前回の続きです。
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5.アイキャッチで視線をバイクへ導こう
アイキャッチとは聞きなれないワードかもしれませんが、簡単に言うと写真を見る人の視線を引き付ける要素のことです。
この写真ではヘルメットを持ったライダー(私)がフレームに見切れでインしています(フレームイン)。これがアイキャッチ要素です。ヘルメットの形状は図形要素の円で観賞者の視線をそこにキャッチして安定させる役割があります。その後、ライダーが歩み寄る方向がR1200GSアドベンチャーへの導線となり主題へ視線を導くのです。
そして見逃してはいけないポイントは歩み寄る様子が静かな写真に時間を加えているところ。これがあるだけで、ただバイクが置いてある写真とは印象として雲泥の差です。
当ブログ 究極のツーリング写真ではカッコいいバイク写真とは次のように定義したいです。「バイクのオブジェ化を回避しオーナーである貴方との関係を写真として表現するべき」どうでしょう?「アイキャッチ→導線」このテクニックでよく見かける平凡な愛車自慢の写真と明確に差別化してみませんか?
6.シーンの演出でオシャレなバイク写真を
シーンの演出、つまり通常のバイク写真ではなく、あなたと愛車の関係を映画のワンシーンのようにしてみましょう。上の写真ではR1200GS-ADVENTUREのリモワ製トップケースから望遠レンズを取り出している様子を撮ってみました。演出に抵抗のある方は現場でいきなり撮るのではなく、事前にイメージを膨らませておくのがオススメです。これが出来れば人と違ったオシャレなバイク写真を手に入れることが出来ます。
コツは「〇〇しているところ」というシーンを予めイメージ作りしておくことですよ!場合によってはドリンクのボトル、タバコ、地図などの小物が必要なときもあります。
7.車種に応じた魅力を引き出そう

例えばフルカウルのスーパースポーツであれば面による造形美を引き立てるようアングルを考えます。クラシカルなバイクであればエンジンやマフラーなどの金属の質感を大切に光を当てたり逆光を利用したりして表現してみましょう。
エンジンやサスペンション、メーターやタンクなどに寄ったクローズアップも、そのバイクの特長的な部分を表現するのに良いです。
BMWのアイコンとも言えるR1200GSの異径ヘッドライトに寄った写真。大型のスクリーンとクリアーヘッドライトガードに付いた雨粒が気に入ったので撮ってみました。
8.焦点距離と絞りの設定
さほど重要なことではありませんが念のため最後に書き加えておきます。焦点距離については撮影場所によりますが35~85mmくらいの画角が良いでしょう。気に入った背景が広範囲に存在するのであれば35mm、逆に電線や標識など背景から除外したい要素がある現場なら85mmくらいが良いと思います。
肉眼に近い50mmも自然な背景を作るという意味でオススメです。
24mm以下の広角レンズになってしまうと、車体を画面いっぱいに写すバイク写真の場合、どうしても四隅のゆがみが気になってきます。広角レンズの四隅のゆがみは空や緑など自然界のものなら気になりませんが、バイクや建物といった人工物の場合はとても目立ちます。
絶対とはいいませんが基本は避けた方が良さそうです。
絞りについても同様にどのような背景を選んだか?によって変わってきます。基本は最低でも車体のすべての部分にピントがくるよう撮ることです。稀にF1.4とか大口径のレンズを持っている人がヘッドライト付近にピントを合わせて、解放で車体後方はボケている、なんて写真を撮っていますが特別な意味がある場合(特定のパーツを強調したいなど)を除いて、これはオススメできません。バイク写真でやたら解放を選ぶと車体がミニチュアに見えてしまいます。
絞りはバイク写真に限らず全ての写真において被写体や背景などの存在感の調整に使うものと覚えましょう。バイクが主役のバイク写真であればしっかり車体にピントを合わせて、背景をボカしたり、もともとシンプルな背景であれば絞り込んでパンフォーカスにしたり、といった具合にシーンに合わせて適宜選択しましょうね。
ちなみに今回の解説に使用した錆びたトタン壁の写真は全て画角35mmで絞りはF6.3でございます。
いかがでしたか?
今回の解説で私が個人的におすすめしたいのは5.のアイキャッチで視線誘導です。やはり究極のツーリング写真の読者の皆さまでしたら、普通のバイク写真ではなくバイクとオーナーの関係を表現できた、見る人を楽しませる写真にしていただきたい、そんな風に思います。
次回はかっこいいバイク写真 Lightroomレタッチテクニックをご紹介しますのでお楽しみに!
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