究極のツーリング写真 touring-photography.com 読者の皆さま、もう桜の景色でツーリング写真、バイクのある風景写真は撮られましたか?
桜は特別、遠くまでツーリングしなくても生活圏内にたくさん存在しているので限られた自由時間でも撮りに行けるのが嬉しいですよね。また満開のタイミングに合わなくても、少し南に行くか、北に行くかなど移動することによって良さそうな桜を探して走るのも楽しいです。私の勤務先である東京都では今は満開ですが、きのう市原に行ったら未だ7分咲きくらいの桜が多かったですね。
さて今回はつい昨日撮ったばかりの桜の写真を使って<中級>ツーリング写真の解説をいたします。いつもWordpressの予約投稿機能を使っちゃっているので、こういうフレッシュな投稿は当ブログでは珍しいです…

撮影日 2018年3月28日 千葉県市原市にある小湊鉄道の月崎駅で撮りました。残念なことに桜の開花状況は6~7分咲きくらい。菜の花は去年にここに来たときより半分くらいしか咲いていない感じでした。
さらに暖かく良いお天気だったこともあり、撮り鉄さんとドライブに来た観光客がたくさんいて、とても撮影がはかどる状況とは言えませんでした。電車は1.5時間に1本くらいしか来ない時間帯だし、一発勝負の中で近くに人がたくさんいて気が気ではないです…。
さて最初に構図の解説です。桜の景色というと桜を主役にするのが普通ですが、満開でなかった場合はどう撮りましょうか?この作品の場合、構図としての主題は桜の木の幹にしました。度々出てくるデザインのお話でございますが、桜の木の幹の形状をよく観察したところ、非常に魅力的な曲線を描くアングルを発見しました。
この桜の木の幹を縦構図にして画面内の理想的な位置に配置しました。幹の形状が縦構図にぴったりなのは言うまでもありませんが、周囲に入って欲しくない人などを画面から排除するにも縦構図は有効です。
三脚にカメラを固定して大まかな構図を決定したら、理想的な位置にバイクを停めます。電車が来るまで30分くらいあったので、じっくりと練りました。遠景にある桜の木は、まあまあ満開と言って良さそうです。列車が来るであろう場所は予測するには難しくありません。
そして重要なのは光。この時間帯(午前10時)のこの場所では逆光です。逆光の時はどうしますか?究極のツーリング写真の熱心な読者様ならお分かりですよね?そう、青空は捨てて地上物を輝かせるのです。
大まかに組み立てたら整理しましょう(時間に余裕のある撮影シーンに限りますが)。構図の主題は桜の木の幹。木の幹が描く曲線をデザインとして画面内に配置できたか?被写体のキャスティングは小湊鉄道のキハ(車両)は重要だけど脇役、桜も菜の花も重要だけど脇役、逆光だから鮮やかな発色は出ない。意図的に露出オーバーにしてハイキーな写真にしよう。
といった感じでしょうか。
そしてここまで自分が組み立てた写真に、もう一度問いかけます。ほんとにコレでいい?普通っぽくない?何かひとヒネリできないか?ユニークな何か?
ここで私がひらめいたのは絞りです。通常、こういった風景のシーンでは絞り込んで被写界深度をかせぎますが、逆転発想で開放を試してみました。このSIGMA35mmの単焦点はなんとF1.4が開放値です。もちろん、こういったシーンでF1.4なんて特別な理由がない限り、画質の観点から考えてもやってはいけません。しかし特別な理由を見つけたのです。
この場所は特にカメラの近くは雑草が生い茂って御世辞にも美しいとは言えません(去年はここも菜の花がいっぱいだったのですが…)。そこで逆光下でF1.4を選択して全体をフワっとした印象の写真にしてみました。賛否あるやり方かもしれませんが、後でソフトウェア―のレタッチで明瞭度を下げまくるより、ずっと良い手法だと思いました。
ところでこの撮影地、ほんとに人が多くて色々とまいりました…。というのも多くの撮り鉄さんは鉄道や花の咲く鉄道風景を撮りに来ている訳で。私のように鉄道を背景にして35mmなんて広角で撮ってしまうと、私一人が占有してしまう範囲が迷惑なくらい広いのです。
しかも撮り鉄さんは先にいた人の邪魔にならないよう、マナーを心得ている方々なので、みなさん私のカメラ位置にとても気を遣ってくださって逆に迷惑をかけているのは私の方…みたいな撮影シーンでした。
小湊鉄道なら人の少ない林道の中とか、他に良い撮影地をいくらでも知っているので今の季節に駅に来るのはやめよう~と反省した日でもありました。
しかし、嬉しかったのはベテラン撮り鉄さん達とのコミュニケーションです。「どんな風に撮っているの?」と話しかけて下さいました。私の6Dのモニターを見せて「縦構図でこんな感じなんです」とお見せすると、木の幹を堂々と配置した構図に一目見て気に入ってくださったようで「おおっいいねぇ~バイク関係のコマーシャルフォト?」といった具合に楽しく会話ができましたよ。
今回は風景だから絞り込むとか、見たままの明るさを再現しようとする露出設定とか、無意識下でやってしまう固定概念みたいなものを、きちんと壊せる能力。それこそが個性的な作品を生み出すための1つのヒントなのだな~と改めて学んだ一日でした。
それではまた!
↓↓↓撮影地↓↓↓
千葉県の人気ローカル鉄道 小湊鉄道の月崎駅です。映画やCMのロケ地として度々使われています。この他にも飯給(いたぶ)駅、上総大久保駅、上総鶴舞駅などが撮影にオススメですよ。今の季節は人が多いのでマナーを守って撮影しましょう。混雑を避けたい人は始発電車を狙いましょうね。