究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、すごく昔の経験談なのですが知人のある人が写真教室に通っていました。その人が講師の方にこのように質問したそうです「高いカメラを買えば良い写真が撮れるのですか?」講師の方はしばらく考え込んで「写真は人が撮るのです、カメラが撮るのではありません」と答えたそうです。
実に的を得た、かつ無難な回答ではないかな、と感じます。一般的によく耳にする解釈として高いカメラは綺麗に撮れるが良い写真が撮れるかは別だ、と言われます。
ならば作者が良い写真を撮るには絶対に綺麗に撮るべきだ!という考えであれば高いカメラを買う意義が生まれるかもしれません。
しかし綺麗な写真とは一体何でしょうか?きめ細やかな画質、広いダイナミックレンジ、鮮やかな発色、豊かな階調、それとも女性が美人に撮れるとか景色がドラマチックに撮れるとか?綺麗の解釈があまりに漠然としていると「綺麗に撮るべき!」と主張したところで目指す道は定まりませんね。
美や芸術とカメラの性能がどう関係しているのか、自分なりに確固たる考えを持っておくと良いのかもしれませんね。以前にも書きましたが私の考えでは正しいカメラ選びとは「使いやすいお気に入りであること」でございます。

さて今回の<中級>ツーリング写真では以前にも当ブログで何度か解説してきました、撮影時の言語化のお話の続きです。ここで写真を撮りたい!と感じた場所でバイクを停め撮影の準備をし、まず最初に何をしましょう。
景色をよく見てその場の空気や光を感じ、心を平穏にしてノイズをシャットしましょう。そこであなたが撮ろうと思った理由は、その場所(モノ)の特長にヒントが隠れています。審美眼に問いかけて1つ1つを言語化し美しい言葉で形容してみましょう。
それに成功すればあとは足で構図を作ったり、レンズを選んだり、露出を設定したりする作業です。逆に言えば言語化せずに「わ~イイ感じ」「日本じゃないみたい~」で撮影を開始すると、どう撮るかを具体化できず漠然とシャッターを切って駄作を生むだけです。
言語化は「言語化力」として1つのスキルと覚えましょう。言語化力をトレーニングすれば「何をどう撮るか」の「どう」の部分が劇的に良くなります。「何を」の部分は審美眼を鍛えると良いです。いずれの場合も一朝一夕には成就しませんので、日常的に意識して長期的な観点でレベルアップを目指すと良いと思います。

言語化力は美しい言葉、単語があなたの脳内にどれだけ在庫しているかです。詩人や小説家に近い感じです。例えば「湖がきれい」ではなく「さんざめく湖面が陽光で輝いている」といった具合に美しい言葉で被写体の状態を表現するのです。マジかよぉ、俺が?と照れてしまうようでは前進はないですよ。
気の利いたワードがうまく思い浮かばない…と苦手な方も多いと思います。イキナリ言語化力を鍛えると言っても難しいですよね。
ここでお勧めのやり方を伝授します。言語化力を鍛える以前に、まずは「タイトル力」を鍛えてみましょう。撮影シーンでどう撮るか?いろいろ考える際に、例えばコンテストに応募するような1枚の作品として、このシーンにタイトルをつけるなら何だろう??と考えてみてください。
もし気の利いた素敵なタイトルが思いついたらラッキーです。なぜならそのタイトルは今撮っている撮影シーンを傑作へと牽引してくれる力を発揮するからです。思いついたタイトルの通りに強くイメージして、もう一度シャッターを切ってみましょう。きっとタイトルを思いつく前に撮った写真よりも素敵な1枚になっているはずです。

いつもこんな解説ばかりで半信半疑の方も多いと思います…しかし私は嘘は言っていませんからね。どれだけの方がこの解説の通りに実践していただけるか疑問ですが、少なくともツーリング写真としてこの観点で説くHOWTOは唯一無二を自負しております…。
次の撮影からあなたもロマンチストを気取って、素敵なタイトルを考えながら撮ってみてくださいね。
ではまた!
~本日の毎日100ショットスナップ~

客船にっぽん丸の出港シーンを撮った1枚。テープによる見送りと旅立つ人々。つながれた紙テープはやがて切れ旅の無事と再会を約束する。