究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、当ブログでは今までカメラの操作、露出の概念など一般に写真の基本として言われていることは、実はそれほど大事ではないですよ。というお話をしてきました。
大切なことは何を見つけ、感動し、どう表現するか?美しさだけでなく人の感情にうったえる写真にしましょうと。それは印象であったり驚きであったり共感であったり、時に寂しさや恐怖なども。
しかし表現の手法としてカメラの操作があるのは紛れもない事実です。「それほど大事ではない」とは最重要なことではありません、という意味です。私が特にカメラ操作の中で重要かなと感じるのは露出概念の中の絞りです。
きっと多くの方が絞りについて、なにかスッキリしない部分をお持ちだと思います。今回はそんな絞りの難しさについて、究極のツーリング写真流に解説していきたいと思います。
まずおさらいですが、絞りとはレンズ内の穴ぽこの大きさです。この穴ぽこは大きくしたり小さくしたりできます。穴ぽこが大きいと光がたくさん入ってきます。同時にピントの合う範囲が奥行方向に見て狭くなり、背景などが良くボケます。これを絞りを開くといいます(Fという数値は小さくなる)。
逆に絞りを絞る(F値を大きくする)とは光が少ししか入ってこない、同じ量の光を得るためにはシャッターを遅くするか感度を上げる必要があります。ピントの合う範囲は奥行方向にみて広くなります。これを被写界深度が深くなるといいます。
被写界深度は被写体がカメラの近くになるほど浅くなる傾向があります。近くの被写体にしっかりピントを合わせるには絞りこむ必要があります。
ではツーリング写真ではどのように絞りを操作するのが正しいのでしょうか?
絞り:F2 悪い例。
遠景があるが前景がない。このようなシーンで解放(または解放付近)を選択するとジオラマ模型にセットされたミニチュアバイクのようになります。何でも解放を選んでしまうのは一眼レフカメラを買ったばかりの人の悪い癖です。ボケるのがうれしいからと言って何でも解放で撮るのはやめましょう。もちろん暗いのでシャッター速度をかせぎたいから、とか背景や前景をボカして構図内の存在感を調整したいから、といった具合に正当な理由があるのであれば、その限りではありません。

このレンズの解放値 F2.8を使用した作例。背景になっている白樺林をボカしメイン被写体であるバイク+ライダーの存在を浮き出たせたもの。こういったシーンで絞り込んでしまうと背景がゴチャゴチャしてメイン被写体の存在が沈んでしまいます。こういったシーンでは絞りを開いて背景をボカしましょう。

こちらは絞り込んだ作例です。このレンズ SIGMA35mmF1.4ARTでの最小絞り値であるF16です。先ほど近くにある被写体ほどボケやすいと書きましたが、メイン被写体(バイク)に合焦させた場合も、このような近景はF8とかではまだまだボケてしまいます。この作例の場合は前景のスイセンの様子をどこまで明らかに表現するかを考えF16まで絞り込んでみました。
絞りとは一般にボケ具合の調整と言われています。しかし私が思うに「ボカす」の反意語が存在しないため、なんでもボカすのが良いという誤解を招いていると感じます。高価なレンズほど大口径で美しくボケるのも、そういった誤解を生んでいる要因の1つではないでしょうか。
ボカしまくるのが良しとするのはポートレート(人物)、お花の写真などです(もちろん例外もありますが)。
ここで私が勝手にボカすの反意語を考えてみました。「明らかにする」です。なんかいい言葉でしょう?
「開いてボカす、絞って明らかにする」
こう覚えれば何でもボカす癖は抜けて、被写体のどこをどう写せばいいか?絞りのダイアルを操作し、絞り込みボタンを押して確認(または試し撮りして確認)して撮りたい意図に従って試行錯誤できるようになると思います。
私もつい数年前まで絞り込むという選択肢がぽっかりと抜けていました。修正するのに時間がかかったものです…。
それと絞り込む選択肢を持ったら注意点が1つ。シャッターボタンを反押ししたときに、ファインダー内に表示する露出値(絞り優先モードの場合 シャッター速度の表示)を読み上げる癖をつけましょう。これは絞り込むとシャッターは遅くなるので手ブレ、被写体ブレが起きやすくなるからです。
焦点距離に応じた自分のカメラホールド力をシャッター速度の下限値で覚えておきましょうね。「俺の場合200㎜なら1/125が限度だな!」といった具合に。もちろん三脚を使用するのであれば手ブレの心配はありません。しかし被写体ブレには気を使いましょうね。山だったら木の葉が風に揺れていないか?海だったら波はブラすのか止めるか??
この部分はまた別の機会に詳しく解説いたします。
それでは!
~本日の毎日100ショットスナップ~

東京都中央区 晴海客船ターミナル 91年竣工のデザイン建築 竹山実設計事務所 空間を贅沢に使った逆三角のオブジェ 晴海といえばオリンピック選手村として現在は急ピッチに建設が行われていますが、オリンピック終了の数年後にこのターミナルは解体されて公園になる予定だそうです。客船ターミナルはレインボーブリッヂをくぐれない超大型船が停泊できるよう、現在は青海に新ターミナルを建設中です。