究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今回は私のツーリング写真の撮り方の引き出しの1つ、コクピット風景写真の裏側をご紹介いたします。
コクピット風景写真、それはバイクを走らせている時のライダーが見ている景色をそのまま再現した写真。ツーリングの魅力、オートバイの魅力の原点である景色の中を駆け抜けている様子を表現した写真です。
以前より究極のツーリング写真ではこのような撮り方の作品を何点かご紹介してきましたが、この撮影裏について詳細に解説したことがありませんでした。走っている時に「この景色を写真にできたらな…」とツーリングを愛するライダーならば誰でも一度は思ったはずです。しかし挑戦してみると意外と難しいですし、片手運転など無理をすると大変危険です。
まず最初に重要なアイテムのご紹介をいたします。
diagnl(ダイアグナル)のNinjaストラップです。このカメラストラップの特徴は指をかけるアジャスターを引くだけで自在にストラップの長さを変えられること、そしてバックルを着脱することで容易にストラップを解放できることです。
diagnlのホームページはこちら
通常使用している時のカメラストラップの長さ。この穴のあいたアジャスターを引っ張ると…
シュルシュルっと瞬時に短くできます。この写真の状態で最も短くした状態です。で…これをどうするかと言いますと首にかけて走ります。こんなに短いと頭が通らないのでバックルを解放して首の後ろでバックルを再びはめ込みます。
カメラの固定方法はこれで完了です。多くの場合、Goproのようなアクションカムのようにハンドルにクランプさせる固定方法ですが、車体に固定してしまうとスローシャッターに設定したときにバイクの振動を拾ってしまいブレてしまうのです(後述しますがブレているのもアリですが)。
私なりに出した答えがスローシャッターに対応させるには体が一番であるということ。首から下げて走る分にはエンジンや路面からの微細な振動はカメラには伝わりません。またある程度の自重のあるカメラでしたら走行風などで揺れることもないと思います。ただR1200GSのような上半身がアップライトなポジションでしたらOKですが前傾姿勢となるスポーツバイクですと、また別の工夫が必要かもしれませんね。
続いてカメラの設定です。重要なことはシャッターボタンやリモコンなどを押さなくても自動で撮り続けてくれることです。これはカメラの機能またはリモートタイマーのインターバルタイマーを使用します。私の愛用しているEOS6D Mark2の場合はカメラにインターバルタイマー機能が備わっています。私はいつも1秒毎の枚数無制限に設定します。これによりバイクを発進させる直前にシャッターボタンを1度だけ押しておけば、あとは1秒毎にカシャカシャと撮り続けてくれます。
SDカードは不要なカットがたくさん撮れてしまうので容量の大きいものを用意しておきましょう。私の場合は編集が楽になるように、普通にツーリング写真を撮るカードとは別で走行風景写真専用のSDカードを用意しています。

次に画角ですがお持ちのレンズで最もワイドなレンズを使用して下さい。メーター回り、タンク、両手を画面内に入れるとなるとフルサイズ一眼レフで14mmくらいの超広角が必要になります。
走行中に使用するのでレンズの前玉が汚れることを考えると、高価なメーカー純正超広角レンズでは勿体ないのでサムヤンかNEEWERの超広角レンズも、走行写真用に用意しても良いかもしれませんね。
露出はシャッター速度優先モードで1/40か1/30あたりで速度に応じて設定します。ピントはマニュアルフォーカスにして無限遠にしておきます。
スピード感をより強調したい場合は上の桜の写真のようにトンネル状になった場所で撮ってみましょう。何もない開けた景色だと地面しか流れずスピード感がイマイチ出ません。
この手法で撮影することでカメラブレの心配はほぼありません。メーター、ハンドル、スクリーンなどは明瞭なまま景色だけが流れている写真が撮れます。その一方でカメラブレしてしまった写真も決して悪くはありません。
この作品は何がどうしてこうなったのか自分でも覚えていないのですが路面の段差でも踏んでカメラブレしたのでしょうか。全体がブレブレで撮れたことにより抽象的な表現の作品になりました。見ようによっては「風が写っている写真」と美化しても悪くないと思います。
いかがでしたか?走行中のコクピット風景写真、走行写真はまず第一に安全であることです。くどいようですが片手運転や運転中にカメラを操作するような危険なことはしないようにしましょう。
それでは今回はこの辺で!!