究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今回はたまには真面目な写真解説をしてみたいと思います。いつも究極のツーリング写真の写真解説は「3才児の感受性と中二の想像力で撮ろう~」とか「バイクのフロントに装着した見えないロケーションセンサーの感度上げよう~」などなど、訳の分からない解説ばかりですので…。
ところで中二モンスターの想像力って本当に凄いと思いませんか?何も知らないんだけど知りたいという欲望は巨大な中二。むかし最初に就職した会社でブラジルからのお客さんで仲良くなった人がいたのですが、その人が「なんで日本のAVは大事なところがモザイク処理なのですか!??」と訪ねてきました。確かに、なぜ日本はこのようにしているのでしょうね?もしかして日本という国はAVにモザイク処理を入れることで中二モンスターの想像力を鍛え上げ、その力を大人になってから発揮し日本の成長に貢献したまえ、という事なのかもしれません。
さて今回の<初級>ツーリング写真解説では写真を趣味として始める上で最初に教わるカメラの操作方法。その中でよく耳にする「露出が〇段…」といった露出と段のお話をいってみたいと思います。
最初に書いておきますが露出が〇段…とか知らなくても良い写真は撮れます。ただ知識として知っておいても損はありません。しかし誰しもスマホで綺麗な画像を撮れてしまう 昨今、こういった知識をもっているだけで「おっこの人は写真にくわしいな」と一目置かれるかもしれませんよ。

カメラの中は真っ暗な箱です。そこにレンズを通して外部の光を一瞬だけ取り入れイメージセンサー(またはフィルム)に感光させるのがカメラの仕組みですよね。
露出とはそんな真っ暗な内部にあるセンサーに外の光をどれだけの量を当てたか?という意味です。最終的に写真の明るさと関わってくるわけです。
露出は絞り、シャッター速度、ISO感度の3つで決まります。絞りはレンズ内にある穴ぽこの事で穴を大きくしたり小さく絞ったりして光の量を調節できるもの、シャッター速度は開いていた時間によって光の量を調整できるもの、ISO感度はそもそも暗い場所で撮影するときに、少ない光量でも写るようにとセンサーを敏感にすることです。
絞りはボケ具合、またはピントの合う範囲を調整できるもので奥行のある構図を作ったときや背景のボケ具合の調整などに役立ちます。シャッター速度は写真にスピード感を与えたり、逆に瞬間として止めたりと写真内での時間、動きの表現に役立ちます。ISO感度は暗いシーンでない限りは極力上げないこと。被写体ブレの防止や三脚が無いときの手ブレを回避する苦肉の手段です。
絞り、シャッター速度、ISO感度の3者は持ちつ持たれつで、あなたが写真を撮ろうとしている目の前の状況の光を3者でシェアするのです。例えばF2.8 1/125 ISO200 と F8 1/60 ISO800 では同じ明るさの露出設定ですが、撮りたい写真の意図に合わせて撮影者が使い分けるのです。「ここは背景をボカしたいからF2.8にしよう」「ここは最低でもF8にして被写界深度をかせぎたい、でも三脚が無い…1/60くらいが手ブレしない限界だからISOは800に上げるか」といった具合です。
露出の話で出てくる「段」とは絶対的な値として写真界で使われてる単位のようなものです。オートバイでいうギアのようなものです。「前の軽トラに追いついたし、ここから上り坂だから1段下げるか」といった具合にエンジンの回転数とスピード、状況に合わせてライダーがギアを選択するのと同じです。
多くのカメラでは露出の設定は絞り、シャッター速度、ISO感度ともに1/3段単位で調整できるようになっています。
1/3段単位で表記すると下記のようになります。
・絞り (F)
1.0 1.1 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.5 2.8 3.2 3.5 4.0 4.5 5 5.6 6.3 7.1 8 9 10 11 13 14 16 18 20 22 25 29 32…
・シャッター速度 (秒)
1/8000 1/6400 1/5000 1/4000 1/3200 1/2500 1/2000 1/1600 1/1250 1/1000 1/800 1/640 1/500 1/400 1/320 1/250 1/200 1/160 1/125 1/100 1/80 1/60 1/50 1/40 1/30 1/25 1/20 1/15 1/13 1/10 1/8 1/6 1/5 1/4 0.3 0.4 0.5 0.6 0.8 1 1.3 1.6 2 2.5 3.2 4 5 6 8 10 13 15 20 25 30…
・ISO感度
100 125 160 200 250 320 400 500 640 800 1000 1250 1600 2000 2500 3200 4000 5000 6400…
1段単位ですと次のようになります
・絞り (F)
1.0 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32…
・シャッター速度 (秒)
1/8000 1/4000 1/2000 1/1000 1/500 1/250 1/125 1/60 1/30 1/15 1/8 1/4 0.5 1 2 4 8 15 30…
・ISO感度
100 200 400 800 1600 3200 6400 12800 25600…
例えば絞り優先モードで1枚試し撮りしたとしましょう。あなたが「ここはF5.6で撮りたい」と設定すれば絞りはF5.6で固定されます。しかし試し撮りの結果「少しだけ明るすぎたな」と思い-1/3段露出補正すればシャッター速度が最初が1/320だったとすると1/400になります。
シャッター速度優先モードで1枚試し撮りしたとしましょう。あなたが「背景をブラしてスピード感を表現したい、だから1/20でいくぞ!」と設定すればシャッター速度は1/20で固定されます。しかし試し撮りの結果、いい感じに流れましたが暗すぎたとします。そこで+1段露出補正すれば最初の絞りがF16だったとするとF11になります。

露出が〇段で…という事を知らなくても大丈夫です。しかし写真界では今後も露出の概念で「段」を使い続けていくでしょうし知っておいて損はないです。それにバイクに乗って気持ちよく加速しているとき「おりゃ~!次4速ギア!!」と心の中で叫んでギアを入れるとスカっとするではありませんか。エンジンの回転数と速度が合っていれば何速でもいいじゃん~とダラダラ走らせるのとでは気分が違いますよね。
それに似ています。もし撮影シーンで露出で魅せよう!と決意したとき「よし!もう1段アンダーで撮ろう」という言葉が出てくれば「気に入った明るさならいいんじゃない~」という感じで撮るのと気分が違うし、出来上がった写真も違うかもしれませんよ!!!
~本日の毎日100ショットスナップ~

1/8なんて遅いシャッターでは流し撮りもリスキーです。失敗に終わっても悔しくない気軽に撮るスナップだからこそ、1/8で流してみようなんて思えるのかもしれませんね。