究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、あと1年もすれば日本はオリンピック一色ですね。私は千葉県人ですが勤務先は東京のド真ん中でして、オリンピック関連施設とも関わっています。
ここ最近、オリンピック関連や役人の方々の視察がとても頻繁で、いよいよ東京オリンピックが近いのだなと実感します。町の風景も空き地や古い公園などがなくなり新しい建物がたくさん出来て一変しました。
さて、今回の究極のツーリング写真、<中級>ツーリング解説では少し大胆なタイトルとしましたが「35mmグッと寄ってパンフォーカス!」と題して、ツーリング中に出会った被写体に35mmでグッと寄って撮ってみよう、という解説でございます。

ツーリングで出会った特定の被写体。つまりこの作例のように廃船とか他にも花やオブジェなんかもそうですね。
このように被写体(モノ)とバイクを組み合わせたツーリング写真の撮り方では35mmレンズがお勧めです。もちろん28mmとか50mmも良いですが私は個人的に35mmがドストライクではまります。
35mmレンズというと標準に近い中広角レンズです。一見して地味な印象かもしれませんが実は多くの写真家が愛している焦点距離でもあります。

上の写真は私がかつて愛用していたシグマのARTシリーズ SIGMA35mmF1.4ARTと現在使っているキャノンのEF35mmF2ISです。どちらも35mmの単焦点レンズですがF値の違いとキャノンの方は手ブレ補正機能 ISが搭載されているのが大きな相違点です。それと重量とコンパクトさでもキャノンの方が小さくて軽いですね。
手ブレ補正機能は通常は望遠レンズに搭載されているものです。ではなぜキャノンは35mmのこの単焦点レンズに手ブレ補正機能ISを搭載したのでしょうか?これは推測になってしまうのですが35mmは被写体に寄ってパンフォーカスも狙ってね、という正に上の作例のような写真を想定しているのではないでしょうか?
パンフォーカスとは画面の全体にピントが合焦していること。つまり近景があればそこから遠景まで全てピントが合っている状態。絞り込んだ状態ですね。絞り込めばシャッターは遅くなりますので手ブレの心配がでてくるわけです。そこで有難いのが手ブレ補正機能IS。

こちらの作品はSIGMA35mmF1.4ARTで撮りましたが、曇り空で明るくはなかったのでF13まで絞り込んだらシャッター速度は1/13まで低下しました。手持ち撮影でしたが地面に寝そべって両肘を地面に立ててカメラホールドして撮った記憶があります。しかしF13ではパンフォーカスにはなりませんでした。
このようにツーリング先で見つけたモノ、出会った被写体は35mm(あるいは28mmか50mm)でグッと被写体に寄って絞り込んで撮ってみましょう。人間は感覚的に近くのものと遠くのものが有った場合、どちらか一方はボケるもの思い込んでいるので、双方がシャープに写っているとそれだけで印象的と感じるのです。これがパンフォーカスで撮る写真の面白い所です。
ところで写真とは時代によって撮り方にブームのようなものがあります。今はSNSやスマホアプリなどが急速に普及した影響で、美しさ、鮮やかさ、珍しさ、絶景などのインパクト(いわゆる映える、フォトジェ)が流行しHDR写真のように一般の人がダイナミックレンジまでコントロールするようになりました。
そして数十年前は今回ご紹介したようなパンフォーカスで印象を狙った写真が流行っていた時もありましたし、意図的にバランスやセオリーを崩した「ヘタウマ写真」なんてものを流行した時もありました。
いま流行っている撮り方だけでは少し寂しいので、流行らない方法かもしれませんが今回ご紹介したグッと寄ってパンフォーカス、ぜひ挑戦してみてくださいね。
今回はこの辺で!
~本日の毎日100ショットスナップ~
