BMW R1200GS空冷モデル ADVENTUREと通常GSの違い

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さて今回は少し写真の話題を離れてオートバイの話です。

私の愛車である空冷モデルのR1200GSのインプレッション。今回はR1200GSアドベンチャーの方でいってみたいと思います。

以前にR1200GSのインプレは作りましたが今回はアドベンチャーの方です。私は今年で2008’R1200GS(以下GS)を購入してから10年、R1200GS-ADVENTURE(以下GS-A)を購入してから4年。なかなか個人ユーザーで10年という期間、かつGSとGS-Aを両方所有している人は少なく、その上でのインプレッションは貴重なのではないでしょうか。

曇天下ですが葦を背景にローアングルから。

私の愛車であるR1200GS ADVENTURE

輸入モデルは2013ですが、登録は2014年となる未使用の新古車をディーラーで購入しました。2014といえば水冷GS-Aのデビューイヤーなので、空冷GSとしては超末期モデル。
ディーラーさんの話によると最後の船便で入ってきた!との事です。

グレードはプレミアムラインなので電子制御サスペンションESAやトラクションコントロールASCが装備されています。
後期型なのでDOHCヘッドモデル。カラーは2012~2013しか存在しなかったアルピンホワイト×サンドローバーで少し珍しい?

去年の夏、北海道でのひとこま。積載しているビニールはゴミではなくお土産。

まずはじめに、あまりBMWについてご存じでない方のためにGSとGS-Aの仕様としての相違点を書いてみます。

・サスペンショントラベルと車高
GSに対してGS-Aはオフロード走破性能を高めるため、サスペンションストロークが20㎜長い。 プリロードも多いため、シート高はGSが850/870なのに対してGS-Aは890/910㎜と40㎜も高い。

・ガソリンタンク容量
GSが20L GS-Aは33Lとその差13L。
左右に張り出した大型のタンクには金属製パイプのガードが装着され、シリンダーヘッドガードと連結されている。

・ウインドプロテクション
GSよりも2周り大きいスクリーンに加え、タンクとの間にあるアンダースクリーンを装備。
大きく張り出したタンクと相まって、高速走行でのウインドプロテクションは圧倒的にGS-Aが優れている。

・車重
当然GS-Aの方が重いです。
乾燥重量のカタログ値で比較すると16㎏程度の差ですが、走行可能重量としてのカタログ値では27㎏も重いです。
カタログ値での走行可能重量とは恐らくガソリンが満タンですので、燃料の差13L分と推測されます。逆に考えればGS-Aは満タンにさえしなければ、GSとの車重差は16㎏程度と意外と少ないと言えます。

・1速ギア比
オーナーさんでも知らないという人がいますが、GSとGS-Aでは1速のギア比が違い、GS-Aの方がローギアードです。
極低速でのダート走破を考慮されているか、満タン時の重量を考えての設計と思われます。

GS  4.125
GS-A 4.516

・リアシートとリアキャリア
理由は分かりませんが、GSとGS-Aではリアシートの形状が少しだけ違います。
リアキャリアはGSはかなり凝ったデザインでBMWらしいですが、GS-Aはパイプを曲げただけの武骨なデザインでアルミケース用のマウントと併用させるとADVENTUREらしくなります。

GSのリアキャリア

・車両価格(中期型の例)

GS: ハイライン1.994.000円 プレミアムライン2.150.500円
GS-A: ハイライン2.328.500円 プレミアムライン2.465.000円

 

GS-Aのリアキャリア+ヘプコのトップケースのマウント。そして左右にサイドケースのマウント。

 

・外観
前述の大型タンク、スクリーン、ガード類に加え、GS-Aはフレームとホイールリムがブラックに塗装されています。
そしてGSでは工場オプションだったクロススポークホイールはGS-Aの場合は標準となります。

33Lのビッグタンクにパイプ製ガード。

 

・その他
GS-Aにはオフロード走行向きのペグ型ワイドステップ、スタンディングポジションに対応したブレーキペダル、大容量のツラーテック製アルミケース(オプション)、アルミ製シリンダーヘッドガード、フロントフェンダーエクステンションなどのアクセサリーが装着されます。
いずれもGS-A専用という事ではなく、GSに装着することも可能です。

ワイドペグのステップ。ブレーキペダルは可倒させるとスタンディング姿勢で踏みやすい高さになります。




オフロード走破性能

20㎜長いサスペンションストロークのお蔭でダート走破力はGSより優れているのは確かです。ただしサスペンションストロークはある程度の荒れた路面、ギャップ通過の時に差が明確に発生するもので、もともとR1200GSが得意としているフラットダートではメリットを感じにくいかもしれません。

車高が高い分、ロードクリアランスが大きいというメリットもありますが、GSで底打ちしてGS-Aなら大丈夫といったシーンは少ないと思います。それより車高が高い分、足つきが悪くギャップ通過でバランスを崩した時のリカバリーのしにくさを考えるとデメリットの方が大きいかもしれません。

それではGS-AはGSと比較してオフロード走行での優位性はないのか?と聞かれれば、それは違います。
サスペンションはストロークが長いだけでなく、プリロードも強めに設定されているため初期の沈み込み量が多いのです。これはあらゆるダートシーンにおいて微細な振動から大きな衝撃まで吸収して車体を安定させています。
1速しか使えないようなタイトセクションですと、メリットは出しにくいですが、ある程度の速度で巡行できるダートなら大変安定していてGS-Aが優位です。

私はカウンターを当てて派手にリアをスライドさせたり、ジャンプしたりするような激しいオフロード走行はしないので、これ以上のコメントはできませんが、オフロード走行が好きな方ならGS-Aの方が絶対にお勧めです。

それとダート走行前はなるべくガソリンの量は少ない方が良いでしょう。
満タンにして林道に入れば、その重量と重心の高さに低速時に苦戦します。

房総の金谷元名林道にて

 

オンロード運動性能

R1200GSというバイクはオンロードの走行性能も高く、ワインディングでのコーナリングも素晴らしいという話は既にあらゆるメディアに書かれていて有名ですが、ではGSとGS-Aを比較してオンロードでの運動性能はどうなのか?という事についてコメントしたいと思います。
GS-Aは高い車高と大きなタンク、サスペンションの違いにより、普通に走行させた瞬間にGSとのキャラクターの違いがすぐに体感できます。

非常に穏やかで、ゆったりとしたセッティングです。
恐らくサスペンションのプリロードが関係して、路面の微細なギャップもスムースに吸収しこのようなコンフォート感が出ていると思われますが、逆にとらえればダイレクト感に欠けスポーティーにコーナーを攻略しよう、という気分にはなれません。
右に左にと切り返していくセクションや、縫うように上る九十九折りの峠などではGS-AよりGSの方が圧倒的に軽快な動きをし、狙ったラインを外さない痛快さがあります。

ただし、あくまでもGSとGS-Aを比較した場合の話であって、通常のオートバイを基準としたコメントをするなら、GS-Aのこの巨体と車高から考えてみれば、驚異的なオンロードおよびコーナリング性能であることは間違いはありません。

 

長距離巡行

まずはこの巨大なタンク (容量33L)によるワンタンクの巡行距離の長さが大きなメリットです。燃費を20㎞/Lと計算すると660キロも走ってしまう計算です。
給油というのはツーリングを楽しんでいる1日の中で、水を差すような行為だと感じるのは私だけでしょうか。。。 それがGSや他のバイクに比べて圧倒的に少ないのは大きなメリットです。
特に最近は郊外に行くとガソリンスタンドが減りましたからね。
GS-Aのビッグタンクならガス欠のリスクも軽減です。

GSのタンク 容量20L
GS-Aのタンク 容量33L

 

2つ目は走行時の快適性。別に快適性を追求して設計されたバイクではありませんがオフロード向けのサスペンションによる有難い副産物として、乗り心地が良いのです。
高い車高によりアイポイントが高く、遠くを見ているため視覚的な疲労感も少ないように感じます。

3つ目は防風性能。 大きなスクリーン、アンダースクリーン、そして左右に張り出した大型のタンクにより、大型ツアラー顔負けの非常に高い防風性能を持っています。BMWの代表的なツアラーモデルR1200RTと変わらない、といったコメントをする人もいるくらいです。

GSとGS-A どちらも純正スクリーンです

これらによって長距離、長時間の巡行性能が優れていて、1日にたくさんの距離を走る弾丸ツーリングも威力を発揮します。
また長距離を走らなくても、ライダーの疲労を軽減するということは、旅先で何かをしたいときにも有難いことなのです。
何かってなに?と言われれば、例えば私の場合は風景写真、人によっては山登りとかトレッキングとか、知人にはカヤックや釣りといった方もいます。
500~600キロくらい走っただけで、運転に疲れ切ってしまうバイクでは楽しめない世界がGS-Aにはあるのです。

取りまわし、足つき

車体の押し引き、センタースタンド掛けなど、最初はかなり緊張を強いられます。何といってもその迫力の巨体は精神的にプレッシャーになるのは間違いありません。
大きなバイクは他にもたくさんありますが、大きくて車高が高いというのはGS-Aくらいだと思います。ただしガソリンの残量さえ少なければ、決して重いわけではないので、車体の垂直を保ったまま上手に取りまわしする事をマスターしてしまえば、あとは慣れの問題です。
しばらくして慣れてくるとガソリン満タンの状態でも、さほど臆することなく取りまわしできます。
GSもGS-Aも同じですがセンタースタンドは衝撃を受けるほど軽くかかります(2008モデル以降)。

足つきは身長180CM以下の人は苦しいです。175CM以下ですと、シート交換など何らかの対処を必要とされます。私は身長179CMでノーマルシートをシート取付位置を高い方にマウントさせると、車体垂直状態で両足がバレリーナのようになり、何とか両足のつま先が地面に届く感じです。

これを解決させるのにK&H製のシートに交換しました。
K&Hのシートはロー、ミディアム、ハイの3種類が選べるだけでなく、足を下ろす部分がスリムで股関節の開脚角度も最小限にとどめるため、純正シートと同じシート高であっても、足つきは大幅に改善されます。
私の場合はK&H ハイシートをセレクトし車体にローの位置でマウントさせました。これで両足の足指の付け根くらいの位置が地面に着く感じです。

GS-Aを検討されている方は、取りまわしや足つきに不安を感じて躊躇するかと思います。無理をしても高価なバイクを倒してしまうだけですし、何より本来のパフォーマンス(特にオフロード走行)が楽しめません。
よく足つきは「お尻の位置を少し横にずらせば問題ない」と言いますが、その方法では実際には不便な面が多々発生します。 例えば乗車状態で車体を50CMくらいバックさせたいとき、オフロードでギャップの多い場所で一度停まりたいとき、地面の状況が予想外だった…という不測の事態。
250ccクラスのモトクロッサーで足つきが悪いのとは事情が違います…
キャンプツーリングをされるのであれば、多くの荷物を積載するのですから、なおさら不安定ですのでお尻を横にずらす作戦はお勧めできません。

GSとGS-Aを近くに並べるとこんな感じです。圧倒的にGS-Aの方が大きく感じますね。

 

サスペンションのローダウンキットというのも発売されているようですが、それを装着すると言うまでもなくサスペンションストロークが短くなって、オフロード走破性能は低下します。

ローシートは足つきの問題は解決されますが、ステップとの位置関係が近くなり膝の曲がり角がついて長時間走行で疲れます。

ローダウンサスにローシート、なんて使い方の人もいますが、それではタンクが大きいだけのGSでADVENTUREとしてのメリットが減滅です。

ここで…ズバり書いてしまいます。
目安として身長175CM 体重75㎏ 以下の人はやめた方がいいです!

ローダウンサス+ローシートで普通の道を走らせるだけなら、ダメとは言いませんがすこしバイクが勿体ないと思います…

 

ハンドル位置

前述の体格の問題をクリアしている方であれば、GS-Aのハンドル位置に少し違和感を感じると思います。
ハンドルが近いのです。
おそらく日本仕様だけ、このようになっていると思われますが、ハンドルブラケットを180度回転させると遠い位置に調整できます。身長180cm以上あるライダーなら、この位置がベストだと思います。
このブラケットを回転させてハンドル位置を調整する方法は裏技でも何でもなくて、ユーザーマニュアルに記載されているメーカー推奨の調整方法です。

ローダウンサス+ローシートでないと乗れない方は、純正ハンドルブラケットの近い方でもハンドルが遠く感じるため、社外品のブラケットに変えてさらに手前にする人が多いですがそのような状態では、ただでさえ難しいテレレバーの動きの把握が、全く伝わってこない危険な状態です。
このサスペンションの動きを感じとれないと「気が付いたら転倒していた」というバイクになってしまいます。

積載能力

GSのオプションとして用意されているシステムケースは容量可変式でサイドケースは蓋が横に開くタイプ。素材は樹脂製でアルミの化粧パネルが付いています。
GS-Aのオプションのケースはツラーテック製で容量は可変しません。サイドケースの蓋は上に開くタイプで簡単に外すこともできる。アルミ製でGS用と比べて非常に軽量。

GS-A純正のアルミケースを左右に装着。トップケースはヘプコ&ベッカーTC-45
こちらはGSの純正ケース左右。同じくヘプコ&ベッカーのTC-45トップケース

 

純正ケースのそれぞれの容量は下記の通りです。

・GS  右用:37~46L 左用:28.5~37.5L トップケース:37~46L
・GS-A 右用:44L   左用:38L     トップケース:32L

※写真に写っている私のGS-Aはトップケースは純正ではありません。

数値だけで比較するとGSの拡張状態はGS-Aの容量と大差ないように感じます。
しかし実際の使い勝手で比較するとGS-A用の方が圧倒的に大容量という印象です。
これはメーカーが違うので、測定方法の違いなのかもしれませんが、GS用は拡張操作用のパイプ状のハンドルや、そもそも構造が2層になっていて、ケース内部は狭い印象です。
これに対してGS-A用のアルミケースは1層構造で、単純に内容量が広い感じがします。

キャンプ道具や色々な荷物を積載させると、GS-A用の方が荷物を入れやすく少々の無理もききます。GS用は凝った造りの反面、内部の形状が単純に四角いスペースではないので、どうしても入れる物の順序などを工夫する必要があります。
それにケース自体が重いのも気になります。

そして、この両者には実は互換がありR1200GSにGS-Aのケースを装着させることが可能です。
もちろん、その逆も可能です。
(GS-Aのケースを付けたい場合はGS-A用のマウントシステムを装着、GS用のケースの場合はGS用ケースのマウントを車体に装着させる)
イグニッションキーでロックできるよう、ケースのキーシリンダーを変更するのも簡単です。

つまりGSとGS-Aの両者を積載能力で比較すると「同じ」ということです。
ただ中古車として購入すると、もともと装着されている場合があるので、ご参考までに書いてみました。(ケース無しの車両を買った場合は、ご自分のツーリングスタイルにあったケースを選んでください)

キャンプ場でのワンシーン テントを設営する前




どちらを選ぶべきか

これは究極の選択ですね…。私は選べなかった訳ですが…。
まずGS-Aの場合は体格の問題をクリアしている方。その上でGSとGS-Aのどちらにするか。
オフロード走行が好きな方はGS-Aがお勧めですが、日本には残念なことにGS-Aの性能を存分に発揮できるオフロードステージは少ないです。
とはいえオフロードのキャリアがあるライダーや、山深い自然を楽しみたいアウトドア寄りのライダーにはGS-Aがお勧めです。
迫力のルックスを楽しむのも良いですが、理由がこれだけだとすぐに手放す羽目になりかねます。使い方にあわず、手に余って売ってしまうというパターンです。

GSはこのバイクの基本設計のカタチであり、GS-Aはあくまで派生モデルですからトータルのバランスはGSがピカイチです。
オンロードのコーナリング性能だけでなく、あらゆるシーンで高い完成度とバランスを見せてくれます。
体格の問題もK&Hのミディアムシートをローマウントさせれば、身長170cm以下の方でも問題なく乗れると思います。

ワインディング、オフロード、高速、長距離、取り回しなど、あらゆる要素を高次元でバランスさるのはGS。
その中でオフロードと長距離を特化させ(引き換えに取り回しが犠牲)たのがGS-A。

R1200GSはツーリングをスポーツ感覚で楽しめる究極のモーターサイクル。
その意味をよく理解した上で、ご自分のツーリングスタイルに合わせ選択するしか答えはないと思います。

決してアドベンチャーの方が何かスゴいから、とか値段が高い方が欲しい…なんてつまらないステイタスで選ぶべきバイクではないし、そういった志向の方はそもそもBMWのツーリングの世界観を理解するのも難しいと思います。

私の場合…

GS-Aを購入後、従来の愛車だった2008’GSを手放すこともできず、その日の走るステージに併せて両方を使い分けているのですが、どちらか1台を選びなさいと言われたら今でも決めることは困難です。
他人から見れば何で同じバイクを2台も…と滑稽に見えるでしょうが、私は両方必要なのです。

で…私にとってGSと比較してGS-Aの魅力とはなんだ?と聞かれれば以下のような回答になります。

・とにかく無給油でたくさん走れる。
気分よくツーリングしている日に、ガソリン残量や知らない土地でのスタンド探しとかそういった事に神経を使いたくないのです。
弾丸のときも私の住む千葉市から出発して、1回目の休憩ポイントが岩手山SAとか平気でそんな事ができてしまうGS-Aが好きなのです。

・狭い千葉の山中を巨体で侵入していく楽しさ
この楽しみはうまく説明できませんが、少なくとも地図に存在している道なら何とかなるので、あまり躊躇せずに林道に入ります。古くから土地勘のある房総に限定しますが。
路面が荒れていると持て余しますが、楽しいです。
・しなやかな乗り心地と大船のような包容力
オフロード向けのサスペンションの副産物で、快適な乗り心地も手に入れたGS-A。
普通にクルージングしている時も、風は最小限、見晴らしの良いアイポイント、得も言われぬ安心感に包まれます。これはGSも含め他のバイクには無い魅力です。

個人的な感想でかなり偏っているかもしれませんが、こんな感じです。
これから購入を検討される方にお役に立てれば幸いです。

以上、R1200GS アドベンチャーのインプレでした!

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