この投稿は旅写真<中級>の一回目です。
<中級>では絞りやシャッター速度といった露出に関わる基本や、三分割構図など撮り方に関する技術が身についている方を対象に解説していきます。
もちろん初心者の方に読んでいただいても、今後のステップをイメージする上で参考になると思います。

この作例をご覧ください。望遠レンズを使用し距離感を圧縮させた写真ですが、前景とメイン被写体と背景の3つの要素があることに注目してください。
前景は左端にある木、メイン被写体は中央の大木とそこにあるキャンプサイトです。この場合、遠景は単なる黒っぽい背景として被写体の木に当たる光を強調させています。
念のためおさらいしておきますが、絞りとは被写界深度のコントロールであり、ピントを合わせていない部分のボケ具合の調整です。(明るさの話はここでは触れません)
この構図で作った前景となる木をどれくらいボカすのか?
私はこのとき前景の木の葉に注目しました。メインの大木よりも少し褐色の葉は美しく逆光を透過していました。被写体を際立たせるため、これを効果的に使おうと思い被写体エリアを前景のこの木で囲い込むようなフレーミングをしました。
そして葉のディティールを狙った通りのイメージにするため、絞り値を慎重に選んで撮影したのです。
F4.5では葉がボケすぎでディティールが伝わらず、F5.6ではシャープすぎてメイン被写体の木と境界が曖昧になってしまいます。結果F5.0を選択しました。
方法は簡単です。一眼レフカメラでしたらファインダーを覗きながら絞り込みボタン(CANONなら被写界深度プレビューボタン)を押してボケ具合を確認してください。最もあなたが最良と感じたボケ具合になるよう電子ダイアルを回してF値を調整するのです。絞込みボタンの無いカメラでしたら試し撮りしてモニターで確認してみましょう。
このように絞りを微調整するとは、まずは被写体の魅力をあなたの目で理解し、それに基づいて行うのです。
いかがだったでしょうか?絞りを操作すると被写界深度が調整できることは知っていても、実際のツーリング写真の現場では具体的にそれをどう使うか、結びついていない方もおられたのではないでしょうか。
写真は「○○だから△△にした」を基本に考えると良作の礎になりますよ。
つづく