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先日ネットでEOS6D Mark2について検索をしていたらこんな記事を見かけました。それは旧型のEOS6Dより後継機種のEOS6D Mark2の方がダイナミックレンジが狭いという内容です。
そもそもダイナミックレンジとは一回の露光で写せる明るさの範囲のことです。日常光の範囲が23.5EV程度に対して一般的なデジカメのダイナミックレンジは11.6EV程度と言われます。つまりカメラは日常の光景に存在する光の範囲を全て守備範囲にはできないのですね。
ダイナミックレンジは狭いよりは広い方が良いですが、普通に撮ってモニターで観賞したり、プリントする場合には狭くても特に問題はありません。
ではどんな時にダイナミックレンジが要求されるかと言うと、明暗差の大きなシーンを撮影したときに、白トビまたは黒潰れした部分をLightroomやDPPなどのソフトで救済するときに、その部分にデータとして像が残っているか否かがダイナミックレンジを必要とする時です。
そしてカメラのダイナミックレンジとはイメージセンサーの画素数と反比例する関係にあり、高画素ほどダイナミックレンジは狭くなってしまいます。つまり先代のEOS6Dは2020万画素で後継機のEOS6D Mark2は2620万画素、イメージセンサーや画像処理エンジンなどで特に対策等をしていなければダイナミックレンジは狭くなって当然なのですね。
さて今回の<中級>ツーリング写真解説ではそんなダイナミックレンジのお話と少し関係しております。ダイナミックレンジ…それは一回の露光で写せる明るさの範囲であること。つまり明るさの観点で写る部分、写らない部分がある、それがそもそものカメラの特性であり写真なのですね。
では限られた範囲であるダイナミックレンジを上手に使って表現の手法にしてみましょう。今回はバイク写真(オートバイという車体が主役)で解説してみたいと思います。

こちらの作品をご覧ください。奥志賀林道で撮った紅葉のシーンです。皆様、ぱっと見てどのような印象をお持ちになられたでしょうか?暗い写真?そうです暗いと言えば暗いですが正確には赤く紅葉した木に露出を合わせて、その結果として背景や地面などが暗くなった、というのが正解というか撮影者の意図です。
これによって表現したかった「紅葉した木々の赤」を絶対的にしディティールも精密に再現できました。そして魅力的ではない他の緑の葉やアスファルトの地面などは暗部に隠したのです。
ポイントはただ露出をアンダーにするだけではなく、黒く潰れてしまう部分を構図することです。画面内で真っ黒になる部分をどのように配置するかに鍵があるのです。
このような手法を私は露出で見せるやり方と呼んでいます。絵画でも光をテーマにしているフェルメールやレンブラントにはダイナミックレンジがあるのかもしれません。しかし基本的には光の範囲を使って表現する手法とは写真ならではの芸術表現なのかな?と私は感じます。
このようにダイナミックレンジをうまく使って範囲外に隠してしまう、あるいはメイン被写体の魅力を際立たせるといった手法がお好きであれば、カメラのダイナミックレンジはむしろ狭い方が良いとも言えなくはないですね。
今回はこの辺で!
~本日の毎日100ショットスナップ~
強い逆光を受ける漁港と船を撮った写真です。これも露出の難しいシーンですが見せ方の1つとして意図的に飛ぶ部分、潰れる部分を構図すれば失敗写真と呼ぶほど変な写真にはならないものです。