みなさん素敵な写真を撮られていますか?
つい先日、自宅からほど近いゴルフ場の脇の道でイチョウが綺麗に輝いていたので写真を撮ってみました。午後の光に照らされて黄金に輝くイチョウがイメージできたのですが、どう露出をコンロトールしても、いくら粘って太陽光の変化を待っても、狙った通りに撮れませんでした。
そこで、この時に撮った写真を使ってLightroomのレタッチを解説していきます。
おさらいになりますがフォトレタッチはあくまで撮影で成しえなかった部分の補助的な作業であり、撮影時に心に描いたイメージをより表現できるよう焼き直す行為です。
では、既にLightroomを使っている方が対象になってしまいますが、作例を使って解説していきます。
こちらが元画像です。まずはLightroomに取り込んだところをスクリーンショットしました。全体的に露出アンダーなのは、明るいイチョウの部分をイメージ通りの露出で撮ると、路面が全体的に白っぽくなり陰影が消えてしまうからです。なので苦肉の策としてアンダーで撮っています。こうすることによって全ての色データが0や255にならず(0~255とは黒つぶれ~白とび)フォトレタッチに必要な色データを残すことができるのです。
ここで誤解のないように加えておきますが、黒つぶれと白とびは一般的に避けるべきと言われていますが、この固定概念に縛られず、つぶした方が良い場合、トバした方がイメージに合っている!というシーンは多々あります。ここではレタッチをするなら0や255は避けましょうね、という意味です。
↑まずは補正ブラシを使用して部分的に明るさや色温度などをイメージに近づけるよう調整をしましょう。
↑イチョウと芝の部分を選択。
↑本来、撮りたかったイメージに近づけるため露光量、コントラストを上げ色温度をやや暖色にふります。コントラストは好みよって、そのままかマイナスでも良いと思います。
↑次に薄いグレーでのっぺりと眠い印象だった路面をブラシで選択。この部分には左から差し込む光によって陰影があるのですが、このままでは僅かしか無いので補正を入れます。
↑露光量を暗いほうに下げ、コントラストを強め、明瞭度を強めに入れます。アスファルトの道路に限ってはかなり明瞭度を上げても違和感はないです。アスファルトらしいザラつきが表現されて個人的には好きです(あくまでアスファルトをブラシで選択した場合の話です)。
↑次に遠景を選択します。
↑色温度を寒色方向に補正、露光を若干暗くします。遠景とはかすみなどによって青っぽく見えるもので、遠景をわずかに寒色にふることで遠近感を表現できるのです。ただし少しだけで大丈夫です!やったかやってないか分からない位が丁度よいです。
最後にイチョウにハイライトが欲しいので、最も明るい部分を選択して、この部分の露光量を明るくします。サジ加減は何度もプレビューして違和感のない位の少し手前が勘所ですよ。


どうでしょう。レタッチのプロセスを見てしまうと調整した部分に目が行き、不自然にも見えてしまいませんか?これは人間の心理だと思います。最初から仕上がった写真を見れば何も感じないはずですが。皆さんはこのようにレタッチのプロセスを公開するなんてことはしない方が良いと思いますよ。
今回、この写真をフォトレタッチした理由は撮影時に、イチョウを輝かせるように露出を選択すると、路面が白っぽくなってしうからです。路面は構図からそぎ落としてイチョウのみを大胆に切り取るか・・・とも考えましたが画面の左外には駐車場があり、また撮影位置もこれ以上は後ろに下がれず、頻繁に車が通るのでバイクに寄るのも難しい状況でした。
今回、こういった形でフォトレタッチについて解説しましたが、見る人によってはインチキではないか?という印象を持たれます。私の経験上、写真の技術や知識の浅い人、または芸術と向き合っていない人ほどフォトレタッチに否定的です。
いまフォトレタッチをはじめとするデジタル技術は写真界で過渡期を迎えています。わずか数年で写真に関わる多くの人々の考えは変化し、やがてフォトレタッチは現在よりも多くの人が受け入れるでしょう。
もしこれを見てフォトレタッチはインチキだ!と申し立てた方は、数年後には流されて全く違った意見を言っているでしょう。
ただし、その次元とは別に、写真芸術界に著名な写真家の中ではフォトレタッチはしない、という方は多数おられます。しかし、そのような才能豊かな方々は他人のフォトレタッチについて、いちいち苦言などしないはずです。
あくまで「演出」という大分類の中の1つとしてフォトレタッチなのだと思います。確かに無いものを付け加えたり、赤く焼けた夕日なのに紫にしたり、道路や人までピンクっぽい桜の風景だったり、思わず首をかしげてしまう過度なレタッチ画像は世にあふれています。
重要なのは自分の芸術性について、しっかりと考えを持ち表現の有効な手段としてLightroomのようなフォトレタッチを施すのが良いのではないかな?と私は思います。この辺の考え方は、いま人それぞれですので、あまり誰かのフォトレタッチについて「おや」と思ってもスルーが良いです。
ちなみに私は最近、Lightroomを使って昔ながらの写真芸術を踏襲するような仕上げにハマっています(今回の作例は違いますよ)。写りすぎちゃったところを見えなくしたり、画質が良すぎる部分をアンシャープしたり。
使い方次第で可能性は無限大。しかも自宅でゆっくりできるのですからね!過去に撮った画像も現在の感性と好みで焼き直すことも楽しいですよ。これを見てフォトレタッチ未経験の方はぜひRAWで撮影してレタッチから現像まで挑戦してみてはいかがでしょうか?

使用前、使用後の比較でよく分かりました。
とてもメリハリの利いた素晴らしい作品になりますね。
カメラの弱点であるラチチュードの範囲外といって明暗差が大きいと、どうしても撮影時点では決められない明るさがあるんですよね。
本来なら写せない部分と写っている部分で、理想的に画面構成すれば出来上がりは違和感ないのですが、この作例のように路面の陰影が捨てられないとなるとLightroomの出番ですね。
私も使い始めてまだ1年くらいですが、どうしてもっと早く使わなかったのか・・・とも後悔するほど、表現の幅と可能性が広がります。