究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今回はツーリング写真の解説はお休みして少々下品なお話ではございますが、写真撮影の技術でちょっとしたお小遣い稼ぎをしちゃおう~という内容をいってみたいと思います。
といってもブライダルフォトや赤ちゃんフォトのアルバイトではありませんよ。品物を魅力的に撮るブツ撮りのお話です。以前にブツ撮りは被写体を最も魅力的に撮る良い練習になるとお話をしました。それは被写体の角度や照明の光を容易に調整できるからです。
今回はヤフオクやメルカリでお買い得な値段で売っている品を購入し、キレイに写真を撮って再び出品すると、果たしていくらの利益がでるのか?を腕時計の写真を例に書いてみたいと思います。
この写真は先日まで私が愛用していたcitizenですが、どうも正確すぎるGPSやJJY電波などのクォーツ時計は私には合わないようで、購入後にいくらも使わずにヤフオクで売ってしまいました。やっぱり腕時計は機械式が好きです。
出品時の写真はこのようにSUSケース、ブレスレットのシャープな質感とフェイスデザインの特徴がよく伝わるよう撮ってみました。ちなみに購入時は30000万円でしたが1~2か月使用して出品したところ37200円で売却できました。やはりヤフオクもメルカリも出品時は写真が命です。
いま、ヤフオクの場合は画像は10枚まで掲載できますが、検索結果に表示される1枚はアップロードした最初の1枚目の画像となります。いわゆるサムネール画像(親指の爪程度の大きさで表示される…に由来)ですが、時計の場合はフェイス部分をアップで写すか、このように外箱を背景にシチサンで撮るかの二択だと思います。
今回はこのサムネールに使用する画像やメイン画像の撮り方を解説いたします。…とその前にまず元になる中古時計の入手方法について触れてみたいと思います。
こんな時計を見つけて落札してみました。SEIKO ワイアードですが面白いのはデザインです。むかしSEIKOスピードタイマーという名機があったのですが、それとデザインをよく似せたモデルなのです。
しかし!この出品者の方は写真の撮り方がどうも今一つです。専用の撮影ボックスのような物を使用しているようですが、ホワイトバランスが適切でないのと露出が明らかにアンダーなのと相まって、マゼンタがかった暗い画像です。
これではいくら品が良くても購入意欲がわきませんね。…すなわち落札にあたってライバルがいない訳です。定価と相場や希少性などを加味して14000円はかなり安いと判断し落札してみました。
この出品者の方、個人ではなくストアーなのですが他の商品画像もみんな同じような写真でした。ある程度の数がまとまっていれば撮影のアルバイトを申し出ても良かったかもしれませんね。
ブツ撮りと言うと本来はプロの照明機材を用意して専用のスタジオで行うものですが、個人がそれっぽく撮るのでしたらハードルは決して高くはないです。市販の子供だましのような撮影ボックスで十分に機能します。このようなソフトボックスに蛍光灯やLEDの簡易的な照明が2灯以上あればOKです。このキットで1万円以下で売っています。
背景は白か、白い物を撮るならグレーの背景を用意しておきます。あとはソフトボックスを組み上げて被写体に影が出ないよう左右に照明を設置するのみ。レンズは時計を撮るならマクロレンズがあると便利です。
マニュアル露出に設定して絞りはF13あたりまで絞ります。もちろん三脚は必須でカメラブレしないよう2秒タイマーなどで撮りましょう。
被写体の角度はその品が最も魅力的に見えるアングルを探り当てます。かなりピンポイントなので品を置いている台ごと少しづつ動かして調整してみて下さい。この時、時計の風防ガラスが反射しないよう気を付けます。
そして難しいのはメッキ部分の映り込みです。シャッター押すときにカメラに手をかければ手の肌色が写り込みます。先ほどカメラブレするから2秒タイマーを…と書きましたが、タイマーの使用は手の写り込みを防ぐにも有効です。
その他、赤や黄色などの派手な色の服を着ているだけで写り込んでしまうので、できれば黒か白の長袖服を着て撮影に挑みましょう。お部屋のカーテンや家具なども同様に写り込むので、なるべくカメラの側が白い壁などになっているシンプルな場所で撮りましょう。
盲点は部屋の照明…近くに廊下や洗面所などでよく使われる電球色の照明とミックス光にならないように気をつけてください。
以前、バイク用品メーカーに勤めていたとき、メッキのミラーのカタログ写真を撮るときにとても苦労したのを覚えています。丸いオワン型のミラーハウジングは撮影している部屋の様子を全て写す鏡になってしまい、部屋の中を白い布で覆うとこんどは品物がメッキ製ではなく白色の品に見えてしまうものでした。
では光輝くメッキをかっこよく撮るにはどうしたら良いでしょうか?答えは上の写真のように黒い布や紙などを用意して、それを被写体のすぐ近くに置いて写し込ませるのです。
次に照明の調整です。基本は左右に2灯を置いていわゆる影消しを作ります。その上で被写体をカッコよく見せるため、もう1灯の裸のライティングを用意して被写体の特定の部分を輝かせます。
ライティングは色温度が同じものなら何でも大丈夫です。簡易的な撮影ボックスの場合は昼白色の蛍光灯かLEDが付属すると思うので、同じく昼白色の何かのライトを用意します。
色々な角度でライトを当てて試して下さい。
ソフトボックスを設置してカメラはマクロモードでF13。かっこいいアングルを探り当てたら黒い布を写り込ませてハイライトを入れます。針は10時10分の位置で。手間こそ少々かかりますが、これだけでプロっぽい写真が撮れてしまうものです。
落札したワイアード スピードタイマーLOOKもご覧の通りです。ではいくらで売れるかヤフオクに出品してみましょう~。
25900円で売れました!なかなかの利益だと思います。写真のクオリティや説明が不十分なものを安く入手し、キレイに撮って丁寧な説明文で出品。これだけでちょっとお小遣い稼ぎになっちゃいます。
今回は購入してすぐに売却してしまいましたが、1枚目のcitizenなんかは少しの期間は自分で使用していました。もし気に入れば飽きるまで愛用しますし「やっぱイマイチだな」と感じたらすぐに売却です。これではモノへの愛着がなくて寂しいではないか…という気もしますが、実は本当に大切にしている時計は別に有ったりします。
最初にも書きましたが品物を丁寧に撮るブツ撮りは写真の基本的なことを学ぶのに最高に良いと思います。被写体が最も魅力的になるよう写す、これをブツ撮りから体験してみてください。それにせっかくの写真スキルなのですから、たまには現金化してみても悪くないと思います。
今回はこの辺で!!