった情報は多く出てきます。しかしそれをどう使うかは最終的に自分で決めるしかないのですね。どこにも正解はないのです。

今回はこの辺で!!!

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