そぎ落とす構図と<リズム>というデザイン

究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、充実したバイクライフ、素晴らしいツーリング…そして素敵な写真を撮って楽しまれていますか??つい先日、写真という趣味も人によって向き不向きがあるでしょ?といった内容のご質問を受けました。

確かに向き不向きはあるかもしれません…。ずいぶん昔に同じような質問を受けたときに「景色などに感動できない人は向いていないかもしれません」と言った記憶が蘇りましたが、今になって考えるとそうは思いません。

写真や何かの芸術などに関わっている人や元々純粋な性格の人でない限り、生きている上で感受性というのは子供の時に比べて鈍っていくのが普通だと思います。いや…厳密には鈍ったり過敏になったりを繰り返しているのかもしれませんね。色々と大変な世を生き抜くには感受性などはあえて下げて「鈍感力」が要求されるような場所も存在しますよね。

しかし写真道を志そうと決意すれば、意識することで豊かな感受性を取り戻すことはできると思います。たとえ普通の夕陽をみても「あぁ、本当に美しい夕陽だな」と言葉にするだけで、感動できる心は少しづつ輝きを取り戻してくれると信じたいです。




景色などを見てなかなか感動できない人でも、写真の経験を積むことで豊かな感受性を取り戻し写真家のハートの持ち主になれると思いますよ。

さて前置きが長かったですが今回は<中級>ツーリング写真解説として作例を元に構図を作る上での<そぎ落とす構図>と<デザイン上のリズム>の2つを解説したいと思います。

まずこちらの作例をご覧ください。港で船を係留するための杭(ボラード)が幾つも連続している様子がユニークだったので、ここでR1200GSアドベンチャーを置いてツーリングシーンの写真を撮ろうと思いました。

このように自分のセンサーが何かに反応してカメラを手にした…という所まではビギナーもベテランもそう大きな違いはないと思います。ではその先で何が違うのか考えてみましょう。




まずは事実を掘り下げて被写体や情景の特徴を捉えてみましょう。そこから何故そこが気に入ったのか一度言葉にしてみます。ここでは・連続するボラード ・ボラードの赤色と車止めの黄色 といったように事実に基づいた被写体の特徴が分かります。

ここで一度、この写真に何か不要なものが写っていないか?画面の四隅などをチェックしてみましょう。背景にテトラポット、海面、そして釣りをしている親子があります。これらの要素が当初ここで写真を撮ろうと思ったこと「連続するボラードがユニーク」を魅力的にするよう機能しているでしょうか??もしそうは思えないのであれば、ここはセオリーに従って余分なものを排除すべきです。

そう、上の写真では背景に釣りをする親子を写したのではなく「写っちゃった」のではないでしょうか?こういったケースはビギナーの方のケアレスとしてよくあるパターンです。

背景や副題といった主題以外のものは全て、原則として主題を引き立てるために機能するべきと覚えましょう。それ以外の関係ないものは意図せず写っちゃった余分なものです。

では余分なものを削除して主題を明確に、かつ写真デザインの観点でボラードをさらに魅力的に、印象や視線の安定化などを意識して再構成してみましょう。

 

はい、こんな感じでございます。カメラアングルを変えただけで画面の四隅にテトラポット、海面、釣りをする親子を排除しました。これにより当初に気に入った連続するボラードの存在感がより明確になり、そして赤と黄色が交互に入る様子も色デザインとして意識してみました。

さらにカメラ位置をより右側に移動させて、連続するボラードの導線を画面に対して対角線に入れています。導線とは画面の角から入れることで、より視線誘導が効果的になるのです。

こういった同じようなものが幾つも連続する様子を写真デザインで「リズム」と呼んでいます(参考文献:ナショナルジオグラフィック プロの撮り方完全マスターより)。写真を見た人は無意識下に写真内で視線を走らせ、その様子を脳に信号を送っています。その時に視線が泳いだり安定しなかったりすると写真への興味は薄れてしまうものです。導線や図形などのデザイン要素で視線を誘導または安定させるか、今回のリズムのように視線を楽しませる要素があると、写真の骨格として期待以上の効果を発揮してくれるものです。




2枚目の写真ではR1200GSアドベンチャーが切れてしまい、これではダメじゃない??という声が聞こえてきそうですが、写真にもたせた役割として「ツーリングの魅力を伝える」という事であれば、あれはオートバイなんだな…という事が分かる程度で十分だと思います。一方でR1200GSのコミュニティーで発表するとか、R1200GSのカタログのような写真という役割であれば、これでは車種の特定も難しく不十分だと思います。確かに写真にとって「それが何なのか」を分かりやすく写すことは重要ですが、それは写真にもたせた役割によって作者が裁量しても悪くはないと思います。

余分なものをフレーム外へそぎ落とすと、写真デザインにおけるリズム、色のお話でした。

今回はこの辺で!!!

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