イグニッションキーをOFFにしてボクサーエンジンの鼓動を停止させると、その空間は驚くほど「シーン」と静まり返っていた。
旭川空港の南に位置する西神楽のエリアは道央らしい風景の隠れた撮影スポットだった。どこにも観光地っぽさがなく、ひたすら農道と長閑な風景が続いていて大好きな場所だ。
長旅の後半で疲労が溜まっていたのか、眠気にも似た倦怠感が全身を襲い始めていた。R1200GS ADVENTUREを停めた道は小さな舗装農道で、その先は行き止まり。車1台、人1人も通行しない「迷い込んでしまった」というのが相応しい忘れられた空間だった。
道端の花と遠景に滑走路が見えたので、得意の望遠レンズでその花を撮ってみた。プレビューすると、なんかモノ足りなかった。やっぱり滑走路があるなら飛行機が欲しいよね。そう独り言をつぶいやいて、文明の利器であるiphoneで空港のダイヤを調べたら30分後に羽田行きがあった。
ちょうど疲れて気分もイマイチだったので、ジャケットを脱いでアスファルトに敷き、その上に寝転んで離陸の時間まで昼寝することにした。北海道といえ日差しが強くて熟睡はできなかったが、まどろみ休息には十分だった。
やがて静寂だったと感じたあたりは「パタパタパタパタ・・・」「ガサガサガサ・・・」「ジジジ・・・ジジジ・・・」といった具合に虫や鳥たちの音でやたらに賑やかに感じた。
左腕のCASIO PROTREKに目をやると、ちょうど羽田行きの飛行機が飛び立つ時間だった。
名も無い花と名も無い道での「想い出のいちまい」だ。

2017年8月15日撮影
こんにちは。
「想い出のいちまい」・・・
その一枚に至るまでの情景が、記事から、
とても丁寧に伝わってきました。
そうして過ごして撮ったこの一枚に、だからこの一枚なんだと思うと、暫くの間 見入ってしまいました。
綺麗なだけの写真ではなく、
RIDERとして感じた五感がそのまま写真に入っているような。
この一枚を見て、PCの前から動けなくなりました。
旅を切り取るとは、きっとこの事かも・・・
旅人が空の下で何気なく過ごし、感じて撮った何気ない一枚。
誰かに見せる為の写真ではなく。
写真をただ置くのではなく、
その一枚を撮るまでの・・・
旅の途中の空の下、そのひと時に感じたもの、
とても伝わってきました。
それは画像で直接目で見るのと違うもの。
って、写真は画像なのに可笑しな話しですが(^^;
きっとRIDERの何気ない過ごし方、立ち止まってぼんやり眺めるもの・・・
それを一枚で表現されているからかもです。
その穏やかに過ごした時間が、とても心に響いてきました。
構図も、露出も、隙がないのに、
それを感じさせない穏やかな一枚は、
いつも目で風景を切り取っているからこその、
自然体で捉えた一枚なんですね。
私も、一日100枚やってみます(^^)v
またまた長文でしたが、今回の記事と、この一枚の写真から、
立澤さんがバイク写真に想う思いを感じました。
ありがとうございます。
selenさん、こんにちは
いつも本当に嬉しいコメントありがとうございます。
こんな風にしっかりと写真、記事を読んでいただいて心のこもったコメントを頂けるなんて
このブログを作ろうと思った当初は思いもしていませんでした。
こんなに共感していただけるなんて、きっとselenさんも私と同じくオートバイの魅力、旅の魅力に
とり付かれたお一人なのですね。
バイクやライダーの姿の無いこの写真を、当ブログでアップすべきか悩みましたが、この写真のシャッターを
切るまでのプロセスは紛れも無くバイク旅でのワンシーンでしたので、ミニ小説風に書いてアップしてみました。
「穏やかさ」その単語、selenさんのコメントではじめて、はっと気がつきました。
この写真を撮ったとき、もう千葉に帰る前日だったのですが8日間の旅を終えて穏やかな気持ちだったのだと
今気がつきました。
究極のツーリング写真流 1日100ショット訓練、ぜひやってみてください(^^)
上がり枚数は1枚でも0枚でも大丈夫です。
私も今日、すでに50ショットくらい撮りましたが、故障した機械の基盤がARTだったので
面白い写真が撮れました。
お忙しいようでしたら、ご無理にコメントいただかなくても大丈夫ですよ(^^)
では!
素晴らしいツーリング写真と、エッセイ!
素晴らしい本が出来ますよ!
もっともっと多くの人々に見て頂き、感動を分かち合いたいですね。
そんな大げさな…(^^;
でも嬉しいです!ありがとうございます。
Facebookなどでは出来なかったことの1つとして、こんなのもあるんです。
また気が向いたら作りますのでお楽しみに!