究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、写真を楽しんで日々を充実させていますか?つい先日、ある方から写真の撮り方について「なかなか目で見た通りに撮れないんですよ…」というご相談を受けました。
目で見た通りに撮りたい…この質問は意外と多いです。恐らく多くの人は露出のことを言っているのだと思いますが、ごく稀に写真とは目で見た通りに写すのが絶対に正しいのである!と頑なに誤解されている方もおられるようです。
明暗差の大きなシーンでイメージ通りの露出が得られない…これは分かります。しかしすべてを目でみた通りに写すのを正しいと思い込むのは勿体ないことです。製品のカタログや証明写真ではないのですから、目で見た通りではなく「イメージの通りに撮る!」と考えましょう。
カメラは目では見えなかったものや、撮影者の心を写せる魔法の箱です。
さて、今回の<中級>ツーリング写真解説では晴天時に空に流れる雲に注目して地上の光と影を巧みに使ってみましょう!という解説でございます。
お天気予報で晴れマーク1つの時よりも、どちらかと言うと晴れ時々曇りという予報マークの方が雲を使った撮り方ができます。
空がこんな感じの時です。上空の雲が風に流れて太陽が隠れては顔を出すを繰り返している状態です。今の時期、よく見られる空模様です。
左の写真は太陽が薄い雲に隠れて適度に太陽光が景色の全体に当たっている状態です。適度なコントラストでフラットな印象ですね。
対して右の写真は太陽が完全に雲から顔を出して全体に強い太陽光が当たった状態です。コントラストが強く夏らしい写真になりました。
次にこちらの作例をご覧ください。左の写真は手前の漁船には太陽光が強く当たっていますが、バイクの部分は日陰になっています。被写体の存在感はこれだけで圧倒的に漁船の側になりました。
対して右の写真は風景の全てに太陽光が当たった状態です。通常ならこれが採用カットかもしれませんが、これでは普通すぎてヒネリが効いていません…。

最終的に採用カットにしたのはこの写真です。バイク+ライダーは小さな主役として明るく、手前側にある漁船は薄い雲に隠れて適度なコントラストとして存在感を調整しました。
構図とは複数の被写体や背景などを、大きさ、配置、ピントのボケ具合、フレーミングで切り落としたりして存在感を調整し、主題を明確化したり作品の意図へ観賞者を導いたりするものです。しかしその為の手法は上記のようなものに限らず、空に流れゆく雲を利用することも可能なわけです。
この季節、空に雲が流れていたら挑戦してみてくださいね。
今回はこの辺で!