究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今回は前回のギャラリー投稿にアップした南房総からの天の川のツーリング写真を使って、画像レタッチLightroomでの仕上げ方の解説をいってみたいと思います。
使用カメラはキヤノン EOS6D Mark2 使用レンズはEF14㎜F2.8L 三脚はNEEWER66インチカーボン三脚です。RAWで撮った画像を元にAdobe Lightroom CLASSIC を使って仕上げる手順をご紹介いたします。
まずは元画像のRAWをLightroomに取り込んだ状態。ご覧のように天の川はこの時点ではっきりと写っていますが、30秒以上はシャッターを開けたくない、これ以上は高感度に設定したくない、という露出の都合で少しアンダー目に撮っています。
こういった星景写真の場合、撮影時に後でLightroomでどのように仕上げるのかを予めイメージして撮ります。
まず画面内に余計な物が写っていないか拡大してチェックしてみましょう。この作品の撮影場所は東京湾の入り口です。飛行機がとても多く飛んでいるので、途切れるタイミングを狙ったつもりでも、画角が14㎜もあるのでどうしても入ってしまう場合があります。この作品も画面の右隅に飛行機のライトが軌跡で入ってしまいました。
スポット修正ツールを起動します。
奇跡を描いてしまった部分をドラグして選択。キレイに消すことができました。
続いて全体の基本的な調整からいってみましょう。調整には基本的に順序があって色温度(WB)、露出、コントラスト…の順で調整を行います。夜空の色をブルー系にするか漆黒の夜空にするのかで色温度を調整してください。
今回は漆黒の夜空で天の川の存在を際立たせたいと思います。よって色温度は4300kへ。そしてコントラストを+20に、ハイライトを+40で全体の暗さを上げます。
天の川の写真を仕上げるのに重要なのはテクスチャ、明瞭度、かすみの除去の3つです。テクスチャは通常ですと被写体の質感アップに有効ですが、星空の場合は星1つの存在感の調整に役立ちます。かすみの除去は撮影時に肉眼では確認できなかったような小さな星まで見えるようになり、+100までスライダーを上げると驚くほど多くの星を明らかにできます。この部分は本当に凄い機能だな…といつも感心してしまいます。
これら3つのスライダーを左右に動かしてイメージに近づけてみましょう。ここでポイント!この場合のイメージとは当たり前ですが撮影者独自のイメージです。どこにも正解などはなく「あの時こうだった」という心象風景の再現、または記憶風景の中で美化された妄想的な表現でも悪くはないと思います。
カメラが間違いなく写しているものに対しての調整がレタッチです。天の川がそもそも無くて書き加えたのならインチキかもしれませんが、そうではないのですからね。
これは明瞭度を+35まで上げて星々と天の川をクッキリと魅せる仕上げ方です。
こちらは逆に明瞭度、テクスチャー共に-21まで下げて柔らかく表現しています。この場合はかすみの除去を+100まであげてみました。
これらはあくまで一例で撮影地であなたか感動した景色(心象風景)に最も近いのは、どういった表現方法なのか?を考えて調整してみて下さいね。
全体の大まかな調整が済んだら補正ブラシを起動します。
天の川を選択します。
星空全体に対して天の川の部分の存在感の調整です。ここでも同様にテクスチャ、明瞭度、かすみの除去で天の川をあなたなりのイメージで調整します。この時、天の川は「天の川銀河」と言われる通り、色が少しだけついていますので彩度を少しだけ上げるのがポイントです。
次に段階フィルターを起動しましょう。
地上側を選択します。この撮影地ではカメラのずっと後ろに国道からの街灯があり、その光によってバイク+ライダーにも光が当たってくれました。本来、何もない場所であれば夜空や天の川に露出を狙えば地上物は真っ黒です。有難い環境だったと言えそうですが、色かぶりが酷いのでこれを調整しましょう。
光が当たっていたと言っても暗いのは確かなので露出を1 1/3上げ明瞭度を+35に、ホワイトバランスを調整してオレンジっぽさを弱めました。彩度も-23にしているのはホワイトバランスの調整だけでは不自然さを取り切れないからです。
この辺でいちど元画像と見比べてみましょう。明らかな不自然さ、イラストや絵画のようになっていないか?写真らしさを失っていないかのチェックです。こうやって改めて見るとLightroomってほんとスゴいですよね。特に星景写真で威力を発揮すると思います。
こんどは補正ブラシで空の下の方を選択します。この辺は地上付近のかすみや光害から影響を受けているので、これを補正します。
赤っぽかった部分を夜空全体と同じように仕上げます。かすみの影響で明瞭さがないので明瞭度を+55に、色温度を大幅に下げて青方向に戻してやります。
はい、今回は最終的にこんな風に仕上げてみました。
今回はLightroomのレタッチ解説でしたので、撮影データは詳細を書きませんでしたが、ここで書き加えますと ボディ:EOS6D Mark2 レンズ:キャノンEF14mmF2.8L ISO1600 S:30SEC F2.8 NEEWER66インチカーボン三脚 微風 月齢3(中潮)千葉県館山市 です。
それではまた!!