極小の主役とリビール効果<上級>ツーリング写真

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究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、突然ですが美しいものはお好きですか?「美しいものが嫌いな人なんているのかしら?」とは、かのララア・スンがアムロに言ったセリフですが(すいません40代男子限定ネタ)人はみな美しいものを例外なく受け入れるものです。これって当然ですよね。

写真も同じく美しい景色、美しい人、美しい撮り方をすれば、写真を観る側の人も写真に入りやすくなるものです。美しい写真とは作品への間口を広げると言っても良いと思います。

しかし写真の印象とは美しいに限らず驚き、寂しさ、安心感、恐怖、崇高さ、郷愁を感じる、あるいはミステリー小説のような緊張など、さまざまな感情にうったえる作品が存在します。

まれに写真は美しくあるべき、と決めている方もおられるようですが時には画質も含めて「美しくはないが良い写真」を目指してみるのも良いかもしれませんね。

さて今回は久しぶりに<上級>ツーリング写真の解説でございます。いつも上級を書くときは「よし!上級を書くぞ」と気合を入れて書くようにしております。毎度のお願いですが釈迦に説法の失礼はお許しくださいませ。




北海道ツーリング オトンルイ風力発電所 EOS6D Mark2

こちらの作品をご覧ください。夏の北海道ツーリングで撮った作品ですが決して美しい作品ではございません。

この写真をみて作品の主役を見つけることはできましたか?また気が付くまでにどれくらい時間を要したでしょうか?

米粒ほどの大きさですが画面の左隅にヘッドライトを点灯させて走りゆくバイクがあります。ここにピントを合わせて撮っています。つまりこの作品の主役はこの小さく写ったバイクです。

写真を見た瞬間から極小の主役に気が付くまでのタイムラグがあること、写真の観賞者に探す楽しみ、気が付いた楽しみを与えるリビール効果という手法です。【リビール効果】をググっても写真に関わる情報は何も出てこないのですが、私がときたま参考文献にしているナショナルジオグラフィック社の完全マスターシリーズで写真家のブライアンピーターソンが解説しているので引用してみました。

オトンルイ風力発電の連立する風車にも、R1200GSアドベンチャーにもピントを合わせず、曇天下の雰囲気を出すためホワイトバランスを調整。小さく写っているバイクの進行方向と私のR1200GSアドベンチャーの向きは全く逆方向です。これによりオロロンラインを走りゆく見知らぬライダーの旅と、自分の旅のシーンを重ね合わせた作品にしてみました。あなたの旅と私の旅…みたいな。

 




 

極小の主役が存在する写真は見せるときの画面の大きさとも関わっているので、SNSで発表する場合には小さなスマホ画面で見られることを考慮すると厳しい面もあるかもしれません。パソコンのワイド画面や4切Wサイズプリントなら丁度良いとか、それ以上大きければすぐに見つけられてしまうとか難しい面があります。気が付くまでちょうど良さそうなタイムラグは数秒といった感じでしょうか。

 

こちらも美しい写真ではありませんが…。スマホ画面で見ることを前提に考えると、この写真くらいの大きさがリビール効果としては妥当かもしれません。

もちろんこういった手法で撮りましょう、という意味ではありません。あくまで撮り方の引き出しとして時として使ってみてはどうでしょうか?という意味です。時として…それはこんな風な撮り方が似合うと感じたシーンのことです。

極小の主役とリビール効果でした!




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