寒いですね!私は年内にもう一度、キャンプツーリングに行く予定なのですが、聞くところによると最近は薪ストーブブームのせいで、真冬のキャンプ場でもファミリーの姿が増えたらしいですね。
夏のシーズンと違い静かに過ごせるのが冬キャンプのメリットですが、冬でもキャンプ場が賑やかとなると、また野宿地を探すしかなさそうです。毎年、お正月休みはキャンプ場と決めていたのに困ったものです。いくら野宿が好きでも野宿で新年を迎えるのは何となく気分がのらないんですよね。
さて今回は<中級>ツーリング写真 デザインの要素にある「線」の導線効果のお話です。

風景の中には地面と建物の境界、海や湖などの水平線、道やガードレールなど様々な線の要素が存在しています。線は主に水平方向であれば安定感、垂直方向であれば力強さ、斜め方向であれば動きを表現できます。
写真の鑑賞者は写真を見た時に無意識に画面内で視線を上下左右に走らせています。写真の作者は導線を巧みに使って鑑賞者の視線をいかに心地よく誘導させるか、あるいは作品の意図に合わせて被写体同士を関連付ける導線を考えると、より良い秀作になりえます。
この作例をご覧ください。古びれた漁師さんの番屋でしょうか。何度もペンキを塗って補修した様子が印象的です。漁港はこういったカラフルな被写体が多く存在するから楽しいです。
私はこのとき番屋と通路の境界になる線を利用し、奥行きある構図を作りました。そしてその導線の先には被写体になるバイクを配置。導線を利用した構図作りは導線が被写体と接続されていないと、ほとんど効果がないです。
導線以外の写真の解説です。デザインの要素として色ですが青、黄土色、水色、緑と扉が鮮やかにペンキで塗られています。これらが地面などの中性色とコントラストを生んでいます。導線に使った線は写真に奥行きを強く与える目的で、画面の角から入れてハイアングルで撮りました。
次に構図です。被写体の役割ですが、良き脇役として手前の錆びたタイヤ、通路の途中にある錨が良い仕事をしています。漁港は色々な物があるので、ゴチャゴチャした構図になりやすいため注意が必要です。コツは地面など意図的に何もない場所を探して、それを有効なスペースとして画面内に構成することです。このスペースの使い方は漁港シーンに限らず、多くの撮影シーンで有効です。スペースと被写体エリアの割合は半々ではなく1:1.5や出来れば黄金比を狙うと良いです。
その他、この作例の場合はリコーGRなので、あまりボケない特性のカメラなのでF4で撮影していますが、導線効果を狙う画面作りでは線全体がシャープに写るよう絞りこんで撮りましょう。
私の解説を見ていると「ずいぶん理屈っぽい世界だなぁ」と感じられませんでしたか?「もっと目の前の景色を感じたままに撮ればいいのに」とか思いませんか?感じたままに撮る、は私も大賛成なのですが、残念ながらそれが許されるのは、かなり優秀な写真家の方だけなんだと思います。

写真に限らずあらゆる芸術を勉強すると、こういった理論じみた話や黄金比などの数字がよく出てきます。私は子供の頃から数字、数学が大の苦手で、写真芸術はそういった数学の世界と真逆の世界と思って好んでいたのですが、勉強するほど数学と切っても切れない世界と知り愕然としました。
直感的に良いなと思った写真や絵画には、かならず人間が心地よいと思える数学的な比率などが存在しているのです。それに加え、今回ご紹介したような導線効果は鑑賞者を心理的に楽しませる要素であり、数学だけでなく心理学のようなものまで絡んできて、極めようと研究するほど理詰めが待っているのです。
こういった理論的な考えを、何もかも捨てて「感じたままに撮った傑作」というのをいつか生み出してみたいものですが!
↓↓↓撮影地↓↓↓
漁港での撮影は漁師さん、地元の方、釣り人のご迷惑ご心配をおかけしないよう最大限のご配慮を!