究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、今回はツーリング写真解説をお休みしてR1200GS/ADVENTUREのお役立ち情報でございます。
今回はユーザーメンテナンスの代名詞とも言えるエンジンオイル交換を解説いたします。エンジンオイルは3000㎞毎に交換。2回に1回はオイルフィルターも交換しましょうね。また長時間の渋滞路などで油温がラインを越えてしまった経緯がある場合は、3000㎞に届かなくても直ぐに交換することをお勧めします。
R1200GS エンジンオイル交換 難易度★★☆☆☆
今回はDOHCヘッドの後期型であるR1200GSアドベンチャーで解説します。通常のR1200GSもR1200GSアドベンチャーもエンジンオイルの交換方法は同じです。ただし中期型と後期型は少しだけボルト類が違ったりしますので、違いについては説明文に明記いたします。
今回、交換に使用したエンジンオイルはシェブロンのシュプリームSAE20W-50です。R1200GS乗りの間では通称コストコオイルと呼ばれていますが、現在でもコストコで売られているかは不明です…。しかしこのシュプリーム、何と言ってもコスパが優秀で高性能エンジンにも対応した鉱物油にも関わらず驚きの低価格なのです。ちなみに今回はネット通販で1クォートボトル(946ml)12本入りで5200円で購入できましたよ。1本あたり433円くらいです。
シェブロンとは日本では馴染みのない会社ですが、ガルフやテキサコといったオイルブランドの親会社で日本企業で例えるとJX日鉱日石みたいな感じです。アメリカのエネルギー分野の大企業ですね。
ちなみにバイク用のオイルではありません。空冷R1200GSの場合はエンジンとミッションが4輪のMT車のように別室構造になっているので4輪用のオイルが使えてしまうのです。
今回は20W-50を使用しましたが真冬でしたら10W-40でも良いかもしれませんね。
~事前に準備するもの~
オイルフィルターです。
・MANN製 MW75
・HIFLO製 HF164(上の写真)
・K&N KN164 六角頭なので専用レンチが不要
MANNやHIFLOは通販で大体1300円前後だと思います。K&Nは2300円くらい。
ちなみにディーラーでBMW純正オイルフィルターを買うと3000円くらいだったと記憶しております。
フィルターレンチはBMW純正はお高いらしいので、KTC製B76 ルノー、シトロエン用がお勧めです。
ドレンボルトのガスケットです。都度新品を使用しましょう。M16で外径は20㎜の厚さ1.5㎜。「アルミワッシャーM16 19-91716」で検索すると30個入りで破格で売っている通販サイトを見つけられると思います。
廃油処理箱4.5L用。ホームセンターやカー用品店などでも容易に入手可能です。写真の物はカインズホームで198円。自治体によって異なりますが多くの地域では燃えるゴミとして普通に捨てることができます。
トルク管理のためのデジラチェまたはトルクレンチ。ドレンボルトとオイルフィルターの締め付け時に使用します。
トルクスのソケット。このようにメス型になっているのはE型トルクスといいます。DOHC後期型ではオイル交換作業では使用しませんがSOHCモデルはアンダーガードを外す際に使用します。
このようにオス型となるのがT型トルクスです。DOHC後期型のオイル交換作業ではT25とT30を使用します。
8mmのヘックス(六角)ソケットとラチェットハンドル。ドレンボルトの締め付けに使用するためトルク管理が必要なので、普通のL型の六角レンチではなくソケットを用意しましょう。
あとは13mmのアングルのあるメガネレンチ、または13mmソケットレンチを用意します。写真は必要な物を並べたところ。新聞紙、ウエス、ゴミ袋、作業記録用にスマホ。オイルは暖機して熱い状態で抜きますので、自信のない人はホームセンターやワークマンで売っている耐熱手袋も用意しましょう。
では作業開始!
エンジンオイル交換作業は終始センタースタンド(メインスタンド)をかけて車体を垂直にして行います。
まずはエンジンを始動して暖機運転です。デジタル油温計が写真よりもう1セグメント上がったところまで暖めます。空冷R1200GSは多くのBMW車のようにドライサンプ式ではなく、通常のウェットサンプではありますがクチバシに装着されたオイルクーラーにサーモスタッドが装着されています。
このサーモスタットが開いた状態でエンジンを停止させることで、オイルクーラー内の全てのオイルをパンに戻して抜き取ることができます。冷えているとサーモスタッドが閉じていてオイルクーラー内のオイルをパンに戻すことができず全量交換できません。
暖機している間に車体下部にあるアンダーガードを外してしまいましょう。エンジンをかけているのでエキゾーストパイプに触れて火傷しないように気を付けて下さい。アンダーガードは4か所で固定されていて、後ろ2本は13mmの六角ナット、右前はT30(中期SOHCはE8で前期は六角)、左前はT25(中期SOHCはE10で前期は六角)です。
アンダーガードを外したところ。後ろ2本は車体側にありますがゴムブッシュを介してマウントされているのが分かります。という事は・・・取付時には締め過ぎに気を付けましょう。
アンダーガードを外したら車体の右下から覗いてドレンボルトの位置を確認しましょう。またこの周囲にオイル汚れの有無を確認し交換作業前に既にオイル漏れを起こしていなかったかも同時に確認しましょう。
暖機運転が終了したらR1200GSのエンジンを停止させてドレンボルトを8mm六角を使用して緩めます。
レンチで少し緩めたら廃油処理箱の位置を慎重に決めて下さい。失敗すると地面がオイルで汚れます。
ドレンボルトは上に押し付けながら緩めてネジ山が終わった感触があったら、さっと横に抜く感じです。エンジンオイルは暖機されて高温なので耐熱耐油手袋があると安心です。自信がなければ処理箱の中に落としてしまっても、抜ききった後に箱からドレンボルトをラジペンか何かでサルベージすれば良しです。
オイル交換の経験がある人はフィラー(注入口)を開けた方が効率よくオイルが抜けるとご存じだと思います。しかしR1200GSのオイル交換の場合はフィラーを開けると勢いよく抜けすぎて飛び散ってしまうので最初はフィラーを閉めた状態で抜くのがお勧めです。
後半になったらフィラーを開けても大丈夫です。しかし最後はチョロチョロといつまでも途切れません。車体を前後に揺らすか、いちどドレンを装着してセンタースタンドを下ろしサイドスタンドで傾けて再びドレンを抜くやり方もあります。
古いエンジンオイルを抜き終わったら、オイルフィルター交換作業を始める前に忘れるとヤバいので先にドレンを本締めしましょう。ドレンはネジ山を神経質すぎるほど念入りにウエスで清掃してください。そして忘れずにガスケットは新品を装着します。
8mmヘックスソケットをデジラチェに装着し、ドレンボルトを本締めします。設定トルクは32N・mとなかなか強めです。この位置だとデジラチェの液晶が見えないので32N・mにプリセットしてアラーム音で確認しましょう。
オイルフィルター交換作業
ではオイルフィルターを外しましょう。
空冷R1200GSのオイルフィルターは車体の左前から覗くと確認できます。廃油処理箱を下に置いて慎重に外してください。
つい地面にオイルをこぼしてしまうのは、この時ですので新聞紙を広範囲に敷いておきましょう。
外したオイルフィルターとパッキン。このパッキンは稀に車体側に張り付いて残ってしまうので、その場合は確実に車体側から取り除いてください。気が付かないで新しいフィルターを装着するとダブルパッキンになってしまい、恐らくオイル漏れを起こします。
これはオイルフィルターが真上向きに装着される車種しかできない芸当なのですが、新しいオイルフィルター内にエンジンオイルを入れておきます。交換直後の始動時に少しでもドライクランキングのダメージを軽減したいからです。200㏄くらい入ります。
新品のオイルフィルターのパッキンには薄くオイルを指でなぞって、車体に装着してください。フィルターを装着する際は手でスムーズに回転していくのを確認し、最後に工具で締めます。フィルターが斜めに入っていたり、誤ってルノー用のフィルター(ネジピッチが1.5でそれ以外は外観は判別不能!私の愛車ルノーカングーがそうなんです!)を購入した場合などは最初の1回転程度で回らないです。その場合は無理に工具で締めず必ず確認をしましょう。
オイルフィルターの締め付けトルク設定は11N・mです。手ルクレンチ派(つまりトルクレンチを使わない人!)の方は締め過ぎにご注意!
新しいエンジンオイルを注入!!
シリンダーヘッドカバーにあるエンジンオイル注入口。前期、中期モデルは左バンクのヘッドですが、なぜかDOHC後期は右バンクのヘッドカバーに在ります。
注油口のフィラーキャップを開けるのは車載工具です。私は無くさないように紐をつけてみましたよ。北海道ツーリングのようなロングツーリングでは旅先でエンジンオイルを補充することもあるので、コレはすぐに出せる所に収納してあります。
これは2008年 中期型R1200GSのオイルフィラー このキャップはディーラーで販売されているアクセサリーでピントルクスレンチで開けます。
多くのオイルに使われている1Lボトルは、この写真の向きで注入します。口を上側にすることで傾けてもすぐには出てこないのです。それにしてもR1200GSほどオイルが入れやすいバイクは無いと感じます。
注入量はまずは3L入れます。そしてフィルター交換した場合は3.5Lくらい入るはずなので様子を見ながら少しづつ入れます。古いオイルを抜く時に暖機が不十分だったりすると全量が抜ききれていないので、いきなり3.5L入れると入れ過ぎになります。
※シェブロンシュプリームは1本が946mlなので3本では2.83Lくらいです。
エンジンオイル量の確認方法はオイルフィルターの近くにある左前の点検窓です。エンジンを停止状態にして確認します。量は赤丸の中心を狙って入れます。ちなみに赤丸の下が下限、上が上限で下限から上限まで約0.5Lです。入れ過ぎてしまうと入れ過ぎた分だけ抜くのは厄介なので慎重に。
エンジンオイル注入が終わったらフィラーキャップのネジ山も神経質すぎるくらいに清掃しておきます。
フィラーキャップのガスケットも忘れずに清掃して装着しましょう。
フィラーキャップをしっかり締めたらドレンボルト付近、オイルフィルター付近、オイル注入口付近の汚れをパーツクリーナーで綺麗に清掃しましょう。汚れたままにしておくと最後のオイル漏れチェックの時に漏れなのか作業時の汚れなのか判別しにくいのです。
最後にエンジンを始動しドレン、フィルター、注油口から漏れや滲みがないか入念にチェックし問題なければアンダーガードを取り付けます。5分ほど暖機させたら最終的にオイルレベルをチェックして終了です。
慣れてしまえば30分程度の作業ですので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
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